相続税の申告書の提出方法完全ガイド|これで【追徴課税】を回避しよう!

更新日:2024.06.21

相続税の申告書の提出方法完全ガイド|これで【追徴課税】を回避しよう!

身近な方が亡くなり、相続や遺贈によって遺産を取得した方には相続税がかかることになります。
そして、相続人もしくは受遺者(遺贈によって遺産を得た者)は、相続税の申告・納付を行わなくてはいけません。
それでは、その相続税の申告書はどこに、どのような方法で提出するのでしょうか。期限はいつまでと決まっているのでしょうか。
本記事では、相続税の申告書の提出方法や提出先、提出の期限について解説させていただきます。

1. 相続税の申告書の提出先

相続や遺贈によって、被相続人から遺産を取得した人は相続税の計算を行い、申告・納付を行わなくてはいけません。

その申告書はいったいどこに提出すれば良いのでしょうか。

1-1 基本的には被相続人の死亡時における住所地の管轄税務署

相続税の申告についての相談はどこの税務署でも可能でした。それでは、相続税の申告書もどこの税務署に提出しても良いのでしょうか。

答えは「No」です。相続税の申告書については提出先が「相続税基本通達23-7」で決められています。

内容を簡潔にまとめると、被相続人が死亡した時点で、その住所が日本国内にある場合は、被相続人が死亡時の住所を管轄する税務署へ提出する」ということが書かれています。

注意していただきたい点は、相続人の住所ではなく、お亡くなりになられた「被相続人の住所」であることです。

間違えて、ご自身の住所を管轄する税務署へ提出しないようにしましょう。

1-2 被相続人が海外で死亡した場合は各相続人の住所地の管轄税務署

上記では、被相続人が亡くなられたのが国内であるケースでした。

それでは、被相続人が国内ではなく、海外に住所を持っていた場合の相続税の申告書の提出先はどこになるのでしょうか。

これには、以下の2つのパターンがあります。

①相続人が日本国内に住んでいる場合:財産を取得した相続人の住所地を管轄する税務署

②相続人が海外に住んでいる場合:納税地を定める必要がある

相続人が国内に居住している場合は、「相続人の住所」を管轄する税務署へ申告書を提出しましょう。

②の場合、海外に住所を有する相続人から申告がなければ、国税庁長官が納税地を指定して、通知することになっています。

1-3 海外在住者が申告する場合は、納税管理人が提出する

上記において、相続人が海外に住んでいる場合の相続税の申告書を提出する税務署がどこになるのかを説明しました。

それでは、海外在住の相続人は自ら相続税の申告書を提出しに、日本に来なくてはいけないのでしょうか。

この場合、「納税管理人」と呼ばれる人が相続税の申告書の提出を行うことになっています。

「納税管理人」とは、海外に居住する納税者に代わって申告書の提出をしたり、税務署からの連絡を受けたりする役割を担います。

納税管理人は、家族や知人に頼むことができますが、実務の上で制限があります。税理士に依頼した場合は実務での制限はありません。

例えば、申請書の作成なども代理で行うことができます。

2. 相続税の申告書提出方法

ここまでは、相続税の申告書の提出先について、被相続人が国内、海外に居住していた場合の提出場所について解説させていただきました。

ここでは、相続税の申告書の提出方法を解説させていただきます。

相続税の申告書の提出方法は、直接持参する方法と郵送する方法の2種類があります。

2-1 税務署に直接持参する

相続税の申告書を税務署へ直接持って行く方法は、一番確実な方法と言っても良いでしょう。ほとんどの税務署の場合、申告書の申請窓口が設置されており、そこに申請書の正本と控えを提出します。

その際に、控えに受領印を押してもらえます。受領印には日付が記されていますので、これが申告書の提出日となり、申告期限前に提出したことが一目で分かります。

ですが、税務署によっては相続税の申告書の受領に慣れていないこともあり、受領印を押し忘れるという事態も生じているようです。

直接持参する場合には、控えへの受領印押し忘れの事態に注意しましょう。

2-2 管轄の税務署に郵送する

相続人が遠方に住んでおり、相続税の申告書を税務署へ直接持参するのが難しいこともあります。そのような場合には、税務署へ郵送する方法があります。

遠方で管轄の税務署へ直接持参することができない場合や、税務署が開いている平日の日中に出向くことができないという方は、郵送による提出を行うことで、手間や負担をなくすことができます。

ここで注意しておいて欲しいことが以下の2点です。

①郵便または信書便で送付すること(宅急便サービスやゆうパック、ゆうメールは不可)

②窓口で受付た日が提出日になる

②については、特に注意が必要です。郵送する場合には、必ず窓口で発送するようにして下さい。
郵便ポストへ投函した場合、集配状況によっては受付が翌日となり、最悪の場合には申告期限を過ぎてしまうこともあり得るからです。

3. 相続税の申告書の提出期限

相続税の申告書には提出期限があります。提出期限を過ぎてしまうと延滞税が課されることになるので、注意が必要です。

ここでは、相続税の申告書の提出期限と、提出期限を超過してしまった場合の対処法を解説させていただきます。

3-1 相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月目の日

相続税の申告書の提出期限は、「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」となっています。一般的に相続の開始を知った日とは、「被相続人が亡くなった日」を指し示すものと考えられます。

ですので、相続税の申告の期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に、税務署に直接持参するか郵送で提出しなくてはいけないと考えられます。

ですが、「相続の開始を知った日」とされているのは、例えば、被相続人の死亡を、遠方にいたために知らなかった場合や、被相続人が失踪宣告を受けて死亡したとみなされた場合などは、相続の開始を知った日が亡くなった日とは異なるケースが想定されるからです。

また、相続開始後に認知に関する裁判で相続人となった際は、裁判の確定があった日が相続の開始があったことを知った日となります。

3-2 申告期限を過ぎた場合は「期限後申告書」を提出する必要がある

相続税の申告期限を過ぎてしまう場合には、どのようなものがあるでしょうか。

例えば、遺産分割協議が長引いてしまい、期限に間に合わないというケースがあります。

また、相続税控除の特例を適用して相続税がかからなかったため、申告義務があることを忘れてしまっていたケースもこれに該当します。

このように相続税の申告期限を超えてしまった場合、どうすれば良いのでしょうか。

相続税の申告期限を過ぎた場合は、速やかに期限後申告を行うようにしましょう。

期限後申告にはペナルティとして加算税が課されます。

税務署からの指摘を受けて期限後申告を行った場合には、税額の15%が無申告加算税として課され、更に延滞税が課されます。

これに対し、自ら期限後申告を行った場合は、無申告加算税は5%となり、延滞税は免除されます。

以上のことから、もし相続税の申告期限を過ぎてしまった場合には、速やかに期限後申告書を提出することをおすすめします。

4. 相続税の申告書の提出が遅れた場合のペナルティ

相続税の申告書の提出が遅れてしまった場合、どの様なペナルティが課せられるのでしょうか。

相続税の申告その提出が遅れた場合、追徴課税が課されたり、控除の特例が使用できなくなります。

ここでは、追徴課税の種類や使用できなくなる特例について解説します。

4-1 追徴課税される

相続税の申告書の提出が遅れてしまった場合、以下の追徴課税が課されます。

延滞税

相続税の申告・納付が期限内に行われなかった場合に課せられる発生します。

実際に支払う金額は、追加納付税に加え追徴課税、延滞税を合算した金額となります。税率は以下のとおりです。

・納付期限の翌日から2ヶ月以内:「年7.3%」と「前年の11月30日の公定歩合+4%」のいずれか低い方

・納付期限から2ヶ月を超過した場合:年14.6%

過少申告加算税

申告期限内に提出された申告書の金額が不足していた際に課される追徴課税です。早めに修正を申告を行うことで、加算されないことがあります。

・期限内に申告書を提出し、税額が過少であった場合で自主的に修正申告を行う:なし

・上記と同様で、自主申告ではなく、税務署に指摘されて修正申告を行う:10%

・税額が期限内申告税額と50万円のいずれか大きい金額を超えるときの超える部分:15%

無申告加算税

正当な理由なく、申告期限内に申告しなかった場合に課されます。

・法定申告期限内に申告せず、自主的に期限後申告する場合:5%

・法定申告期限内に申告せず、税務署の指摘を受けて期限後申告する場合:納税額のうち50万円まで ➡ 15%、納税額うち50万円を超える部分 ➡ 20%

重加算税

課税対象の財産を悪意を持って隠すなどした場合には、重加算税が課されます。

・申告書を提出した際に、財産を隠蔽または事実を仮装していた場合:35%

・申告書を提出せずに、財産を隠蔽または事実を仮装していた場合:40%

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>コラム:相続税の税務調査とは?相続税の税務調査や時期を詳しく解説

4-2 特例が使えなくなる

相続税の申告書を期限内に提出しなかった場合には、追徴課税の他にもペナルティが存在します。

それは、相続税が減額される特例措置が利用できなくります。特に注意を要するのは、「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の評価減の特例」です。

というのも、この両特例措置には「遺産分割協議書の写しを添付すること」が条件となっているからです。

配偶者の税額軽減の特例は1億6000万円または法定相続分相当額のいずれか多い方を減額されますし、小規模宅地等の評価減の特例は、評価額が最大で80%減額されます。いずれも大きな節税効果が見込まれます。

ですが、相続税の申告期限内に遺産分割協議書が完了していないと、この特例が使えないことになり、多額の相続税を支払うことになってしまいます。

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5. 相続税の申告書の入手方法

相続税の申告を行おうと思った際、申告書はどの様にして入手すれば良いのでしょうか。

相続税申告書の入手方法は以下の2通りあります。

①国税庁のホームページからPDFをダウンロードする。

②税務署に出向いて、紙の申告書を入手する。

お手元に、まだ申請書がない場合は、国税庁のホームページからPDFをダウンロードする方法をおすすめします。

税務署に申請書だけを取りに行くのは手間がかかるからです。もし、税務署に申告書を取りに行く場合は、どこの税務署でも可能です。

国税庁のホームページからPDFをダウンロードする際には、被相続人が亡くなった年の申告書であるかを確認してください。

亡くなった年の申告書が公開されていない場合は、公開されるまで待つことをおすすめします。

詳細は「相続税の申告書の入手方法は?」の記事をご確認ください。

6. 相続税の申告書の提出時に必要な添付書類

次に相続税の申告書の提出に添付する書類を紹介していきます。相続人全員が必要な書類は以下のとおりとなります。

・相続人全員のマイナンバー

・被相続人の除籍・改製原戸籍

・被相続人の住民票除票

・相続人全員の戸籍謄本

・相続人全員の戸籍の附票

・相続人全員の印鑑証明書

・遺産分割協議書

・被相続人の略歴

これらの書類は、被相続人と相続人の関係を証明する大事な書類です。必ず役所で取得してください。

戸籍謄本については、「本籍地のもの」が必要になりますので、ご注意ください。

また、印鑑証明書は被相続人の残高明細書や取引明細書を取得する際にも必要となります。

ただし、この場合には金融機関が定める期限がありますので、あらかじめ調べてから取得するようにしましょう。

身分関係を証明する書類は、税務署への提出用と登記に使用するものの2通を用意しておくことをおすすめします。

詳細は、「相続税の申告に必要な添付書類のチェックリスト」を参考にしてください。

【関連記事】相続税申告の必要書類についてより詳しく知りたい方はこちら

>コラム相続税申告の必要書類・添付書類は?各書類の入手先もあわせて解説

7. 相続税の申告書の準備は自分でできる?

それでは、相続税の申告書の準備は自分でできるものなのでしょうか?その答えとしては、「できるけれども、大変な手間と時間がかかる」と言えます。

上記で見ていただいたとおり、申請書の入手から記入、添付書類の用意、そして提出までを考えると相当の時間がかかることは容易に想像がつくと思います。

それに加えて、相続人が複数人いる場合は、相続人らとの連絡や調整などもすべて行わなければなりません。

また、分からない事柄があった際には、国税局や税務署に相談するなどの手間も出てくるでしょう。

そうこうしているうちに、相続税の申告期限である10ヶ月を超えてしまった場合には、追徴課税や特例が使えなくなるなどのペナルティもあります。

以上のことを考えると、ご自身で相続税の申告書を作成するのは、絶対に無理とは言いませんが、かなりハードルは高いものであると言えるでしょう。

8. 相続税の申告書の提出前には税理士に相談すると安心

相続税の申告書の作成には膨大な時間と手間がかかる可能性があります。そこで、相続に強い税理士に、事前に相談するのも方法の一つです。

専門的な知識がある税理士に任せることで、ご自身の負担を大きく減らすことが可能です。

また、ご自身で作成した申告書で、分からないことや心配なことがあれば税理士にご相談ください。

足りない箇所や添付書類の不備を指摘してもらえ、追徴課税の支払いを事前に回避することも可能です。

相続税の申告書の作成で悩んでいることがあれば、是非ともお気軽に、お近くの税理士にご相談ください。

 

この記事の監修者:安井 貴生

税理士。大阪市内の税理士法人に所属して活動しており、法人税決算から税務申告・税務調査立会、経営相談まで幅広く業務を行っている。最近は、時代の流れもあり相続や事業承継案件、M&Aなどの取扱いが増加している。土地や非上場株式などの財産評価を得意とするが、節税ありきではなく相続人全員が納得する相続業務を何よりも重視している。

この記事の執筆者:つぐなび編集部

この記事は、株式会社船井総合研究所が運営する「つぐなび」編集部が執筆をしています。
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