相続は「人生そのもの」
道案内として税理士が伴走し、円満な解決へ導く

税理士法人 早川・平会計の岡本修一税理士は、事業承継から相続まで、生前対策も含めた幅広いご相談に対応する相続専門の税理士です。
税理士として20年以上、数々の相続案件に向き合ってきました。
その中で、岡本先生が大事にしている信念や、相続の現場で求められる税理士の役割についてお話を伺いました。
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相続案件は十人十色
状況に合わせた緩急のある対応で真摯に向き合う
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――岡本先生が相続専門の税理士を目指されたきっかけを教えてください。
正直なところ、最初から相続専門の税理士を目指していたわけではありませんでした。
大学時代、簿記を勉強したのがきっかけで会計のゼミに入り、税理士の道に進みましたが、卒業後は主に中小企業の会計業務を行っていました。
――では、具体的に相続の税務に関わるようになったのは、どのような経緯があったのですか?
20代の頃、お客さまの企業で経理を担当されていた社長の奥様から、ご相談を受けました。
社長のお父様にあたる先代社長を亡くされた奥様が、70代で再婚を考えているようだ、といったご相談でした。
将来、相続に影響が出る可能性を心配されていたのでしょう。
当時は会計業務をしておりましたが、このご相談をきっかけに相続税務を専門的に学ぶようになりました。
お客さまのご質問にお答えするためには、知識を身に付けなければならないと感じたのです。
私自身が祖母の遺言書作成をサポートしたことも、相続への関心を深めるきっかけとなり、相続業務を専門としてやっていきたいと考えるようになりました。
――相続業務を担当されるようになってから、特に印象に残っている事案はありますか?
相続税申告のご依頼の際に、驚くべきことがありました。
相続税の申告業務を引き受けたお客様から「1,000万円もの現金が家の階段の踊り場から出てきた」と連絡をいただいたのです。
相続人の方々は現金の存在を知らず、同じ敷地の古い家の片付けをしていたときに出てきたとのことでした。
もちろん修正申告をして追加の税金も払いましたが、相続の事案では本当にさまざまな人生があり、予期せぬ出来事が起こりうるのだと実感しました。
――相続業務にあたる中、特に大変さを感じたのはどのような場面ですか?
相続の仕事は、「人の生き方そのもの」だと感じます。それぞれの人生や想いに向き合う必要があるので、相続人の皆さんとのコミュニケーションには、特に神経を使っています。
例えば、私が中立的な立場で、法律や制度に基づいたご提案をしても、相続人の方からなかなか反応をいただけなかったり、特定の方がご自身の主張ばかりを繰り返されたりする場合もあります。
そうなると、手続き面での話は進みません。
相続人同士で感情的なしこりがある場合は、特に難しいと感じます。
――そのような大変な局面では、どのように対応されているのですか?
まめに連絡を取り、こちらから促してそれぞれの希望を伺っていくときもあれば、少し距離を置いてみたほうがよいときもあります。それぞれの状況に合わせ、緩急をつけた対応が必要だと考えています。
相続人が複数人いらっしゃれば、それぞれで立場が異なり、想いもさまざまです。
税理士としては、相続人それぞれの立場をくみ取りながら、全員が納得できる着地点を見つける必要があります。
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税理士の役割は相続の「道案内人」となり、
相談者に安心していただくこと
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――相続に伴走する税理士には、どのような役割が求められると思いますか?
まずは、お気持ちに寄り添うことです。そして、複雑な制度や手続きがありますが「隣にいますから大丈夫ですよ」と安心していただくことも大切です。
そして、一般の方が相続に関する書籍などを読んでも理解しにくい部分を、わかりやすい言葉でご説明する「道案内人」のような役割が求められていると考えています。

――相談者の方に安心感をもっていただくために、具体的にどのような対応をされていますか。
まずは、じっくりとお話を伺います。どのような部分に不安を感じているのかを伺ったうえで、今後どういった手続きが必要で、いつまでに済ませなければならないのか、などについて丁寧にご説明します。
相続人の方であれば、相続財産がどれくらいあるのか、それをどのように分けるのか、税金を支払う必要はあるのか、など一つずつお話しさせていただきます。
多くの場合、一周忌の法要がある頃には相続関連の手続きが一区切りとなります。
「一周忌の法要では、財産を遺された方に『ありがとう』といった気持ちを込めて、お参りしてくださいね」とお伝えするところまでが、私の役割だと考えています。
――単なる手続きだけではなく、お気持ちにも寄り添って伴走されるのですね。
家族を亡くされて喪失感を抱えた相続人の方と接する際に、特に注意されていることはありますか?
ご高齢の相続人の方には、葬儀や四十九日を終えて一段落ついた頃に「これから事務仕事が半年から1年ほど続きますので、健康第一で乗り切りましょうね」とお伝えします。
ご家族が元気で円満に相続手続きを進められるようにお声がけしながら、着実にサポートさせていただきます。
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財産を持っている方自身が「争族」にならないための対策を
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――多くの方が「相続はまだ先のこと」と考えがちですが、岡本先生はどのようにお考えですか?
財産の規模にかかわらず、元気なうちに、ご自分が亡くなったあとのことを考えてみていただきたいと考えています。
財産を築いたご本人が、どのように分けるのか決めましょう、とアドバイスしています。
――具体的に、どのような準備から始めればよいのでしょうか?
遺言書を作成して、財産を誰にどのように引き継ぐのか、記しておくことをおすすめします。
規模に関係なく、財産があればそれだけでもめ事が起こる要因になります。
法的に有効な遺言書があれば、ご自身の意思を明確に伝えられるだけでなく、相続人同士の争いを未然に防ぐ助けになります。
――相続にお悩みの方へ、メッセージをお願いします。
ご家族に迷惑をかけたくないといったお気持ちがあるのなら、ぜひご自分の財産をどのように引き継ぎたいのか、その意思を明確に残しておきましょう。
相続対策は、税金対策だと考える方が多いですが、家族の争いを防ぐための対策こそ最善の相続対策だと思います。
相続にお悩みや不安のある方は、ぜひ一度、税理士法人 早川・平会計へご相談ください。
(ライター・安藤麻里)
