【パスポート所有者の死亡時、返納は必要?】亡くなった人のパスポートの返納手続きの流れを紹介

更新日:2023.12.08

【パスポート所有者の死亡時、返納は必要?】亡くなった人のパスポートの返納手続きの流れを紹介

大切な親族が亡くなってしまった後、残された遺族は様々な手続きをしなければいけません。

その中のひとつに、パスポートの返納も挙げられます。

パスポートや運転免許証など法的効力のある証明証は、所有者が亡くなった際には適切に処理する必要があります。

期限が切れていてもいなくても、同様です。

しかし、「あと少しで失効するし、失効すれば悪用されないだろう」と、返納の手続きをしない方は多いです。

しかし、日本のパスポートは世界各国からの信頼が厚く、海外では日本人だと分かるだけで

警戒されにくくなります。

そのため、犯罪目的で狙われやすいというリスクがあります。

身の安全を守るためにも、亡くなった方のパスポートは返納手続きを行いましょう。

そこで、返納のための手続きの流れや問い合わせ先について詳しく解説します。

思い出として手元に残す方法もご紹介しているので、最後まで注目してください。

1. パスポートは死亡後返納すべき?

亡くなった方が所持していたパスポートは、一般的に返納すべきとしています。

では、その理由ついて解説していきましょう。

1-1 パスポートは死亡と同時に効力が失われる

パスポートは、国が正式に認めた世界で通用する身分証明書です。

また、渡航先で所有者が事件や事故に巻き込まれた際に、必要な保護を受けられるよう国が申請できる効力を持っています。

しかし、その効力は一生モノではありません。

有効期限が切れる以外にも、様々な理由で失効されます。

旅券法第十八条に、どんな場合に効力が失効するのか規定がなされています。

・旅券の名義人が死亡、または日本国籍ではなくなった場合

・旅券発給を申請または請求した人が発行から6ヶ月以内に受け取らなかった場合

・一往復用の旅券の名義人が帰国した場合 など

もしもパスポートを持っている人が亡くなった場合も効力が失効されてしまうことが記されています。

ただし、死亡した際に効力が失効されるのは死亡届の提出日ではなく、死亡したその日からとなります。

効力の失効に関しては、死亡した場所がどこであれ「死亡した時点」から失われます。

例え海外で亡くなったとしても同様です。

しかし、海外で亡くなった場合は遺体として日本に帰還する際に失効済みでもパスポートの提示を求められることがあるため注意してください。

1-2 効力を失ったパスポートをそのまま持っていても良い?

パスポートには、旅行した場所や日付などの記録が記されています。

そのため、亡くなった方との思い出として大切にとっておきたいというケースは少なくありません。

しかし、所有者が死亡した際にはただちに返納すべきと旅券法に記載されています。

国内の場合は都道府県知事または外務大臣へ、国外の場合は領事官へ返納しなくてはいけません。

基本的には返納した方が良いのですが、返納せずに残しておく方法もあります。

同じく旅券法第十九条6の中で、旅券の名義人が保有することを希望する場合、都道府県知事・外務大臣または領事官はその旅券に消印を押すことで失効の手続きができるとしているのです。

名義人とは亡くなった所有者を指します。パスポートを不正に利用したり、規約を破ったりするともちろん罰則はありますが、返納しないと罰を受けてしまうことは決してありません。

そのため、亡くなった方の遺品として残しておくことも可能です。

1-3 偽造による悪用はあり得るので注意!

亡くなった方が所有していたパスポートは返納しなくても罰則は受けないとご紹介しました。

しかし、パスポートを第三者に盗まれてしまうことで、不正に利用されてしまう可能性は十分に考えられます。

偽造や変造により自分の知らないところで密入国やテロ活動など様々な犯罪に悪用されたり、個人情報が流出することで勝手に利用されたりするリスクもあるのです。

もし、手元に残しておきたいと思うのなら、盗難されないようにしっかりと管理しなければなりません。

管理できる自信がない方や他にも遺品があるためパスポートは不要という方は、亡くなった方の名誉を守るためにも返納を検討してみてください。

2. パスポートの返納・失効手続きの流れ

パスポートは、運転免許証や保険証と同様に法的に認められた証明書です。

ゴミ箱に捨てたり燃やしたりするのではなく、しっかりと手続きを踏んで処理しなければなりません。

では、パスポートの返納・失効手続きを行うためにはどうすれば良いのでしょうか?

ここからは具体的な手続きの流れを解説していきます。

2-1 必要な書類などを準備しておく

パスポート返納

パスポート返納・失効の際に必要な書類からご紹介します。

亡くなった時点で有効なものだったか、申請中だったかなどで書類の内容は異なります。

どれに当てはまるのかを事前に確認しておきましょう。

生前時に有効だったパスポートの場合

期限内で失効していないパスポートを返納・失効する場合には、必要な書類が4つあります。

・所有者が死亡したことを証明する書類(戸籍抄本や戸籍謄本、死亡診断書か死体検案書の写し、埋火葬許可証の写しなどから一点)

・パスポート

・返納届(旅券事務所の窓口に設置)

・手続きをする家族の身分証明書(運転免許証や保険証など)

返納届は全国に設置されている旅券事務所の窓口から入手できます。

生前時に既に失効していたパスポートの場合

続いて、亡くなる前に既に失効していたパスポートを返納するために必要な書類です。

・所有者が死亡したことを証明する書類(戸籍抄本や戸籍謄本、死亡診断書か死体検案書の写し、埋火葬許可証の写しなどから一点)

・パスポート

・手続きをする家族の身分証明書(運転免許証や保険証など)

基本的に、失効してないパスポートの手続きと一緒ですが「返納届」の提出は必要ありません。

また、自治体によって死亡証明書の提出を求められない場合もあります。

パスポートの申請中・交付前に亡くなった場合

パスポートの申請中や交付前に亡くなってしまい、パスポート自体が手元にない場合も失効手続きを取る必要があります。

・申請者が死亡したことを証明する書類(戸籍抄本や戸籍謄本、死亡診断書か死体検案書の写し、埋火葬許可証の写しなどから一点)

・申請者の名前、受理番号

・パスポート引換証、受付カード

・手続きをする家族の身分証明書(運転免許証や保険証など)

・申請者との家族関係がわかる書類(戸籍謄本や住民票など)

【関連記事】その他の書類等に関する手続きについて気になる方はこちらから↓

コラム:マイナンバーは死亡後どうなる?|マイナンバーの死亡後手続きを解説

コラム:クレジットカードの契約者の死亡したら?死亡後の解約の手続きや必要書類を徹底解説

パスポート引換証は申請手続きの受付が終了した場合に窓口から渡されるもので、パスポートを受け取る際に必要な書類です。

受付カードも引換証に添付されているもので、通常であれば引換証と一緒に窓口へ渡してパスポートを受け取ることになります。

申請手続きが終了し、交付前に亡くなってしまった場合はパスポート引換証と受付カードを受け取っているため、こちらも失効手続きを進める際に用意しておきましょう。

もし、手続きを行わずに受理しなかった場合は、発行から半年が経つと自動的に失効処理が行われます。

返納・失効申請で最も提出書類が多いのが、申請中・交付前に亡くなった場合です。

提出書類が見つからない、どれかわからないといった場合には旅券事務所の窓口まで問い合わせてみましょう。

なお、返納・失効の手続きに手数料は一切かかりません。

提出した書類はコピーを取った後で、原本は返却されます。

2-2 各都道府県の旅券事務所へ問い合わせる

必要な書類が準備できたら、各都道府県の旅券事務所にて返納手続きを行います。

最近では市区町村へも権限が移され、わざわざ旅券事務所に行かなくても役場で申請が可能な自治体もいくつかあります。

外務省のホームページから手続きできる窓口がどこか検索ができるため、事前に確認しておきましょう。

2-3 海外での問い合わせ先

海外で亡くなった場合も、近くの総領事館や日本大使館などで失効手続きは行えます。

なお、利用時間や営業日は場所によって異なるので注意してください。

3. パスポートを形見として手元に残したい場合はどうする?

亡くなった人のパスポートを思い出として残したい場合でも、必ず失効の手続きは行いましょう。

もし、返却してほしい場合は問い合わせ時に手元に残したい旨を伝えると良いです。

悪用されないようにパンチで穴を開けたり、失効処理済みの印を押したりなどの処理をして返却してくれます。

期限切れパスポートに関しても、返納手続きは同様に行われます。

ただし、無効化の処理がされているとはいえ管理には気を付ける必要があります。

万が一盗難に遭ってしまった場合、個人情報が悪用されてしまうリスクが全くないわけではありません。

特にパスポートの偽造などに利用されてしまう可能性もあります。

無効化されていても返納されたパスポートは厳重に管理し、悪用されないように注意してください。

4. まとめ

今回は所有者が亡くなった場合の、パスポートの返納・失効手続きについてご紹介しました。

基本的に遺族には亡くなった方のパスポートを返納する義務はありません。

有効期間が過ぎれば自動的に失効されるようになっているのですが、そのまま放置していると悪用されてトラブルを招いてしまう恐れもあります。

手続きの際には事前に必要書類を揃えておき、最寄りの旅券事務所や返納手続きを行える市区町村役場、海外であれば総領事館や日本大使館などに問い合わせます。

有効なものかどうか、申請中なのかによって必要書類が異なってくるので注意が必要です。

パスポートの内容を確認した上で、正しい書類を用意しましょう。

また、亡くなった方の思い出として残しておく場合は、決して盗難や犯罪などに悪用されないためにも適切な保管が求められます。

亡くなった方の尊厳や名誉を守るために、厳重に保管しておくか心配な方は返納するようにしてください。

この記事の監修者

工藤 崇(くどう たかし)

 

独立型ファイナンシャルプランナー。

WEBを中心にFP関連の執筆・監修多数。セミナー講師・個別相談のほか、「相続の第一歩に取り組む」ためのサービスを自社で開発・提供。

東京・北海道を拠点として事業展開。

株式会社FP-MYS代表。

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