電話加入権の相続|その【意外なメリット】とは?

更新日:2023.11.29

電話加入権の相続|その【意外なメリット】とは?

電話加入権について、みなさんはご存知ですか?

現在はスマートフォンを持っている人が多く、固定電話を持っていない若者も増えています。

しかし、50歳以上の人のおよそ9割は固定電話を今でも日常的に使用することが多いとされています。

固定電話には、電話加入権と呼ばれる権利が付いていて、それは財産の1つとして扱われるのです。

今回は、電話加入権とはどのような権利なのか、相続にはどのような手続きが必要なのか、相続するメリットにはどのような点が挙げられるのかといった点について解説していきます。

電話加入権とは?

そもそも、電話加入権とはどのようなものなのでしょうか?

この権利は、NTT東日本やNTT西日本といった電話の回線を契約するための権利を指し、「施設設置負担金」と呼ばれることもあります。

電話回線を引くためには工事するために資金調達が必要なため、有料となっています。

電話加入権は価格が高いことや携帯電話・スマートフォンの普及に伴って、2005年以降は3万6000円になりました。

ただ、現在ではNTT回線以外の通信サービスや光サービスが多く利用されるようになり、持っていない人も多くいます。

また、使用している電話の種類によって、電話加入権の必要がないケースもあります。

電話加入権は相続財産に含まれる?

両親が亡くなった場合、財産は相続する必要があります。

財産というと預貯金や不動産などを想像する人が多いでしょう。

相続財産の1つには、前述したように電話加入権も含まれています。

続いては、相続財産としての電話加入権について詳しく解説していきます。

電話加入権の評価方法について

電話加入権の評価方法について解説します。

電話加入権を相続する場合、正しく財産評価しなければなりません。

実際に財産評価する際には、まず電話加入権の種類がどれに該当するか把握する必要があります。

電話加入権には、取引相場があるもの、取引のないもの、特殊番号のあるものの3つがあります。

財産評価をする上では、これらのどれに該当するかによって方法が異なるため注意しましょう。

一般的なものは「取引がないもの」に該当するため、この標準価格で評価することになります。

それぞれの評価方法については、相続税法財産評価基本通達によって以下の通りとなっています。

・取引相場があるもの

課税時期の通常取引価額に相当する金額で評価されます。

・取引がないもの

電話の取扱局によって国税局長が定めた標準となる価額を用いて評価されます。

取引がないものに関しては、標準価額は売買実例科学等を基に定められています。

現在は全国一律となっていて、1,500円が標準の価額として決められているのです。

・特殊番号があるもの

特殊番号があるものとは、1~10番までだったり100番だったりと誰にでもわかりやすく覚えやすい数字を使用した番号を指します。

このような特殊番号があるものに関しては、上記の取引相場があるもの、もしくは取引がないもののどちらかを基に、売買実例価額などを参考に評価額を増減させた金額を評価されます。

以上の3つのうち、どれに該当するかによって多少金額は変わってきますが、大きな額ではないので相続税の納税額に大きく影響することは少ないです。

申告書への記載が必要

相続する際には、たとえ1,500円と少額であっても申告書の記載は必要です。

その理由は、相続税は金額に関わらず全ての相続財産を申告しなければならないからです。

電話加入権の相続税評価額についても、相続財産として加算し相続税を支払いましょう。

評価額はかなり低いため、相続税に大きな影響を与えることはほぼありません。

そのため、負担に感じてしまうことはないので躊躇う必要はないと言えます。

相続申告においては、ほかの少額財産と一緒に、家庭用財産(一括5万円まで)、まとめて申告することも可能です。

引き継ぐ場合は名義変更をしなければならない

電話加入権を相続する際には、名義変更が必要です。

電話加入権の相続する場合の手続きの流れや必要書類について解説します。

名義変更の流れ

電話加入権を相続するには、まずは名義を変えるために対象となる電話番号の種類をチェックします。

引き継ぐ人が決まっていない場合は、遺言書や遺産分割協議を基に、誰が相続するかを決定してください。

続いて、必要書類を準備します。

相続に必要となる書類については、NTT東日本もしくはNTT西日本よりダウンロードできます。

ダウンロードするのは、届出用紙となる電話加入権等承継・改称届出書です。

記入要領もダウンロードできるので、実際に記入する際もスムーズにできるでしょう。

届出用紙に必要事項を記入したら、添付しなければならない書類を準備します。

詳しい添付書類については後述します。

届出用紙への記入が完了したら、NTT加入権センターに郵送します。

詳しい手続きの方法は、NTT東日本または西日本のホームページで説明されているため、チェックしてみてください。

必要となる書類

電話加入権の相続に関する手続きをするために用意しなければいけない書類がいくつかあります。

必要な書類は以下の通りなので、抜かりなく用意しておきましょう。

NTT専用の名義変更の請求用紙

電話加入権を相続するなら、NTT専用の名義変更の請求用紙が必須です。

請求用紙は、NTT東日本または西日本のホームページからダウンロードできるようになっています。

死亡したことと相続関係を証明する書類

電話加入権の相続をする際に、死亡したことと相続関係を証明する書類も必要となります。

戸籍謄本や戸籍抄本、検認を済ませた遺言書、相続人全員分の印鑑証明書が添付された遺産分割協議書、法定相続情報一覧図といった書類が該当するものです。

法定相続情報一覧図は、被相続人の法律で決められた相続関係を一覧にした家系図のようなものになります。

法定相続人が誰なのか、法務局の登記官によって証明された公的な書類です。

法定相続情報一覧図には、被相続人の指名・最後の住所・最後の本籍・生年月日・死亡年月日、相続人の氏名・住所・生年月日・続柄が記載されています。

これらの書類は、写しでも問題はありません。

ただし、有効期限がない公的な証明書に関しては、どのタイミングで発行されたものを用意しなければいけないのか規定があります。

NTT東日本の場合は3ヶ月以内、NTT西日本の場合は発行から6ヶ月以内に発行されたものでなければいけないとされています。

新たな契約者の氏名や住所などが確認できる書類

新たな契約者の氏名や住所などが確認できる書類は、NTT東日本のみ必要となります。

運転免許証やパスポート、マイナンバーカード、在留カード、特別永住者所為名所、健康保険証、国民年金手帳などが該当する書類となるので、相続人は必ず用意しておきましょう。

電話加入権を相続するメリット

電話加入権を相続することにより、相続人が得られるメリットがあります。

最後に、どのようなメリットが得られるのかみていきましょう。

同じ電話番号を使い続けられる

1つ目のメリットは、同じ電話番号を使い続けられるという点です。

親が経営していた店を引き継いだケース、勤務先や病院などの緊急連絡先にしているケースは、電話番号を継続して使うことが出来ます。

同じ番号を使い続けられれば、わざわざ関係各所に連絡する必要もないため、相続するメリットはかなり大きいと言えます。

何らかの理由で電話番号を継続して使う予定があるなら、電話加入権を相続する方向で考えるようにしましょう。

また、固定回線を有しているとローン審査の信用情報として役に立つこともあります。

ローンの申し込みを行う際には、職業や勤続年数、年収などの属性に点数を付けていきます。

申し込みをする際に記入した電話番号にも点数が付けられるのです。

080や090などで始まる携帯電話の番号よりも、市外局番で始まる電話番号の方が高い点数が付けられます。

また、携帯電話と固定電話の両方を持っている場合は、より高い点数が付くという仕組みになっています。

銀行や信用金庫といった金融機関の多くは、固定電話に対する信頼が厚く、信用できるという印象を持つからです。

固定電話がなくてもローンを組むことはもちろん可能ですが、あった方が有利に進むことは念頭に置いておくようにしましょう。

災害時の通信手段に使える

2つ目のメリットは、災害時の通信手段に使えるという点です。

アナログの固定回線電話の中には、停電に対応しているタイプや予備電源を接続したタイプもあります。

そのような電話なら、災害が起こった時の通信手段として活用できます。

スマートフォンや携帯電話は、災害時に通信ができなくなってしまい、連絡手段がなくなってしまうため、災害時の通信手段に使えるのは大きなメリットだと言えるでしょう。

停電に対応している電話機というのは、3分以上の停電に耐えられる機能を有しています。

アナログ回線またはISDN回線のみの対応となっていますが、停電時に使用できるのは非常に心強いです。

ただし、電話回線があっても光回線を使うIP電話や停電対応ができない電話機を使っているケースだと、災害時に利用できなくなるので注意しなければなりません。

災害時にも使えるようにしたいのであれば、それを踏まえた電話機選びをするようにしてください。

まとめ

電話加入権は聞きなれない言葉なので、どのような権利なのか知らないという人は多いです。

この権利は、NTT東日本やNTT西日本といった電話回線を契約するために必要なものなので、固定電話がある場合は有している権利です。

そんな電話加入権は、相続財産に含まれていることも忘れてはいけません。

家族が亡くなったら、電話加入権についても確認しておきましょう。

電話加入権には当記事で紹介したように、取引相場があるもの、取引のないもの、特殊番号のあるものの3つがあることを念頭に置いた上で相続する必要はあります。

しかしながら、そこまで金額に大きな差が出ることはないので納税額に大きな影響が出るのではないかと心配する必要はありません。

電話加入権を相続するか迷っている場合は、メリットを踏まえて考えてみてください。

電話番号を継続して使いたい、災害時の連絡手段を確保しておきたいと考えるなら、相続する価値は大きいと言えます。

メリットを享受するためにも、正しい手続きを行うことが重要なので、必要書類を抜かりなく用意して不備がないようにしましょう。

この記事の監修者

工藤 崇(くどう たかし)

 

独立型ファイナンシャルプランナー。

WEBを中心にFP関連の執筆・監修多数。セミナー講師・個別相談のほか、「相続の第一歩に取り組む」ためのサービスを自社で開発・提供。

東京・北海道を拠点として事業展開。

株式会社FP-MYS代表。

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