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遺産相続に長けた弁護士に相談するべき重要性
弁護士が担える領域は広く、刑事事件、相続や離婚、交通事故、債務整理など多岐に渡り、それらの中で得意にする分野を持つ弁護士は多いです。
そのため相続に関する依頼を弁護士にしたい場合、遺産相続を専門とする弁護士を選ぶことが大変重要になります。
もちろん遺産相続に関する依頼はどの弁護士でも引き受けることはできますが、遺産相続に関する知識やノウハウは遺産相続を専門とする弁護士が一番持っており、逆に他の分野を専門とする弁護士は最新の相続情報に疎い可能性も考えられます。
安心して遺産相続問題を解決するには、やはり遺産相続を専門とする弁護士を選ぶことを強くお勧めします。
遺産相続を弁護士に相談すべきケースとそうでないケース
遺産相続を弁護士に相談する前に、弁護士に相談するべきか判断する必要があります。
具体的には、弁護士に相談すべきケースと弁護士に相談するべでないきケースに分けられます。
弁護士に相談すべきケース
弁護士に相談すべきケースで考えられるのは以下のようなケースです。
①遺言書がない
②遺産分割で自身の持ち分を主張する人がいる
③把握していなかった相続人がいることが分かった
④顔合わせをしたくない相続人がいる
⑤遺留分を受け取れなかった
⑥ほかの相続人に生前贈与した可能性がある など
遺産相続の場合、弁護士がいなくても当事者間で解決することが基本です。
ただし、上記のようなケースが発生すると話し合いが進まず相続人間同士で揉めあいになることもあります。
さらに発展すると調停や審判などの裁判所で手続きや弁護士が必要になることも十分考えられます。
弁護士はそういったケースを未然に防ぐために弁護士が代理人として遺産分割協議を取りまとめることができ、また依頼者に有利な交渉を進めることも弁護士は行います。
他にも弁護士に相談することで相続へのストレスを緩和するメリットもあります。遺産相続は金銭が絡むためストレスに感じがちですが、弁護士なら専門知識と交渉術でスムーズな遺産分割が行えます。
少しでも当事者間での解決が難しいと感じたら早めに弁護士に相談することが重要です。
早期の弁護士への相談は選択肢を広げよりよい遺産相続につながります。
弁護士に相談しなくてもいいケース
弁護士に相談しなくても良いケースで考えられるのは以下のようなケースです。
①揉める雰囲気がなく弁護士の介入が必要ない
②相続内容や相続手続きが簡潔で弁護士の助けがいらない
③相続手続きを行う十分な時間がある
④相続手続きの流れを知りたいだけ など
基本的に遺産相続は弁護士がいなくても当事者間で解決が可能なケースが多いです。
しかし良好な関係にあっても遺産分割協議をきっかけに関係が悪化するケースは少なくありません。
こうなってから弁護士に相談するケースでは、弁護士への相談が遅れるほど解決に時間を要します。
弁護士なしの遺産分割協議は揉める可能性があることを十分念頭に置き、少しでも不安に思われたなら一度弁護士に相談することを考えましょう。
遺産相続を相談できる弁護士以外の相談先
遺産相続を弁護士に相談した場合、様々な依頼に対応してくれます。その中には弁護士以外の士業でも対応可能なものや弁護士には行えない依頼もあります。
以下では弁護士以外の士業がどのような相続の依頼に対応可能かをまとめます。弁護士に依頼するか、弁護士以外に依頼するかの判断基準にしてください。
司法書士
司法書士は弁護士と同じく相続した不動産の名義変更を行うことができます。司法書士と弁護士は相続人の代わりに不動産登記を行い、裁判所や法務局に提出する書類を作成できます。
また遺言書や遺産分割協議書の作成や相続手続きを代わりに行うことができます。不動産を相続した場合は相続登記を必ず行わなければいけませんがその手続きは煩雑です。
そのため、相続した財産に不動産がある場合や、相続手続きにあまり時間をかけられず誰かに一任したい場合は司法書士または弁護士に相談しましょう。
弁護士も相続登記は可能ですのでお近くの司法書士が見つからなければ弁護士に相談しましょう。
行政書士
行政書士は弁護士と同じく戸籍などの書類の収集や遺産分割協議書の作成をすることができます。
たとえば普通車の名義変更、相続関係説明図や協議が終了した遺産分割協議書の作成ができます。
ただし、弁護士と違い相続人間で争いがある場合の書類の作成はできません。
たとえば遺産分割協議で話し合いがうまく進んでない状態で行政書士に遺産分割協議書の作成を依頼することはできません。
遺産分割協議書の作成を依頼する場合は、協議が済んだ状態な行政書士または弁護士、協議が済んでいない状態なら弁護士に相談しましょう。
税理士
税理士は弁護士にはできない相続税のシミュレーションや準確定申告を行うことができます。
相続税の計算は煩雑なため税理士に依頼することが好ましく、依頼すると相続税申告が必要になった場合に書類の作成と提出を代行してもらえます。この業務は弁護士は行いません。
また、相続税の節税方法やアドバイスをもらうこともできます。相続税がいくらかかるか分からない場合や相続税の申告書を作成・提出しなければならない場合は税理士に相談しましょう。
弁護士で税理士の資格を持つ人に依頼すると、遺産相続の依頼と相続税申告の両方を行ってくれます。
遺産相続に強い弁護士の選び方
遺産相続に強い弁護士を選ぶことは少し難しく感じるかもしれません。一般的な弁護士の選び方を含めて遺産相続に強い弁護士の選び方をまとめます。
弁護士に求める要素を理解して相談できる弁護士かどうか判断しましょう。
弁護士に相続の専門性があるかどうか
遺産相続に強い弁護士選びにおいて最も重要なのが遺産相続案件を専門的に扱っている弁護士かどうかです。
専門的に扱っているかどうかはその弁護士の相続の案件数を見て判断するのが良いでしょう。
弁護士歴で判断するのはあまりよくなく、長くやっていてもその弁護士の相続の案件数が少ないと、その弁護士が相続の知識やノウハウをあまり持っていない弁護士である可能性があります。
基本的に弁護士が持つ知識とノウハウの量はその分野の弁護士の案件数に比例します。遺産相続が不得意な弁護士に依頼すると依頼を終えるまでに無駄な時間がかかったり不利益な結果を被る場合があります。
依頼前にホームページ等を見て実際の相続の相談実績や解決事例がある弁護士かどうかを確認しましょう。
弁護士に相続の解決実績があるかどうか
前述したように、弁護士がこなした相続の解決事例数は概ねその弁護士が持つ相続の知識やノウハウの量に比例します。
相続に強い弁護士を選ぶには解決事例について調べることが良いでしょう。
たとえば次のような弁護士を選ぶ判断基準があります
・ホームページに弁護士の相続の解決事例が乗っている
・相続の解決件数が年間で弁護士一人当たり20件以上ある
・ホームページにお客様の声が細かく乗っている など
解決事例やお客さまの声が細かく乗っている場合、実際に弁護士が経験した内容を書いている可能性が高いため相続分野を専門にしている弁護士であると考えられます。
ホームページで弁護士の相続の解決事例を調べることが最も分かりやすく弁護士の実績を調べる方法といえるでしょう。
弁護士が相続の費用や見積を事前にクリアにしてくれるかどうか
弁護士費用の計算方法が明瞭で、事前見積もりを出してもらえる弁護士を選びましょう。
弁護士費用は依頼者にとって高額になるイメージが強いですが、その不安を取り除くべく事前に弁護士費用について詳しく教えてくれる弁護士が多くいます。
このような弁護士の場合、相談や遺産分割協議の交渉でも依頼者を思いやった対応をしてくれる傾向が高いです。また、追加費用についても事前に説明してもらえる弁護士がおすすめです。
弁護士に依頼した場合、追加費用が発生することはありますが、悪質な弁護士だと事前説明なしに後から高額請求する場合もあります。
弁護士費用の計算方法や事前見積もり、追加費用を教えてもらえる弁護士がいいでしょう。
弁護士が相続の不利な情報も含めて実直に共有してくれるかどうか
もし依頼者にとって不利な情報であったとしても、共有してくれる弁護士を選びましょう。弁護士は依頼者の希望に沿うように動き依頼者にとって有利な情報を伝えてくれます。
しかし法的に依頼者の希望や言い分が認められなかったり、調査や交渉を進める中で逆に依頼者にとって不利な情報を弁護士が発見する場合があります。
そのような時に、弁護士が情報を共有してくれるかどうかが重要です。弁護士は仮に依頼者にとって不利な状況が発生しても、その後の対応を考えてくれます。
不都合な情報を共有せず、弁護士が依頼者の言い分を無理に押し通そうとするとかえって結果を悪くしたり時間がかかって依頼者のためになりません。
有利・不利関係なく情報を都度共有してもらえる弁護士を選びましょう。
遺産相続における弁護士の相場
弁護士費用は以下の5種類の費用がかかります。弁護士費用は弁護士事務所によって異なるため、ホームページで確認するか実際に弁護士に相談して見積もりをもらうのが良いでしょう。
①相談料
相談料は弁護士に遺産相続について相談してどのような工程になるかの説明を受けるのにかかる費用です。
弁護士の相談料の相場は30分で5000円ですが、初回相談は無料にしている弁護士事務所も多くあります。
弁護士に相談した時点で以降かかる弁護士費用の見積もりも可能なので、初回相談無料の弁護士事務所を何件か受けて弁護士費用の比較を検討するのもいいでしょう。
②着手金
着手金は弁護士が実際に依頼を解決するために取り掛かる際にかかる費用です。
弁護士の着手金の相場は依頼内容によって異なり、遺産分割協議の代理交渉なら22~33万円、遺留分侵害請求の交渉なら11万円~22万円、遺産分割調停や審判なら33万円~ほどかかります。
また、日本弁護士連合会が定めていた規定を参考に着手金を決めている弁護士も多くいます。
経済的利益の額 | 着手金 |
300万円以下の場合 | 8% |
300万円を超え3000万円以下の場合 | 5%+9万円 |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 3%+69万円 |
3億円を超える場合 | 2%+369万円 |
上記の表を参考に費用を算出するのもよいでしょう。
③報酬金
報酬金は弁護士が依頼を解決したときにかかる費用です。たとえば遺産分割協議が成立して遺産を受けっとった後に報酬金が発生します。
弁護士の報酬金の相場は一概に決まっていません。弁護士の遺産相続の報酬金は受け取った相続財産の金額に応じて違い、また金額の大きさによって報酬金の割合は異なります。
一般的には前述した着手金の旧規定と同じように、報酬金も旧規定を参考に決めている弁護士事務所が多いです。その目安は以下の表のとおりです。
経済的利益の額 | 報酬金 |
300万円以下の場合 | 16% |
300万円を超え3000万円以下の場合 | 10%+18万円 |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 6%+128万円 |
3億円を超える場合 | 4%+738万円 |
④実費
実費は裁判所に払う印紙代や郵送料のことをまとめて指し、書類の発行や提出にかかる費用です。これは弁護士に依頼せず自分で出した場合にも発生します。弁護士に依頼する場合は、依頼当初に支払い依頼解決後にまとめて清算するのが基本です。
弁護士の実費の相場は遺産分割協議なら1~3万円、調停の申し立てなら1~5万円ほどでしょう。
⑤日当
日当は弁護士が出張した際にかかる費用です。弁護士事務所以外の場所に弁護士が行く場合は出張とみなすため裁判所への出廷も含みます。
弁護士の日当の相場は1日の出張で3~5万円、半日なら1~3万円ほどです。
以上をふまえて具体的な弁護士費用を挙げると、遺言書の作成なら15~25万円、遺産分割協議を依頼して3000万円の遺産を相続したら350万円ほど弁護士費用がかかります。
単純作業のみの依頼であれば弁護士費用は15~30万円程度ですが依頼によって遺産相続をすると報酬金がかかり、その金額によって弁護士費用の合計が大きく変わります。
つぐなび編集部
この記事は、つぐなびを運営している株式会社船井総合研究所が公開しています。2020年04月のオープン以降、「相続をもっと身近に」をコンセプトに専門家監修のコラムを提供しています。また、相続のどのような内容にも対応することができるように、ご希望でエリアで司法書士・行政書士、税理士、弁護士を探すことができます。