×

土地の贈与税、税額の計算法と節税のポイント–土地贈与でも贈与税0円の場合とは

更新日:2021.01.29

土地の贈与税、税額の計算法と節税のポイント–土地贈与でも贈与税0円の場合とは

贈与税は、他の者から財産をもらったときにそのもらった人に対してかかる税金で、土地を贈与した場合にも受け取った側に贈与税がかかります。ここでは、贈与税の2種類ある課税制度の内容を解説しつつ、土地を贈与して贈与税がかからないケースについても税理士が解説します。

土地を贈与した場合は「贈与税」が掛かる

土地を贈与した場合、贈与を受けた側には贈与税が課されます。贈与税の課税方法には「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」という2つの方法があります。どちらの課税方法により贈与するかで贈与税の計算方法や税額が大きく異なります。これら2つの課税方法の制度内容をよく理解した上で贈与をすることが大切となります。

暦年課税制度と相続時精算課税制度の違いは

暦年課税制度

暦年課税制度とは、その年の1月1日から12月31日までの間に贈与を受けた財産の金額をもとに贈与税を計算する方法です。贈与税には「基礎控除額」という贈与税がかからない範囲があり、年間110万円以内の贈与であれば贈与税はかかりません。これを基礎控除と言い、110万円を超えた場合にその超えた部分の金額に対して贈与税が課される制度が暦年課税制度です。110万円までは贈与税がかからないため、長年かけてコツコツ贈与することで確実に将来の相続税を軽減できるメリットがあります。

相続時精算課税制度

60歳以上の父母又は祖父母から財産をもらった20歳以上の子又は孫であれば、「暦年贈与課税」の他、「相続時精算課税」を選択することができます。この制度を選択するとその年の1月1日から12月31日までの間にもらった財産のうち2,500万円まで贈与税はかかりません。2,500万円を超えた場合にはその超えた金額に一律20%の税金がかかります。相続時精算課税制度を選択するためには注意すべき点がありますが、一度に多額の財産を贈与したい場合や将来値上がりが期待される財産を贈与する場合にはメリットがあります。

土地を贈与しても贈与税が掛からないケース

年間贈与の財産評価が110万以下

前述の通り、贈与税には基礎控除というものがあり、贈与した財産の金額が110万円以下であれば贈与税はかかりません。したがって贈与する土地の評価額が110万円以下であれば贈与税はかからないこととなります。贈与税をゼロにしたいということであれば一度に土地の全てを贈与するのではなく、110万円以下となる持分だけ贈与する方法が考えられます。

贈与者が贈与を受けた年に亡くなった

土地を贈与した人が贈与をした年に亡くなった場合には贈与税はかからず、相続税が課されます。

住宅取得資金贈与の非課税の適用を受けた

土地そのものの贈与ではありませんが、土地建物を取得するための資金を贈与すれば非課税となる場合があります。その年の1月1日において20歳以上である人が、令和3年12月31日までの間に父母や祖父母から、住宅の新築等のための資金として現金の贈与を受け、翌年の3月15日までに実際に住宅を新築して居住をした場合には贈与税の非課税枠が用意されています。

住宅取得の時期や住宅の性能などに応じて300万円から1,500万円までに分かれており、基礎控除とは別枠でこの住宅取得資金贈与の非課税枠が非課税となります。ただし、その贈与を受ける人の合計所得金額が2,000万円以下であることや住宅床面積などの要件、また贈与の時期によって非課税枠の金額も異なるため、要件等の詳細は国税庁サイト内ページ「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」を参照ください。

土地の贈与税の計算方法は

それでは土地を贈与した場合、税額はどのように計算されるのか見てみましょう。

暦年課税制度の場合

暦年課税制度の場合、贈与税は次の計算式によって計算されます。

(1年間に贈与を受けた財産の総額-基礎控除110万円)×税率

さらに、平成27年以降の贈与税については以下の通り、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区別されました。贈与税の計算式そのものはどちらも同じですが、財産額に応じた税率に違いがあります。

  • ①一般贈与財産の税率

一般贈与とは、特例贈与以外の贈与をいいます。他人間での贈与、兄弟間、夫婦間などの贈与の場合をいいます。贈与税の計算において使われる税率は以下の通りとなります。

基礎控除後の課税価格 200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1000万円以下 1500万円以下 3000万円以下 3000万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円
  • ②特例贈与財産の税率

特例贈与とは祖父母や父母からその年の1月1日現在で20歳以上である子や孫への贈与をいいます。財産の世代移転を促しその財産を使ってもらうことを狙って、一般贈与より有利な税率が設定されています。

基礎控除後の課税価格 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1000万円以下 1500万円以下 3000万円以下 4500万円以下 4500万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

相続時精算課税制度の場合

相続時精算課税制度の場合、贈与税は次の計算式によって計算されます。

(1年間に贈与を受けた財産の総額-2,500万円)×20%

この制度の特徴はその名の通り、贈与した財産を贈与時の評価額により、相続財産として相続税の計算に加算した上で贈与税を精算しましょうという制度です。つまりこの制度により支払った税額はあくまで仮の金額であり、相続税の申告でようやく税額が確定することとなります。

相続時に相続財産に加算する金額は贈与時の評価額となっているので、将来値上がりが期待される財産については早い段階で贈与しておくことによってその評価額を縛ることができ、相続税の節税が可能となる場合があります。

土地の贈与税を節税するためのポイント

多額の土地を贈与するならどちらが得?

暦年課税制度であれば、年間110万円以内であれば確かに贈与税はかかりません。しかし贈与をする財産が土地の場合、評価額が110万円以下の土地はそうそうありません。贈与税のことだけを考えるのであれば2,500万円まで贈与税がかからない相続時精算課税制度の利用も考えたいところです。一度に多額の土地を贈与するのであれば、控除額の多い相続時精算課税制度がおすすめです。

夫婦間贈与の場合の節税ポイントは?

20年以上の婚姻関係にある夫婦間の贈与であれば、贈与税の配偶者控除の適用が可能です。例えば夫が配偶者である妻に不動産を贈与した場合、又はこれから新しく居住用不動産を購入する際の資金として現金を贈与した場合には、基礎控除とは別枠で2,000万円の非課税枠があります。したがって基礎控除と合わせて合計2,110万円以内であれば贈与税がかかりません。将来の配偶者の住居を生前に確保しておくためにマイホームの持分を贈与する場合などが該当します。

土地の贈与税には申告期限があるので注意!

これまで土地を贈与した場合の贈与税について見てきましたが、贈与した内容や税額については税務署へ申告する必要があります。また申告には期限が設けられており、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに申告する必要があります。なお暦年課税制度による贈与の場合、贈与を受けた財産の価額が110万円以下であれば贈与税はゼロのため申告は不要です。

しかし、贈与税額がゼロであっても贈与税の申告が必要な場合があります。贈与税には多くの非課税特例が用意されており、110万円を超えても贈与税が非課税となる場合があります。このようなケースでは、贈与税がゼロであってもその特例を使ったことを税務署へ知らせる必要があります。先にご紹介したように、下記制度を適用した場合には期限内に贈与税の申告をする必要があります。

  • 「相続時精算課税制度」の適用を受ける場合
  • 「配偶者控除の特例」の適用を受ける場合
  • 「住宅取得等資金の非課税」の適用を受ける場合

これらの制度を適用した場合も、必ず期限内に贈与税の申告を行うようにしましょう。

執筆者プロフィール
安井貴生
税理士。税理士法人に所属して活動しており、法人税決算から税務申告・税務調査立会、経営相談まで幅広く業務を行っている。最近は、相続や事業承継案件、M&Aなどの取扱いが増加中。土地や非上場株式などの財産評価を得意とするが、節税ありきではなく相続人全員が納得する相続業務を何よりも重視している。

「つぐなび」の運営は、1970年創業の株式会社船井総研ホールディングス(東証1部上場、証券コード:9757)の経営コンサルティング事業を担う株式会社船井総合研究所が行っています。…もっと見る

船井総合研究所は、相続分野において700事務所にものぼる全国の弁護士・税理士・司法書士といった士業事務所のコンサルティングを行っており、その長年のノウハウをもとに「つぐなび」を2020年に開設いたしました。
現在、全国的に高齢人口の急速な増加を続けており、総人口は減少していく一方で、高齢者人口は2040年まで増え続けると予測されています。それに伴い、相続財産をめぐるトラブルも増加、複雑化していることが喫緊の課題となっており、さらに、問題を未然に防ぐための遺言や民事信託などの生前対策のニーズも年々高まっています。 「つぐなび」では、相続でお困りの皆様が、相続の”プロ”である専門家と一緒に相続の課題解決をしていけるようサポートいたします。

・本記事は一般的な情報のみを掲載するものであり、法務助言・税務助言を目的とするものではなく、個別具体的な案件については弁護士、税理士、司法書士等の専門家にご相談し、助言を求めていただく必要がございます。
・本記事は、本記事執筆時点における法令(別段の言及がある場合を除き日本国におけるものをいいます)を前提として記載するものあり、本記事執筆後の改正等を反映するものではありません。
・本記事を含むコンテンツ(情報、資料、画像、レイアウト、デザイン等)の著作権は、本サイトの運営者、監修者又は執筆者に帰属します。法令で認められた場合を除き、本サイトの運営者に無断で複製、転用、販売、放送、公衆送信、翻訳、貸与等の二次利用はできません。
・本記事の正確性・妥当性等については注意を払っておりますが、その保証をするものではなく、本記事の情報の利用によって利用者等に何等かの損害が発生したとしても、かかる損害について一切の責任を負うことはできません。
・本サイトの運営者は、本記事の執筆者、監修者のご紹介、斡旋等は行いません。
…閉じる