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相続税を延納するには?延納の期限や要件、メリット・デメリットについて解説

更新日:2022.05.27

相続税を延納するには?延納の期限や要件、メリット・デメリットについて解説

「相続税を現金一括で支払えない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。特に近年、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減り、相続税の現金一括納付が困難な人が増えています。相続税には分割払いができる延納という制度もありますが、細かな要件が定められており、希望するすべての人が利用できるわけではありません。そこでこの記事では、相続税の延納について詳しく解説します。ご自身が利用できるかどうかの判断にお役立てください。

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相続税の延納とは?分割払いが可能に!

相続税は金銭での一括納付が原則です。そして、相続が発生してから10カ月以内に納付しなければなりません。ただし納付すべき相続税が10万円を超え、一括納付できない理由がある場合、申告書の提出期限までに「延納申請書」を提出することで分割払いが可能になります。この制度を「延納」といいます。延納を申請するには満たすべき4つの要件があり、その内容について以下に詳しく解説します。

延納を申請するため4つの要件

相続税の延納は以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。

1. 納付すべき相続税額が10万円を超えている

2 .金銭での一括納付が難しい理由がある

3. 延納税額および利子税額に相当する担保を提供している

  (ただし延納税額が100万円以下で延納期間3年以下の場合は担保不要)

4. 延納申請の相続税の納期限または納付日(延納申請期限)までに延納申請書を提出する

まず、相続税が10万円以下の場合は延納を申請できません法定相続人が複数いるケースで相続税の額が総額10万円を超えていても、申請者個人に課せられる相続税が10万円以下の場合は延納の申請はできないので注意しましょう。

続いて、相続人の預金を使ったり相続財産を現金化したりして、延納前に納付することが前提です。それでも足りない税金分が延納の範囲となります(これを許可限度額といいます)。

たとえば相続税が1,000万円で相続財産が500万円の場合、1,000万円-500万円で不足分は500万円です。自身の預金が400万円あると仮定した場合、生活のために100万円を手元に残せば、残り300万円を納付に回せるでしょう(生活費の金額計算は複雑なので、専門家に相談しましょう)。すると相続税の残りは200万円(不足分500万円-預金300万円)となり、この不足分200万円が延納として認められる可能性があるのです。

延納が認められれば、担保の提供が必要になります。担保は万が一支払いが滞った場合に現金化され、その中から相続税が回収されます。なお、担保として認められている財産には以下のものがあります。

国債および地方債

・社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの

土地

・建物、立木、登記される船舶などで、保険に附したもの

・鉄道財団、工場財団など

・税務署長が確実と認める保証人の保証(認められない場合は変更が必要)

担保の提供で多いのは土地ですが、抵当権が設定できて相続税を支払えるほどの価値があり、売却可能といった条件が必要です。ただし延納税額が100万円以下、かつ延納期間3年以下の場合は担保不要です。

そして、相続が発生した日から10カ月以内に延納の申請書を提出します。担保が必要な場合は、担保提供関係書類も必要なので早めに準備しましょう。延納申請書が提出されると、延納の申請期限から3カ月以内に許可もしくは却下が行われます。

期限までに担保提供関係書類が準備できない場合は「担保提供関係書類提出期限延長届出書」を提出することで、最長6カ月まで提出期限を延長できます。

延納できる期間

相続税を延納できる期間は、課税相続財産に占める不動産等の割合に応じて5年~20年間と定められています。原則5年ですが、財産価額のうち不動産等が50%以上を占めている場合は、最長20年まで延納が認められます。

ただし延納税額が150万円未満(※1)の場合、不動産価額の割合が50%以上(※2)でも、延納税額を10万円で割った数字が延納期間の限度となります。たとえば延納税額100万円の場合、100万円÷10万円=10年間が延納期間になるということです。なお、森林経営計画で一定の要件を満たせば、延納期間は最高40年まで認められます

※1:不動産等の割合が50%以上75%未満の場合における森林計画立木の割合が20%以上の場合の森林計画立木に係る延納相続税額、もしくは不動産等の割合が75%以上の場合で、不動産等に係る延納相続税額および森林計画立木の割合が20%以上の場合の森林計画立木に係る延納相続税額が200万円未満

※2:不動産等に係る延納相続税額および森林計画立木の割合が20%以上の場合の森林計画立木に係る延納相続税額の場合は75%以上

延納にはデメリットも!利子税がかかる

延納期間中は延納税額に利子税が発生します。利子税の割合は年2.1%から年6%です。また利子税の期間は、財産に占める不動産等の割合によって5年から最長20年と定められています。

【相続税の延納期間及び延納に係る利子】


※出典:国税庁HP「No.4211 相続税の延納」

上記の表で分かるとおり、「不動産等の割合が50%未満の場合」で「一般の延納相続税額」の場合の延納利子税は年6.0%と最も高い数字となっています。

一方、「不動産等の割合が75%以上の場合」「不動産等の割合が50%以上75%未満の場合」「不動産等の割合が50%未満の場合」いずれのケースでも、「森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額」で延納利子税は年1.2%と最も低い数値です。

ただし利子税には特例が設けられており、各年の延納特例基準割合*が7.3%に満たない場合、利子税の割合は以下の計算で算出された割合(特例割合)が適用されます。

※各分納期間の開始の日の属する年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年0.5%の割合を加算した割合

計算式:納利子税割合×延納特例基準割合÷7.3%

(0.1%未満切り捨て。ただし、この計算式で求めた値が0.1%未満の場合は0.1%となります)

延納申請に必要な書類一覧

相続税の延納に必要な申請書は以下のとおりです。

・相続税延納申請書

・相続税延納申請書別紙(担保目録及び担保提供書)

・金銭納付を困難とする理由書

・不動産等の財産の明細書

相続税延納申請書 基本となる書類です。延納申請税額や不動産などの割合、分納税額の計算の明細などを記載する必要があります。提供する担保が土地や建物などの場合は、各種確約書の記載も必要です。
相続税延納申請書別紙
(担保目録及び担保提供書)
土地、建物、有価証券、保証人で用紙が分かれており、担保物権の詳細などを記します。
金銭納付を困難とする理由書 納付期限までに納付できる金額の計算、延納によって納付する金額の計算、生活費の計算や配偶者その他親族の収入などを記載します。添付書類として前年の確定申告書・収支内訳書、源泉徴収票などが必要です。
不動産等の財産の明細書 財産の価額や内訳を記します。

次に、届出書関係書類として以下のものが必要となるケースもあります。

・抵当権設定登記承諾書

・納税保証書

・担保提供関係書類提出期限延長届出書

・担保提供関係書類補完期限延長届出書

・変更担保提供関係書類提出期限延長届出書

・担保物変更(一部解除)申出書

抵当権設定登記承諾書 担保として抵当権契約を承諾する書類です。
納税保証書 保証人に関する書類です。
担保提供関係書類提出期限延長届出書
担保提供関係書類補完期限延長届出書
前述したようにのとおり「期限までに担保提供関係書類が準備できない場合」に提出が必要な書類となります。
変更担保提供関係書類提出期限延長届出書 担保の変更が必要なケースで提出期限までに提出できない場合に延長を希望する書類です。
担保物変更(一部解除)申出書 担保の変更や一部解除を申出るための書類となります。

相続税の延納で必要な基本書類は以上ですが、書類の書き方や様式、求められる書類の種類は変更される可能性があるので、常に最新情報を収集しておきましょう

また申請書類の作成や添付書類は複雑ですし、記載を間違うと延納できないリスクもあります。申請の際には、税理士など税の専門家への相談をおすすめします。専門家に相談すれば「延納が可能かどうか」や「延納によるメリット」を正確に教えてもらえますし、申請書類の作成や提出の代行なども任せられます。

最終手段!?延納も難しい場合は物納への変更も可能!

延納でも相続税の納付が難しい場合には、物納という手段を選択できます。物納とは金銭の代わりに、不動産や有価証券のような財産的価値があるもので相続税を納める方法です。申告期限から10年以内に限り、分割期限がまだ到来していない部分の税額を物納に変更できます。このことを特定物納制度といいます。

物納できる財産は、相続税の課税対象となった日本国内の財産と定められており、具体的には以下のものがあります。

第1順位:国債、地方債、不動産、船舶、上場されている社債・株式・証券投資信託の受益証券

第2順位:社債、株式、証券投資信託の受益証券(第1順位の対象を除く)

第3順位:動産

物納財産の価額が相続税額を超えることは基本的に認められていませんが、やむを得ない事情があれば認められます。その場合の差額は金銭によって還付され、その金銭に譲渡所得税が課税されます。なお、延納は贈与税にも認められますが、物納は相続税にしか認められない制度です。

ただし物納財産を納付するまでの期間に応じて、当初の延納条件による利子税を納付する必要がある点に注意しましょう

延納は相続税の分割払いが可能に!ただしデメリットを踏まえてから検討しよう

延納とは、相続税の支払いで認められている分割払いの制度です。相続税を支払うために財産を手放す必要がなく、経済的な負担を軽減できるでしょう。利子税がかかるというデメリットもありますが、相続税の支払いが困難な場合は検討されてみてはいかがでしょうか

なお、相続税が100万円以上ある場合は土地などの担保が必要なので、まずは税理士のような専門家に相談することをおすすめします。

相続の悩みはどの専門家に相談すればいい?

こちらの記事をご覧になられている方は、相続が発生して間もない方や、これから相続が発生しそうな方ではないでしょうか。これらの方で相続に関しての疑問や不安が一切ないという方は少なく、ほとんどの方が相続の手続きや相続税について、場合によっては相続人間の相続トラブルで悩まれる方もいらっしゃいます。このような相続悩みの相談先を検討した際に、この相続の悩みはどの相談先が適当なの?と最初の相談先をどの士業にすべきか分からない方が多くいらっしゃいます。

下記にどのような悩みを各士業に相談すべきかをまとめましたので参考にしてみてください。

【司法書士、行政書士:主に相続手続きに関する相談先です】

・相続手続きで何から手を付けていいか分からない

・忙しくて相続手続きをしている時間がない

・相続人間で揉めてないが、相続手続きをサポートして欲しい

・相続財産に不動産があり、名義変更が必要(司法書士が対応)

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税理士:主に相続税に関する相談先です】

・相続税がかかるかどうか知りたい

・相続税申告の方法が分からない

・相続財産が多い(相続税がかかりそう)

・相続税の納税額を抑えたい

【弁護士:主に相続トラブルに関する相談先です】

・遺産分割で揉めそう、揉めている

・もらえる、もらった財産が少ない

・遺産が隠されている、使い込まれた可能性がある

・出てきた遺言に納得できない

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この記事の監修者

新井智美/トータルマネーコンサルタント

・ファイナンシャルプランナー(CFP®)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・DC(確定拠出年金)プランナー
・住宅ローンアドバイザー
・証券外務員

コンサルタントとしての個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)や、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師のほか、大手金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績 は2,000本を超える。

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