専門家への相続登記の依頼報酬は固定資産評価額などの事案内容や、実際に依頼する事務所によって結構な違いが出てくるため、相場を一概には言い切れません。
相続登記申請のような定期的な手続きを依頼する場合には10万円程度の場合が多いです。相続登記には必要書類が数種類あります。
本記事では相続登記の費用相場について深堀をしていこうと思います。また相続登記の放置についての現状や義務化の流れ、自身で相続登記ができるかどうかについて解説します。
相続登記はなぜ放置される?
たくさんある相続手続きには期限がある手続きがいくつかあります。その中でも相続登記は期限がなく、いつまでも故人の名義のままでも問題になりませんでした。
相続人の誰かが固定資産税さえ支払っていれば何の問題にはなりません。そのため、相続登記を先延ばしされる方が多いです。
また、相続登記には登録免許税や司法書士依頼料がかかるため先延ばしになりやすいです。しかし、相続登記を先延ばししてしまうといくつかのデメリットが生じます。
次にデメリットについて詳しく解説いたします。
相続登記が必要な理由
相続登記の先延ばしにより、所有者が誰かわからない土地が増加しています。このような所有者不明の土地が周辺の環境や治安の悪化を招いたり、防災対策や開発などの妨げになります。
所有者不明土地問題以外に相続登記を先延ばししてしまうと下記のデメリットが生じます。
・名義が被相続人のため不動産を売れない、担保設定ができない
・相続人の数が増え、権利関係が複雑になる
・相続人の高齢化により認知症等で遺産分割が困難になる
・役所に保存期限があるため登記に必要な書類が入手困難になる
相続登記の義務化の流れ
所有者不明土地問題の深刻化に伴い、令和3年4月21日の民法・不動産登記法改正で相続により不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければいけないこととされました。
正当な理由がないにも関わらず申請をしなかった場合には、10万円以下の過料を負うことになります。相続登記を司法書士に依頼した場合は、10万円〜15万円程度が相場になります。
相続登記の費用
項目 |
自分で手続きをする場合 |
司法書士に依頼する場合 |
登録免許税 |
固定資産税評価額×0.4% |
固定資産税評価額×0.4% |
必要書類の取得費用 |
約3,000円 |
約3,000円 |
司法書士への依頼手数料 |
0円 |
約6万円 |
遺産分割協議書作成費 |
0円 |
5~10万円 |
相続登記を司法書士に依頼する場合、事務所によって料金が異なるため10〜15万程度かかります。
ご自身で行う場合は司法書士への依頼手数料はなくなりますが、複数の書類を用意する必要があります。
1通当たりの手数料は大きな金額ではありませんが、最もシンプルな相続の場合でも最低5〜10通程度になります。
相続登記は自分でもできる?
ご自身で相続登記をする場合は相続登記申請書をその不動産の所在地を管轄している法務局に提出する必要があります。
自身で手続きを行い際に必要となる書類
・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票、戸籍の附票の除票
・相続人全員の戸籍謄本・住民票
・遺産分割協議書
・固定資産税評価証明書
上記の必要書類を集めるのには多くの手間がかかるほか、相続登記に関する申請手続きの知識が必要になるため勉強する必要が出てきます。また、平日に法務局に出向く必要があります。大切な財産の名義変更を迅速かつ正確に行うためにも、相続登記は司法書士に依頼しましょう。
自分で行うのと依頼するのどちらが良い?
必要書類を用意するために役所に行く機会が多くなるため、自宅から役所までの距離が近い人や資料請求に慣れている人は遺産分割協議書や登記申請書を作成する自信があればご自身で申請することは可能でしょう。
しかし、二次相続や代襲相続などの難易度の高い相続関係の申請の場合は手続きに関する専門知識が問われます。
そのような場合は大切な財産を守るためにも専門家である司法書士に依頼しましょう。
あまり時間がとられない方や、手続きが多く自分でできない方は相続登記の専門家である司法書士に全ての手続きを代行依頼する事が可能です。
この記事の執筆者:つぐなび編集部
この記事は、株式会社船井総合研究所が運営する「つぐなび」編集部が執筆をしています。
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