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目次
相談前:【分散した株式を集約して親族間の相続トラブルの回避を目指したケース】
事業を引き継いだばかりの会社経営者からのご相談
先日、父である先代社長の急逝により事業を引き継いだ相談者は、家族経営であったことから、特に問題もなく事業を継続している。
先代社長の妻(現経営者の母)も、相続前と同じ業務に就いていることもプラスの影響になっている。
しかし、引き継ぎ後に確認したところ、3代前の社長が亡くなった際、親族に株式が分散してしまっていることを発見。
今後、親族間のトラブルにならないよう、今回の相続を機に株式の集約ができないだろうかと相談に来られました。
▼問題点
・3代前の相続の際、株式が10名以上の親族に分散しており、このままにするとそれぞれの相続により株主が増える可能性がある。
・現在、社長とその家族の株式を合算しても議決権の過半数を下回る状況であり、会社を乗っ取られるリスクがある。
・株式の3割を保有する大株主との関係は良好であるが、高齢であるため、近い将来、認知症などにより判断できなくなる可能性や相続発生に対する備えが必要。
・敵対的な株主が存在するため、経営を考えるうえで少数株主の今の段階での排除を検討中。
・経営は順調に推移しており、それにともない株式評価額も高くなっているため時価での買い取りには相当なコストが必要。
・保有する株式の贈与を受ける方法にすると、高額の贈与税を納税しなければならないことを懸念。
相談後:分散した株式を集約する際のリスク
▼当事務所からおこなった提案の内容
通常、非上場会社は、株主は経営者またはその家族がなっています。
しかし、昔から続く会社では、経営にまったく関わっていない複数の株主がいることも少なくありません。
理由は、旧商法では、会社の成立には株主が最低7名必要であり、家族だけで人数が足りないときは、親戚や知人に依頼することも多くあったからです。
人数を揃えることが目的であったため、名義だけで出資をしていない「名義株主」でしたが、相続人は事情を知らないため権利を主張してくることもあります。
また、出資した株主であっても相続により分割されてしまっているなど、当初と異なる状況になっていることも珍しくありません。
今回もそのような状況になっており、代表取締役社長が会社設立時は株式のほとんどを保有していましたが、相続のたびに子どもが分割承継し、保有比率が減ってしまいました。
対策をしてこなかったためとはいえ、現在では経営にまったく関与していない株主は10名以上になっています。
相談を受け、当事務所で保有株式数や株主との関係を参考に、株式の買い取りや贈与、信託などの方法から、最適なやり方を選ぶ提案とサポートをおこなうことにしました。
その後、状況を整理した結果、敵対する株主に対しては、税理士が算定した株式評価額に多少の上乗せをおこなって買い取ることを打診することにしました。
この株主の保有する株式数が少ないため、コストはかかっても、買い取り以外の方法より解決できるメリットが大きいことから判断しました。
申し出を拒否されたときは、株式分割などのスクイーズアウトも視野に入れていましたが、全員から応じる申し出が期限内にありました。
他の友好的な株主のなかには、贈与を快諾してくださった方もいらっしゃいます。
悩ましいのは3割を保有する大株主の方です。
基本は無償での譲渡ですが、まとめておこなうと高額の贈与税が発生します。
かといって長い時間をかけると、高齢のため相続が発生する可能性があり、トラブルへの備えも必要です。
そこで、税理士と検討した結果。リスクとコストのバランスから最適と思える期間と金額での贈与になるよう提案しました。
▼提案に対する結果
・敵対的な行動をとる可能性の高い株主に対し、買い取りをおこなうための株主への通知書および売買契約書の他譲渡承認請求書などを作成してサポートしました。
・3割を保有する友好的な大株主から2回に分割して贈与を受ける際、定期贈与とのみなしを受けないよう、譲渡承認請求書や都度贈与契約書を作成して贈与を助けました。
・万一株主に相続が発生した場合の備えとして、臨時株主総会において、「相続人などに対する売り渡し請求の定め」を新たに定款に設けました。
・買い取りと贈与により、現在の社長に総株式の7割強を集約できました。
・残りの株式は、少数株主の友好的な方と現在の社長の家族が保有するため、少しずつ時間をかけて譲渡することでお互いに了解済みです。
事務所コメント:株式の集約をおこなう際の注意点
今回は協力的な株主が多く、手続きがスムーズに運び、短期間にコストも抑えながら株式を集約することができました。
とはいえ、交渉が長引いてしまうと、次の相続が発生することも予想され、さらに費用や手間がかかる可能性もあり、相続が発生して当事者の増えるリスクも否定できません。
さらに、相続人が議決権を行使して、会社の運営が妨げられる恐れもあります。
個々の株主との任意交渉をおこなっても早期に譲渡を得られないときは、強硬な手段ですがスクイーズアウトも辞さない姿勢も必要です。
株式の譲渡については、会社法をはじめ、各種の法令や税制が複雑に関係します。
小規模企業の場合は、顧問税理士では手に負えないこともあることも忘れないようにしましょう。
解釈を誤った対策は、事態を混乱させるだけです。
安定経営を目指す観点から株式の集約をお考えの際は、事業継承と相続の専門家に相談して、協力しながら進めるよう心掛けましょう。
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この事例を解決した事務所
司法書士法人東京横浜事務所(東京都 渋谷区)
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