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遺言執行者の役割・必要性とは–生前の想いを確実に遺産分割に反映してもらうために

更新日:2020.12.04

遺言執行者の役割・必要性とは–生前の想いを確実に遺産分割に反映してもらうために

遺言執行者とは、故人の財産管理をし、遺言書にある故人の生前の意志を実現する人のことを言います。遺言書で遺産分割の方法をきちんと伝えても、死後になって起こる「遺産の名義変更手続きが分からない」「遺言の内容に不満を持つ人が現れた」などのトラブルは防ぎきれません。そこで設けられているのが、あらかじめ信頼できる人を遺言執行者として指定する制度です。本記事では、遺言執行者を指定するメリットや指定方法について解説します。

遺言執行者とはなにか

遺言執行者(一般には”遺言執行人”とも)とは、亡くなった人の財産を管理しつつ、相続人名義に変える手続きや資産売却を通じて「遺言書に記載された生前の意志」を実現する職です。その仕事ぶりは相続関係者全員の利益に影響するため、役割や責任は民法の第5編である「相続法」で定められています。

ここでのポイントとして、遺言執行者は必ずしも指定すべきとはされていません。相続に関わる人が必要性を感じた時に、所定の手続きを踏むことで役目を担う人を取り決められます。

遺言執行者を指定しない場合は、相続人が協力しあって財産を管理し、遺産をもらい受ける手続きは各自(もしくはそれぞれの代理人)の責任で行います。つまり、相続人が自分たちの手で財産管理・処分ができそうであれば、遺言執行者を置く必要はないのです。

2018年の改正で変わったこと

2018年には相続法改正が行われ、遺言執行者に関しても「どんな権利があるのか」「どんな責任を負っているのか」が分かりやすくなるよう条文が見直されました。具体的な見直しのポイントとして、下記1~3が挙げられます。

  • 改正のポイント1: 遺言執行者の仕事の目的

改正民法第1012条には、遺言執行者の権利義務が「遺言の内容を実現するため」にあると追記されました。この追記部分は「遺言執行者の行った手続きが適正かどうか」を判断する時の基準になります。

  • 改正のポイント2: 遺言執行者の地位

遺言執行者の行為にどんな効果があるのか規定する民法第1015条では、遺言執行者を「相続人の代理人」とみなす規定が削除されました。削除後は「その権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる」との内容に書き換えられています。

遺言執行者の地位が「相続人の利益のためにある」と勘違いをなくし、あくまでも「亡くなった人の想いを実現する」ための立場だと分かるようにするのが見直しの目的です。

  • 改正のポイント3: 遺言執行者の権限

民法第1012条~第1014条と第1016条にはそれぞれ条文が追記・変更され、遺言執行者の権限が具体的に分かるようになりました。追記された権限の内容として、以下4点が挙げられます。

  • 相続人による職務妨害行為が無効になること
  • 自己の責任で職務を第三者に任せられること
  • 「遺贈」(遺言書による相続権のない人への贈与)を実現させる権限
  • 「法定相続分を超える遺産分割の指定」があった時に、登記や名義変更などの必要な行為をする権限

「遺言書の内容に相続人が不満を抱いている」「もともと相続人との関係が悪化している」等のケースでは、遺言執行者の仕事をスムーズにこなせません。上記はどれも法律解釈上は以前からあった権限ですが、あえて条文化されたことで、遺言執行者と相続人との間に起こるトラブルの防止や解決に役立てられるようになりました。

遺言執行者のメリットと必要性

生前の意志に沿った遺産分割を相続人だけで行えるのは、亡くなった人の考えを相続人全員が受け入れることができ、かつ必要な手続きを自分たちの判断で進められるケースだけです。大前提として、死後すぐ遺言書を発見できなくてはなりません。

遺言執行者を置く最大のメリットは、遺産の管理処分に関する一切の判断と手続きが不要になる点です。健康上の理由等で自力対応できない相続人がいる場合でも、信頼できる人の手で確実に遺産承継が実行されます。複雑な「遺産分割のため資産売却」や「預金の払戻しや相続登記のための書類収集」などの一切の手続きは、遺言執行者の仕事として扱われます。また、一部の相続人が遺言を無視して財産をもらい受ける行為も、相続法上の遺言執行者の権限で防止可能です。

さらに、遺言書が発見されないまま遺産分割が始まってしまう失敗も防げます。生前のうちに遺言執行者を決めて遺言書を預けておけば、死後速やかに相続人に存在を知らせてもらえるからです。

遺言執行者が特に必要なケース

特に遺言執行者が必要なケースとして「相続権のない人へ遺産を承継させたい事例」「利益保護に配慮する必要のある相続人がいる事例」が挙げられます。遺言の実現がスムーズに進まなかったり、高齢者や障害者に対する優先的な立場を利用した不正が行われたりする可能性があるためです。以下、特に遺言執行者が必要なケースの具体例を挙げます。

  • 相続権のない「内縁の配偶者」に財産を残したい
  • 相続人に未成年者が含まれている
  • 親類とは疎遠で、お世話になった福祉施設等に遺産を寄付したい
  • 相続人(子どもなど)に障害があり、独力で財産管理できそうにない
  • 高齢の相続人(配偶者など)のために、健康で信頼できる人に手続きを主導してもらいたい

遺言執行者となるのはどんな人か

遺言執行者は法律で規定された職ですが「特別な資格がないと就任できない」というものではありません。ただし、名乗り出れば無条件になれるというものではなく、ふさわしくないと判断される「欠格事由」が定められています。以下では、遺言執行者になれる人・なれない人について解説します。

遺言執行者となれる人

はじめに触れたように、専門職かどうかに関わらず「欠格事由」さえなければ誰でも就任できます。よくあるのは「親族のなかで一番信頼できる人」が遺言執行者になるケースです。

ただし、遺産を適切に管理しながらスムーズに相続人へと受け渡すには、相続手続きに関する十分な経験と知識に加え、手続きに専念できる時間が欠かせません。こうした条件が親族に備わっているとは限らないため、できるだけ弁護士や司法書士に任せるべきです。

特に、先で紹介した「遺言執行者が特に必要なケース」では、専門職でないと対応できない可能性があります。健康上の理由等で弱い立場にある相続人の利益を法的に保護したり、あるいは寄付受け入れ先と手続きについて話し合ってもらったりする仕事が発生するためです。こうした対応では、法律トラブルに関する専門的スキルが当然必要になります。

遺言執行者になれない人

遺言執行者になれない事情である欠格事由は「未成年者もしくは破産者」とされています(民法第1009条)。なお、ここで言う破産者とは「破産手続き中でまだ債務の免除が確定していない人」を指します。

通常、法律上責任を終えるのは判断能力が十分ある人のみとされますが、遺言執行者の欠格事由に「成年被後見人」(認知症患者など財産管理について後見人のサポートを得ている人)は含まれていません。しかし実際には、成年後見人が遺言執行者に指定された場合、後見人に職務を任せるか解任するかの2択になります。

  • 成年被後見人は遺言執行者になれる?

成年被後見人とは、成年後見制度で後見人のサポートを得ている人のことで、遺言執行者になれない理由として仕事をする上での問題点が2つ挙げられます。

第1に、後見人によるサポートを開始するための「後見開始の審判」が始まると、被後見人にあたる人は法律行為を受託できないと定められています(民法第1019条2項)。第2の問題は、遺言執行者の仕事に必要な「印鑑証明書」です。証明書を取得するには事前の印鑑登録(※市区町村役場への印鑑の届出)が必須ですが、成年被後見人が行う場合、後見人付き添いで役場の審査を受ける必要がある点です。

成年被後見人がこれらの問題を完全にクリアできるとは到底言えず、遺言執行者として選ばれても、結局は後見人やその他第三者に仕事を譲ることになります。特に、生前準備で「高齢の配偶者を遺言執行者にしたい」と考えているケースでは、将来認知症や障害を患って職務を果たせなくなる可能性がある点に注意しましょう。

遺言執行者を選任する方法

遺言執行者を選ぶ権利は、基本的に遺言書を作成する本人(=遺言者)にあります。生前のうちに遺言執行者を選びたくても「適任者が見つからない」「任せたい人はいるが仕事をこなせるか分からない」といった事情があるケースでは、第三者に選ぶ権利を託すこともできます。

誰に遺言内容の実現を任せたいのか決めないまま遺言者が亡くなったケースでは、相続人などから家庭裁判所に選任を請求することも可能です。以上の点を踏まえ、ここからは遺言執行者を選任する際の3つの方法を解説します。

遺言書で指定する

第一の方法は、生前のうちにふさわしい人を決め、遺言執行者にする旨を遺言書に書き込んでおくものです(民法第1006条1項)。この時、指定を1人に絞り込む必要はありません。適任者を2人以上選び、共同で遺言の実現にあたってもらうことも可能です。

死後は遺言書の未開封を確かめる「検認」が済めば、遺言の実現に向けた活動が始まります。なお、検認が必要なのは本人が作成した「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」であり、公証役場で担当官に作成してもらった「公正証書遺言」は不要です。

実際に遺言執行者を指定する際は、下記のような文面を書き込みます。

  • 【文例1】専門職を遺言執行者に指定する場合

第×条 遺言者は、この遺言の執行者として、下記の者を指定する。

○○県○○市○○町××番地

弁護士 田中太郎(昭和××年×月×日生)

  • 【文例2】親族を遺言執行者にする場合

第×条 遺言者は、この遺言の執行者として、遺言者の長男である下記の者を指定する。

○○県○○市○○町××番地

山田太郎(平成××年×月×日生)

遺言書で指定する際に注意したいのは、他の記載内容について「効力がない」と判断されてしまった場合、遺言執行者に関する部分まで無効になる恐れがある点です。遺産分割の内容を含めて、相続法で決められたルールと手順をしっかりと守って作成しなければなりません。

特に、手書き作成が義務付けられている「自筆証書遺言」では、署名漏れや誤った訂正方法が原因で無効になるケースが多発しています。遺言の無効化を避けるため、専門家の助言をもらいながら書面を作るか、公証人が作成し効力を保証する「公正証書遺言」の方式を選ぶことをおすすめします。

第三者に指定を委託する

遺言執行者選びそのものを信頼できる人に任せたい場合は、その旨を遺言書に記載します。

第三者に委託するからといって、遺言の実現に向けた対応が遅れるわけではありません。選任を委託された人は、死後「遅滞なく」誰を遺言執行者にするか決め、指定したことを相続人に通知しなければならないからです(民法第1006条2項)。

  • 【文例】遺言執行者の選任を第三者に委託する場合

第×条 遺言者は、この遺言の執行者の指定を、下記の者に委託する。

○○県○○市○○町××番地

弁護士 田中太郎(昭和××年×月×日生)

家庭裁判所に指定してもらう

最後に紹介するのが、相続に関係する人が家庭裁判所に請求し、遺言執行者を決めてもらう方法です(民法第1010条)。

他の2つの選任方法、つまり生前のうちに本人の意志で遺言執行者を決める方法と異なるのは、適任者選びに相続の当事者が関われない点です。公平性への配慮から「○○事務所の○○弁護士を指定してほしい」とのような相続人の要望には原則対応してもらえません。客観的事情を審判官が判断し、専門職のなかから適当な人材を選びます。

言い換えれば、専門職とはいえ「相続人とも亡くなった人とも接点のない人」が、遺言の実現にあたる人として選ばれるのです。

家裁で遺言執行者を選任してもらう方法

家庭裁判所で遺言執行者を選んでもらう場合は、ケースに応じて必要書類を揃え、所轄の家庭裁判所に提出します。

「遺言執行者の選任申立て」の詳しい方法は下記の通りです。

申立先と申立人

遺言執行者の選任申立て先は「遺言者の最後の住所地の家庭裁判所」です。また、申立てできるのは「利害関係人」のみとされています。ここで言う利害関係人とは、遺言者から見て以下の立場にあたる人です。

  • 相続人
  • 遺言書で財産を贈与された人(受遺者)
  • 遺言者の債権者(金銭等を貸し付けていた人)

必要書類

遺言執行者の選任申立てを始める時は、裁判所で配布されている申立書を含め、下記書類一式が必要です。

基本的な提出書類 家事審判申立書 / 遺言書の写しまたは遺言書の検認調書謄本の写し
亡くなったことが分かる書類 遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍謄本、改製原戸籍、全部事項証明書など)
遺言執行者候補者の証明書類 亡くなった人との利害関係が分かる資料(親族なら「現在の戸籍謄本」、債権者であれば「金銭貸借契約書」など)

表のうち「遺言書の写し」あるいは「遺言書の検認謄本」と「亡くなった人の戸籍謄本」に関しては、遺言書の検認(※発見した遺言書の未開封を家裁に証明してもらう手続き)から5年以内であれば不要です。

検認当時にすでに提出されており、上記の期間中は家裁で保管されているからです。

申立の費用

家裁に遺言執行者を選任してもらう場合、手数料と必要経費を負担します。申立てにかかる費用の内訳は下記の通りです。

  • 選任の手数料: 遺言書1通につき800円分(収入印紙を購入して申立書に貼付)
  • 裁判所からの郵送連絡に必要な切手代: 1,500円~2,300円程度(管轄地により異なる)

遺言執行者の職務とは

遺言執行者としての活動は、亡くなった直後から始まります。まずは速やかに相続人に「遺言書の内容」や「遺言執行者に就任したこと」が通知され、亡くなった人の資産状況をまとめた「財産目録」を配布されます。その後、預金であれば払い戻しと解約の申請、不動産であれば相続登記の申請とのように、遺産をもらい受ける人に代わって名義変更の手続きを行います。

亡くなった人の財産がすべて生前の意志通りに処分された段階で、仕事の完了が相続人に報告され、仕事でかかった費用の請求や報酬付与が始まります。

遺言執行者の仕事の流れ

  1. 相続開始(遺言者の死亡)
  2. 遺言執行者の承認or第三者による指定
  3. 相続人全員への通知
  4. 財産目録の作成&配布
  5. 遺言の執行(※相続登記・預金の払戻し・遺産分割に先立つ資産売却の手続きなど)
  6. 相続人への完了報告
  7. 遺言執行者が負担した費用の精算(※相続人が遺産から支払う)
  8. 報酬の付与(※家裁に申し立てがあった場合のみ)

【注意】相続税申告までは任せられない

遺言執行者の仕事の範囲は「遺産の管理と処分」に限られます。遺産をもらい受けた人に義務付けられる「相続税申告」に関しては、相続人が自力で行わなくてはなりません。

申告の手続きも信頼できる人にやってもらいたい場合は、遺言執行者の選任とは別に、相続に詳しい税理士への依頼手続きが必要です。

遺言執行者が持つ権利と義務

遺言執行者は、契約次第で様々な法律行為の請け負う「受任者」として扱われつつ、相続財産の管理と遺言の執行に必要な一切の行為をするための必要な権利義務が課せられます(民法第1012条1項・2項)。

具体的に、遺言執行者にはどんな行為が認められ、またどんな責任を負うのでしょうか。選任が必要だと感じている人が安心して利用できるよう、選任された人の持つ権利から順に詳しく解説します。

遺言執行者の権利

受任者に認められる「費用償還請求権」と「報酬請求権」に加え、内容に関わらず生前の意志を実現するために必要な「遺贈の履行権」の3つに分かれます。各権利の詳しい内容は下記の通りです。

  • 費用償還請求権(第649条・第650条): 遺言執行者が仕事中に必要経費や債務を負担したり、また無過失で損害を受けたりした場合には、それぞれ相続人に請求できます。具体例として「登記申請のため戸籍謄本を請求したときの交付手数料」などが挙げられます。
  • 報酬請求権(第648条): 必要経費や無過失の損害とは別に、遺言執行の報酬も請求できます。個別の報酬額は、遺言書で特に指定されていない場合、遺言執行者から報酬付与の申立てを受理した家庭裁判所が「相続財産の状況その他の事情」を基準に決定します。
  • 遺贈の履行権(民法第1012条の2): 遺言書で遺言執行者が指定されており、かつ「相続権のない人への贈与」が希望されていた場合、この贈与を実現する権利は唯一遺言執行者だけが持ちます。すでに紹介した通り、この規定は2018年の法改正で新設されました。

遺言執行者の義務

遺言執行者には「必要経費等の請求権」や「遺贈の履行権」が認められる一方で、その仕事中は様々な義務に従わなくてはなりません。先で紹介した仕事の流れは、単なる通常の手順ではなく、下記それぞれの義務を果たすために必要なプロセスです。

遺産管理と遺言の実現のための義務】

  • 就職したあとすぐに任務を開始する義務(第1007条1項)
  • 遺言の内容を遅滞なく相続人に通知する義務(第1007条2項)
  • 財産目録を作成し、相続人全員に交付する義務(第1011条)

 

【受任者としてとして負う義務】

  • 自己の財産と同じように遺産を管理する義務(第644条)
  • 相続人に仕事の状況を報告する義務(第645条)
  • 遺言執行事務で受け取ったものを相続人に引き渡す義務(第646条)
  • 遺産のうち消費した部分について、利息を上乗せして補償する義務(第647条)

遺言執行者を解任する方法

遺言執行者として仕事を任せられない状況が生じた時は、相続開始後に家庭裁判所に請求することで解任が認められます(民法第1019条)。ここでいう「仕事を任せられない状況」とは、下記いずれかを指します。

  • 本来こなせるにも関わらず、その任務を怠った
  • 解任の「正当な事由」がある

遺言執行者が任務を怠ったとき

先で紹介した義務に違反している、あるいは対応できる状況にもかかわらず仕事を進めてくれないといった事情は「任務を怠った」とみなされます。以下が「任務を怠った」とされる具体例です。遺言の内容を相続人に知らせない

  • 財産目録の作成・交付をしない
  • 遺産の名義変更手続きをなかなか進めてくれない

解任について正当な事由があるとき

解任の「正当な事由」とは、遺言執行者の健康状態・年齢・生活状況などが挙げられます。分かりやすく言い換えると、状況から見て遺言執行者の職務を果たせそうにない人は、解任が認められる可能性があるということです。以下、「解任について正当な事由があるとき」とされる具体例です。

  • 相続開始の時点で未成年者である
  • 相続開始の時点で多重債務者である(経済苦が理由となって不正が行われる可能性がある)
  • 相続開始の時点で認知症を患って被後見人になっており、成年後見人も介護で忙しくしている

解任の手続き方法

遺言執行者の解任は、選任してもらう時と同じく、利害関係人から「遺言者の最後の住所地の家庭裁判所」で申し立てる必要があります。申立書や添付書類も、選任の際と同じもので構いません。

その後、家庭裁判所が様々な事情からみて「遺言執行者の任務を果たしきれない」「遺言執行者にふさわしくない」と判断した場合に、解任が行われます。

解任の手続き中は、遺言の実現に向けた手続きが止まってしまいます。状況によっては、遺言執行者による不正や手続きミスについて補償を求める交渉も必要です。以上の点を踏まえ、生前準備では「誰がふさわしいのか」を慎重に判断しましょう。

まとめ

遺言執行者を選任する最大のメリットは、遺産をもらい受ける人の状況(健康状態や年齢など)に関わらず、遺言の実現に必要な管理や処分手続きの一切を信頼できる人に任せられる点です。また「遺産を寄付したい」「内縁の配偶者に財産を残したい」といった相続トラブルの可能性があるケースでは、遺言の内容に不満を持つ親族による不正を防げます。

遺言執行者の指定は、なるべく生前のうちに行いましょう。相続開始後に家庭裁判所に選任申立てを行った場合、専門職とはいえ家族の状況を全く知らない人物が選ばれ、職務をこなす上で配慮が行き届かない場合があります。生前に自信が遺言執行者の指定を行う際、「誰が遺言執行者にふさわしいか」をよく考える必要があります。相続手続きに対する知識や、トラブルを避けるための交渉力のことを考えると、相談を通じて家庭の状況をよく理解してもらえている弁護士や司法書士に引き受けてもらうのが安心です。

 

執筆者プロフィール
遠藤秋乃
大学卒業後、メガバンクの融資部門での勤務2年を経て不動産会社へ転職。転職後、2015年に司法書士資格・2016年に行政書士資格を取得。知識を活かして相続準備に悩む顧客の相談に200件以上対応し、2017年に退社後フリーライターへ転身。

「つぐなび」の運営は、1970年創業の株式会社船井総研ホールディングス(東証1部上場、証券コード:9757)の経営コンサルティング事業を担う株式会社船井総合研究所が行っています。…もっと見る

船井総合研究所は、相続分野において700事務所にものぼる全国の弁護士・税理士・司法書士といった士業事務所のコンサルティングを行っており、その長年のノウハウをもとに「つぐなび」を2020年に開設いたしました。
現在、全国的に高齢人口の急速な増加を続けており、総人口は減少していく一方で、高齢者人口は2040年まで増え続けると予測されています。それに伴い、相続財産をめぐるトラブルも増加、複雑化していることが喫緊の課題となっており、さらに、問題を未然に防ぐための遺言や民事信託などの生前対策のニーズも年々高まっています。 「つぐなび」では、相続でお困りの皆様が、相続の”プロ”である専門家と一緒に相続の課題解決をしていけるようサポートいたします。

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