家族が亡くなった場合、様々な手続きが必要になります。
数ある手続きの中で忘れてはいけないもの1つが公共料金の名義変更に関する手続きです。
しかし、公共料金の名義変更手続きは頻繁にするものではないため、どうすればいいか分からないと感じる人も少なくありません。
そこで今回は、公共料金の名義変更方法や公共料金の手続きで注意すべきポイントなどについて解説していきます。
目次
1. 公共料金の名義変更方法について
公共料金の名義変更方法は、それぞれ異なる手続きが必要です。
電気、ガス、水道の名義変更をどのように行うのかみていきましょう。
1-1 電気の解約・名義変更
電気の解約や名義変更をする場合は、契約している電力会社(東京電力や関西電力など)に連絡します。
最近は電気が自由化されているため、au電気やソフトバンク電気と契約している場合もあります。
電気会社の電話番号や契約番号に関しては、電力会社から送られてくる領収済通知書や料金計算書などに記載されているので確認してみましょう。
連絡をする場合は、電話が最もスムーズに進むのでおすすめです。
領収済通知書や料金計算書などが見当たらないのであれば、契約している電力会社に電話をかけ、契約者の名前や生年月日などを伝えた上で、そのように対応すればいいか確認してみてください。
解約の手続きを行うのは、相続人や名義を引き継ぎたいと考えている人です。
電気の場合、契約の条件によって解約手数料がかかる場合もあるため、解約時の手数料はどうなっているのか確認しておきましょう。
亡くなった人が一人暮らしをしていて相続人が部屋の片づけをしなければいけないケースでは、電気を解約すると真っ暗な部屋で作業をしなければなりません。
そうなることを防ぐためには、解約のタイミングが重要になります。
片付けが終わって落ち着いてから解約するようにしましょう。
1-2 ガスの解約・名義変更
ガスも、契約者が亡くなった場合は名義変更や解約をしなければなりません。
ガスの名義変更は、東京ガスや大阪ガスなどのガス会社に連絡しましょう。
ただし、ガスに関しても自由化されているので地域のガス会社とは異なる会社と契約している場合もないとは言い切れません。
毎月ガス会社からは、領収済通知書や料金計算書が届きます。
それらの書類に連絡先や契約番号が書かれています。
解約や名義変更をする場合は、それらの書類を確認してガス会社に電話連絡をしましょう。
電気と同じく、電話連絡をするとスムーズに手続きができるケースが多いです。
解約の手続きを行うのは、相続人や名義を引き継ぎたいと考えている人です。
ここで気を付けたいのは、ガス料金の締め日を過ぎてしまうと、利用していなくても基本料金が発生するという点です。
ガスを名義変更ではなく解約した時に、少しでも出費を少なくするためには、早めの手続きが重要になります。
また、ガス会社によっては、契約する時に保証金を預けるというシステムを採用しているところもあります。
そのような場合は、保証金の清算も解約時に忘れないようにしましょう。
1-3 水道の解約・名義変更
水道は、電気やガスと違って各自治体によって運営されています。
そのため、連絡先は自治体によって運営されている水道局に連絡をしなければなりません。
東京23区の場合は東京都水道局、大阪市の場合は大阪市水道局が管理しているため、管轄する水道局に解約や名義変更をしたい旨を連絡しましょう。
解約の手続きを行うのは、相続人や名義を引き継ぎたいと考えている人です。
連絡先は、2ヶ月に1回届く水道料金の領収済通知書や料金の計算書に書かれているため、確認してみてください。
水道の解約や名義変更は電話で行うのが基本となっています。
しかし、自治体や水道局によってはネットでの受付を行っているケースもあるため、該当する自治体がどのような対応をしているのかあらかじめ確認しておきましょう。
1-4 銀行引き落としの場合は?
電気やガス、水道を名義変更するのであれば、引継人の銀行口座を利用するケースが多いです。
その場合、新しく引き落とし口座を登録しなければなりません。
引き落とし口座を新しく登録するには、引き落とし口座に設定したい口座を開設してある銀行に足を運びます。
そして、「口座振替依頼書」を提出してください。
銀行にもよりますが、公共料金の引き落とし口座を一括でできる場合もあります。
手続を行うには、窓口が開いている時間に足を運ばなければいけないため、仕事をしている人にとっては負担に感じてしまう可能性も考えられます。
手続の際は、届出印を忘れないようにしましょう。
2. 公共料金の手続きで注意すべきポイント
公共料金に関する解約や名義変更の手続きを行う場合、いくつか注意すべきポイントがあります。
注意点を把握しておかないと予期せぬトラブルに発展する可能性も考えられます。
そのため、公共料金の解約や名義変更をしたいと考えているのであれば念頭においておきましょう。
2-1 オプションやセット契約
1つ目の注意点は、オプションやセット契約です。
オプションが付いていたり、セット契約になっていたりする場合だと、1つ解約すると全て解約扱いになってしまう場合があります。
ガスと電気がセットになっている契約が代表的な例となります。
どちらか片方だけ先に解約したいと考えているにも関わらず、意図せず両方解約されてしまうと困ってしまう場合もないとは言い切れません。
解約後に困らないようにするためには、どのようなオプションが付いているのか、セット契約になっているのかなどをあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
内容に関しては、契約している会社に問い合わせてみると確認できます。
名義人が亡くなったことを伝え、どのような契約になっているのか確認しておきましょう。
オプションなどが付いていたとしても、すぐ解約して問題ない場合もあります。
相続人が問題ないと考えるのであれば、解約手続きに進むことができます。
2-2 支払い口座の凍結
2つ目の注意点は、支払い口座の凍結です。
故人名義の預金口座は、死亡したことが遺族から金融機関に情報が伝わると凍結されてしまいます。
預金口座が凍結されると、公共料金の引き落としなどもされなくなってしまいます。
引き落としがされなくなった場合、解約や名義変更をする時に一括清算を求められるケースがあると覚えておきましょう。
・金融機関が口座を凍結する理由
金融機関が口座を凍結するのは、名義人の口座にある預金が亡くなった瞬間から相続財産になるからです。
遺産の権利が侵害されないようにするために凍結します。
凍結することにより、適切ではないとみなされる相続人が勝手に故人の預金を引き出せないようにするためです。
いくら家族とは言え、他に相続人がいる場合は預金を勝手に引き出すと遺産相続の際にトラブルが発生する可能性が考えられます。
そのような事態に金融機関が巻き込まれないようにするための対策として、故人の口座を凍結します。
口座が凍結されると、相続が確定するまで預金の引き出しができません。
窓口やキャッシュカードのよる現金の引き出しもできなくなりますし、水道光熱費の引き落としやカードの支払い、ローンの返済も不可能となります。
・凍結された場合の対処法
口座が凍結されたら、金融機関で相続の手続きを行います。
凍結を解除する際に遺言書があるとスムーズに進みやすくなります。
被相続人と遺言を執行する関係者に関する書類が揃えば口座の凍結を解除できるのです。
預金を取得する相続人が遺言で決まっている場合、遺産分割協議書がある場合、遺産分割協議書がない場合などの状況により、必要な書類や手続きが異なります。
必要な書類には、遺産分割協議書、各銀行所定の払戻などの依頼書(遺産分割協議書と兼用となるケースもある)、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本(全部事項証明書)、相続人全員の印鑑証明書、通帳・カード・届け印といったものが挙げられます。
それぞれの状況別にどのような書類が必要になるのか、金融機関に確認しておきましょう。
2-3 振込用紙が届いたらきちんと支払う
3つ目の注意点は、振込用紙が届いたらきちんと支払うということです。
公共料金の支払いを行っていた口座が凍結されると、振込用紙が届きます。
振り込み用紙が届いた場合は、放置しないようにしましょう。
振り込み用紙が届くのは、契約者名義の住所になるため気が付かずに放置することがないように気を付けてください。
自分自身が引継人でなければ放置しても良いと考える人もいますが、遅延損害金などが加算されて支払金額が大きくなってしまうので注意しなければなりません。
名義変更をしていなかったとしても、相続人が支払い義務を引き継ぐことになります。
そのため、公共料金の支払いに関する振込用紙が届いたら無視しないようにすべきなのです。
3. 名義変更手続きはネット上で完結できる場合も
公共料金の名義変更手続きは、インターネットで完結できるところもあります。
インターネットで完結できるところは、書類が必要な場合は郵送すれば良いという形を取り入れているケースが多いので非常に便利です。
ただし、全ての会社がネットに対応しているとは限りませんし、必要となる書類が異なる場合もあります。
正しく手続きを行うためにも、どのような方法に対応しているのかあらかじめ確認しておくようにしましょう。
契約している会社に確認をしておけば、問題なく名義変更ができ、トラブルを回避できます。
4. まとめ
公共料金の解約や名義変更に関する手続きは、家族が亡くなったらしなければいけない手続きの1つです。
電気やガス、水道により、手続きの方法や手続き先が異なります。
契約している会社によっても方法や必要な書類が異なる場合があるため、契約先にきちんと確認する必要があります。
また、公共料金に関する解約や名義変更の手続きを行う場合に注意すべきポイントについても把握しておくと、トラブルを回避しやすくなるため知っておいた方が良いと言えるでしょう。家族が亡くなった後に公共料金に関する手続きをスムーズに進めやすくなります。
契約している会社が分からない場合は、領収済通知書や料金計算書などを確認すると書いてあるはずなので、チェックしてみてください。
この記事の監修者
工藤 崇(くどう たかし)
独立型ファイナンシャルプランナー。
WEBを中心にFP関連の執筆・監修多数。セミナー講師・個別相談のほか、「相続の第一歩に取り組む」ためのサービスを自社で開発・提供。
東京・北海道を拠点として事業展開。
株式会社FP-MYS代表。