大切な家族が亡くなってしまうと、深い悲しみに襲われ何も手につかない状態になります。しかし現実は、悲しみに浸ってばかりもいられません。健康保険や年金をはじめ、銀行口座など遺族がやるべき手続きが山積しているからです。
死後、悲しみに浸っている中でも公的手続き、民間機関での手続きと、行うべき手続きは非常に多く、対応漏れが発生してしまうこともあります。
この記事では、家族の死後に遺族が行う役所の手続きを始めとする各種手続きの方法について優先度付きで解説をしていきます。
記事最後に「死亡後に必要な手続きリスト」を掲載していますので、チェックリストとしてぜひご参考にしてください。
1. 死亡後に必要な手続きを優先度で紹介
以下の表に、死亡後に遺族が行うべき手続きをまとめました。手続きの重要度に応じて★印をつけています。3段階の分類をしており、★★★が最も重要な手続きであることを表しています。
【死亡後に必要な手続きリスト】
優先度 | 手続き名 | 手続き先 |
役所・公的機関の手続き | ||
★★★ | 死亡届 | 故人の死亡地・本籍地または届出人の所在地の市区町村役場 |
★★★ | 死体火葬・埋葬許可交付申請 | 故人の死亡地・本籍地または届出人の所在地の市区町村役場 |
★★★ | 健康保険証の返却 | 故人が居住していた市区町村役場 |
★★★ | 年金受給権者死亡届 | 年金事務所または年金相談センター |
★★★ | 児童扶養手当認定請求 | 居住地の市区町村役場 |
★★ | 住民票の世帯主変更届 | 居住地の市区町村役場 |
★★ | 遺族年金の受給手続き | 年金事務所または年金相談センター |
★★ | 寡婦年金・死亡一時金の受給手続き | 年金事務所または年金相談センター |
★★ | 葬祭費/埋葬料 | 市区町村役場/健康保険組合または全国健康保険協会 |
★ | パスポートの返納 | 都道府県の旅券事務所 |
★ | 運転免許証の返納 | 管轄の警察か都道府県の運転免許センター |
★ | 恩給受給者の手続き | 恩給相談専用電話 |
★ | 農地法・森林法の届出 | 市町村長 |
★ | 車の名義変更 | 運輸支局 |
民間の手続き | ||
★★ | 各種会員証の解約 | 各団体窓口 |
★★ | 金融機関への連絡 | 各金融機関窓口 |
★★ | 水道、電気、ガスの解約 | 水道・電気・ガス各窓口 |
★★ | 賃貸の契約 | 大家等 |
★★ | NTTの解約 | NTT |
★★ | NHKの解約 | NHK |
★★ | 携帯電話、インターネット(回線・プロバイダ)の解約 | 各企業窓口 |
★★ | クレジットカードの解約 | クレジットカード会社窓口 |
★★ | レンタル用品の解約 | 介護保険利用の場合はケアマネージャー |
★★ | 生命保険の請求手続き | 保険会社または代理店 |
★ | 遺品整理 | 遺品整理業者等 |
★ | 火災保険の名義変更 | 保険会社または代理店 |
★ | 医療保険の請求手続き | 保険会社または代理店 |
★ | 弔慰金の請求手続き | 各企業窓口 |
★ | 配当金の請求手続き | 証券会社 |
★ | 百貨店の積立金解約手続き | 各百貨店 |
優先度は重要度の高さであり、必ずしも手続きの緊急性を示したものではありません。相続において必要になる手続きや、不要な支出を伴うものから優先的に進めるようにしてください。
また「死亡届」「死体火葬・埋葬許可交付申請」以外の手続きについては、故人の属性によっては、まったく必要のないものも含まれています。
各手続きの詳細については、以下に解説していますので、どの手続きが対象になるのかを、ぜひ参考にしてください。
2. 役所・公的機関の手続き
役所の手続きは、期限が決まっているものが多く、かつ手続きを怠ると、将来の生活に支障をきたすことも少なくありません。それぞれの手続きをどのように進めればいいのか、みていきましょう。
2-1 死亡届の提出(優先度★★★)
死亡届とは、人が死亡した際に行う届出です。届出用紙は市区町村役場や病院等に備えられています。
用紙の中央から左側が死亡届、右側が死亡診断書となっており、死亡診断書欄には医師の証明が必要です。届出先は、故人の死亡地・本籍地または届出人の所在地の市区町村役場です。
故人の所在地の役場でない点に注意してください。届出人の条件は同居の親族、同居していない親族、同居者、家主等ですが、実際に提出する人に関する規定はありません。
このため、葬儀社に代行してもらって提出することも可能です。
2-2 死体火葬・埋葬許可交付申請(優先度★★★)
死体火葬・埋葬許可交付申請は、火葬許可書を交付してもらうための申請です。死亡届と同時に提出する方法が一般的です。窓口に備えられた申請用紙にその場で記入することもできます。
火葬許可書はすぐに交付してもらえるため、火葬までに紛失しないように保管しておきます。
葬儀社に手続きを代行してもらった場合、火葬許可書は葬儀社が保管し、直接火葬場に提出するという流れになります。
2-3 健康保険証の返却(優先度★★★)
死亡した家族が国民健康保険の被保険者や被扶養者であった場合、故人が死亡した日から14日以内に、故人が居住していた市区町村役場で健康保険証の返却手続きを行う必要があります。提出書類は次のとおりです。
- 国民健康保険資格喪失届
- 国民健康保険証
- 高齢受給者証・限度額適用認定証(対象者の場合のみ)
- 死亡を証明するもの(戸籍謄本または死亡届の写し)
- 手続者の本人確認書類(運転免許証など)
- 認印
なお、会社員が加入する健康保険と公務員が加入する共済保険については、死亡後の手続きは事業主が行うので、遺族が行う手続きは特にありません。
国民健康保険の被保険者である世帯主が死亡した場合は、世帯主を変更したうえで新しい健康保険証を発行することになるため、被保険者と被扶養者全員の保険証を返却します。この際に、上述の書類に加えて世帯主変更届も提出します。
2-4 年金受給権者死亡届(優先度★★★)
年金を受給している人が亡くなった場合、年金事務所または年金相談センターに「受給権者死亡届」を届け出る必要があります。
国民年金の場合、この手続きは、故人が亡くなった日から14日以内(厚生年金は10日以内)に行うこととされています。
届出に必要な書類は次のとおりです。
- 受給権者死亡届(報告書)
- 故人の年金証書
- 死亡の事実が明らかになる書類(戸籍抄本または死亡届の記載事項証明書)
なお、日本年金機構にマイナンバーが収録されている(基礎年金番号とマイナンバーが紐づけされている)場合は、受給権者死亡届の手続きを省略することができます。
2-5 児童扶養手当認定請求(優先度★★★)
配偶者が亡くなり、18歳以下の子ども養育している人は、児童扶養手当が支給されます。この場合、居住地の市区町村役場に次の書類を提出します。
- 児童扶養手当認定申請書
- 戸籍謄本
- 請求する人と対象となる子どものマイナンバーが分かるもの及び本人確認書類
2-6 住民票の世帯主変更届(優先度★★)
世帯主が亡くなった場合は、新しい世帯主を決めて「世帯主変更届」を届け出ます。死亡から14日以内に居住地の市区町村役場に届け出ることとされていますが、多くの方は死亡届と同時に手続きをしています。
届出ができるのは、同じ世帯の人です。親族であっても世帯が異なる場合は、委任状が必要になります。届出に必要な書類等は次のとおりです。
- 世帯主変更届
- 届出をする人の本人確認書類(運転免許証など)
- 届出をする人の認印
なお、次のケースに該当するのであれば、届出は不要です。
- 死亡した人以外に世帯に残った人がいない
- 世帯主の死亡後、世帯に残った人は1人だけである
- 世帯主が死亡して、世帯に残ったのが、ひとり親と15歳未満の子どもだけである
2-7 遺族年金の受給手続き(優先度★★)
遺族厚生年金は、年金の受給者が死亡したときに、故人によって生計を維持していた遺族が受けることができます。受給の請求は、年金事務所または年金相談センターに次の書類を提出します。
- 年金請求書
- 戸籍謄本(記載事項証明書)
- 世帯全員の住民票の写し(マイナンバーでも可)
- 死亡者の住民票の除票(マイナンバーでも可)
- 請求者の収入が確認できる書類(マイナンバーでも可)
- 子の収入が確認できる書類(マイナンバーでも可)
- 市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
- 受取先金融機関の通帳等(本人名義)
- 請求者の認印
また死亡の原因が第三者の行為によるものである場合は、次の書類が必要になります。
- 第三者行為事故状況届(所定の様式)
- 交通事故証明または事故が確認できる書類
- 確認書(所定の様式)
- 被害者に被扶養者がいる場合は扶養していたことがわかる書類
- 損害賠償金の算定書
2-8 寡婦年金・死亡一時金の受給手続き(優先度★★)
国民年金の保険料を納めた期間が10年以上ある夫が亡くなったときに、10年以上継続して婚姻関係にあり、生計を維持されていた妻であれば、60歳から65歳になるまでの期間寡夫年金が支給されます。
受給の請求は、年金事務所または年金相談センターに次の書類を提出します。
- 寡婦年金の年金請求書(日本年金機構ホームページからダウンロード)
- 夫の年金手帳
- 戸籍謄本
- 世帯全員の住民票の写し
- 夫の住民票除票の写し(世帯全員の住民票の写しに含まれる場合は不要)
- 妻の所得証明書
- 受取先金融機関の通帳等(本人名義)
- 他の公的年金で年金をもらっている場合は年金証書
- 請求者の認印
国民年金の保険料を3年以上納めた人が、年金を受給することなく死亡した場合は、故人と生計を共にしていた遺族(家族)は死亡一時金が受給できます。受給の請求は、年金事務所または年金相談センターに次の書類を提出します。
- 国民年金死亡一時金請求書(日本年金機構のホームページからダウンロード)
- 亡くなった人の年金手帳か基礎年金通知書
- 戸籍謄本(記載事項証明書)
- 亡くなった人の住民票(除票)および請求者の世帯全員の住民票の写し
- 受取先金融機関の通帳等(本人名義)
- 請求者の認印
2-9 葬祭費/埋葬料(優先度★★)
国民健康保険の加入者が亡くなり、葬祭を行った場合、葬祭執行者(喪主)に対して葬祭費が支給されます。葬祭を行った日の翌日から2年以内に葬祭執行者が市区町村役場に次の書類を添えて申請します。
- 国民健康保険葬祭費支給申請書
- 故人の健康保険証
- 申請者の本人確認書類
- 葬祭執行者であることが分かる書類(葬儀の領収書・請求書・会葬はがきなど)
- 預金口座の写し
故人が国民健康保険以外の健康保険の被保険者で、埋葬が行われた場合は、埋葬料が支給されます。埋葬料の申請ができるのは、被保険者に生計を維持されていた家族で、埋葬を執り行った人です。
申請には次の書類を健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)に提出します。
- 健康保険被保険者埋葬料支給申請書
- 故人の健康保険証
- 埋葬許可証か死亡診断書
- 埋葬費用の領収書などの埋葬を行った事実と金額が分かる書類
埋葬料の提出期限は、死亡日の翌日から2年以内です。葬祭費と起点日が異なりますので注意してください。
また埋葬料は、被保険者以外の家族が亡くなった場合は、「家族埋葬料」という名目で支給されます。被保険者が資格を喪失した場合であっても3カ月以内であれば、申請は可能です。
2-10 パスポートの返納(優先度★)
故人のパスポートは、都道府県の旅券事務所への返納手続きが必要です。本人が死亡すると効力が失効しますが、身分証明書として有効な書類ですから、悪用されないようきちんと返納しましょう。
返納の際には、次の書類を提出します。
- 故人のパスポート
- 死亡の事実が確認できる書類(戸籍謄本、死亡診断書など)
- 届け出た人の本人確認書類(運転免許証など)
なお、返納したパスポートを形見として手元に残したい場合は、その旨を申し出れば、パンチ穴を開け、「失効」のスタンプを押したうえで返却してくれます。
2-11 運転免許証の返納(優先度★)
故人の運転免許証は、管轄の警察か都道府県の運転免許センターへの返納手続きが必要です。本人が死亡すると効力が失効しますが、身分証明書として悪用されることがありますから、できるだけ速やかに返納しましょう。
返納の際には、次の書類が必要になります。
- 故人の運転免許証
- 死亡の事実が確認できる書類(戸籍謄本または死亡診断書)
- 届け出た人の本人確認書類(運転免許証など)
なお、故人の運転免許証を形見として手元に残しておきたい場合は、その旨を申し出れば、パンチで穴を開け、「無効」のスタンプを押したうえで返却してもらえます。
2-12 恩給受給者の手続き(優先度★)
故人が恩給受給者であった場合は、恩給相談専用電話(03-5273-1400)に連絡をします。死亡した時期によって、未支給金又は過払金が生じることがあります。
2-13 農地法・森林法の届出(優先度★)
農地を相続した場合、「農地法第3条の3第1項の規定による届出書」を農業委員会へ届け出る必要があります。また森林を相続した場合、所有者になってから90日以内に、「森林の土地の所有者届出書」を市町村長に届け出ることが義務付けられています。
2-14 車の名義変更(優先度★)
車は相続財産となるので、誰が所有者になるのかを相続人全員で協議したうえで、遺産分割協議書に記載します。
名義変更手続きは、運輸支局で行います。運輸支局で「手数料納付書」「自動車税・自動車取得税申告書」「申請書」を入手し、必要事項を記入したうえで、次の書類を添付して提出します。
- 車検証(自動車検査証)
- 被相続人の戸籍謄本または除籍謄本
- 被相続人の戸籍の全部事項証明書
- 遺産分割協議書
- 新所有者の印鑑登録証明書
- 新所有者の実印
- 車庫証明書
3. 民間の手続き
役所以外の手続きは、故人の生活スタイルによって対象となる手続きが異なってきます。生前、どのような暮らし方をしていたのかに思いを馳せながら、必要な手続きを探っていく必要があります。
ここからは、想定される手続きを優先度順に解説していきましょう。
4. 優先度★★の手続き
4-1 各種会員証の解約(優先度★★)
会員証の解約方法は、所属する会の会則によって異なりますから、それぞれの会の事務所に電話をして確認しましょう。
特に、会費を納めている組織に属している場合、死亡後に納めた会費であっても返金してもらえないことがありますから、すみやかな手続きが必要です。
たとえば、故人が弁護士、司法書士、行政書士、建築士などの業務に携わっていた場合、必ず各都道府県単位の「〇〇士会」に所属して、定期的に会費を納めています。このため、早急に手続きを進める必要があります。
それぞれの団体で必要書類は異なりますが、行政書士を例に挙げると、次のような書類が必要になります。
- 行政書士登録抹消届出書
- 死亡診断書または除籍抄本 2通
- 行政書士登録証
- 日本行政書士会連合会の会員証票
- 〇〇行政書士会の会員証
4-2 金融機関への連絡(優先度★★)
被相続人が亡くなった場合、金融機関に対して死亡した旨を連絡します。これにより、金融機関は口座名義人が亡くなったことを知り、当該口座を凍結します。
その後正式に決定した相続人が必要書類を金融機関に提出することで、払い戻しがなされ、相続人の口座へ入金されることになります。
死亡の連絡をしないと一部の相続人や親族が勝手に引き出してしまう可能性があるため、できる限りすみやかな連絡が望ましいでしょう。
4-3 水道、電気、ガスの解約(優先度★★)
故人が水道、電気、ガスの契約者であり、今後も残された家族が使用するのであれば、「名義変更」の手続きが必要になります。
また、一人暮らしで、今後使用する予定がないのであれば、「解約手続き」になります。水道、電気、ガスのいずれも電話かインターネットによる手続きが可能です。
4-4 賃貸の契約(優先度★★)
故人がアパートの賃借人であった場合、「賃借権」という相続財産を有しています。このため、このアパートに居住したい遺族がいれば、賃借権を相続することで可能になります。
正式に相続手続きを踏めば、アパートの大家との手続きは法的には不要です。ただし、日常の管理上、大家ですら名前も知らない人物が住んでいるという状態はけっして望ましいことではありませんので、すみやかに賃借人が変更したことを文書で通知した方がいいでしょう。
賃貸借契約を解約する場合は、手続きが必要になります。借主が死亡しても、賃貸借契約は終了しません。
引き続き家賃が発生するので、居住することがないのであれば、すみやかに手続きをしましょう。
解約の手続きは、相続人が行いますが、遺産分割協議が終了していないのであれば、相続人全員が「賃貸借契約終了の申入書」の通知人になります。
4-5 NTTの解約(優先度★★)
NTTの固定電話を解約する場合は、相続人の代表者が「116」に電話を入れて解約したい旨を伝えると、後日、「加入権等承継・解消届出書」が郵送されてきます。
この書類に、戸籍謄本と戸籍抄本を添付し、返送をすると解約手続きが完了します。
なお、NTTの固定電話には、電話加入権がついているものがあります。電話加入権は、相続の対象になりますが、解約手続きをすると、権利は消滅してしまいます。
電話加入権を相続する場合は、休止手続きをしたうえで、相続人が「加入権等承継・解消届出書」に戸籍謄本、戸籍抄本を添付し、さらに遺言書などの相続関係が分かる書類を併せて提出する必要があります。
4-6 NHKの解約(優先度★★)
契約者が死亡したことにより空き家になる場合は、NHKの受信契約の解約を行います。フリーダイヤル(0120-15-1515)に電話をして、「契約者が死亡した」ことと「解約をしたい」旨を伝えることで、受信契約の解約が完了します。
4-7 携帯電話、インターネット(回線・プロバイダ)の解約(優先度★★)
携帯電話の解約は、電話会社の販売ショップに次の書類や機器を持参して行います。
- 葬儀の案内状や死亡診断書など死亡の事実が確認できる書類
- 対象携帯電話に装着されたICカード(SIMカード)
- 手続きをする人の本人確認書類
インターネット(回線・プロバイダ)の解約は、携帯電話系の会社が運営している場合は、上述の携帯電話の解約と同じ方法で行えます。
その他のインターネット(回線・プロバイダ)の解約は、運営会社に電話またはメールで直接確認をします。その際に、契約書を用意しておけば、スムーズに用件が進みます。
4-8 クレジットカードの解約(優先度★★)
クレジット会社への連絡先は、カードの裏側に記載されています。故人の近親者であれば、契約者が死亡したことを電話で伝えれば、解約することができます。
この場合、契約者の住所、氏名、生年月日、銀行口座、死亡日、カード番号などの事項を尋ねられますので、あらかじめ準備をしておきましょう。
生前に利用したクレジットカードの代金が未払いのまま銀行口座が凍結された場合、相続人の元に手続きの依頼書が届きますので、この書類に従って、代金を支払うことになります。
4-9 レンタル用品の解約(優先度★★)
故人が利用していたレンタル用品の中で、特に注意が必要なのが、介護用品です。これらは、多くの場合、介護保険を利用しています。
介護保険を使っての介護用品のレンタルは、ケアマネージャーを通じて行っています。ですから、レンタル品の返却に際しては、まずケアマネージャーに相談したうえで、返却手続きを進めることになります。
4-10 生命保険の請求手続き(優先度★★)
生命保険の保険金請求手続きは、受取人本人が、保険会社または代理店に連絡します。後日、「死亡保険金請求書」と「事故状況報告書(事故の場合のみ)」が送られてきますので、次の書類を添付のうえ、返送します。
- 死亡診断書(または死体検案書)のコピー
- 受取人の本人確認書類 のコピー(運転免許証など)
- 自動車安全センター発行の交通事故証明書(交通事故で警察へ届出がある場合のみ)
5. 優先度★の手続き
5-1 遺品整理(優先度★)
遺品の整理は、相続人全員立ち合いのもとで行うのが原則です。その中から、遺品と不用品に分類をします。不用品については、多くの場合膨大な量になるので、遺品整理業者に依頼するのが合理的です。
相続人全員の合意があれば、遺品と不用品の分類の段階から依頼することもできます。
5-2 火災保険の名義変更(優先度★)
火災保険の被保険者は、物件所有者であるのが原則です。このため、相続する所有者が決まったら、すみやかに名義変更(権利譲渡)を行う必要があります。手続きの方法は、掛捨型か積立型かによって異なります。
- 掛捨型の場合: 掛捨型は、保険会社に連絡をして、契約者死亡によって物件所有者が変更する旨を伝えます。後日送られてくる、「火災保険契約内容変更届出書」に、必要事項を記入の上返送すれば、手続きが完了します。
- 積立型の場合: 積立型は、積み立てられたお金が、相続財産になるので、名義変更に際しては、すべての相続人の承諾が必要です。
まず、名義変更をするのか解約をするのかを遺産分割協議で決定します。そのうえで、誰が満期返戻金もしくは解約返戻金を相続するといった決定事項を、遺産分割協議書に明記します。
積立型の名義変更もしくは解約手続きには次の書類を保険会社に提出します。
- 保険証券
- 「火災保険契約内容変更届出書」あるいは「解約名義変更申請書」
- 遺産分割協議書
- 戸籍謄本(被相続人のもの)
- 戸籍謄本、実印、印鑑証明書(相続人全員のもの)
5-3 医療保険の請求手続き(優先度★)
医療保険の保険金は、治療から3年以内であれば請求できます。保険会社に連絡をすると、必要書類が送られてくるので、次の書類を揃えて返送します。
- 給付金請求書
- 入院・手術等診断書(保険会社の様式を使用)
- 事故状況報告書(事故の場合のみ)
5-4 弔慰金の請求手続き(優先度★)
慶弔金の支払いは、法律上の制度ではありませんが、多くの企業で福利厚生事業として実施されています。手続き方法は企業によって異なりますが、概ね次のような書類が必要になります。
- 死亡診断書(死体検案書)
- 遺族の順位を証明する書類
- 請求者名義の支払金口座振替依頼書
5-5 配当金の請求手続き(優先度★)
未受領の配当金を受け取るためには、相続手続きが必要になります。相続人の中で誰が受け取るのかを協議したうえで、次の書類を証券会社に提出します。
- 配当金領収証または配当金送金依頼書
- 遺産分割協議書または相続人の同意書
- 被相続人の戸籍謄本
- すべての相続人の戸籍謄本
5-6 百貨店の積立金解約手続き(優先度★)
故人が百貨店の積立会員になっていた場合、積立金が相続財産になるため、相続人全員による協議で、受取人を決める必要があります。そのうえで、次の書類を当該百貨店に提出します。
- 変更等届出書
- 会員証
- 故人の戸籍謄本
- 受取人本人確認書類(運転免許証など)
- 遺産分割協議書
- 受取人の印鑑登録証明書
なお、遺産分割協議書を作成していない場合は、すべての相続人の委任状と印鑑証明及び受取人の戸籍謄本が必要になります。
6. 相続手続きのまとめ
家族が亡くなると、実に多くの手続きが待ち受けていることがご理解いただけたのではないでしょうか。
それぞれの手続きには、戸籍謄本などの添付書類を求められているものが多くあります。
手続きごとに、そうした書類を入手していては、非常に効率が悪くなりますから、あらかじめどの書類が何通必要なのかを押さえておきましょう。
ただし戸籍謄本や印鑑証明書は、発行日から3カ月を有効期間と定めていることが多いので、ご注意ください。
どんなに手続きが困難に思えても、こつこつと進めていけば必ず完了します。けっして焦ることなく、計画的に手続きを行いましょう。最後にリストを掲載しますので是非ご活用ください。
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執筆者プロフィール
田中 良男
行政書士。地方公務員として建築主事や都市計画法関連業務などに従事した経験を有する。現在は、行政書士事務所の代表として各種行政手続をサポートしている。またライター・作家として活動をしており、文芸誌の編集委員を務めている。特定行政書士、終活カウンセラー。
オフィシャルサイト: ことの葉行政書士事務所