遺族年金は何歳まで、いくらもらえるのか?遺族年金の種類や受給資格も解説

更新日:2024.01.30

遺族年金は何歳まで、いくらもらえるのか?遺族年金の種類や受給資格も解説

家族を亡くした時のことはなるべく考えたくないものですが、万が一のために備えることは大切です。

そのなかでも、遺族年金はいざという時に家族の支えとなってくれます。

遺族年金の受給額がいくらになるのか知っておくことで、将来の生活設計を立てる際に役立てることもできます。

今回は、遺族年金の種類や受給資格、受給額、もらえる年齢など詳しくご紹介していきます。

遺族年金がいくらもらえるのか、いくつになればもらえるのかなどが気になっている方は、ぜひご参考ください。

1. 遺族年金の種類

亡くなった方の対象遺族年金

遺族年金には種類が2つあり、家族がどの公的年金制度に加入しているかによって内容も変わってきます。

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方は、全員が国民年金に加入すると義務付けられています。

そのため、被保険者は職業によって分けられています。

第1号被保険者が自営業や農業者、無職の人など、またその家族も入ります。

第2号被保険者は会社員や公務員、第3号被保険者は第2号被保険者に扶養されている配偶者が該当します。

65歳以降に老齢基礎年金を受給できるのは、第1号被保険者と第3号被保険者の方、65歳以降に老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つを受給できるのは第2号被保険者となります。

このうえで、以下の項目では、遺族年金の種類について詳しくご説明します。

1-1 遺族基礎年金

遺族基礎年金とは、国民年金の制度でほとんど人が加入しているといえます。

しかし、死亡した人が加入していたからと言って、家族であれば誰でも受け取れるというわけではありません。

遺族基礎年金を受け取れるのは、「要件を満たしている子を持つ配偶者」もしくは「子ども」と決まっています。

国民年金に加入していた人が亡くなった場合に被保険者から生計を立ててもらっていた、18歳を迎える年度の3月31日までの子どもや1~2級の障害を持っている20歳未満の子どもを持つ配偶者、またはその子どもが受給できる年金です。

1-2 遺族厚生年金

遺族厚生年金は、会社員や公務員の人が遺族厚生年金に加入していると、被保険者が亡くなった時に遺族が受け取れる年金です。

遺族基礎年金とは違って、配偶者や子以外にも受け取れます

受給対象者には優先順位が決まっていて、順位が高い人が受給することになります。

被保険者が生計を維持していたということを前提として、下記のような順となっています。

1位…妻もしくは55歳以上の夫

2位…18歳未満の子ども(1~2級の障害を持っている子は20歳未満)

3位…55歳以上の父母

4位…18歳未満の孫

5位…55歳以上の祖父母

2. 18歳未満の子どもがいる遺族は支給される

遺族基礎年金も遺族厚生年金も、18歳未満の子どもがいる遺族が受け取れるという点が特徴です。

次にそれぞれの受給資格についてご紹介します。

2-1 遺族基礎年金の受給資格

遺族基礎年金を受け取るためには、死亡した人が要件を満たしていることと遺族も要件を満たしていなければいけません

死亡した人の要件としては、「(1)国民年金に加入している」「(2)国民年金に加入していた人で、日本国内に住所がある60歳以上65歳未満の人」「(3)老齢基礎年金の受給権者は受給資格期間が25年以上である」を満たす必要があります。

また、(1)と(2)に該当する人は「死亡した日の2ヶ月前までの加入していた期間で、保険料納付期間と保険料免除期間が合計3分の2以上」、「死亡した日の2ヶ月前までの1年間で保険料を延滞していない」といった条件も満たす必要があります。

遺族基礎年金を受け取れる遺族の要件は、死亡した人に生計を維持されていた「子どもがいる配偶者」もしくは「子ども自身」です。

生計を維持されていたかどうかは、「遺族の前年収入が850万円未満」もしくは「所得が655万5,000円未満」から判断されることになります。

2-2 遺族厚生年金の受給資格

遺族厚生年金の対象者と受給資格

遺族厚生年金を受け取れるのは、以下の要件を満たした人です。

・厚生年金に加入していた人が死亡した時、または加入中の傷病がもとで初診日から5年以内に死亡した

・老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上の人が死亡した

・1~2級の障害厚生(共済)年金を受け取れる人が死亡した

遺族の要件としては、生計を維持されていた妻や子、孫、55歳以上の夫、父母、祖父母になります。

子どもや孫の年齢は遺族基礎年金の子どもの要件と同じですが、夫や父母、祖父母が遺族厚生年金を受け取れるのは60歳以降と決まっています。

3. 支給額は遺族年金の種類によって異なる

受け取れる金額は、遺族年金の種類によっても変わってきます

続いては、遺族基礎年金や遺族厚生年金の支給額についてご紹介します。

遺族厚生年金については「平均標準報酬月額」が計算をする際に必要になるため、併せて解説していきましょう。

3-1 遺族基礎年金の支給額

遺族基礎年金には、老齢基礎年金と同額の本体部分と言われる795,000円と、加算部分と言われる子どもを扶養するための部分で構成されています。

子どもの加算部分は、第1・2子が228,700円、第3子以降は76,200円です。

3-2 遺族厚生年金の支給額

遺族厚生年金で受け取れる金額は報酬比例になっています。

死亡した人が支払っていた保険料が多ければ多いほど、遺族厚生年金の支給額も増えるという仕組みになっています。

受け取れる金額は、死亡した人が生きていれば受け取るはずだった老年厚生年金額の3/4となっています。

具体的な計算式は以下の通りです。

(1)平均標準報酬月額×(7.125/1000)×平成15年3月までの被保険者期間の月数

(2)平均標準報酬月額×(5.481/1000)×平成15年4月以降の被保険者期間の月数

(3)(1)+(2)×3/4=遺族厚生年金の受給額

上記の計算式で使われる平均標準報酬月額とは、被保険者の期間において標準報酬月額の合計を、被保険者でいた期間の月数で割った数字を指しています。

簡単に言うと、被保険者であった期間の報酬の平均月額です。

4. 夫を亡くした場合に適用される寡婦加算とは

遺族年金の中には、夫が死亡した妻に対して適用される「寡婦加算」という制度があります。

寡婦加算制度の特徴としては、妻に対しては適用されますが、妻が死亡した夫には適応外という点があります。

寡婦加算にはいくつか種類が分かれているので、1つずつご紹介していきましょう。

4-1 寡婦年金

寡婦年金は、第1号被保険者の夫が死亡した際に要件に当てはまる妻が受け取れる年金です。

受け取れるのはあくまで妻のみであり、夫は対象に含まれません。

寡婦年金を受け取るには、被保険者だった夫が以下の要件を満たしている必要があります。

・第1号被保険者だった亡くなった夫の保険料免除期間+保険料納付期間が25年以上

・障害年金や老齢年金を受け取っていない

また、受け取る側の妻も以下の要件を満たさないと受給できないので注意が必要です。

・婚姻期間が10年以上

・死亡した夫から生計を維持されていた

・夫が死亡した時に65歳未満である

・繰り上げ支給の老齢基礎年金を受け取っていない

寡婦年金が支給される期間は、妻が60歳~65歳までの期間です。

年金の金額は、夫が受け取るはずだった老齢基礎年金額の3/4としています。

4-2 中高齢寡婦加算

中高齢寡婦加算とは、厚生年金に加入していた夫が死亡した時に妻が40歳以上65歳未満である場合に遺族厚生年金にプラスして支給される制度です。

この制度は、遺族基礎年金は子どもがいない妻は受け取れないため、遺族基礎年金の対象から外れる妻を救済するために設けられました。

具体的な加算額は585,700円で、妻のみが対象で夫は対象外となります。

4-3 経過的寡婦加算

経過的寡婦加算は、遺族厚生年金の加算給付の1つです。

老齢基礎年金の金額が遺族厚生年金(寡婦加算含む)の金額に満たされない場合、65歳になった後の年金額を下げないために設けられた制度です。

昭和31年4月1日以前に生まれた妻は対象となります。

この制度が作られた理由は、任意加入であった時代に保険料を支払っていなかった妻の受け取る年金が低く、生活が困窮することを防ぐという目的があります。

5. こんな時は遺族年金をもらえるの?

遺族年金を受け取れるパターンに合わせて、1つずつ説明していきます。

5-1 会社員が死亡した場合

会社員が死亡した場合、第2号被保険者に分類されるため、遺族は遺族厚生年金を受け取れます。

妻に18歳未満の子どもがいれば、加えて遺族基礎年金も支給されます。

5-2 自営業者が死亡した場合

自営業者の場合は国民年金第1号被保険者になります。

死亡した人が被保険者であれば、遺族は遺族基礎年金を受け取ることも可能です。

配偶者と18歳未満の子どもが支給の対象となり、妻が60歳になると寡婦年金が支給されます。

しかし、再婚をした場合は受け取れないので注意してください。

また、夫が国民年金に加入していなかった場合、遺族年金を受け取れません。

5-3 離婚した夫が亡くなった場合

遺族年金受給の要件として「生計を共にする配偶者」とあるので、離婚している夫が死亡した場合は遺族年金を受け取れません。

ただし、要件を満たしていて生計維持関係がある子どもであれば受け取れます。

子どもが母親側と生計を共にしている場合、遺族年金は受け取れなくなってしまうので注意してください。

6. 遺族年金と老齢年金の同時受給はできない

公的年金には、1人に対して1年金という決まりがあります。

そのため、複数の年金の受給資格に当てはまった場合は1つに選ばなければいけません。

遺族年金と老齢年金は同時に受給できないため、より多く受け取れる方を選んだ方が良いでしょう。

7. まとめ

今回は、遺族年金の種類や受給資格などについて詳しく解説していきました。

遺族年金は、国民年金や厚生年金に加入している人が死亡した時に遺族に対して支払われる年金です。

万が一のためにも遺族年金をいくらもらえるのか大まかにでも把握しておき、あらかじめ備えておくことが大切です。

受給資格などは細かく決まっているため、自身が該当するかどうかも併せて確認しておくと良いでしょう。

また、寡婦加算や遺族年金を受け取れるパターンについても今回の記事を参考に把握しておき、シミュレーションしておくと安心です。

遺族基礎年金ガイド|遺族基礎年金とは?条件・手続き・注意点を簡単解説

遺族厚生年金ガイド|遺族厚生年金とは?条件・対象者・手続きを簡単解解説

この記事の監修者

工藤 崇(くどう たかし)

独立型ファイナンシャルプランナー。

WEBを中心にFP関連の執筆・監修多数。セミナー講師・個別相談のほか、「相続の第一歩に取り組む」ためのサービスを自社で開発・提供。

東京・北海道を拠点として事業展開。

株式会社FP-MYS代表。

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