相続に関する相談や手続き依頼は、誰にするべき?
税理士・弁護士・司法書士・行政書士が相続について対応できる業務内容について表にまとめました。
〇は主に対応できる業務、△は条件付きで対応できる、×は対応できない業務になります。あなたの悩みについて、対応できる専門家が誰なのかを理解しておくことが、解決の近道になります。
また、相続に詳しい専門家であれば、対応できない業務でも、他の専門家と連携している専門家もいます。
相続が発生した際に、「相続の悩みを誰に相談しよう」と相談先を探している方も多いではないでしょうか。相続の主な相談先は、税理士や弁護士、司法書士、行政書士などの専門家があげられます。
これらの専門家の間でも、対応できる業務と、できないがあります。あなたの相続の悩みをスッキリ解消するためには、 「相続業務の中でも、なにを相談したいのか」をはっきりさせておく必要があります。
大きく分けると、①相続税が発生する場合、②遺産分割で揉めている場合、③それ以外の相続手続きなど、必要な場合で分けられます。
相続業務の報酬相場を表でまとめました。相続は各家庭によって状況も変わりますので、下記の相場がそのまま当てはまらない場合もあります。
ただ、これから相談先を探すうえで、ある程度の相場感を抑えておくことは大事なことですので、参考にしてみてください。
相続の専門家に依頼する際のメリット・デメリット
相続の専門家に依頼をしたいと考えても、どこに相談したらいいのかわからず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
相続を専門家に依頼する際、弁護士、税理士、司法書士、行政書士といった士業ごとに、それぞれ特色あるメリットと注意すべきデメリットがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。
弁護士に相続相談するメリット・デメリット
メリット
弁護士に相続相談を依頼する最大のメリットは、本人の代理人として幅広く活動できることです。これにより、書類作成や名義変更などの手続きをスムーズに進めることが可能になり、複雑な法的手続きも安心して任せることができます。
デメリット
一方で、弁護士への依頼は、他の専門職に比べて報酬相場が高めであることが挙げられます。これは、弁護士の提供する包括的なサービスと専門的な知識が背景にあるためです。
税理士に相続相談するメリット・デメリット
メリット
税理士に相続相談をする大きな利点は、生前対策や贈与税申告に関するアドバイスが得られることです。土地や財産の評価を正確に実施できるため、追徴課税のリスクを低減できます。
さらに、税理士の専門知識を活かすことで、適切な控除を適用したり、特例を用いて税負担を軽減するなど、個人では見落としがちな節税対策を提案してもらえる可能性があります。
デメリット
デメリットとしては、当然ながら税理士への報酬が発生すること、そして全ての税理士が相続税に関して高い専門性を持っているわけではないため、専門性の見極めが必要になる点が挙げられます。
司法書士に相続相談するメリット・デメリット
メリット
司法書士を相続相談に利用する最大の利点は、相続に伴う煩雑な手続きを代行してもらえることです。
相続手続きの正確な実行はもちろん、弁護士と比較して費用が抑えられる点も大きな魅力です。
デメリット
一方で、相続に関する争いが生じた場合、司法書士は直接的な解決に向けて介入することはできません。
争いが予想される場合や複雑な法律問題に直面している場合は、他の専門家のアドバイスを求める必要があります。
行政書士に相続相談するメリット・デメリット
メリット
行政書士は、公的文書を作成する専門家です。に相続相談をする最大の利点は、費用が比較的安く依頼できることです。
特に、自動車の名義変更のような特定の手続きは行政書士にしかできない業務もあります。
デメリット
法的な相談や争いの解決は、その専門性から弁護士が対応する分野であり、行政書士は取り扱いができません。
また、相続税申告や準確定申告など税務に関する手続きは税理士の専門領域であり、行政書士では対応が難しいため、これらの問題に関しては税理士への相談が不可欠です。
無料で相続相談ができる場所はありますか?
多くの方が初めての相続相談で費用を心配されることがあります。そこで、費用の心配なく法的なアドバイスを受けられる「無料相談が可能な場所」について、以下にご案内します。
これを利用して、現在ご自身がどのような状況にあるのかを法的観点からのアドバイスを得ると良いでしょう。
■法テラス
法テラスでは、弁護士や司法書士による口頭での法的助言を、一回あたり約30分間の無料相談として提供しています。
この機会を利用して、相談の結果、具体的な手続きを依頼したいと思った場合には、次の手続きに進むことが可能です。
また、相談のみで終了しても全く問題ありません。ただし、この無料相談を受けるには、収入などの条件が一定以下である必要があります。
法テラス・無料相談サポート
■区役所や市役所などの法律相談所
区役所や市役所などの公的機関では、無料で約30分の法律相談を受け付けていることがあります。
これらの相談サービスは、利用できる時間帯や曜日が設定されており、事前予約が必要かどうかは自治体によって異なります。ご自身がお住まいの地域の詳細な対応を確認することをお勧めします。
■専門家の無料相談を利用してみる
多くの相続の専門家の事務所では、初回の相談を無料で提供しています。事務所へ直接訪問することが難しい場合でも、オンライン対応を行っているところが増えているため、アクセスしやすくなっています。
また、これらの事務所には経験豊かな専門家が在籍していることが多いため、相談内容に応じて適切なアドバイスを受けることができます。
相続の専門家を選ぶポイント
相続の相談先を選ぶ際には、その分野に応じて最適な専門家が異なります。相続した不動産の名義変更である相続登記や相続手続き全般は司法書士、相続税に関する相談は税理士、相続トラブルへの対応は弁護士が対応できます。
ここでは、士業の種類に関わらず、相続相談先を選ぶ際の重要なポイントをいくつかご紹介します。
相続手続きの実績を確認する
相続を得意とするかどうかや、実務ノウハウの蓄積は、具体的な相談実績や解決例の数を参考に判断すると良いでしょう。相談前や相談時にこれらを確認することをおすすめします。
専門用語の説明を重視する
相続手続きや専門用語を分かりやすく説明してくれるかどうかは、相談先を選ぶ際の大切なポイントです。相談者に寄り添った丁寧な説明を行う専門家を選ぶことで、安心して相談を進めることができます。
明確な対応の可否を伝える専門家を選ぶ
各専門家には得意分野や独占業務があります。対応できない業務がある場合は、その点を明確に回答するかどうか確認し、必要に応じて他の専門家を紹介してくれるかも重要なポイントです。
初回相談の無料サービスや対応時間をチェックする
土日や夜間でも相談可能か、初回相談が無料かどうかも確認しましょう。忙しい日常の中でも相談しやすい環境を提供している事務所を選ぶと良いです。
オンラインでの相談対応を確認する
直接訪問が難しい場合は、オンラインでの相談対応を行っている事務所を探すのも一つの方法です。オンライン対応が可能な事務所であれば、地理的な制約を超えて相談や打ち合わせが行えます。
相続に関連する公的機関の情報
市役所・区役所に関連した相続情報
市役所や区役所では、相続手続きに必要な戸籍謄本類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)、印鑑登録証明書、住民票の写しなどの公的書類を取得できます。
これらの書類は、窓口で直接申請することもできますし、郵送、コンビニエンスストア、マイナンバーカードを利用した申請方法が市役所や区役所によって異なりますので、詳細は各自治体のホームページで確認することが重要です。
年金事務所に関連した相続情報
年金事務所では、亡くなった方が受給していた年金に関する手続きを行います。
受給者の死亡届や未支給年金の請求など、必要な手続きを行うことで、遺族年金の支給や未支給年金の受け取りが可能になります。
手続きの遅れは不正受給につながることがありますので、迅速な対応が求められます。
法テラスに関連した相続情報
法テラスでは、相続を含む様々な法的トラブルの解決のためのサポートを提供しています。
無料の法律相談や専門家の紹介、さらには弁護士や司法書士の費用問題を解決するための費用の立替制度などがあります。
相続に関する悩みや費用の面での不安がある場合は、法テラスへの相談を検討すると良いでしょう。
公証役場に関連した相続情報
公証役場では、相続に関連する様々な公正証書(遺言書や任意後見契約など)の作成と保管を行います。
これらの公正証書は、公証人の立会いのもとで作成されるため、高い信頼性を持ち、将来的な相続争いを防ぐ手段となり得ます。
都道府県税事務所に関連した相続情報
都道府県税事務所や税務署では、相続税に関する手続きをサポートします。
被相続人の不動産にかかる税金の手続きや、相続税の申告と納税のプロセスをサポートし、必要な相談に応じてくれます。
税務署では、相続税に関する無料相談や、申告に関するミスの確認なども行っており、正確で適切な手続きを行うための重要な資源となります。
税務署に関連した相続情報
税務署では相続税の申請や納税を行うことになります。相続税申請書の受け取りと記入後の提出は税務署の窓口へ行くのが一般的です。
他にも相続税について分からないことがあれば税務署内にある相談窓口や電話での無料相談が可能です。ただし、相談者ごとの事情に応じた節税策を検討したり、相続税の申告書を作成してくれるわけではありません。ご自身の相続税に関する控除や特例などを使った申告についての相談や、申告書の作成については税理士に相談しましょう。