世帯主が死亡したらやるべき手続き!夫から妻に世帯主を変更、変更しないとどうなるのか

更新日:2024.02.16

世帯主が死亡したらやるべき手続き!夫から妻に世帯主を変更、変更しないとどうなるのか

大黒柱である世帯主が亡くなった場合、様々な手続きが必要となります。

大事な家族を失った直後ではありますが、期限が短い手続きもあるので注意してください。

今回は世帯主の死亡後に必要となる手続きについて解説していきます。

1. 世帯主が死亡した場合の手続きに関する基本的な情報

世帯主の方が亡くなった後は、死亡の事実が明らかになった時点から7日以内に所在地の市区町村役場へ死亡届の提出が必要です。

死亡届と火葬の申請を行ってから葬式を行うことになるので、死亡日から1~2日あたりで提出するケースがほとんどです。

また、世帯に15歳以上の家族が2人以上いる場合は、世帯主を変更する手続きも必要となります。

基本的には新世帯主が手続きを行いますが、他の世帯員や葬儀屋など代理人でも可能です。代理人が同じ世帯ではない人の場合は委任状を用意しましょう。

2. 世帯主変更届の手続きをする流れ

世帯主変更届はお住まいの市区町村役場の窓口で行います。

手続き自体は難しいものではないので、具体的な流れを見ていきましょう。

2-1 住民異動届を入手する

世帯主の変更では、ほとんどの自治体で「住民異動届」が使われています。

役場に置かれているので、訪れて入手してください。

一部地域では別の書類を使っている場合もあるので係員に問い合わせたり、地域の公式ホームページを確認したりしましょう。

2-2 書類を書いて窓口に提出する

入手した住民異動届に記入していきます。

主に記入する項目は申込者の名前と住所、新旧世帯主の名前と生年月日などです。

記入が終わったら窓口に提出し、係員の指示に従って手続きを完了させましょう。

世帯主の変更では、他にも申込者の本人確認書類と印鑑も必要なので事前に用意してください。

本人確認書類になるものは、顔写真の付いた運転免許証やパスポート、マイナンバーカードです。

保険証や年金手帳、住民票など顔写真が付かない公的証明書しかない場合は、2点用意して提示してください。

3. 世帯主が死亡したら行うべき期限付きの手続き

世帯主が亡くなった後に必要な手続きには、期限が設けられているものが多いです。

続いては死亡届以外に優先的に行っておきたい手続きについてご紹介しましょう。

3-1 年金に関する手続き

世帯主が年金受給者であった場合、年休受給をストップさせるために年金事務所や年金相談センターに「年金受給権者死亡届」を出してください。

厚生年金や共済年金は死亡日から10日以内、国民年金は14日までに提出が必要です。

ただし、この死亡届はマイナンバーが日本年金機構に収録されていれば省略できるので、特別な事情でマイナンバーが収録されていない限り手続きは原則不要です。

一方、未受給者は死亡届を提出してください。

死亡届に世帯主が亡くなった年月日と基礎年金番号、年金コード、生年月日など必要事項を入力し、年金証書と戸籍抄本や住民票の除票といった死亡の事実を

確認できる書類と一緒に提出しましょう。

年金受給権者死亡届は市区町村役場の国民年金窓口から入手可能です。

3-2 国民健康保険や勤務先の健康保険に関する手続き

世帯主が年金暮らしや自営業者で国民健康保険に加入している、もしくは会社勤めで社会保険に入っている場合はそれらの資格を喪失するための手続きが必要です。

・国民健康保険に加入している場合

「国民健康保険資格喪失届」を市区町村役場の窓口に提出し、また故人の被保険者証を返却してください。

また、世帯主の被扶養者となっている家族は新しく保険へ加入したり、切り替えたりする必要があり、世帯主の死亡日から14日以内に行わなければなりません。

後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上の世帯主の場合は、「後期高齢者医療資格喪失届」の提出と後期高齢者医療被保険者証の返却を行ってください。

要支援・要介護認定を受けている人の場合は、「介護保険資格喪失届」の提出と介護保険被保険者証を返却するようにしましょう。

・会社勤めの場合

会社勤めしていて社会保険に加入している世帯主が亡くなった場合は、「被保険者資格喪失届」の提出が必要です。

基本的には会社は手続きを行ってくれるので、会社に健康保険証を返却してください。

国民健康保険と同じく世帯主の被扶養者になっている家族は、新しく保険へ加入・切り替え手続きを行いましょう。

その手続きの際に世帯主の勤務先が発行する「健康保険資格喪失証明書」の提出を求められる場合があります。

必要な時は、勤務先や健康保険組合に問い合わせて発行してもらいましょう。

3-3 世帯主を変更するための手続き

上記でもご紹介しましたが、世帯主も変更も早めに行いたい手続きの1つです。

その理由は世帯主変更届の提出期限が死亡日から14日以内と期間が短いからです。

この期限は住民基本台帳法によって定めらており、正当な理由もなく手続きを行わない場合は罰則が科せられる可能性もあります。

そのため、死亡届と合わせて早めに手続きを行うようにしてください。

4. 世帯主が死亡してからできるだけ早くやるべき手続き

年金や健康保険、世帯主の変更以外にも、生活面や相続に関する手続きも早めに行った方が良いです。

続いては、その他にできるだけ早くやっておきたい手続きをご紹介しましょう。

4-1 光熱水道に関する手続き

ガスや水道、電気といったライフラインの契約者が世帯主となっており、公共料金の支払いも世帯主名義の口座やクレジットカードで設定されていることも多いでしょう。

死亡後に銀行へ連絡すると口座は凍結され、引き落としや振り込みができなくなってしまいます。

そうなると公共料金も未払いの状態となってしまうので、次回分の引き落としが行われる前に名義変更や支払い方法の変更を行いましょう。

世帯主が一人暮らしで空き家なるなど、状況によっては契約を解除する手続きが必要です。

名義変更や解約の手続きは、契約している事業者のコールセンターに連絡を入れることで完了することが多いです。

また、インターネットから解約できる事業者もあります。

コールセンターに問い合わせる時間がなく、ネットから手続きが可能であれば活用してみましょう。

4-2 通信に関する手続き

世帯主がスマホや携帯電話、インターネットプロバイダーを利用している場合は、通信に関する手続きも行っておく必要があります。

個人で契約しているスマホ・携帯電話はもちろん、家族全員が使えるインターネットプロバイダーも世帯主名義での契約となっていることがほとんどです。

有料チャンネル放送や有料動画配信などのサービス関係も名義変更や支払い変更、解約といった手続きが必要となります。

お金が発生する契約なので世帯主名義でどんな通信サービスに加入しているのか確認し、光熱水道と同様に早めに手続きを行ってください。

4-3 クレジットカードに関する手続き

世帯主がクレジットカードを所有していた場合は解約手続きが必要です。

原則、名義人が亡くなった場合、クレジットカードの継続使用は規約違反となります。

クレジットカードには本人以外にも追加で発行できる家族カードもありますが、名義人が死亡すればそれも使えなくなるので注意してください。

残念ながらクレジットカードは相続の対象ではないので、名義変更もできません。

万が一にカードが他人の手に渡れば、悪用される可能性もあるのでできるだけ早く解約して使えない状態にするのが望ましいです。

公共料金や通信費は世帯主名義のクレジットカードで支払っているケースも多いでしょう。

そのため、解約は各種契約の名義・支払い変更と並行して行うと良いです。

なお、利用残高が0円であればスムーズに解約できますが、残高がある場合は法定相続人が支払わなければなりません。

解約前に利用状況やカード会社に問い合わせるなどして、残高の支払い方法を確認しておきましょう。

4-4 相続人同士の遺産分割協議

世帯主が保有する財産は放棄しない限り、相続人に引き継がれます。

相続人には最低限の権利が保証されているので、財産が全く入ってこないことはありません。

しかし、本人が作成した遺言書がある場合は、その内容が優先されます。

遺言書がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行って、財産を分割するようにしましょう。

協議には相続人全員が参加していないと無効となってしまい、財産の分け方の変更や協議のやり直しも、相続人全員の合意がないとできないので注意してください。

財産の分け方などが決まれば、後でトラブルにならないためにも記録文章として遺産分割協議書を作成しておきましょう。

遺産分割協議書は預金や不動産などの名義変更といった相続手続き、相続税の申告にも必要です。

もしも遺産分割協議が難航したり、そもそも誰が相続人になるのか把握が難しかったりする場合は弁護士に相談した方がいいです。

また、相続財産の評価額が一定額以上となる場合、相続税を納付しなければなりません。

相続税の申告は、死亡を知った翌日の10ヶ月以内の期限があり、過ぎると納税額が増えてしまう可能性があります。

できるだけ早く遺産分割協議を終わらせ、期限内に納付してください。

5. 世帯主の届け出が不要な場合もある?

世帯主が亡くなれば新しい世帯主に変更が必要ですが、届け出が不要なケースもあります。

・世帯主が一人暮らしのケース

世帯主だけで暮らしていた場合、新しい世帯主自体が不在の状態となるので変更は不要です。

・世帯主と2人暮らしであったケース

世帯主とその妻など、生前2人暮らしをしていた場合は、残された世帯員が必然的に新しい世帯主となります。

他になる人がいないので、こちらのケースも変更届は不要です。

・残されたのが1人を除き、それ以外が15歳未満の世帯員であった場合

世帯主は15歳以上と定められています。

そして、変更届が必要なのは15歳以上の世帯員が2人以上の場合です。

例えば世帯主の夫が死に、残された家族が妻と15歳以下の子だけの場合は、15歳以上の妻が新しい世帯主となるので手続きは不要です。

6. まとめ

今回は世帯主が死亡した後に行う手続きについてご紹介しました。

死亡届や世帯主変更届といった公的な手続きは期限が短いので、早めに行動してください。

また、光熱水道や通信関係など生活面や相続手続きは放置すると不都合が生じる可能性があるので、こちらもなるべく早く手続きを完了させましょう。

【関連記事】死亡届に関する手続きはこちらから↓

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この記事の監修者

工藤 崇(くどう たかし)

 

独立型ファイナンシャルプランナー。

WEBを中心にFP関連の執筆・監修多数。セミナー講師・個別相談のほか、「相続の第一歩に取り組む」ためのサービスを自社で開発・提供。

東京・北海道を拠点として事業展開。

株式会社FP-MYS代表。

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