亡くなった方の名義の預貯金口座は、勝手に預金を使われないようにするために、引き出し・預け入れ等をできなくします。
これが「預貯金口座の凍結」です。
この「預貯金口座の凍結」を解除しないと、必要な生活資金等が引き出せないだけでなく、その預貯金口座から引き落とされるべき公共料金等の支払いができなくなり、生活インフラ自体が止まってしまう可能性があります。
亡くなった方の名義預金口座を放置することによるデメリットは大きいといえ、早急な手続きが求められます。
当記事ではこのような事態を回避するための銀行の預貯金口座の解約・払戻・名義変更についてご紹介いたします。
1. 筑邦銀行の概要
筑邦銀行は福岡県久留米市を本店とした地方銀行。
1952年12月戦後復興支援の調達が難しい県南部の中小企業の金融難を打開するため資本金5千万円で設立し、翌年に創業を開始した戦後地銀です。
1985年には新オンラインシステムを導入しており、1999年には資本金を現在の80億円としました。
富山銀行の次に規模の小さい銀行で、従業員数526名、本支店44箇所(店舗内店舗形式9か店)と小規模ながら佐賀県、大分県、東京都に店舗を設置しています。
独立経営を掲げ、2020年にはネット金融の大手であるSBIホールディングスと資本業務を提携。
出資受入により独自路線を持続しながらもITや先進的なノウハウを取り入れ、収益基盤の両立を図っています。
また、2010年12月よりセブン銀行、2016年1月より全国銀行協会加盟銀行で唯一未提携だったゆうちょ銀行ともATM利用提携を開始し利便性を向上。
より地域に密着した銀行として成長しています。
創業者を祖父にも現代表取締役佐藤清一郎頭取の下、地域と共に成長する銀行として地域社会の繁栄に貢献することを基本方針に掲げ、お客様本位の質の高い金融商品を提供。
利益相反管理を徹底し、手数料や負担する費用を明確化することでよりわかりやすいサービスを提供しています。
2. 筑邦銀行の相続手続き(解約・払戻・名義変更)の流れ
筑邦銀行の相続手続きの流れは大きく分けて4段階あり、①、②、③、④となっています。
以下では筑邦銀行の預貯金の相続の手続き(解約・払戻・名義変更)の流れをステップごとに詳しく解説しています。
ステップ①:筑邦銀行に相続が発生したことを連絡して相続の届出を行う。
筑邦銀行の相続手続きを開始するためには、まず被相続人(筑邦銀行に口座を持っている名義人)が亡くなったこと(相続が発生したこと)を連絡する必要があります。
このとき、被相続人が口座を持っている筑邦銀行の支店に連絡するとその後のやりとりがスムーズになる可能性があります。
また、相続の発生を筑邦銀行に連絡する際には、筑邦銀行の支店の店頭で相続の発生を伝えても、電話で相続の発生伝えてもどちらの方法でも問題ありません。
相続の発生を筑邦銀行の店頭で連絡する際には被相続人の通帳やキャッシュカードを持参するようにし、相続について筑邦銀行の該当支店に電話で連絡を入れる場合にも手元に被相続人(亡くなった方)の通帳やキャッシュカードを準備していくと相続に関するその後の会話がスムーズに進みます。
筑邦銀行に相続発生の連絡をした後には、具体的な取引内容、今後の相続の手続きを担当者が教えてくれます。
なお、相続の手続きに際して、被相続人のキャッシュカード等が見当たらず口座番号が不明な場合でもその旨を伝えると担当者が調べてくれることが多いです。
なお、この時点で、相続の公平性を確保するため、口座の引き出しや預け入れはすべて停止され、被相続人が保有している筑邦銀行の口座は凍結されます。
筑邦銀行では一連の相続の手続きが完了するまで原則として口座内の預金の移動はできなくなってしまうため注意が必要です。
被相続人の口座への振込や、被相続人の口座からの公共料金等の引き落としも原則として取り扱いできなくなります。
したがって、相続の手続きに入る前に葬儀費用の支払いが必要な場合や、家賃振込・融資返済等で引き続き口座の利用を希望する場合は相続の発生の連絡を行う際に相談する必要があります。
ステップ②:筑邦銀行から相続に関する依頼書を受け取る。
相続が発生した旨を筑邦銀行に連絡すると、相続に関する依頼書を受け取ることができます。
「相続に関する依頼書」は、「相続手続依頼書」という名称の場合もあれば「相続預金の支払手続等に関するご案内」という名称の場合もあり銀行ごとに異なります。
相続に関する依頼書は、相続発生の連絡を電話にて筑邦銀行に入れた場合には筑邦銀行から郵送され、筑邦銀行の支店にて連絡した場合には基本的にその場で受け取ることができます。
筑邦銀行の預貯金の相続手続きには2種類の方法があります。
相続の状況に応じていずれの方法を採用するかは決めておくとスムーズです。
また、どちらの方法を採用するかによっても必要となる書類が異なるため注意が必要です。
筑邦銀行の預貯金の相続手続きの方法①:払戻手続
払戻手続とは、筑邦銀行に口座がある被相続人の預金を解約して、現金(振込)によって支払いを受ける手続きです。
筑邦銀行の預貯金の相続手続きの方法②:名義変更
名義変更とは、筑邦銀行の預金の名義人を、被相続人から相続人に変更する手続きです。
ステップ③:相続に関する依頼書を記入し、署名と捺印を行う。
筑邦銀行の窓口で相続に関する依頼書を受け取るか郵送で受け取った後には、その書類に記入する必要があります。
相続財産の承継方法が決まったら、筑邦銀行から受け取った相続に関する依頼書に必要事項を記入し、相続人全員の署名を入れて実印を押印し、同じく相続人全員の印鑑登録証明書が必要になります。
相続に関する依頼書とあわせて、相続人代表者が、被相続人が口座を保有していた支店にまとめて提出します。
相続に関する依頼書のほかに必要なものを整理すると以下になります。
・被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍
・相続人全員の戸籍
・各相続人全員の印鑑証明書
・実印(預金の解約払戻を受ける際に必要です)
・被相続人名義の通帳・証書・キャッシュカードなど
・遺言がある場合には遺言書の原本
・遺言書が自筆証書遺言である場合には、家庭裁判所の検認済証明書
・遺言執行者がいる場合には、遺言執行者の印鑑証明書
・遺産分割協議を行った場合には遺産分割協議書
・家庭裁判所へ相続放棄をした方がいる場合には、相続放棄申述受理証明書
※ほか、預金以外の取引(国債・投資信託・融資・ローン等)がある場合には書類が別途必要になる場合がありますので筑邦銀行に確認する必要があります。
ステップ④:相続に関する書類等一式を提出し、審査、払戻・名義変更の手続きを待つ。
相続に関する依頼書の記入を終え、上述の書類もそろった場合には相続に関する依頼書と必要書類一式を筑邦銀行に提出して終了となります。
これで筑邦銀行の相続に関する手続きで相続人側ができることは完了です。
この後、筑邦銀行側で審査が入り、払戻や名義変更の手続きが行われることになります。
3. 筑邦銀行の残高証明書の取得方法
手続きの内容や相続財産によっては、筑邦銀行の残高証明書の取得が必要な場合があります。
相続の手続きにおいて、どのようなケースでは筑邦銀行の残高証明書が必要か、その取得に必要な書類、発行にかかる費用、残高証明書の受け取り方を解説しています。
3-1 残高証明書が必要になるケース
遺産分割協議を行う場合や相続税申告を行う場合では、被相続人が死亡した時の残高証明書が必要になるケースがあります。
基本的には、筑邦銀行では預貯金の相続手続きの依頼をするだけでは残高証明書を発行してくれません。
必要な場合には、別途窓口で残高証明書の発行申込みを行う必要があります。
また、相続の手続きにおいては、残高証明書の発行を行う場合にはいつの時点の残高証明が必要か聞かれることが多いため、その際は「被相続人の死亡した日」のものと答えましょう。
なお、残高証明書の発行を取引店以外の店舗にする場合は日数がかかることがあり、店頭でもその場で即座に発行してもらえないこともあります。
3-2 残高証明書の発行に必要な書類
筑邦銀行の残高証明書の発行に必要な書類は以下となっています。
①被相続人・相続人の戸籍謄本、もしくは、法務局の発行した法定相続情報一覧図の写しの認証文付きの書類原本
②来店する相続人の印鑑証明書及び実印、身分証明書
3-3 残高証明書の発行にかかる費用
筑邦銀行の相続の手続きにおいては、残高証明書の発行には手数料がかかり、1通ごとに756円(税込)となっています。
3-4 残高証明書の受け取り方
筑邦銀行の相続の手続きでは、残高証明書の発行申込時に選択した方法(店頭・郵便)で受け取ることができます。お受け取ります。
店頭受取の場合は後日来店の際に、残高証明書発行手数料の領収証や通帳等を提示する必要がある場合があります。
郵送で受け取る場合には、受付日からおよそ7日~10日で受け取ることができます。
ただし、取引の内容等に応じて10日以上の日数がかかることもあります。
4. 銀行・信託銀行に依頼するといくらかかる?
銀行・信託銀行で名義変更等の手続きを行った際に、「当行でも相続手続きをサポートできますよ!」と勧められた方もいらっしゃるかも知れません。
銀行・信託銀行で行われる主な相続サポートに『遺産整理』と呼ばれるものがあります。
遺産整理とは、一般的に相続財産をまとめた財産目録の作成、預金や株式の名義変更、不動産の名義変更(相続登記)、遺産分割協議書の作成等の業務をいいます。
銀行・信託銀行にこの遺産整理を依頼した場合、財産額にもよりますが、概ね100万円以上の費用がかかります。
サポート内容としては、上記の内容になりますが、これらの手続きを各士業に適切に振り分けることが主に銀行・信託銀行が実施する内容で、銀行提携の各士業(税理士、司法書士、行政書士など)への費用は別途必要になってしまうのです。
4-1 遺産総額が5,000万円の場合の遺産整理業務における費用の目安
例えば遺産総額が5,000万円の遺産整理業務を銀行・信託銀行に依頼した場合と、司法書士事務所に同様の業務を依頼した場合の費用の目安を比較した図が下のものになります。
銀行・信託銀行といった資本がしっかりしている所に相続手続き(遺産整理)を依頼する安心感というメリットがあるものの、費用的にはご自身で探した士業事務所に直接依頼する方が安くつく場合がほとんどです。