急な葬式への参列、「黒の靴じゃないけど大丈夫かな? 」「つま先が開いたパンプスでも良いのかな?? 」「子どもには何を履かせれば良いのだろう」と葬儀の靴のマナーで悩むことはありませんか。
葬儀の靴のマナーについて解説します。
目次
1. 喪服に合わせる靴のマナー
1-1 男女とも「黒のシンプルな靴」が基本
葬儀の際は、男女問わず、基本的には派手なものやカジュアルなデザインのものは避け、黒のシンプルな靴がベストです。
- 男性: 内羽根タイプのシンプルな黒の靴
- 女性: 太いヒールの黒のパンプス
このように覚えておくとよいでしょう。では、避けた方が良いものはどのようなものでしょうか。
2. 葬儀の靴、色やデザインは?
2-1 黒がOK、茶色は?
原則、葬式など弔辞の時の靴の色は黒です。ビジネスパーソンは茶系のビジネスシューズを履くことも多いですが、葬儀において茶色はマナー違反です。
職場などから急きょお通夜にかけつける場合などはやむを得ないですが、できる限り避けた方が良いでしょう。
避けた方が良い色
- 茶色
- グレー
- 白
- シルバー
中敷の色は、黒でもそれ以外の色でもよく、グレーやベージュといった落ち着いた色を選びましょう。
2-2 エナメルはNG! 光沢無しであれば本革もOK
光沢(ツヤ)のない、合成皮革・本革・布製(ポリエステル等))素材が良いとされています。
革素材は殺生をイメージさせるため、「葬式には、靴もバッグも布製のものが良い」とも言われておりますが、現在は多くの人が革靴を履いており、スムースの革であれば問題ありません。
ただし、クロコ革やアニマル柄の型押しのものは避けたほうが良いでしょう。
2-3 葬儀に向く靴の素材
革(本革・合皮) | スムース | ○ |
アニマル柄の革靴(型押し) | × | |
エナメル(光沢・ツヤのあるもの) | × | |
スエード | × | |
布製 | ○ | |
サテン | × | |
ベロア | × | |
ラメ | × |
2-4 ショートブーツやサンダルはNG
葬儀に向く靴のデザインは、露出の多いサンダルやミュールはもちろんのこと、ハイカットの靴(ショートブーツ)も避け、シンプルなものを選びましょう。
スニーカーやローファー、スリッポンなどもカジュアルすぎるとして避けましょう。
パンプス | ○ | ただし、つま先やヒールのデザインによる |
サンダル(ミュール・バックストラップのものなど) | × | 露出の多い靴は× |
ブーツ | × | ショートブーツなどのハイカットの靴も× |
ローファー | ▲ | カジュアルな部類に入るのであまり好ましくない。子どもや学生は可。 |
スリッポン | × | カジュアルな印象のため× |
スニーカー | × | カジュアルな印象のため× |
バレエシューズ(フラットシューズ) | × |
カジュアルな印象のため× ただし、高齢の方や妊婦の方は○ |
2-5 女性はつま先のデザインにも注意!
女性の場合、つま先のデザインにも注意が必要です。露出の高い「オープントゥ」のパンプスは避けましょう。
また、金具が目立つデザインもNGですが、ベルトやストラップについている程度であれば問題ありません。
オープントゥ(つま先が開いたデザイン) | × |
ポインテッドトゥ(つま先がとがったデザイン) | ▲ |
ラウンドトゥ(つま先が丸いデザイン) | ○ |
スクエアトゥ(つま先が少し角ばったデザイン) | ○ |
2-6 男性は「ストレートチップ」「内羽根」がベスト
つま先に一本線のラインが入った「ストレートチップ」で、革靴のヒモを通す部分の皮が靴の外側に出ていない「内羽根」タイプのデザインのものが、最もフォーマルに適しているとされています。プレーントゥや外羽根タイプのデザインのものでもかまいません。
ウイングチップ (つま先が羽のようにW字に切り替えのあるデザイン) |
× | メダリオン(穴飾り)などの装飾があるため× |
Uチップ (つま先から甲にかけてU字型に切り替えのあるデザイン) |
× | カジュアル向きのため× |
ストレートチップ (つま先に一本線のラインが入ったデザインのもの) |
◎ | 最もフォーマルとされる。 メダリオン(穴飾り)のないものがベスト |
プレーントゥ (つま先に一本線のラインのないデザインのもの) |
○ | ストレートチップの方がより良いが、プレーントゥでも○ |
内羽根[バルモラル] (革靴のヒモを通す部分の皮が靴の外側に出ていないデザイン) |
◎ | 内羽根タイプは最もフォーマルとされている |
外羽根[ブラッチャー] (革靴のヒモを通す部分の皮が靴の外側に出ているデザイン) |
○ | 内羽根タイプの方がよりフォーマルとされるが、外羽根でも問題ない |
2-7 パンプスのヒールの高さは?
女性の場合、ヒールの高さや太さにも気を付けましょう。ヒールの高さは3~5cm程度、ヒールは太めのものを選ぶようにしましょう。
ヒールのない靴は、カジュアルな印象のため好ましくありません。また、逆に高すぎるものやヒールが細いものも派手な印象を与えます。
ただし、高齢者や妊娠中の場合は、ヒールのないフラットシューズでも問題ありません。
【避けた方が良いもの】
- ピンヒール(ヒールが細いもの)
- ウェッジソール
- ヒールのないフラットシューズ
2-8 目立つ金具はNG
装飾については、ベルトやストラップについている程度であれば金具がついていても問題はりませんが、目立つデザインの金具やワインポイントデザイン等がついていないシンプルなデザインのものが望ましいです。
【避けた方が良いもの】
- メダリオン[穴飾り] (男性向けの革靴にデザインされることの多い)
- 金やシルバーなどの光る金具がついたデザイン
- 目立つ色のステッチ入りのもの
- リボン・花などワンポイントの入ったデザインのもの
3. 葬儀時の子どもの靴での注意点
小学生以上等ある程度の年齢になると、マナーを守った靴を履くのが良いとされますが、必ずしもこれまでに紹介したようなものでなくても許容範囲とされることが多いようです。
手持ちの靴の中から黒のなるべく装飾などのないシンプルなものを選ぶと良いでしょう。制服がある場合は、制服に合わせて学校指定の靴でも問題ないでしょう。
4. 葬儀の際の靴下やストッキング
4-1 男性の靴下について
男性の靴下も黒の無地で統一します。ワンポイント程度は構いませんが、柄物は避けましょう。丈はふくらはぎまで隠れるくらいのものが基本です。
葬儀では、椅子に腰掛けたり、座布団の上に座ったりするシーンが多々ありますが、こうした時にふくらはぎ丈であれば素肌が見える心配がありません。
一方、極端に丈の短い靴下だとカジュアルになり、下品な印象を与えてしまいますので避けましょう。
4-2 女性のストッキングについて
葬儀で履くストッキングは無地の黒色が基本です。色や柄のついたものは避けましょう。
ストッキングの濃さは、肌が少し透ける程度の30デニール以下のものがよいでしょう。
厚手のタイツはカジュアルなためあまり好ましくありませんが、冬場の参列に限っては、80デニールくらまでならよいとされています。
マナーの範囲内で防寒対策をしましょう。
4-3 子供の靴下について
子どもの靴は、一般的には通学の時に用いるものを履くため、ローファーやスニーカーなど、様々です。そのため、靴下も黒無地一択というわけではありません。
葬儀の参列にふさわしく、靴にあった靴下を選びましょう。具体的には、黒、白、紺、グレーなどの無地の靴下がベターです。
派手な色、柄もの、キャラクターものは避けましょう。
5. まとめ
通夜の場合は「急に葬儀に出なくてはならない」というケースが多いため、マナー違反とされるものでも許容範囲とされる場合もあるでしょう。
しかし、告別式等に出席される場合はそうもいきません。「冠婚葬祭用の靴がない」という場合は、手頃な価格のものでもかまわないので、1足持っておくと良いです。
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玉川将人
1981年山口県生まれ。家族のたて続けの死をきっかけに、生涯を「弔い」に捧げる。葬儀社、仏壇店、墓石店に勤務して15年。会社員勤務の傍らでライターとして、死生、寺院、供養、終末医療などについて多数執筆。1級葬祭ディレクター、2級お墓ディレクター、2級グリーフケアカウンセラー。