銀行の名義変更の手続きを徹底解説~変更時に必要なものや流れ、注意点も紹介~

更新日:2023.12.06

銀行の名義変更の手続きを徹底解説~変更時に必要なものや流れ、注意点も紹介~

銀行に、自分自身の口座を1つも持っていないという人はまずいないでしょう。

個人事業主などをしている人なら、法人名義の口座も持っているケースがあります。

そんな銀行口座は、もしも所有者が死亡して相続をするなら名義変更手続きが必要になるのです。

今回は、相続するための名義変更手続きについて解説していきます。

1. 銀行口座はどんな時に名義変更する?

銀行口座の名義変更をするのは、いくつかのシチュエーションが考えられます。

まずは、どんな時に名義変更をしなければいけないのかみていきましょう。

1つ目は、相続があった場合です。口座の名義人が亡くなって預貯金を相続した場合は、銀行に届け出をする必要がありますそして、相続人の口座にお金を移す手続きを行います。

2つ目は、結婚や離婚などで名字が変わった場合です。名字や住所が変わったら、銀行に届け出をしましょう。名字が変わると使用する印鑑も変わるため、現行届出印の変更も必要になります

一般的にはこの2つのケースが多いです。

2. 手続きの流れ

続いては、銀行口座の名義変更をする場合の手続きがどのような流れで行われるのかみていきましょう。

ここでは、口座の名義人が亡くなった場合の手続き方法を解説します。

銀行名義変更

STEP1. 銀行に連絡する

家族が亡くなったら、まずは口座がある銀行に連絡しましょう。

しかし、どこの銀行に口座を持っているか、支店はどこなのか分からないというケースもあります。

そのような時は、遺品の中にキャッシュカードや通帳がないか探してみましょう。

キャッシュカードなどがあれば銀行や支店を調べることができます。

STEP2. 残高証明書を取得する

遺産分割協議や相続税申告をする際に、残高証明書が使用されます。

相続に関する手続きにおいて重要な書類なので、被相続人が死亡した時点の残高証明書を取得しておきましょう。

STEP3. 相続手続きに関する書類をもらう

相続手続きに関する書類は、銀行の窓口でもらえます。

口座のある支店が遠方な場合は、郵送で送ってもらうこともできるので問い合わせてみてください。

STEP4. 必要に応じて遺産分割協議もする

必要な場合は、遺産分割協議も行います。

法律で定められた法定相続割合で預貯金を相続した場合に何らかの不都合があるなら、相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。

協議した場合は、書面に残し、全員の実印を押してください。また、全員の印鑑証明書とセットで保管しておくことも重要です。

STEP5. 書類を準備する

必要となる書類は、銀行によって異なる場合があります。

必要書類に関しては、あらかじめ銀行に確認して何が必要か把握し、漏れがないようきちんと揃えるようにしましょう。

STEP6. 銀行に書類を提出する

必要な書類が集まったら、銀行に提出します。

遠方に支店がある場合は、郵送で申し込み可能か確認してみてください。

この時に注意すべきなのは、原本を必ず返却してもらうという点です。

「原本に相違ない」という旨を記載したコピーと原本をセットで提出すると、原本は返却してもらえます。

STEP7. 預貯金を払い戻ししてもらう

必要な書類を提出したら、後は故人の口座に入っていた預貯金が指定口座に入金されるのを待つだけです。

入金までに銀行で書類のチェックなどが行われるため、時間がかかるケースが多いです。

2週間ほどの時間がかかることと考え、余裕を持った手続きをするのが望ましいと言えます。

3. 相続人が手続きを行う場合どうすればいい?

相続人が手続きを行う場合、いくつか注意すべき点があります。

続いて、その注意点についてみていきましょう。

3-1 相続が発生すると口座は凍結

銀行が相続について知った時、その時点で口座は凍結されます。

口座が凍結されると、預金の引き出しは一切できなくなることを覚えておきましょう。

引き出しだけではなく、口座振替もできなくなるため、引き落とし口座の変更手続きも必要不可欠です。

なぜ凍結されるのかというと、銀行の名義人となっている被相続人の財産を守らなければいけないからです。

また、銀行自身を守るために必要な手段でもあります。

銀行は、相続人が誰なのか判断するのは非常に難しく、相続人に対する多重支払いや相続人を名乗る別の人物への支払いを防ぐことにもつながります。

場合によっては銀行が相続問題に巻き込まれる可能性もあるため、そのリスクを回避するためにも口座を凍結して入出金を止めるのは大切なことなのです。

3-2 銀行口座は手続きが必要

被相続人の名義になっている銀行口座の預貯金を被相続人が承継するためには、被相続人の銀行口座から預金を払い出してから口座を解約し、相続人の口座に移し替える必要があります。

名義変更の連絡をせずに口座を使い続ければ良いのではないかと思う人もいるかもしれませんが、不正利用を疑われかねないので注意が必要です。

いくら身内とはいえ、預貯金を勝手に使ってはいけないのです。

銀行側は、相続手続きに慣れているので、相続が発生したら早い段階で被相続人の口座がある銀行へ連絡し、その指示に従いましょう。

指示通りに動けば、スムーズに手続きが終了します。

4. 必要な書類は?

銀行口座の名義変更をするためには、用意しなければいけない書類があります。

必要となる書類は、遺言書や遺産分割協議書の有無によって異なります。

では、それぞれのパターンで必要となるのはどのような書類なのかみていきましょう。

4-1 遺言書・遺産分割協議書の両方がない場合

遺言書・遺産分割協議書の両方がない場合は、以下の書類が必要になります。

被相続人の除籍謄本、戸籍謄本(もしくは全部事項証明書)

被相続人の除籍謄本と戸籍謄本は、出生から死亡までの連続したものが必要です。

そもそも除籍謄本とは、その戸籍に誰もいないことを証明するために使われる書類です。

戸籍に記載されている人が結婚した場合は、戸籍から抜けて新たな戸籍に移ります。

つまり、死亡や結婚などで1人ずつ抜け、最終的には誰もいない状態になります。

誰もいなくなった場合、戸籍は閉鎖され、戸籍簿からは削除される仕組みです。

閉鎖や削除された戸籍は除籍と呼ばれ、その写しを除籍謄本と呼びます。

続いて戸籍謄本は、戸籍に記載されている全員の身分事項を証明する際に使われる書類です。

コンピュータで管理されるようになってからは、戸籍全部事項証明書と呼ばれるようになりました。

相続人全員の戸籍謄本(もしくは全部事項証明書)

相続人全員の戸籍謄本は、被相続人の同一戸籍にいる人、被相続人の戸籍から結婚などで除籍されたけれど現在の姓が被相続人の戸籍から確認できる人に関しては不要です。

全部事項証明書は前述したように戸籍謄本と同様のものです。

相続人全員の印鑑登録証明書

印鑑登録証明書は、登録された印鑑が本物かどうかを証明するための書類です。

印鑑証明書や印鑑証明とも呼ばれています。

重要な契約を結ぶ場合に必要となり、実印による押印や印鑑証明の提出が求められるのです。

印鑑登録をすると印鑑登録証(印鑑登録カード)をもらえるのですが、印鑑登録カードと印鑑証明書は別物なので注意しなければいけません。

名前がよく似ているので間違えないようにしましょう。

相続の対象となる預金取引の通帳・預金証書など

相続の対象となる預金取引の通帳や預金証書も必要となるので必ず用意してください。

預金証書は、定期預金や通知預金を預け入れた時に預金契約の成立・預金債権の存在を証明するために銀行が発行する証書です。

4-2 遺言書がある場合

遺言書がある場合は、以下の書類が必要になります。

・自筆証書遺言もしくは公正証書遺言

・自筆証書遺言の場合は検認調書もしくは検認証明書

自筆証書遺言が残されている場合は、検認調書もしくは検認証明書も必要です。

検認調書もしくは検認証明書というのは、家庭裁判所で遺言書の検認を受けたことを示す書類です。

封印がある場合は、家庭裁判所で相続人などが立ち合いの上、開封しなければいけないとされています。

・遺言執行者の選任審判書謄本

遺言執行者の選任審判書謄本は、遺言執行者が選任されている場合のみ必要となります。

この他に、被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本もしくは全部事項証明書や相続の対象となる預金取引の通帳・預金証書等なども必要です。

4-3 遺産分割協議書がある場合

遺産分割協議書

遺産分割協議書は、法定相続人全員の署名・押印があり記載内容が完備したものでなければいけません。

遺言書がなく法定像俗文とは異なる遺産分割をするケース、遺言書に書かれていない財産が見つかったケースで遺産分割協議書が必要になります。

被相続人の戸籍謄本もしくは全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)、相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書、相続人全員の印鑑登録証明書、相続の対象となる預金取引の通帳・預金証書なども忘れずに用意する必要があります。

5. 預金口座を解約する場合はどうすべき?

残高がない口座も名義人が死亡すると凍結されます。

死亡した時点で残高がほとんどなかったとしても、他の口座や窓口から入金される可能性がないとは言い切れないからです。

残高がない口座が見つかった場合、放置しても良いと思うかもしれませんが凍結解除や口座解約の手続きをしておきましょう。

口座を解約する場合は、遺言書の有無に注意が必要です。

相続手続依頼書などの必要書類の他に、遺言書も一緒に提出することになります。

遺言書の内容によっては、遺産分割協議書の提出が不要となる金融機関もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

6. まとめ

誰もが1つは持っている銀行口座は、名義人が亡くなったら凍結されます。

凍結された場合、預金の引き出しや口座振替などができなくなってしまいます。

そのため、引き落としなどがある場合は変更手続きもしなければいけません。

名義変更などの手続きには、多くの書類があります。

今回は、シチュエーションごとに異なる必要書類をご紹介しました。

銀行口座の名義変更をしなければいけない場合は、ぜひ参考にしながら手続きを進めてみてください。

この記事の監修者

工藤 崇(くどう たかし)

 

独立型ファイナンシャルプランナー。

WEBを中心にFP関連の執筆・監修多数。セミナー講師・個別相談のほか、「相続の第一歩に取り組む」ためのサービスを自社で開発・提供。

東京・北海道を拠点として事業展開。

株式会社FP-MYS代表。

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