1. 相談前
相談者様の父が不動産を担保にして金融機関から借り入れをしており、その際の債務が残った状態で借り入れ名義人の父が亡くなりました。
相談者様が金融機関から「不動産の名義変更しなければ、融資ができない」と言われ、困った相談者様が当事務所にお越しになりました。
相続人には未成年のお子様がいらっしゃいましたが法定相続分通り名義変更をすると、未成年のお子さんも債務を引き受けなくてはならない可能性がありました。
2. 相談後
当事務所で、家庭裁判所に納得がいくような代償分割型の遺産分割協議案を提示しました。
代償分割ということで相談者様とお子様の二人で遺産分割をし相続を行うのではなく、相談者様が全ての土地を相続することにしました。
そのため、不動産の代償分割に付随し、相続される負債も相談者の方が全て背負う形をとりました。
また、当事務所の司法書士が特別代理人の選任の手続きもとりました。
「未成年の子供には借金を相続させたくない」という相談者様の願いを叶える形で遺産分割協議を無事に行えました。
また、金融機関との間で債務引き受けが完了して借金の相続をせずに済みました。
土地の名義変更も無事完了したので融資も受けることができました。
3. 事務所からのコメント
今回のケースのように未成年の相続では成人した大人の相続と異なる点、特に注意しなくてはならない点が存在します。
特に特殊な点が二つあります。未成年の相続が発生している場合、この点を必ず頭に入れておいてください。
①未成年控除の存在
未成年の相続が発生した時には、通常の相続税から税額の控除が発生します。
これは未成年の相続人が大人になるまでに必要になる教育費等の養育に必要になる費用を勘案し、「相続における負担を減らす」という目的の元に行われる控除です。
実際には「相続税額ー年齢に応じた控除額」として控除されます。
なお、例えば未成年の相続人の相続税額が「30万円」、年齢に応じた控除額が「100万円」と控除額の方が大きくなる場合は、他の相続人の相続税額から差額「70万円」を控除として引くこともできます。
②未成年の相続人は法律行為を行えない
未成年の相続人は、自身で「遺産分割協議」や「相続放棄」等の法律行為を行うことができません。
そのため今回のケースのように未成年の相続人について、遺産分割協議を行いたい場合には「特別代理人」を選定する必要があります。
この「特別代理人」は家庭裁判所に申し立てを行い、選定を行います。その際に基本的には親がそれにあたる「法定代理人」を「特別代理人」に選定することはできません。
あくまで特別代理人は相続による利害関係のない人物を選定する必要があります。
以上の二点が特に覚えておくべき「未成年の相続」における注意点になります。
特に二つ目の「特別代理人」については未成年の相続が発生するまで知らなかったという方も多いのではないでしょうか?
未成年が行えない法律行為の中には「相続放棄」も含まれます。この相続放棄は期限が相続の発生から3か月となっており、のんびりしていると期限を過ぎるということも少なくなく、注意が必要です。
未成年の相続に関して
・そもそも未成年の相続がよくわからない
・未成年控除の申請の仕方がわからない
・未成年の相続人の相続放棄を行いたい
・特別代理人の選定を行いたいがどうすればいいかわからない
・将来的に未成年の相続が発生しそうで対策をしたい
といった思いや悩みをお持ちの方は一度相続の専門家に相談してみることをおすすめします!
この事例を解決した事務所
司法書士法人南海リーガル( 愛媛県 松山市)
女性司法書士を含める司法書士2名在籍で、相続手続きや相続登記など、相続に特化し充実した対応が特徴です。専用駐車場も完備、車での来所も可能です。ご来所が難しい方には出張訪問や電話・テレビ電話での相談も承っています。
この記事の執筆者:つぐなび編集部
この記事は、株式会社船井総合研究所が運営する「つぐなび」編集部が執筆をしています。
2020年04月のオープン以降、専門家監修のコラムを提供しています。また、相続のどのような内容にも対応することができるように
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