×

失踪宣告した後に失踪者が生きていた場合、相続財産はどうする必要がある?

更新日:2020.06.12

失踪宣告した後に失踪者が生きていた場合、相続財産はどうする必要がある?

失踪宣告をした後に、失踪者が生存していたというケースはまれにあることです。失踪したものとして、すでに相続人で分けていた場合、相続財産はどのようになるのでしょうか?

1.失踪宣告とはどういうものか

いなくなってしまった人が生きているのか死んでいるのか分からないと、困ることがあります。

例えば、いなくなってしまった配偶者名義の家がありました。残された家族が、新しい家を購入したいから、住んでいた家を売ってしまいたいと思ったとします。

こんなときに、既に死亡していれば相続が発生しますので、残された家族は相続して、その家を処分することができます。

しかし、生きているのか死んでしまったのか分からないと、こういった財産を処分できずに困ってしまうことがあります。そんな場合に備えて、失踪宣告というものがあります。普通失踪の場合は、生死が分からなくなってから7年間経過した場合、家庭裁判所が失踪宣告をすることによって、その人が死んだものとして扱うというものです。

これによって、相続が開始し、残された家族は相続して財産を処分することができるようになります。

2.失踪宣告されてしまった人はどうする?

失踪宣告された人は、失踪宣告されたからといって、例えばどこかで新しく家を買うようなことは可能です。失踪宣告されたからといって特に権利が制限されることはありません。

死亡したものと扱われて、残してきた財産が相続されてしまうだけです。

それでは、失踪宣告によって相続され、処分されてしまった自分の財産を取り戻すことはできるのでしょうか。

失踪宣告が自分になされていたことを知ったとき、「失踪宣告取り消しの申立て」を家庭裁判所にすることによって、失踪宣告を取り消すことができます。

では、失踪宣告の取り消しによって、既に処分されてしまった財産を取り戻すことができるのでしょうか。

3.相続財産を取り戻すためには?

基本的には、失踪宣告が後になって取り消されても、失踪宣告がなされた後に行われた相続に基づく財産の処分について、元に戻すことは難しいです。

そもそも失踪宣告は、7年間という生死不明な状態が継続することによって認められるものです。定期的に連絡をしていた場合などは、失踪宣告はなされないのです。

また、失踪宣告の取り消しによって、もともとの所有者が返してと言ったら返さなければならないという決まりになると、そんな不動産を購入しようという人はいなくなってしまいます。

そうなると、残された家族は、とても困ってしまうのです。

もともと処分できない財産の扱いに困り、7年間という長期間を待って、財産をやっと処分できるのに、買い手がつかなくなってしまうからです。

生きていた場合はまだいいですが、仮に死んでいたときは、家族としては、その不動産などの財産の扱いにどうしようもなくなってしまいます。

そのため、基本的には財産を取り戻すことはできません。

もっとも、所有者が本当は生きていることを知っていた、これを「悪意」といいますが、この「悪意」によってなされた相続財産の処分などは、取り消すことが可能です。

例えば、家族が本当は生きているのを分かっていたにもかかわらず、連絡が全く来ないことを利用して失踪宣告を得てしまった。失踪宣告を利用して、相続を開始し、不動産を売却したというような場合です。

しかし、買い手側も生きていたことを知っていなければ、取り戻すことはできません。家族が得た売却代金を不当利得として返還請求することによって、取り戻すことになります。取り戻した金銭で、再び買い戻すなどする必要があります。

しかし、この不当利得として返還請求する場合、家族がすでに浪費した場合は、取り戻すことができません。取り戻したくても、取り戻せる金銭がないからです。

また、失踪宣告によって、配偶者は他の人と再婚することができるようになります。これについて、当事者が生きていることを知っているような場合、重婚状態として扱われることになります。

まとめ

失踪宣告をした後に、失踪者が生きていた場合の取り扱いをご紹介しました。

ケースによって、状況が変わることもありえますので、専門家の弁護士に相談するのがおすすめです。

 

 

この記事の監修者

弁護士法人ユスティティア 森本綜合法律事務所 代表弁護士 森本 精一

 

 

弁護士 森本 精一

 

所属/役職:弁護士法人ユスティティア森本綜合法律事務所 代表弁護士

資格:弁護士、CFP、FP1級

 

1980年03月に長崎県立島原高校を卒業、1985年03月に中央大学法学部法律学科を卒業

1988年10月に司法試験に合格、1989年04月に最高裁判所司法修習生採用

1991年04月に弁護士登録(東京弁護士会登録)後、1994年11月に長崎県弁護士会へ登録

同年に森本森本精一法律事務所を開設、2013年01月に弁護士法人ユスティティアを設立

「つぐなび」の運営は、1970年創業の株式会社船井総研ホールディングス(東証1部上場、証券コード:9757)の経営コンサルティング事業を担う株式会社船井総合研究所が行っています。…もっと見る

船井総合研究所は、相続分野において700事務所にものぼる全国の弁護士・税理士・司法書士といった士業事務所のコンサルティングを行っており、その長年のノウハウをもとに「つぐなび」を2020年に開設いたしました。
現在、全国的に高齢人口の急速な増加を続けており、総人口は減少していく一方で、高齢者人口は2040年まで増え続けると予測されています。それに伴い、相続財産をめぐるトラブルも増加、複雑化していることが喫緊の課題となっており、さらに、問題を未然に防ぐための遺言や民事信託などの生前対策のニーズも年々高まっています。 「つぐなび」では、相続でお困りの皆様が、相続の”プロ”である専門家と一緒に相続の課題解決をしていけるようサポートいたします。

・本記事は一般的な情報のみを掲載するものであり、法務助言・税務助言を目的とするものではなく、個別具体的な案件については弁護士、税理士、司法書士等の専門家にご相談し、助言を求めていただく必要がございます。
・本記事は、本記事執筆時点における法令(別段の言及がある場合を除き日本国におけるものをいいます)を前提として記載するものあり、本記事執筆後の改正等を反映するものではありません。
・本記事を含むコンテンツ(情報、資料、画像、レイアウト、デザイン等)の著作権は、本サイトの運営者、監修者又は執筆者に帰属します。法令で認められた場合を除き、本サイトの運営者に無断で複製、転用、販売、放送、公衆送信、翻訳、貸与等の二次利用はできません。
・本記事の正確性・妥当性等については注意を払っておりますが、その保証をするものではなく、本記事の情報の利用によって利用者等に何等かの損害が発生したとしても、かかる損害について一切の責任を負うことはできません。
・本サイトの運営者は、本記事の執筆者、監修者のご紹介、斡旋等は行いません。
…閉じる