相続で弁護士に依頼するとなると、費用についてはわからないことが多いと思います。
「こんな請求が来るなんて」と思われることもあるかもしれません。
本記事では、相続手続きを弁護士に依頼する場合の費用の相場を紹介しています。
弁護士に相談・依頼をする際の参考としてみてください。また、費用を安く抑える方法もあわせて解説しています。
目次
1. 相続で弁護士に依頼するのにかかる費用はいくら?
1-1 費用の内訳と相場
手続きにおける弁護士費用には、相談料、日当、実費、手数料、着手金、報酬金があります。
相談料は、相談に対する費用で、無料から有料まで様々です。弁護士への相談料は、一般的に相談内容や時間によっては有料とする事務所が多くあります。
つぐなび掲載の弁護士事務所の多くは初回の相談料は無料で相談を受け付けています。
日当は、弁護士が手続きに関わる日数に対して支払われる費用で、1日あたり2万円程度が相場です。
実費は、交通費や通信費など、弁護士が実際に支払った費用を請求するものです。
手数料は、財産の取り扱いなどに対する手数料で、1〜2%程度が相場です。
着手金は、弁護士が手続きを開始するために受け取る前払いの費用で、10万円程度が相場です。
一方、着手金は依頼内容や事務所によって異なり、かからない場合もあれば、かかる場合もあります。
着手金は、弁護士が依頼内容を受け、手続きを進めるために必要な費用として支払われるものであり、依頼内容に応じて異なる費用が設定されることが一般的です。
弁護士の報酬金は、多くの場合、得られた利益額に応じて変化することが一般的です。
これは、弁護士が手続きや代理人業務を行うことによって得られる経済的利益が多いほど、弁護士への費用も高くなるという仕組みで通常、財産の評価額に応じて算出されます。
手続きが完了した際に弁護士が受け取る報酬で、財産の総額や手続きの難易度によって異なりますが、総額の1〜3%程度が相場となっています。
具体的な費用は、事務所や弁護士によって異なりますが、財産の評価額が高いほど、費用も高くなる傾向があります。
1-2 事務所ごとに設定費用は異なる
弁護士費用は、各法律事務所によって異なります。
特に、着手金と報酬金については、事務所によって大きく異なる場合があります。
着手金は、手続きに取り掛かる前に支払う必要がある費用であり、報酬金は、手続きが完了した後に支払う必要がある費用です。
このため、事前にどのような費用設定なのかを確認することが重要です。
また弁護士費用には、別途消費税がかかることもあるため、合わせて確認しておく必要があります。
一般的に、着手金は報酬金の20〜30%程度が相場とされていますが、事務所によって異なる場合があります。
手続きは、長期にわたる場合もあるため、費用面での負担が大きくなりがちです。
そのため、事前にしっかりと確認し、自分に合った費用設定の事務所を選ぶことが大切です。
また、費用面だけでなく、信頼できる弁護士を選ぶことも重要です。
2. 相談内容別費用の相場
2-1 相続人調査
相続人の調査は手続きにおいて必要な手続きの一つですが、自力で行うことが難しい場合は、弁護士に依頼することができます。
この場合、相続人の調査にかかる費用相場は、約5万5,000円〜11万円程度とされています。
ただし、人数が多い場合は、追加で費用が発生することもあります。
また費用相場は地域や事務所によって異なる場合があるため、事前に複数の事務所から見積もりを取ることがおすすめです。
調査にかかる費用は、特定や調査の難易度によっても異なるため、事前に詳細な打ち合わせを行うことが必要です。
また、相続人の調査にかかる費用以外にも、手続きに必要な費用が多数発生する場合があるため、費用面での負担を考慮しながら進めていくことが重要です。
2-2 相続財産調査
財産の調査は、相続人や財産が複雑な場合に必要な調査です。
弁護士に依頼する場合、費用相場は約11万円〜22万円程度で、財産の件数が多ければ追加費用が発生することもあります。
財産の調査では、不動産や預貯金、株式や債券、保険金、年金などの資産を調査し、相続人や債務、遺産分割協議書などの書類を確認することが必要です。
弁護士が調査した情報をもとに、相続人が遺産分割協議を行うことができます。
財産の調査には時間がかかるため、依頼する場合は事前に費用や期間などを確認することが重要です。
内容などによって弁護士費用が変わってくるため、事前に費用を確認し、費用を抑えることが大切です。
2-3 遺産分割
遺産分割を弁護士に依頼する場合、一般的には着手金と報酬金の費用体系を採用しています。
経済的利益が大きくなるにつれ、費用も高くなる傾向があります。
具体的な費用は事務所によって異なりますが、着手金については数十万円程度、報酬金については財産の総額や難易度などによって変動します。
遺産分割に関するトラブルや争いが発生すると、解決に必要な時間や労力が増えるため、費用も高額になる可能性があります。
遺産分割を弁護士に依頼する場合は、事前に複数の事務所から見積もりを取り、費用や手続き内容を比較することが大切です。
内容などによって費用が変わってくるため、事前に費用を確認することが大切です。
2-4 遺留分
遺留分を弁護士に依頼する場合の弁護士費用は、通常、着手金と報酬金で構成される費用体系になっています。
遺留分は人によって差があるため、弁護士によって費用が異なる場合があります。
また、遺留分の額が大きくなるにつれ、弁護士費用も高くなる傾向があります。遺留分を巡って争いが起きた場合、弁護士の専門知識や経験が必要になります。
そのため、和解することができれば弁護士費用を抑えることができます。
ただし、和解ができない場合は、一人あたりの遺留分の額や遺産の総額、争いの内容などによって弁護士費用が変わってくるため、事前に確認することが大切です。
2-5 相続放棄
相続放棄の申述を弁護士に依頼する場合の費用相場は、1人あたり約5万5千円から11万円程度とされています。
ただし、具体的な費用は弁護士事務所によって異なります。
また、放棄する相続分が複数ある場合や放棄者が複数いる場合、さらに弁護士費用が増えることもあります。
相続放棄の申述は、状況によって必要になることがあります。
例えば、財産が負債であった場合や、遺産分割や遺留分減殺などにより受け取る取り分が少なくなってしまった場合などです。
このような場合、相続放棄を検討することもあります。
相続放棄の申述は、法律知識が必要な手続きのため、専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。
内容などによって弁護士費用が変わってくるため、事前に費用を確認することが大切です。
2-6 遺言
遺言を弁護士に依頼する場合の費用は、一般的には着手金と報酬金の費用体系になっています。
遺言書の作成や変更にかかる時間や手続きの煩雑さ、弁護士の経験や専門性などによって弁護士費用が異なります。
また、遺言書の内容や総資産額によっても弁護士費用が変動する場合があります。
遺言によっては、法的な効力を持つためには一定の要件が必要となります。
弁護士に手続きを依頼することで、遺言書の要件を満たし、相続トラブルが起こりにくくなることが期待できます。
経済的利益が多くなるにつれ、弁護士費用も高くなることがあるため、事前に見積もりを取り、自分に合った弁護士を選び相続に備えることが大切です。
3. 相続の弁護士費用を安く抑えるには?
弁護士費用は高額になることがあります。安く抑えなければ負担にもつながりますので、弁護士費用ひいては相続全体の費用をを抑えて手続きを終えるにはどうしたらよいか解説します。
3-1 複数の事務所で見積もりをとる
費用は高額になることがあるため、事前に複数の事務所から見積もりをもらうことが重要です。
見積もりをもらう際には、案件の相続内容や期間、弁護士の経験や相続実績、弁護士費用の内訳などを確認し、費用設定が明確であるかを確認することが大切です。
また、見積もりをもらう際には、自分の意見や要望をしっかりと伝えることも重要です。
弁護士事務所を決める際には、費用だけでなく、弁護士との相性や信頼関係なども考慮する必要があります。
事前に相談の場を設けることで、弁護士とのコミュニケーションがスムーズになることもありますので、弁護士事務所を決める際には、弁護士との相性や信頼関係も大切に考え、自分に合った弁護士を選ぶことが重要です。
3-2 自分でできる手続きは自分で行う
相続手続きには、弁護士や税理士などの専門家に依頼することが多いですが、自分でできることもあります。
まずは、相続に関する基礎知識を学び、自分たちでできそうなことを調べてみることが大切です。
例えば、財産の調査や評価、相続人の確定、遺産分割協議書の作成など、自分でできることがあります。
また、相続税の申告書作成や、必要な手続きに関する情報収集なども、自分で行うことができます。
自分でできることを行うことで、その分の費用を削減することができます。
ただし、相続に関する法律や税務には専門的な知識が必要なため、限界があることもあります。
その場合は、専門家に依頼することも検討してみてください。
しかし、自分でできることを事前に調べ、限られた費用の範囲内で対応することができると、手続きの費用を軽減することができます。
4. 相続の弁護士費用を払えない場合は?
4-1 分割払いや後払いが可能か確認する
弁護士の費用は、一般的には相続に取り掛かる前に一括で支払うことが原則です。
しかし、事務所によっては、分割払いや後払いに応じてくれる場合もあります。
分割払いの場合、費用を複数回に分けて支払うことができます。
後払いの場合は、費用を後日に支払うことができますが、通常は利息を支払う必要があります。
また、後払いの場合には、弁護士事務所の審査があり、クレジットカード支払いや分割払いに比べて審査基準が厳しい場合があります。
相続の際、弁護士費用は高額になることがあるため、一度相談してみることが大切です。
弁護士事務所によっては、相続の相談料無料や初回面談無料などのサービスを提供している場合もあります。
まずは相談して、自分に合った支払い方法を相談し相続することをおすすめします。
4-2 法テラスの民事法律扶助制度を利用可能か相談する
日本司法支援センター(通称:法テラス)は、一定の条件を満たす相続人に対して「民事法律扶助」制度を提供しています。
この制度では、生活保護を受けている相続人や低所得者など、経済的に困窮している相続人が、弁護士に依頼して訴訟や調停などの手続きを行う場合に必要な弁護士費用を立替えてくれます。
ただし、立替えた費用は、後日、受給者が返済する必要があります。また、制度の利用には、受給者自身が一定の条件を満たす必要があります。
具体的には、年齢・所得・資産などが制限されています。
さらに、弁護士費用の立替えを行ってくれる事務所は、制度に登録されている法テラス認定弁護士に限られています。
制度を利用する際には、自己申告に基づく所得・資産調査や収入証明書の提出などが必要となります。
しかし、弁護士費用の立替えが受けられることで、財政的に困窮している相続人でも法律の問題を解決することができるようになります。
5. 弁護士費用は誰が払う?
相続において弁護士を雇う場合、その費用は原則として依頼者が負担する必要があります。
そのため、依頼者が複数の場合、事前に話し合いを行い、弁護士費用をどのように分担するかについて合意することが重要です。
また、弁護士費用を相続人が分担して負担する場合には、財産状況や継承分などを考慮し分担方法を決める必要があります。
弁護士費用が高額になる場合には、全員が納得できる分担方法を模索することが必要です。
また、意見が分かれる場合には、調停や裁判などの法的手続きを行うこともありますが、これらの手続きにも弁護士費用がかかることを忘れずに考慮する必要があります。
6. 弁護士費用は控除等ができない
所得税や相続税の申告時には、葬儀費用など一定の費用が控除対象となっています。
しかし、弁護士費用は控除の対象にはなりません。
つまり、弁護士に支払った費用は、所得税や相続税の課税対象となる所得から差し引くことができず、全額が課税対象となります。
ただし、弁護士費用が法人で支払われた場合には、会社経費として認められるため、法人税の控除対象となります。
費用が高額になる場合には、税務上の対策を考えることが大切です。内容によって弁護士費用が変わってくるため、事前に費用を確認しましょう。
つぐなび編集部
この記事は、つぐなびを運営している株式会社船井総合研究所が公開しています。2020年04月のオープン以降、「相続をもっと身近に」をコンセプトに専門家監修のコラムを提供しています。また、相続のどのような内容にも対応することができるように、ご希望でエリアで司法書士・行政書士、税理士、弁護士を探すことができます。