遺産相続で海外在住者に海外送金(海外口座有)を試みた事例

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相談前:相続人の一人が海外在住のケース

亡くなられた伯母様には子どもがおらず、ご兄弟もすでに他界されておりました。そのため、相続人はご兄弟の子である甥2人となります。

財産は平等に分けることで合意できていますが、相続人のお一人が海外にお住まいで、ほとんど日本に帰って来られない状況の上、日本の銀行口座もお持ちではありません。

相続手続きや分配する財産の受け取り方など、どうすればいいのかわからないとのご相談です。

 

▼問題点

・海外にお住まいの相続人とのやりとりはメールが基本となるので、必要な手続きや遺産についての説明や理解してもらうのに時間がかかる。

・海外で暮らしているため、手続きで必要となる印鑑証明書を取得できない。

・遺産分割協議書など、署名捺印が必要な書類をもらうのに時間がかかる。

・日本の銀行口座を持っていないため、相続財産の分配方法を検討しなければならない。

 

相続人が海外にお住まいの場合、相続財産の受け取り方法が問題となります。それは、預貯金などを相続しても国外の金融機関へ振り込み対応をしている金融機関がほとんどないからです。

このように海外にお住まいの相続人がいる場合には、日本の銀行口座を持っており、かつ海外から利用することができる状態にあるかを確認しなければなりません。

本件の相続人は、日本の銀行口座をお持ちになっていませんでしたが、幸いにも日本に帰国する予定があるとのことでした。帰国した際に日本の銀行口座を開設していただければ、問題を解決することができそうでした。

相続手続きには印鑑証明書が必要となります。遺産分割協議書に実印を押していただき、印鑑証明書を添付する必要があるのです。しかし、印鑑登録は国内に住民票を置いていないと、登録ができません。

海外にお住まいであれば、印鑑証明書が存在しないということになります。このような場合には、現地の日本大使館や総領事館などで、サイン証明書を取得していただければ、解決することができます。

しかし、相続人がお住まいの地域には、日本大使館等がない可能性が考えられました。運良く、数か月前に現地に日本の総領事館ができたとのことで、サイン証明書の件もクリアすることができました。

海外にいる相続人とのやりとりの負担をできる限り少なくするため、当事務所が必要書類の収集や財産の調査、書類作成などから、財産の分配までのすべての手続きを一括して代行させていただくこととなりました。

相談後:相続手続きを一括して代行

・海外にお住まいの相続人へはメールで手続きなどをご説明し、相続の資料のご提供や進捗状況のご報告などを行い、常にご確認いただいた上で進行しました。

・サイン証明書を受け取っていただくために、遺産分割協議書や委任状をメールでお送りし、現地の総領事館に提出して、証明書を取得していただきました。

・サイン証明書と遺産分割協議書を国際郵便で返送していただき、国内の相続人からいただいた書類とあわせて手続きを進めました。

・相続財産の受け取り方法は、当事務所の遺産管理専用口座に振り込んだ後で、海外にお住まいの相続人が日本での口座開設が完了してから、送金しました。

・当事務所ですべての相続手続きを一括して代行させていただいたことで、相続人の皆様のご負担を軽減し、手続きを終えることができました。

事務所コメント:手間はかかっても相続手続きは可能

相続財産である預貯金の受け取り方法は、日本国内の金融機関口座、かつ相続人名義の口座への振り込みにしか対応していない金融機関がほとんどです。

中には、同じ金融機関にしか対応できないとするところもあり、対応は限定されています。

日本に住民票を置いていない海外にお住まいの方でも、日本の銀行口座をお持ちで、お住まいになっている地から利用できる状態であれば特に問題はありませんが、口座をお持ちでない場合や海外から利用できない場合には、相続財産の受け取り方法を含めて慎重に検討しなければなりません。

日本にいる別の相続人に代わって受け取っていただき、海外送金してもらう方法もありますが、個人口座からの海外送金は、限度額が決められているところが多く、金額によっては送金手続きそのものが負担になります。

また、送金手数料も高いので何度も送金することになれば、金銭的にも負担になってしまいます。さらには、為替レートによっては大きく損をしてしまう可能性もあり、一度の送金金額を少額にし、レートを見つつ、長期間に渡って送金するとなると、かなりの労力とリスクになるでしょう。

印鑑証明書についても取得できないという問題があり、海外にお住まいの方には代わりに、サイン証明書を取得していただく方法が一般的です。

ただ、お住まいになっている国に大使館等がない場合には、近隣国まで出向いて手続きをするか、日本に帰国していただくなどの方法を検討する必要があります。どの方法でも、手続きには時間も手間もかかります。

遺産分割についてスムーズに話がまとまっても、海外にお住まいということによる手続きの難しさが、予想されます。 相続人となった場合の手続きや、そのために必要な期間やそれぞれの期限を、正確に把握するのは困難です。

相続人のうちお一人でも海外にお住まいの方がいらっしゃる場合には、なるべく早くご相談いただくことで、期限内に手続きを終える可能性が高まります。

本件のような海外にお住まいの相続人がいるケースの手続きや、対応についてのご相談は、当事務所にて承っております。

ご依頼をご検討中の方であれば、無料でご相談いただけますので、お気軽にお問合せください。

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この事例を解決した事務所

 

司法書士法人東京横浜事務所(東京都 渋谷区)

相続専門の国家資格者が、相続手続きをまるごとサポート。同事務所の「相続まるごとおまかせプラン」では、専門的手続きはすべて代行可能であることに加え、約100種類の手続きについても包括的にアドバイス・サポートが可能です。面倒なことは専門家に「まるごとおまかせ」できます。

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