相続には多くの手続きをする必要があります。
その際、「相続の相談は誰にするべき?」や「電話での相談は無料なのか?」など相続手続きの相談で悩んでいる方が多いでしょう。
無料で相続の相談をしたいときは、税理士・弁護士・行政書士・司法書士などの専門士業に相談するのがおすすめです。
電話での無料相談を行っている事務所も多くなっています。
目次
相続を無料で相談できる先
ここでは、無料で相続について相談できる士業事務所以外の窓口について紹介します。
中には条件付きで無料相談を行っている窓口もあるため確認しましょう。
法テラス
法テラスはどこでも法的なトラブルの解決に必要な情報やサービスの提供を受けられるようにしようと設立された公的な法人です。
弁護士など法律の専門家への相続相談にはまとまったお金が必要になるため、経済的な理由で相談ができない方でも安心してください。
法テラスは事前予約を行うと同じ相談内容について3回まで無料で電話相談ができます。
法テラスの無料電話相談の事前予約は、各地域ごとで受け付けています。
無料電話相談される際は、法テラスの無料電話相談は担当者を選べないことを覚えておきましょう。
そのため、必ずしも相続相談の経験が豊富な人が担当するわけではありません。
相談時に詳しい回答が得られないことがあることも頭の中に入れておきましょう。
弁護士会の法律相談センター
弁護士会の法律相談センターは、弁護士法を基準に東京に設置されている3つの弁護士会(東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会)が運営する法律相談所です。
法律相談センターの運営は公的な団体が行っており、弁護士が無料相談の担当をしているため詳しい回答を得る事ができます。
都内在住の方は15分までの電話相談は無料で行えます。
無料での相談時間は短いですが、簡単な相談内容であれば弁護士から的確なアドバイスを得られる可能性があるため、利用してみるとよいでしょう。
市役所などの法律相談サービス
市役所や区役所では自治体が無料法律相談サービスを設置しています。こちらのサービスも無料で相談が可能です。
予約しなくても無料相談できることがあるため、お住いの地域の法律相談サービスを確認しましょう。
市役所や区役所での無料法律相談サービスは、弁護士への依頼を前提としていません。
そのため、経済的な問題を抱えている方や依頼するかを決めていない方でも、気軽に相談できます。
しかし、じっくりと相談したい、自分専属の相談担当者がほしい場合は、おすすめできません。
なぜなら、無料相談時間や回数に制限が決められている場合があり、「相談時間は30分間」や「相談回数は3回まで」などのケースが多いからです。
自治体の法律相談サービスは電話による無料相談よりも面談相談が主流なことも押さえておきましょう。
相続を無料で相談できる士業
専門家によって相談できる範囲や得意分野が異なるため、相談する内容によって専門家を選びましょう。
相続相談をする場合は、相続に関する相談を行っている専門家に相談する必要があります。
事務所によって無料で相談できる範囲やその後の料金設定が異なるため注意しましょう。
行政書士
行政書士はほかの士業に比べて法律上できることが限られています。
行政書士が主にできることは、相続手続きに関する書類作成や戸籍謄本などの書類集めです。
遺産分割協議書の作成も担えるため、相続人間で議論した内容を正確にまとめてくれます。大切な財産を正確に分配することができます。
そのため、相続がスムーズに進んでいて、相続手続きの流れを把握できているため、書類収集を依頼したい場合は行政書士に相談するのがおすすめです。
また、相続人や相続財産の調査を行うことができます。調査は戸籍謄本などを収集したうえで徹底的に行います。
そして、養子縁組などが発覚し、親族間でも面識のなかった相続人が出てくることがあります。
司法書士
司法書士は不動産などの相続登記に特化した専門家です。
誰がどの遺産を相続するかの話し合いの結果をまとめた遺産分割協議書の作成も行っています。
所有権の名義変更や相続手続きに必要な戸籍謄本などの書類集め、書類作成などを無料相談が可能なため、相続した財産の中に不動産がある場合に司法書士はおすすめの相談先です。
また、不動産以外の現金や有価証券、車などの財産を相続するための手続きのほか、相続放棄の手続きについての相談や依頼も可能です。
さらに、これから遺言書を作成したいと考えている方への遺言書作成に関する無料相談や、遺言書の検認、遺言の内容を実現する人を選任する手続きに関する書類作成も行っています。
司法書士は「相続手続き」の専門家として、スムーズな相続の実現に貢献しています。
弁護士
弁護士は、ほかの専門家に比べて相続手続きの対応範囲が幅広いという点が特徴です。
特に、相続人間でトラブルが発生した場合は、弁護士に相談すると、相談人の代理人として依頼者のためにトラブルを解決してくれます。
実際に相続でもめた事案で調停や裁判手続きまで関与できるのは弁護士だけです。
そのほかの弁護士へ相談するメリットは以下を参考にしてください。
・必要書類の収集や作成を任せられる。
・財産調査や相続人調査をしてもらえる
・法的に有効な遺言書の作成をしてもらえる
・遺留分を取り戻すことができる
・相続放棄すべきか判断してもらえる
・遺産分割に関するアドバイスを得られる
弁護士であれば遺産相続に関する手続きや問題を解決できるため、すべてを任せたい場合は弁護士への迅速な相談をお勧めします。
税理士
税理士は税の専門家です。そのため、相続において主に相続税に関する手続きを行います。
対応範囲の幅が広い税理士も相続税の手続きまでは対応ができません。相続税の制度の中には基本控除というものがあります。
この制度により、相続内容によっては相続税が発生しないケースがあります。
税金に不慣れな方の判断で税額を計算して申告すると相続税を払い過ぎるか、後日に税務調査を受けて相続税の追加徴収に合う可能性があります。
相続税の計算ミスを防ぎましょう。
相続税の税額計算が難しいと思った方は、相続税申告の実績が豊富な税理士への相談をおすすめします。
相続を無料相談する際のポイント
無料電話相談で具体的かつ有効なアドバイスをもらうためには、必要書類を収集して、どのような質問を受けても対応できるように準備しておきましょう。
その他、相続問題についての無料電話相談をする際は、以下の点に注意しましょう。
・相続の相談先の選び方
・相続を相談の費用相場
相続の相談先の選び方
相談先を選ぶ際は士業の対応領域を確認しましょう。
相続税の申告を相談する場合は相続財産の評価方法や小規模宅地の特例措置など専門的な知識が必要となるので、司法書士ではなく税理士に無料電話相談するほうが好ましいです。
このように対応範囲や担当分野によって十分なサポートを受けられない可能性があります。
また、相談者目線で対応しているかどうか確認しましょう。相続手続きを行っていると法定相続分・相続登記・遺留分などの専門用語が出てきます。
相談者目線の対応を意識していないところだと、専門用語への説明がなく理解できずに終わってしまいます。
他にも料金設定が明確か、相談しやすい人か、しっかりと説明してくれるかなどもあります。
特に費用体系は相談先によって異なります。費用面を不安に感じている方は、費用設定が明確なところを選びましょう。
相続を相談する際の費用相場
弁護士に相談する際の料金
・相続に関する相談料30分5,500円
・遺産分割協議22万~33万円
・遺産分割調停や審判33万円~
・遺留分侵害額請求の交渉11万円~
・遺留分侵害額請求の訴訟 請求額の2~8%程度
司法書士に相談する際の料金
・相続手続きを依頼した場合(相続登記の場合・実費除く)6~8万円
・戸籍謄本の収集 1,000~1,500円/1通
・登記申請の代行報酬4万円~6万円/1件
・遺言書の作成 4万円~6万円/1人
・遺産分割協議書の作成 4万円~6万円/1人
行政書士に相談する際の料金
・行政書士に相続調査を依頼する場合 約3万円~
税理士に相談する際の料金
・相続税申告を依頼した場合 遺産総額の0.8~1%
近年では、各士業事務所が公式の事務所ページを立ち上げています。事務所詳細ページにて料金設定や解決実績などが掲載されています。
相続を無料電話相談する際の注意点
無料電話相談を有意義な時間にするための注意点について解説します。
無料電話相談前には事前準備が特に大切であるためぜひご覧ください。
無料電話相談で相談したい内容を事前にまとめておく
無料電話相談の事前準備の際、まず何のために無料電話相談をしたのか、目的を明確にしておきましょう。
無料電話相談をした目的を明確にしておかないと、聞き手も何について答えたら良いのかわからなくなります。
そして何があったのか時系列に沿って伝えられるように、メモや図でまとめておきましょう。
いくら専門家といえど、話が前後してしまうと事実関係を正確に把握できません。
事実が理解できないと、的確なアドバイスができませんので、無料電話相談の時間が無駄になってしまいます。
時系列をまとめる際は日付順に起こった出来事をまとめていきましょう。
作成の際は、あまり詳細に書こうとせず、箇条書きのような形で書くことをおすすめします。
詳細に書くことによって、主観や憶測が混じってしまい、逆にわかりづらくなる危険性があります。
相続に関係する資料を集めるだけ集めておく
無料電話相談時に案件と関係性のある証拠や資料があると、より無料電話相談の相手に事実関係を把握してもらいやすくなり、具体的かつ有効なアドバイスをもらえます。
事前準備の際は、自分で重要かどうかは判断せず、役に立つかもと思った証拠はすべて持っていきましょう。
素人目線では必要なさそうだと感じるものでも、専門家目線では重要な資料として無料電話相談時に役に立つこともあります。
また、先ほどの今までに起きた出来事も大切な資料になるため、時系列順に整理していきましょう。
相続人に関する相談の場合は「戸籍謄本類」、相続財産に関する相談の場合は「被相続人の口座情報」「不動産関係書類」など、無料電話相談の内容に関係のある書類を収集し、どのような質問を受けても対応できるように準備しておきましょう。
自分に不利な内容でも伝える
専門家に不利な事実を話すと、情報漏洩が心配な方もいるでしょう。しかし専門家には守秘義務があるので、情報漏洩に関する心配は不要です。
特に弁護士は職務上知りえた情報を第三者に漏らしてはならない義務を負います。
不利な事実を隠していたほうが、有利に物事が進むと思うかもしれませんが、反対に悪い状況に追い込まれてしまいます。
また、無料電話相談の時に隠し事をしてしまうと、無料電話相談先が正確な状況を把握できずに見当違いのアドバイスになる恐れがあります。
無料電話相談先は、相談者の見方として最善の方法を提案してくれますので、恐れずに全て伝えましょう。
つぐなび編集部
この記事は、つぐなびを運営している株式会社船井総合研究所が公開しています。2020年04月のオープン以降、「相続をもっと身近に」をコンセプトに専門家監修のコラムを提供しています。また、相続のどのような内容にも対応することができるように、ご希望でエリアで司法書士・行政書士、税理士、弁護士を探すことができます。