相続トラブルを解決するカギは徹底的に相談者の声に耳を傾けること
~36年の経験から語る相続問題への向き合い方~

札幌市の桶谷法律事務所の代表・桶谷治弁護士は、36年にわたり相続問題に向き合ってきました。
6名の弁護士がそれぞれ得意分野を持ち活躍する同事務所では、特に「徹底的に話を聞く」ことを大切にしています。
今回は、身近な相続トラブルとその解決法について伺いました。
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「100を知りたければ、300聞け」
~聞き続ける姿勢が生む信頼~
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――弁護士を目指したきっかけを教えてください。
父が裁判所の職員だったので、小さい頃から裁判所を身近に感じていました。今では難しいかもしれませんが、遊びに行くこともありました。
高校時代に若山富三郎さんが弁護士役を演じるドラマを見て、弁護士にあこがれました。それで法学部に進み、弁護士になったというわけです。
――36年の経験の中で、印象に残っている相続案件はありますか?
他の事務所で5件も断られたという方から相談を受けたことがあります。話を聞いてみると、言っていることは至極もっともなことなのですが、少し話が分かりにくい方でした。
最初は本筋とは関係のない話をされていましたが、粘り強く聞き続けるうちに、相続財産の権利関係の複雑さが見えてきたのです。
「100のことを知るためには、100の情報では足りず、300くらい聞かないと解決できない」というのが私たちの基本姿勢です。
時間の制約がある中でも可能な限り話をじっくり聞き、依頼者から情報を余すところなく集めることで、真の問題点が見えてきます。このケースも、徹底的に聞くことで適切な解決策を見出すことができました。
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「親の財産が減っている」
~増加する使い込みトラブルと解決法~
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――最近増えている相続トラブルにはどのようなものがありますか?
弁護士に持ち込まれる相続紛争の中で、かなりの割合を占めているのが「使い込み」の問題です。
親と同居していた相続人の1人が親の財産を使い込んだのではないか、と他の相続人から疑われるケースが非常に多いです。
同居していた側からしてみれば「面倒も見ないで文句ばかり言って」と思う一方で、離れて暮らしていた側は「親の預金が減っている」と不審に思い、対立が深まります。
通帳の開示を求められても「親の世話も何もしていないきょうだいに見せる筋合いはない」と拒否してしまい、溝が深まるケースもあります。
――相続人同士で使い込みを疑うようなトラブルをどう解決していますか?
同居していた方からすると、「見せたくない」という気持ちも理解できますが、私は「そこまで見せてもらわなくてもよい、というくらい徹底的に見せてあげた方がいい」とアドバイスします。
自ら積極的に情報を開示する姿勢を見せることで、相手方にも情報の開示を求めやすくすることができ、相互に情報を開示しないことによる不信感や疑念を払拭して、相互の信頼感を醸成することにより紛争の解決につながるからです。
また、親の側にも伝えることがあります。
いつも一緒に住んでいる子どもに対してはついつい愚痴や文句が出がちである一方で、離れて暮らしていてたまに来る子どもには優しく接しがちです。
子ども側もたまに訪問する側だとまだ親に優しく接するエネルギーが残っていますが、いつも一緒にいる子どもたちは親と一緒にいることが日常であり、毎日の世話や介護で疲れている場合もありますので、ふとしたきっかけで仲違いすることもあります。
その結果、たまに来た子どもに優しく接してもらった時に、日ごろ世話になっている同居の子どもの悪口を言ったりして、それが親の死後、「親は同居していた人の介護に不満を持っていた」という主張につながることがあります。
こうした何気ない言動も、後に紛争の種になりかねないのです。
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「早めの相談が解決への近道」
~人生をかけて築き上げた集大成を適切に遺すために~
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――相続で揉めやすい他のパターンはありますか?
遺産の問題の解決策として、遺言の作成がよく取り上げられています。確かに有効な手段の一つではありますが、遺言はすべてを解決する魔法の杖ではありません。
高齢化に伴い、遺言する際に遺言者が正常に物事を判断する能力があったかどうかが問題になる事例も増えています。
90歳を過ぎると、誰でも判断能力に波が出てきます。調子の良い時と悪い時があるのです。
相続が発生して、高齢になってから書いた遺言書が見つかった場合、あまり頻繁に会っていなかった相続人からすると「あんなに具合が悪かったのに、こんな立派な遺言書を作れるはずがない」となります。
一方、一緒に住んでいた側は「普段はしっかりしていて、調子が良かった」「自分から積極的に遺言書を書くんだと意気込んでいた」と主張します。
こうした認識の違いから、遺言の有効性を巡って深刻な対立が生じることがあります。

――相続に悩む方へのアドバイスをお願いします
なるべく早く相談していただくのが望ましいです。
特に札幌は、冬になると不動産が売れにくく、相続開始から10ヶ月以内に行わなければならない相続税の支払いに困ることがあります。
事前に現金を用意しておくなど、対策を講じておくことが重要です。
また、親の認知機能に不安がある場合は、成年後見制度の利用も検討すべきです。生前から対策を取ることで、親の財産を親のために適正に処分して適正に使い、使い込みなどといった無用の誹(そし)りを受けることがないようにすることができます。
遺言書作成も有効な事前対策ですが、それだけでは十分ではありません。
なぜそういう内容の遺言を作るに至ったかについて、相続人の間で情報が共有され、理解が十分でないと、後で遺言により不利益を受ける側の相続人が「そんな話聞いてない!●●が無理矢理オヤジに作らせたに違いない」となり、ついには「無理矢理作らされた遺言は無効ではないか」という紛争に発展しかねません。
遺産というのは、その人が人生をかけて築き上げた集大成です。だからこそ、それを適切に次世代へ承継することは、のこして逝く人の役割であり、残された家族への最後の贈り物とも言えるでしょう。
桶谷法律事務所では、36年の経験と6名の弁護士の多様な専門性を活かし、相続に関わる税金、不動産、家族関係など複雑に絡み合う問題を、チーム一丸となって解決いたします。
初回相談30分は無料ですので、少しでも不安や疑問があれば、今すぐご相談ください。
100の解決のためには300の情報を集めるつもりでどのような話でも耳を傾けます。
(ライター・荻野光希)
