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除籍謄本の取り方や郵送での取得法–戸籍謄本、改製原戸籍との違いも解説

更新日:2020.10.19

除籍謄本の取り方や郵送での取得法–戸籍謄本、改製原戸籍との違いも解説

除籍謄本は日常生活ではほとんど利用することはないかと思いますが、相続においては必要な証明書となります。この記事では除籍の意味合いや除籍謄本の活用法、取得方法について解説します。

除籍とは

除籍とは、死亡や婚姻などによって誰も記載されている人物がいなくなった戸籍のことです。そのことを証明する除籍謄本は、法定相続人を確定する際に不可欠な証明書となります。

除籍謄本とは

現在使われている戸籍は、死亡や結婚などの理由で記載されている人物が抜けていき、やがて戸籍内に誰もいない状態になります。戸籍に一人でも残っているかぎりは戸籍として活用されますが、誰もいなくなった時点で戸籍は閉鎖されて除籍簿に綴られます。

このように誰もいなくなった、抜け殻のような戸籍のことを除籍と呼びます。除籍謄本とは、除籍に記載されているすべての事項を証明する書類として交付されるものです。

除籍謄本が最も活用されるのは、相続に関する手続きの場です。一連の相続手続きでは、故人の出生時から死亡までの戸籍の変遷が分かる情報が必要になります。除籍謄本を含む、過去のすべての戸籍を提示することで、初めてすべての法定相続人を確定することができるのです。

除籍抄本との違い

除籍の原本は、市区町村役場内に保管されています。原本そのものを取得して証明書として活用することはできないため、除籍の原本の写しに市区町村長の印を押した書類を、証明書として交付します。この証明書において、全員の事項を写したものを除籍謄本特定の個人の事項に限定して写したものを除籍抄本と呼びます。

戸籍謄本との違い

戸籍には、現在使用されている「戸籍」の他に、「改製原戸籍」と「除籍」があります。一般的に「戸籍」と言った場合には、現在使われている戸籍を指しますが、あえて他の戸籍と区別する必要があるときには、「現戸籍(げんこせき)」と呼ぶことがあります。

戸籍謄本とは、現在の戸籍の全部の事項を写した証明書です。つまり除籍謄本との違いは、生存している人が、自分の現在の状況を証明できる書類であるという点です。

改製原戸籍との違い

戸籍の様式は、法律の改正とともに変更されることがあります。変更に伴い、戸籍を新しい様式に書き換えますが、このときにすべての事項を書き写すのではなく、新様式で不要な事項が反映されないことがあります。

こうした過去の記録が消滅することを防ぐために、古い様式の戸籍は改製原戸籍として市区町村役場に保存されます。正式な呼び方は「かいせいげんこせき」ですが、現戸籍と呼び方を区別するために「はらこせき」と呼ぶことがあります。

つまり除籍謄本との違いは、現戸籍として活用されなくなった原因が、個人の事情ではなく、法律の改正にあるという点です。

除籍謄本が必要になるのはどんなときか

除籍謄本は、相続において法定相続人を確定するのに欠かせない証明書です。このため相続に伴う手続きの際には、必ず提出を求められます。

亡くなった人が所有していた不動産の登記変更や預金通帳の解約手続きをするには、申請者が正当な相続人であることを証明する必要があります。この際に提出するのが遺産分割協議書ですが、これにすべての法定相続人が署名していることを証明するには、故人が生まれてから亡くなるまでの一連の戸籍をすべて揃えなければいけないのです。

出生からの一連の戸籍を揃えることにより、たとえば故人が他の女性との間に子をもうけていて、その子を故人が認知していたといった、親族が誰一人知らなかった法定相続人が新たに発見されることもあります。

故人の出生当時の戸籍にいた人が全員亡くなっていた場合はもちろん、一家全員で他の地に本籍を移動させた転籍の場合にも、それ以前の戸籍は除籍として保管されているので、除籍謄本を取得することになります。

このように、現戸籍だけでなく、故人の除籍謄本や改製原戸籍まで遡って取得することで、遺産分割協議書に法定相続人が全員署名していることが証明されるのです。

また相続手続き以外の活用法として、家系図を作成する場合に、先祖の系図を辿る過程で除籍謄本を取得することがあります。除籍謄本を読み解くことで、さらに前の時代の先祖を探り当てることが可能になります。

法定相続情報一覧図について

故人が複数の銀行口座や不動産を所有していた場合、遺産分割協議成立後に、故人の不動産名義の移転や預金口座の解約をします。この際のすべての相続手続きには、被相続人の出生からの一連の戸籍謄本等および相続人全員の戸籍謄本等(以下「戸籍謄本等の束」)が必要となります。

この「戸籍謄本等の束」を1つの窓口に預けると、数週間は返還されないため、その期間他の銀行や法務局での手続きは行えません。このため、1つの「戸籍謄本等の束」で相続手続きを進めようとすると、すべてが完了するまでに膨大な時間を要することになるのです。

この課題を解決できるのが、2017年にスタートした「法定相続情報証明制度」です。この制度により「戸籍謄本等の束」の代わりに「法定相続情報一覧図」が活用できるようになりました。予め法務局に除籍謄本を始めとする「戸籍謄本等の束」を提出することで、法定相続情報一覧図の謄本を必要な部数分交付してもらえます。これを「戸籍謄本等の束」に代えて複数の銀行や法務局に提出することで、名義変更や解約手続きを同時並行で進めることができます。

除籍謄本を取得できるのは

除籍謄本を取得するには、必要とする人物との続柄がポイントになります。除籍謄本を取得できる場所や人物に関する決まりごとについて、解説をしていきましょう。

取得できる場所はどこ?

除籍謄本を取得できる場所は、かつて本籍があった市区町村役場です。転籍などで本籍地そのものを移した場合であれば、直前の本籍地に除籍が存在します。あるいは、出生時の本籍が既に除籍になっているのであれば、出生時の本籍地の役所で除籍謄本が取得できます。

取得できる人は?

除籍謄本は誰でも取得できるわけではありません。戸籍に名前のある本人であれば当然取得できますが、この他に取得できるのは、配偶者と直系尊属・直系卑属に限られます

直系尊属とは父母や祖父母などです。直系卑属とは子どもや孫などです。これらの人々は、必要とする人との続柄が確認できる戸籍謄本を提出することで、取得が可能になります。

しかしたとえ親族であっても、兄弟姉妹や叔父、叔母などは直系ではなく傍系になるため、除籍謄本を取得することができません。

また、除籍謄本を第三者に依頼して取得することも可能です。その場合には、委任状の他に正当な請求の理由の記載が求められます。正当な理由とは、例えば「相続に伴う不動産登記変更手続きのため」といったものです。

除籍謄本を取得する方法

除籍謄本を取得するためには、直接市区町村役場の窓口に出向く方法と、郵送による方法があります。それぞれどのような点に気をつければいいのか解説をしていきましょう。

窓口で請求する

市区町村役場の窓口で直接取得する場合は、「除籍謄本の請求書」と免許証などの「本人確認書類」が必要です。本人以外の除籍謄本を取得する場合は、その人物との続柄が証明できる書類が必要になります。

本人から依頼された第三者が受け取る場合は、委任状を持参のうえ、請求する理由を詳しく記載することになります。請求する理由が曖昧な場合は、さらに資料の提出を求められることもあります。

除籍謄本及び除籍抄本の交付手数料は、1通あたり750円です。

郵送で請求する

除籍謄本は、郵送によっても取得することができます。この場合、次の書類を同封します。

  • 除籍謄本の請求書: 市区町村役場のホームページからダウンロード
  • 手数料750円: 郵便局で取り扱っている定額小為替を使用
  • 返信用封筒: 郵便番号及び住所と氏名を記入し、郵送料分の切手を貼付済のもの
  • 本人確認書類: 運転免許証や写真付きマイナンバーカード等の写し
  • 請求する人との関係が確認できる戸籍

手数料は、現金を同封する方法もありますが、その場合現金書留を利用することになります。このため、定額小為替を利用する方法が一般的です。

定額小為替は、おつりが発生しない額面とします。発行には1枚あたり100円の手数料を要しますから、750円の額面のものを入手するのが最も合理的です。

専門家に依頼する事もできる

除籍謄本の取得には、司法書士や行政書士などの専門家に依頼するという方法もあります

除籍謄本が必要になるのは、ほとんどが相続手続きに絡んだケースです。この場合、故人の出生から亡くなるまでの一連の戸籍が必要になります。除籍謄本ばかりでなく、改正原戸籍が必要なこともありますから、非常に手間を要します。

専門家に依頼をすれば、一定額の報酬が発生しますが、手間を省略できるうえに適切な書類の取得をすべて任せられるというメリットがあります。

また司法書士や行政書士などの専門家は、「職務上請求書」を用いて除籍謄本等を取得することができるので、親族などの第三者に委任する場合と比較してスピーディに取得することができます。

除籍謄本の保存期間はどのくらい?

除籍謄本の保管期間は、除籍となったときから150です。ただし、戸籍法改正前の平成22年以前の保管期間は80でしたので、あまりにも古い除籍謄本であれば、既に存在しないこともあります。

また保存期間内であっても、戦争による被害や地震や津波のような天災が原因で、戸籍の原本が消失していることがあります。その場合は、「消失(滅失)証明書」を発行してもらいます。消失証明書では、除籍謄本の内容を証明することができませんが、除籍謄本の提出が義務付けられている手続きにおいて、提出できない理由を証明することが可能になります。

関東大震災や第二次世界大戦中の空襲被害などにより、都内23区や大阪市、広島市、長崎市などでは、焼失により除籍が存在していなことがあります。しかし近年では、戸籍の正本こそ市区町村役場に保管されているものの、副本が法務局に保管されているため、東日本大震災の際に役所ごと滅失したケースでも、戸籍を再現することが可能でした。

除籍謄本をとるときに気を付けること

除籍謄本は、正規の申請人であれば取得することが可能ですが、取得の日付や取得方法について、いくつか注意すべきポイントがあります。除籍謄本の取得において、気をつけるべきことを解説していきましょう。

相続手続きには取得日が重要

戸籍法では、除籍謄本の有効期限については定められていません。例えば相続登記においては、何十年も前の除籍謄本や改製原戸籍でも使用することができます。

また、かつて遺産分割協議書まで作成したのに、何らかの理由で不動産の名義変更をしていないケースにおいても、当時取得した戸籍謄本関係書類や遺産分割協議書によって、変更登記をすることは可能です。

ただし、相続人の戸籍謄本については、被相続人の死亡後に取得したものであることが求められます。したがって、故人が生存中に取得した戸籍は無効となるため、改めて取得する必要があります

市区町村合併では管理先を探す

平成17年頃には、市区町村の合併が盛んに実施されました。このため、自分が出生した自治体がすでに存在していないこともあり得ます。

しかし、このような場合であっても、除籍謄本が消滅することはありません。インターネットなどで、市町村合併の経緯を検索することで、吸収先の市町村を探り当て、当該市町村役場に請求することで、除籍謄本を取得することができます。

除籍謄本まで必ず遡ることができる

転居のたびに転籍をして、過去の除籍が点在している人も少なくありません。しかし、戸籍には必ず直前の戸籍がどこにあったのかを記載しているので、ひとつ前の戸籍(従前戸籍)の「本籍地」と「筆頭者」を手掛かりにすれば、順次遡ることができます。

現在の戸籍から、根気よくひとつ前の戸籍を取得していくことで、必ず出生時の戸籍や除籍にたどり着くことができるのです。

まとめ

除籍謄本とは、死亡や婚姻などによって記載されている人物が誰一人いなくなった、抜け殻のような戸籍のことです。日常生活で使用することはありませんが、相続が発生したときに、故人の法定相続人を特定するための重要な書類となります。

例えば、故人の除籍謄本、改製原戸籍、戸籍をすべて揃えることで、不動産の登記変更手続きや預金口座の解約手続きを実施することが可能になります。

しかし、除籍謄本を請求できるのは、本人や配偶者以外では直系尊属か直系卑属に限定されています。たとえ兄弟姉妹であっても、委任状なしで除籍謄本を取得することはできない点に注意が必要です。

取得の際のポイントとしては、除籍謄本が郵送で取得可能な点。遠方の役所に保管されている場合は、郵送で取得すれば、費用と手間が節約できることを覚えておきましょう。

執筆者プロフィール

田中 良男

行政書士。地方公務員として建築主事や都市計画法関連業務などに従事した経験を有する。現在は、行政書士事務所の代表として各種行政手続をサポートしている。またライター・作家として活動をしており、文芸誌の編集委員を務めている。特定行政書士、終活カウンセラー。
オフィシャルサイト: ことの葉行政書士事務所

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