
司法書士事務所神戸リーガルパートナーズの井上佐知子代表司法書士は、海外の法律事務が関わる相続を数多く解決へ導いてきました。複雑な相続案件でも、あらゆる可能性を探り、最善の方法で解決を目指すことで、多くの相談者から信頼を得ています。
今回は、難易度の高い相続にも伴走する井上代表が、司法書士を目指したきっかけや難しい案件とどう向き合っているのか、大切にしている信条について話を伺いました。
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幅広い分野で人の役に立てる仕事を目指し「司法書士」の道へ
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――司法書士の仕事を選んだきっかけを教えてください。
世の中から戦争をなくしたいとの思いから、中学時代の夢は「総理大臣になること」でした。
法律を学び始めたのは、多くの国会議員が法曹資格を持っていると知り、大学で法学部を選んだのがきっかけです。
法律を学ぶ中で、司法書士という仕事に興味をもちました。司法書士は、もめ事や争いが生じたときはもちろんですが、会社設立の登記申請、不動産取得の登記申請など、おめでたい場面でもお役に立てるんですよね。
さらに司法制度改革によって、司法書士に簡易裁判所における訴訟代理権が付与されるなど、より幅広い業務が可能になりました。
多くの人の人生に触れ、さまざまな場面で力になれる司法書士の仕事内容に魅力を感じ、この道を進もうと決めました。
――司法書士の業務の中でも、国際的な相続の依頼を受けるようになったのはなぜですか。
司法書士事務所神戸リーガルパートナーズをともに開設した佐伯司法書士が、もともと国際的な相続事案を取り扱っていたので、私も携わることになりました。
私自身は特に英語を話せるわけでもなかったので一から法律英語を学び、国際相続特有の調査にはノウハウ本もないのでその都度いろんな調査や書面の工夫をしながら経験を積み上げてきました。
助けを必要としている外国籍の方やそのご家族は大勢いる一方で、対応できる事務所は少ないと感じます。
一人でも多くの方の力になれればとの思いで、困難なご相談でも解決のお手伝いができるよう、日々業務にあたっています。

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「踏み込む勇気」と「行動力」があればハードルは越えていける
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――国際的な相続は難易度が高く、他の事務所で「対応できない」と断られてご相談に来る方も多いと伺いました。
こうしたご相談を解決へ導いてこられたのは、どのような要因があったからだとお考えですか。
踏み込む勇気をもって行動してきたからだと考えています。わからないことは調べたり、海外の専門家の協力を得たりしながら、積み重ねてきました。
言語の壁も同じです。外国の方とのコミュニケーションを通して1から独学で学び、話せるようになりました。
英単語の細かいニュアンスの違いがわからず、言葉の選択がその場にそぐわないとおしかりを受けたこともありましたが、多くの失敗を重ねたからこそ身についたのだと思っています。
また、現在は諸外国のさまざまな専門家とコネクションがありますが、もともとのきっかけは海外で開催された国際会議に足を運んだことで築かれたつながりです。
そこから一つひとつの案件を通して信頼を積み重ねて、人脈もさらに広がっていきました。
――一つひとつの積み重ねが強みをつくっていったのですね。
はい。踏み込む勇気と行動力、そして目的を成し遂げるために知らないことを学ぶ労力や時間に投資する気持ちがもてれば、知識やノウハウは蓄積されていきます。
難しいご相談でも「この部分は通訳の方に入ってもらえばできる」「ここは海外の専門家に協力してもらえればできる」など、常にあらゆる可能性を模索しながら、最適な解決方法を提案しています。
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相談者との信頼関係が生む心のつながりを大切に
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――司法書士として相続のサポートをするうえで心がけていることはありますか。
事務所のスタッフには、相談者の方にメールを送るとき、文面がきつくならないよう繰り返し伝えています。
相手に対する敬意やお悔やみの気持ちが感じられる文章でなければならないと思うのです。
言葉はそのときの心理状況が反映されやすく、事務的な作業になってしまうと、それは相手にも伝わるものです。
ひと言でもあたたかみが感じられる言葉を入れたり、語尾を変えたりして相談者に寄り添う姿勢が、相続に伴走する司法書士には必要だと考えています。

――相談者の方との信頼関係を重視されているのですね。特に印象に残っているご相談があれば教えてください。
ご相談に対応する中で相談者の方と心理的な交流ができたときは、大きな喜びを感じます。
沖縄県の軍用地の相続で、相続人である沖縄に住む方と移民としてハワイに住んでいる方の間で意思疎通がうまくいかないとご相談があったケースは、印象に残っています。
私も沖縄を訪れて、協議の場に同席させていただきました。
結果的に相続持ち分でのもめごとではなく文化の違い方生じた単なる行き違いだということを説明し、双方から信用していただけて、お互いが納得できる形で合意に至りました。今でも交流が続いているのは大変ありがたいと感じます。
オンラインではなく実際に会いに行き、それぞれの文化的な考え方を尊重しながら対立しないように進めたことが、成功の要因だと考えています。
――今後挑戦してみたいことはありますか。
相続に関する情報発信は需要があると考えているので、運営しているYouTubeチャンネルで、動画の英語版もつくりたいと検討しています。
司法書士事務所神戸リーガルパートナーズが運営するYouTubeチャンネルはこちら
先日、国際結婚をされた方々の集まりに招待していただき、英語で相続に関するプレゼンテーションをしました。
英語でのプレゼンテーションは資料づくりも労力がかかりますが、日本在住の方だけでなく、海外にお住まいの方で情報を必要としている方は多いはずです。国内外問わず、相続にお悩みの方のお力になれればと考えています。
(ライター・安藤麻里)
