【遺言か成年後見人か】相続人が認知症のため、生前対策を行った事例

更新日:2023.12.13

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相談前:重度認知症の母のことを考えた生前対策

お父様がお元気なうちに、生前対策としてできることはないかとのご相談でご子息様が来所されました。
ご依頼者様のお父様は心身ともにお元気でいらっしゃいますが、お母様は重度の認知症で、数年前から施設に入所されております。
ご依頼者様は2人兄弟で、それぞれ別に住居を構えているため、お父様がお亡くなりになられた場合は、お父様のご自宅を売却してお母様の介護費用に充てたいとのことでした。

仮に、生前対策を何もしなかった場合のことをお話しさせていただきました。相続人全員で遺産分割協議を進めますが、お母様が重度の認知症であり、判断能力に欠けているため、相続人だけでは協議を進めることができません。
そこで、成年後見制度を利用し、遺産分割協議を行うこととなります。

〜成年後見制度のメリットとデメリットの説明〜
成年後見人になれるのは親族とは限らず、弁護士や司法書士などの専門家が家庭裁判所から選任されるケースが、全体の8割を占めています。
専門家が成年後見人になる場合、成年後見人へ毎月報酬を支払う責任が生じます。報酬は、ご本人が保有する財産によって異なり、月額2〜6万円前後が目安の金額であると言われています。(成年後見人が遺産分割協議に参加する・不動産を売却するなどの場合、難易度に応じた追加報酬が発生する場合があります)

月に2〜6万円程度でも年間にすると24〜72万円となり、それが10年間も続けば合計で240〜720万円もの大きな支出となるため、非常に負担が大きいと言えるでしょう。しかし、成年後見制度を利用すると、途中でやめることができません。
また、成年後見人が選任された場合の遺産分割協議では、家庭裁判所の管理の下で協議が行われるため、相続人が自由に分割内容を決めることができなくなります。例えば、税金対策のために相続人の取り分を法定相続分よりも少なくするなどは、非常に困難です。

成年後見制度はデメリットが大きいように思えますが、財産の管理を全て任せるメリットがあります。例えば、手間のかかる財産管理の負担から解放される、親族の使い込みなどのトラブルを防げる、成年後見人を選任した本人の財産を守ることができるなどです。

相談後:相続の生前対策はご家庭によりさまざま

今回は、遺言書作成やご子息への生前贈与などの各制度を利用した場合と、生前対策をせずに成年後見制度を利用した場合のメリット・デメリット、そして関連する費用を検討した結果、お父様がお元気なうちに遺言書作成することとなりました。
生前対策は1つとは限りません。ご家庭によって対策の内容はさまざまですので、専門家と話し合いながら、適した手続きを選択するとよいでしょう。

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この事例を解決した事務所

 

司法書士法人クオーレ( 愛知県 名古屋市北区)

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