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相談前:遺言書と異なる遺産分割は可能かとのご相談
依頼者様には、3人(長女、次女、長男)のお子様がおられます。ご自身の遺産で相続争いを防ぐためにと、公正証書遺言の作成をご相談いただき、遺言書は以下の内容にて作成いたしました。
長女には土地1と建物1を、次女には土地2と建物2を、長男には土地3・4と建物3・4をそれぞれ相続させ、預貯金は長女と次女で半分ずつ相続させる。
依頼者様がお亡くなりになられ、遺言書の存在を知ったご長女様から別途ご相談をお受けしました。 ご長女様に相続させると提示された土地建物をご次女様に譲るので、預貯金を全額相続したいとのご相談でした。
これについては、ご次女様も了承しておられます。 ご長男様は、亡くなられたお父様の遺言書に書かれているとおり、相続すべきとお考えになられているようでした。
相談後:相続人全員の合意の上で遺言書とは異なる遺産分割協議が成立
過去の判例から、「相続させる」旨の遺言がある場合、特段の事情がない限り、遺言者の死亡時、ただちに相続により承継されるものと解釈がなされます。
従って、「相続させる」旨の遺言が存在するならば、遺言書と異なる遺産分割協議をすることができるのかが問題となります。 特定遺贈の場合、特定受遺者は遺言者の死亡後、いつでも遺贈の放棄ができるとの定め(民法986条1項)があります。
「相続させる」旨の遺言の場合も、特定遺贈の場合と同様に、遺産を取得する地位を相続人の意思と無関係に強制するべきではないと考えられることから、全ての相続人が遺言書と異なる遺産分割に合意している場合、遺言書と異なる遺産分割ができるものと考えられます。
従って、ご長女様の遺産分割案をご次女様とご長男様が合意するのであれば、亡くなられた依頼者様の遺言内容と異なる遺産分割協議書を作成することは可能だと考えることができます。
ご長男様は、当初は遺言書どおりに相続すべきだとお考えでしたが、他のお2人の意向を汲み、ご長女様の遺産分割案に合意されました。
留意点として、仮に遺言書があることを知らない相続人が1人でもおり、その相続人が遺言内容を知っていた場合に、遺言書と異なる遺産分割案に合意しなかったであろうと認められた場合には、錯誤による意思表示とみなされ、遺産分割協議書が無効となります。
よって、遺産分割協議書には遺言書の存在と内容を明記し、全ての相続人が合意していると明記しておく必要があります。
本件は「相続させる」旨の遺言であったので、遺言執行者は選任されませんでした。遺言執行者がいる場合、相続人は相続財産の処分や遺言執行を妨げる行為をしてはなりません。
この規定に違反した行為は、絶対的に無効だとする判例があることから、遺言執行者の同意を得ておく必要も生じるでしょう。
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