「相続は、心に寄り添う仕事」
生命の危機をさまよった経験から生まれた「伴走者」としての使命感

幼少期から税理士という職業に憧れを抱いてきた南部友紀税理士事務所の南部友紀代表。「相談者に寄り添い、一緒に歩いていく」という信念のもと、単なる手続き代行を超えた伴走者として、相続に関わるさまざまな問題解決に取り組んでいます。
調停まで発展した相続トラブルを解決に導いた印象深い事例や、出産時の生死をさまよった体験から生まれた使命感、相続の専門家としてあるべき姿について、詳しくお話を伺いました。
------------------------------------------------------------------
幼少期から憧れていた税理士へ
心にため込んだ悩みまで耳を傾けることを大切に
------------------------------------------------------------------
――税理士を志したきっかけを教えてください。
税理士は、小さい頃から身近な存在でした。
実家が商売をしていたため、小さい頃から、その顧問税理士の先生のところへ連れて行ってもらう機会がありました。
とても優しくて面白い先生で、幼心に「税理士さんは困りごとを助けてくれる人」といった良い印象を抱いていました。
――資格取得を意識したのはいつ頃ですか。
母から「これからは女性も資格を持っていた方がいい」とアドバイスされたのがきっかけです。
大学では経営学や税法を学び、将来独立しても続けられる仕事として税理士の資格取得を目指しました。
――実際に税理士として活動される中で、面談で大切にされていることはありますか?
幼少期に相談する側の立場で税理士という仕事を見てきた経験から、ご相談者の話をじっくりと伺うことを大切にしています。
――じっくり話を聞くことで、どのような効果を感じていらっしゃいますか?
実際、相談に来られる方の悩みは、税金に関することだけではありません。
家族関係や介護、亡くなった方に関することを話しているうちに、泣き出される方もいらっしゃいます。
今まで誰にも話せず、心の中にため込んでいたのだと思います。
私に話していただくことで少しでも心が軽くなればという思いから、ご相談者様には「何でも話してくださいね」とお伝えしています。
まるでカウンセラーのようだと感じることもありますね。それでも、ひとしきり涙を流された後に「話せてよかったです」と仰っていただけるのは、本当にうれしい限りです。
------------------------------------------------------------------
難航する相続案件で税理士として調停までバックアップ
------------------------------------------------------------------
――相続のご相談の中で、特に印象に残っている事例について教えてください。
あるご兄弟が、お祖母様の遺産を巡り、叔父様と折り合わなかったケースです。
相続人は孫にあたるご兄弟と、祖母と同居していた叔父の3名でした。ご兄弟はすでに亡くなっているお父様の代襲相続人でした。
叔父は無職で祖母に経済的に依存しており、維持管理費が払えないため、兄弟に自宅を相続させてその代わりに金銭を相続したいと要求しました。
兄弟にはそれぞれに住まいがあり祖母の自宅は不要であったため、話し合いでは溝が埋まらず、最終的に調停で解決を図ることになりました。
――調停では、具体的にどのようなサポートをされたのですか。
まず、調停をしている間に相続税の申告期限を迎えるため、ご兄弟の法定相続分に基づいて「未分割申告」を行い、納税を済ませました。
調停に際しては、必要な資料の作成をお手伝いし、主張したいことをすべてメモにまとめておくといったアドバイスをいたしました。
結果的に、自宅は叔父様が相続し、有価証券や預貯金は法定相続分で分けることとなり、依頼者である兄弟の主張が通る形で解決しました。
「先生に頼んで良かった」と言われたときは、本当にうれしく思いました。
――税理士の先生が調停の支援までされるのは珍しいのではないですか。
あまり多くはないと思います。依頼者からは調停の場に同席してほしいと頼まれましたが、弁護士資格はないため、税理士として可能な範囲で最大限のサポートをさせていただきました。
ご相談者側が無理な要求をしていたわけではないので、ご兄弟の主張は通ると確信していました。
調停が終了した後は、ご兄弟の相続税について改めて修正申告を行い、全ての税務手続きを完了させました。
調停になった場合には客観的な資料が不可欠です。
当事務所は資料作成の専門家として、お客様の複雑な状況を整理し、適切な主張をサポートすることができました。

------------------------------------------------------------------
二度の心肺停止の経験から生まれた使命感
依頼者と「一緒に歩いていく伴走者」でありたい
------------------------------------------------------------------
――ここまで依頼者に寄り添うスタイルで対応される理由を教えてください。
税理士登録をしてすぐの頃、出産の時に私の母体が危険な状態となり、2度心肺停止状態となりましたが、奇跡的に命を救っていただいた経験があります。
三重県では初めてのケースで、私も子どもも助かったのは本当に奇跡的な確率だったそうです。
いろいろなラッキーが重なって、多くの医療従事者の方に助けていただきました。
これは「与えていただいた命」だと感じています。
この経験から、助けていただいたご恩を、ご相談に来られる方々へお返ししていきたいという思いで、日々の業務に取り組んでいます。
――相続の依頼を受ける専門家には、どのような役割があるとお考えですか。
私は、単なる手続き代行屋ではなく「一緒に歩いていく伴走者」でありたいと思っています。
大切な方が亡くなり、落ち込む暇もなく一生に一度あるかないかの複雑な手続きや税金の申告をしなければならない相続は、精神的に大きな負担がかかるものです。
だからこそ、お一人で抱え込まず、私たち専門家をうまく利用して頼っていただきたいと思います。
――どのようなタイミングで相談に行くのが良いですか。
生前の対策であれば、「思い立ったらすぐ」がベストです。
自分は大丈夫と思わずに、相続について少しでも疑問や不安が生じたら、ご相談ください。
相続が発生した場合は、四十九日の法要が終わった頃が一つの目安です。
相続税の申告は10カ月の期限があり、期限を過ぎると特例が使えなくなる場合もあるため、早めのご相談をおすすめします。
――相続での相談をご検討中の方に、アドバイスをお願いします。
お気持ちや考えがまとまらないままご相談に来ていただいて、まったく問題ありません。
相談者の「わからないこと」を会話の中で探っていくのも、私たちの仕事の一つだと考えています。
話している間に、潜在的な悩みに気付かれる場合もあるので、問題が明確になったら解決策をアドバイスさせていただきます。
世間話をしに行くようなお気持ちで、お気軽にお越しください。
ご一緒に問題の糸口を探り、解決へと歩んでいきましょう。
(ライター・安藤麻里)
