最近では新聞購読する家が減ってきているものの、まだまだ新聞購読している家は多くあります。
しかし、新聞を購読していた契約者や新聞の購読者が死亡してしまった場合、新聞を解約することは可能なのかわからず不安を抱えてしまう方もいるでしょう。
そこで今回は、契約人が死亡してしまった後でも新聞購読を解約することはできるのか、その手続き方法や注意点について解説していきます。
目次
1. 故人の契約と相続の関係
契約と相続に関する基本的な知識を把握しておきましょう。
まずは、死亡した故人の契約と相続の関係について解説していきましょう。
1-1 故人の契約は原則相続人へ承継される
亡くなった人を被相続人、資産を承継する人を相続人といいます。
被相続人の契約は、原則として相続人へ承継されます。
これは、相続開始時から被相続人の財産に関係する一切の権利義務を相続人が承継することと民法896条で定められており、権利義務の中には契約関連や売主・買主などの地位、さらには借金も含まれています。
このように、死亡した被相続人の権利義務全てを承継することから、「包括承継の原則」と言われることもあります。
相続人に承継されるケースでよくあるのが、自動車に関する相続です。
相続人は自動車の買主の地位を引き継ぐことになるので、ローンなどで購入した自動車の代金を支払っていかなければなりません。
その際、自動車の名義を死亡した被相続人から相続人である人へ変更することが可能となる権利も承継されます。
もちろん亡くなる前に、相続人へ契約を引き継がせないことを合意した契約をしていた場合には相続人に契約が引き継がれることはありません。
しかし、そのような契約を行っていることはほとんどありませんので、基本的には相続人へ契約そのものが引き継がれることになっています。
1-2 不要であれば速やかに解約手続きを行う
被相続人の契約を確認し、相続人にとって不要であれば速やかに解約手続きを行ってください。
連絡をせずに放置していると、亡くなった事実をサービス提供している会社は把握できないことから継続的に利用しているとみなされてしまい、サービスによっては料金を請求されることもあります。
契約人が死亡しても勝手にサービスが解約されることはないので、相続人にとって不要であれば早急に解約手続きを行うようにしましょう。
2. 契約人死亡後、新聞を解約することは可能?
基本的には、契約を解消する場合には契約者本人の合意やサインが必要となります。
また、新聞購読の場合は契約満了にならないと解約に応じてもらうことができないこと、もしくは解約できたとしても解約に対する違約金・解約金などが発生してしまうこともあります。
契約人が死亡してしまった後でも、新聞を解約することは可能なのか不安になってしまう方も少なくありません。
ここからは、契約人死亡後でも新聞の解約は可能であるのか解説していきます。
2-1 権利移行後に解約することは可能
新聞購読も契約となるので、基本的には契約者が死亡してしまった場合には相続人へ引き継がれることとなります。
新聞の解約については、相続人への権利が移行した後に可能となっています。
また、日本新聞協会と新聞公正取引協議会において、新聞の途中解約に関する指針として2013年11月21日に「新聞購読販売契約に関するガイドライン」を策定しています。
この新聞購読販売契約に関するガイドラインの中でも、購読者にやむを得ない正当な理由があれば解約できるとしているのです。
契約者の死亡に関しては、「購読者の死亡、購読が困難になる病気・入院・転居など、解約が合理的だと考えられるとき」に解約に応じるべきだとしています。
新聞解約の手続き時に、契約者が死亡してしまったことをしっかりと伝えることが大切です。
2-2 解約せず放置しているとどうなる?
解約などの手続きを行わずに契約を放置していた場合、そのまま新聞購読の料金が発生してしまうことになります。
また、新聞を購読し続ける場合でも名義変更を行わなくてはいけません。
名義変更などの手続きを怠ってしまうと、支払いなどでトラブルに発展する恐れもあるため注意してください。
名義変更を行う場合には、相続で契約を引き継いだ新しい契約者の口座情報なども必要となることがあります。
あらかじめ、引き続き購読する場合には名義変更をして新しい口座情報から料金の引き落としをしてもらうように手続きを行いましょう。
3. 新聞の解約手続きのやり方
新聞購読の契約は相続人へ引き継がれますが、そのまま解約手続きに移行することは可能です。
解約手続きをしておかないと契約はそのまま引き継がれ、料金も発生してしまいます。
では、どのように解約手続きを行えば良いのでしょうか?
ここからは、具体的な新聞の解約手続き方法について解説していきます。
3-1 契約している販売店へ問い合わせる
まずは、新聞の解約手続きを行うために、契約している販売店へ問い合わせてください。
ここで注意してほしいのは、新聞を発行している会社ではなく販売店へ問い合わせることです。
もし、販売店への連絡先が分からない場合には、ネットで新聞社の販売店を調べてみてください。
新聞を発行している会社から販売店を調べられる場合もあります。
例えば、朝日新聞であれば地域名とASAを検索エンジンに入力して検索すると販売店が分かるようになっています。
読売新聞であれば販売店検索サイトがあるので、読売新聞のサイトから検索すると販売店も分かるでしょう。
3-2 違約金・解約金などが発生するか確認する
販売店が判明し問い合わせる際には、必ず契約者が亡くなってしまったことと問い合わせている自分が相続人であることを伝えてください。
契約内容(定期購読や契約期間満了までに期間が残っている場合)によっては、解約に対する違約金・解約金が発生する可能性もあります。
あらかじめ、問い合わせた際に違約金や解約金などが発生するかどうかをしっかりと確認しておくことをおすすめします。
4. 新聞の解約時にトラブルが発生したら?
新聞だけではありませんが、解約時にトラブルが発生する可能性も十分に考えられます。
新聞の解約は基本的にはガイドラインに沿って行われますが、クーリングオフ期間以外での解約は難しいです。
クーリングオフというのは契約書面を受け取った日から8日以内で行えるものなので、例えば相続によって何年間も継続購読されていた契約には利用できません。
新聞の購読契約は、数年先までの契約や長期間での契約となっていることがほとんどです。
しかし、契約期間が長くなればなるほど期間中に様々な理由から継続が困難になってしまうこともあります。
前述したとおり、契約者が死亡してしまった場合には解約の申し出に応じるべきだとガイドラインにも記載されていますが、場合によってはしつこく契約を継続するように迫られてしまうこともあります。
さらに、契約事項があるからと過大な違約金や解約金が求められてしまう場合もあるので注意が必要です。
ガイドライン上では、購読者の死亡などの解約以外で解約の申し出があった際にも契約事項を振りかざしての過大な違約金や解約金、損害賠償の請求は要求してはならないとあります。
しかし、通常契約者や相続人はこのようなガイドラインを知らずに解約の申し出を行うことがほとんどで、一方的に解約条件を出されても納得してしまう方も少なくありません。
解約は、通常話し合いによって解決し、解約の申し出に応じる場合は解約の条件に販売店側と購読者側の両者が合意し決定するとしています。
解約の条件で違約金や解約金、損害賠償などを求められた場合、納得できなければ合意しないようにすることが大切です。
万が一、解約時に上記のようなトラブルが発生してしまった場合には、消費生活センターへ連絡してみてください。
消費生活センターは全国各都道府県に設置されており、商品やサービスなどの消費生活の全般に関しての苦情や問い合わせ、相談などを受け付けています。
自身の都道府県の消費生活センターが分からなければ、全国共通の消費者ホットライン「188」にて案内してもらうことができます。
最寄りの消費生活センターの相談窓口につながらない場合であれば、国民生活センターの平日バックアップもしくは国民生活センター休日相談を利用してみてください。
国民生活センター休日相談は、消費者ホットラインの番号にて受け付けています。
相談する際には、通話料金が発生するのであらかじめ承知しておきましょう。
5. まとめ
今回は、新聞の購読契約者が死亡した場合に解約は可能であるのか、基本的な相続に関する知識から解約手続き方法、トラブルが発生した場合の対処法までをまとめてご紹介してきました。
原則として、新聞の購読契約を含む契約関連は全て相続人へ引き継がれてしまいます。
もし、相続人にとって新聞の購読が不要なものであれば、早急に解約手続きをすることが大切です。
新聞の解約手続きは、販売店にて行う必要があります。新聞の購読解約に関しては、ガイドラインにも策定されている通り、販売店は解約に応じなければなりません。
解約に際して、不当に引き止められたり違約金・解約金を請求されてしまったりした場合には、ガイドラインを根拠に販売店と話し合わなければなりません。
話し合ってもトラブルが解消されない場合には、消費生活センターへ相談することをおすすめします。
消費生活センターでは、専門家が公正な立場から解決へ向けて進めてくれるでしょう。
契約者が死亡してしまった場合、故人を惜しむ時間は必要となりますが、相続に関するあらゆる手続きも必要となってしまいます。
特に、今回解説した新聞などはそのまま購読継続されて料金が発生してしまいがちなので、しっかりとどのような契約になっているのか、確認しつつ手続きを進めていかなければなりません。
トラブルが発生しないよう、あらかじめどのような手続きが必要となるのか、どのような契約があるのかを把握しておくことも大切です。
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この記事の監修者
工藤 崇(くどう たかし)
独立型ファイナンシャルプランナー。
WEBを中心にFP関連の執筆・監修多数。セミナー講師・個別相談のほか、「相続の第一歩に取り組む」ためのサービスを自社で開発・提供。
東京・北海道を拠点として事業展開。
株式会社FP-MYS代表。