相続専門家3人に聞く「解決事例の上手な使い方」
~弁護士×税理士×司法書士 つぐなび座談会~

2022年9月末時点で掲載数350事務所以上の相続特化型メディア『つぐなび』。その大きな特徴は国内最大級の“相続の解決事例数”にあります。

税理士・弁護士・司法書士・行政書士といった各士業の観点から解決、執筆された豊富な解決事例を活用し、このたびつぐなびでは、皆さまが置かれている相続の状況に応じて近しい事例を検索できる『解決事例プラットフォーム』の機能をリリースしました。

今回は、その意義や活用方法をテーマに3名の有識者の方にお話を伺いました。

 

期限が迫っている時や、ウチの事情は複雑で…と感じている場合には、事例が早期解決のヒントになる

※画像はイメージです。

 

田)こちらの記事をお読みの方の中には、相続が初めてで、詳しい専門家をどう探していけばいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。

そのようななか最近では『相続の解決事例』を参考に、自分に合った専門家を探すという新たな行動様式が生まれつつあります。

まずはお集りの先生方に、相続の解決事例を参考にした専門家探しについて伺ってみましょう。

 

福)相続税申告の場合は期限があるので、期限が迫ってきているが自分では申告ができない、何をすればいいか分からない、ご自身で相続税申告をしようとする方においても、相続財産の評価の仕方が分からないといった方は多いので、そのような事例はお探しの方にとっては有益な情報だと思いますね。

 

田)確かに期限がある手続きの場合には、1日を争う状況ですので、できるだけ具体的な情報が得られるといいですね。

 

置)当事務所ではつぐなびだけでなく、自社のHPにも相続トラブルの解決事例を数多く掲載しているのですが、実際の掲載している事例に似た事例の方からの相談が増えている感触はあります。

例えば、相続登記を放置しており、相続人が雪だるま式に増えてしまった結果、遺産分割調停に至った事案を掲載した後に、「事例が事例を呼ぶ」と言いますか、同様の相続人が多数となり相続トラブルに発展してしまった状況の方からの相談が増えています。

 

小)置田先生が仰ることは、私も非常に納得できます。
当事務所は在日韓国人の方が多いエリアに位置しています。そのような方の相続手続きをサポートした事例を掲載したところ、
「解決事例を見ました!」と自ら相談に来られた方もいますし、同業の方から「在日韓国人の方の相続手続きなら、溝の口オフィスさんに相談してみたら」と紹介を受けるケースもあります。

やはりご自身の状況と近しい事例があると相談するのも安心ですよね。

 

田)実際に事例を見た!と相談者の方が仰られるケースもあるんですね。
解決事例検索の機能でも「相続税の期限が迫っている」「相続人が多い」「相続人に外国籍の方がいる」等の状況を詳しく検索できるので、個々の状況に適した解決事例が探せます。

ぜひご自身の状況に近い事例を探して見ていただくと良いかと思います。

 

☆解決事例がGOOD!なポイント①☆

専門家を検索する前のお悩み検索(例えば「相続 期限 近い」「相続人 連絡取れない」など)に応えてくれる!
すなわちゴールへの道筋が見えてくる。

 

 

 

各士業の垣根を超えて事例を見られることは大きなメリット

 

つぐなびでは弁護士・税理士・司法書士・行政書士といった相続に主に携わる複数種類の士業の事例が掲載されています。

このように様々な切り口の解決事例が数多く掲載されていることについてはいかがでしょうか。

 

小)当事務所では複雑な相続手続きの事案に関する相談を数多く受けておりますが、明らかなトラブル事案でない限りは司法書士・行政書士としてできるだけの対応をするように心がけています。

中には相続人を探す中でトラブルが見つかり、司法書士では取り扱えない交渉業務を弁護士に紹介する場合もありますが、このように複雑な事案の取り扱いについては複数種類の士業の視点や対応は参考になると思います。

 

このあたりの線引きって難しいところですよね。弁護士さんからするとその点はいかがでしょうか。

 

置)今置かれている状況が弁護士しか介入できないような状況なのか、司法書士や行政書士に相談した方がいいのか、誰に相談するべきか迷う方も多いと思いますが、
各事務所のスタンスによっても対応が違うので、解決事例はそれぞれの人柄や進め方を把握する上での材料にもなるんじゃないでしょうか。

 

 

チェスターさんではグループ内で複数種類の士業の方が在籍されていますが、多角的に各士業の視点をグループ内で持つことについてはどのようにお考えでしょうか。

 

福)小野先生、置田先生が仰るとおり、まずは士業に相談してみることはとても大事ですね。

相続の悩みが多様化していることもありますし、各士業が相続においてサポートする分野が増えてきていることもあり、相続全体での境目がなくなってきていると感じます。

何となく相続が上手く進んでいないという意識をお持ちの方でも、自身が具体的に何に困っているのかを把握できていないケースもあります。

その場合は一つずつ丁寧にヒアリングし、グループ内の最適な士業がより深い対応をしていきます。そうすることで、ワンストップで横断的に問題解決へつなげていくことができます。
それはサービスを提供する側として強みになりますし、お客様もメリットに感じてもらえるので良いことづくめだと考えています。

 

相談をしていく中で、ご自身の悩みや相続における課題が明確になり、本当に相談すべき士業が明確になっていくということですね。

 

☆解決事例がGOOD!なポイント②☆

相続のお悩みは相談先が身近にないことも多く、話しにくいと感じるケースも多い。つぐなびでは弁護士・税理士・司法書士/行政書士の事例をまとめて見れるので、相談先探しにも参考にできる!

※画像はイメージです。

 

 

 

 

みんなの経験をみんなで共有し、みんながより良い相続を実現できることをめざして

 

最後に今後つぐなびの解決事例プラットフォームに期待することについてお聞かせください。

 

置)私は相続専門サイトを立ち上げた時期から、「解決事例は事務所の歴史」であると考えて積極的に執筆掲載をしてきました。

全国的にもっと解決事例を執筆掲載してくれる先生方が増えるとより盛り上がっていくと思います。

 

福)ご相談者様の相続における段階にもよりますが、自分で手続きをしようとされている方、何かしら相続の課題解決をしたい、その糸口を掴みたいという方にとっては解決事例は有効だと思います。

各先生方の経験が価値なので、それが集まり、プラットフォームとして有機的に繋がって、より高い価値になることを期待しています。

 

小)私もこの取り組みがより大きな盛り上がりを見せてくれることに期待しています。

「〇〇先生だから」と仰っていただけるご依頼者様との繋がりにはやりがいを感じますし、
解決事例が数多くあることで、士業としてのやりがいを感じられる仕事が増えてくると思いますので、一緒に盛り上げていきたいですね。

 

先生方、貴重なコメントをいただきありがとうございます。

今後もつぐなびは解決事例を通じて、より最適な士業を探せる場を提供していきますので、
先生方と共に相続で悩まれる方を1人でも少なくできるよう努めていきます。

 

「解決事例の上手な使い方」まとめ

・事例を参考にすると具体的なイメージができるので、何をすべきか把握しやすくなる。期限のあるものは特におすすめ

・相談先に迷うときには、似た事例を探してみるとヒントが見つかるかも

・解決事例は他の事務所でも参考にできるので、近くの専門家に持ち込んでみるのもアリ


【参加者プロフィール】

置田浩之<弁護士>
入江・置田法律事務所 代表

2015年天王寺にて入江・置田法律事務所を開設。開所より順調に業務を拡大し、現在は弁護士5名体制に成長。
開所当時から積極的に相続分野に取り組み、継続して年間100件以上の相続相談を受けている。
税理士資格を保有し、相続税に関する知見で複雑な事件を解決まで導いている。
さらに紛争事件の解決に注力しながらも相続対策セミナーを定期的開催するなど、相続分野全般の情報発信も実施。

入江・置田法律事務所ページはこちら>

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福留 正明<税理士>
税理士法人チェスター 代表社員

公認会計士・税理士・行政書士。相続税を専門に取り扱う税理士事務所の代表。相続税申告実績は税理士業界でもトップクラスの年間1,700件以上(累計9,000件以上)を取り扱う。相続税申告サービスやオーダーメイドの生前対策、相続税還付業務等を行う。相続関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。

理士法人チェスター東京本店ページはこちら>

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小野圭太<司法書士>
司法書士・行政書士溝の口オフィス 代表

平成25年12 月「司法書士・行政書士 溝の口オフィス」を開業。相談者の立場 に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に! 」を事務所の理念にし、お客様の家族まで幸せを考えた提案がモットー。また、相続の相談件数1,200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。

司法書士・行政書士溝の口オフィス事務所ページはこちら>

 

~ 編集後記 ~

相続の世界に足を踏み入れたばかりの私にとって、そのスペシャリストたちの現場の声に触れる貴重な機会となりました。

先生方にとって解決事例は、ご自身や事務所の歴史そのもの。実績の証なんですよね。

これまでどんなふうに相談者と向き合ってきたのか、事例が教えてくれるんだなと感じました。

突然の相続に戸惑っている方、今度こそスムーズに終えたいと思って相談先を探されている方、状況は様々かと思いますが、多くの方にとって満足できる相続につながることを願っています。