年金の相続とは?相続年金の手続きや気を付けるべき点を徹底解説

更新日:2023.11.28

年金の相続とは?相続年金の手続きや気を付けるべき点を徹底解説

年金を受け取っている家族が亡くなった場合、すぐにしなければいけないことがあります。

それは、受給権者死亡届を提出することです。

なぜ、すぐに受給権者死亡届を提出しなければいけないのでしょうか?

また、年金には個人年金や企業年金があり、年金によって取り扱い方法が異なり課税対象かどうかを自分で区別をすることは難しいです。

今回は、年金を受け取っている家族が亡くなった場合の対応や未支給年金の税金について詳しく解説しています。

年金を受け取っている家族が亡くなり、マイナンバーカードをどうすれば良いのか知りたいと思っている方や対応方法が知りたい方、相続税や贈与税について知りたい方はぜひご参考ください。

死亡すると年金を受け取る権利がなくなる

年金を受け取っている人が亡くなった場合、すぐに受給権者死亡届(報告書)を提出する必要があります。

受給者死亡届を提出しないままでいると、年金が支払われ続けることとなり、不正受給につながってしまうからです。

ただ、年金事務所にマイナンバーが収録されている場合は死亡届は不要です。まずは収録の有無を確認しましょう。

年金を受け取っている人が亡くなったら年金を受け取る権利がなくなるため、受給権者死亡届を提出し忘れないように気を付けなければなりません。

【関連記事】マイナンバーの死亡後手続きについてもっと知りたい方におすすめ

>コラム:マイナンバーは死亡後どうなる?|マイナンバーの死亡後手続きを解説

どこに書類を提出するの?

年金を受け取っている家族が亡くなった場合、受給権者死亡届の提出や未支給年金請求の届け出をしなければなりません。

その書類はどこに提出すれば良いのでしょうか?

続いては受給権者死亡届や未支給年金請求の届け出を提出する窓口について解説していきます。

死亡の届け出

年金を受け取っている人が亡くなった場合に提出が必要となる受給権者死亡届の提出先は、年金事務所もしくは年金相談センターです。

しかし、日本年金機構にマイナンバー(個人番号)または住民票コードが登録されている場合は受給権者死亡届の提出が原則不要となっています。

受給権者死亡届を年金事務所・年金相談センターに提出する際、家族が亡くなったことを証明するために死亡診断書も一緒に提出しなくてはなりません。

年金手帳・戸籍謄本・死亡診断書・受給権者死亡届をまとめて提出するようにしましょう。

日本年金機構のホームページから全国にある年金事務所などを検索することができます。

未支給年金請求の届け出

年金は、2ヶ月分を偶数月に後払いで支給します。

そのため、偶数月に亡くなった場合は、その月の年金を受け取れるのが2ヶ月後となります。

2月に亡くなったとすると、4月に2月分の年金が支給されます。

しかし、年金受給者が亡くなっているので本人が年金を受け取ることができません。

年金受給者が亡くなった後に支払われる年金を未支給年金と言い、遺族は未支給年金を請求することが可能です。

この未支給年金を請求できる遺族は、以下の通りです。

・配偶者

・子

・父母

・祖父母

・兄弟姉妹

・その他の三親等以内の親族

また、受け取れる順位も同様です。

亡くなった家族と請求者が別世帯の場合、「生計同一についての別紙の様式」を添付して未支給年金を請求する必要があります。

そして、年金受給には期限が定められています。

年金支払い日の翌月の初日から5年以内が有効期限となっているため、期限以内に申告をしてください。

必要となる書類は以下の通りです。

・未支給請求書

・亡くなった家族の年金手帳

・亡くなった家族の戸籍謄本

・請求者の戸籍謄本

・マイナンバーが記載されていない住民票の写し

・振込先とする金融機関の通帳

未支給年金の請求も、年金事務所もしくは年金相談センターで行えます。

年金受給権者死亡届と一緒に手続きをしましょう。

提出する際の注意点

受給権者死亡届を提出する際には2つの注意点があります。

まず、受給権者死亡届の提出が遅れてしまった場合、年金を多く受け取ってしまって後から返金しなければいけなくなる可能性があります。

また、場合によっては不正受給とみなされるかもしれません。

返金手続きや不正受給をしないためにも、年金を受け取っている家族が亡くなった場合にはすぐに受給権者死亡届を年金事務所もしくは年金相談センターに提出してください。

また、亡くなった方の未支給年金は請求者の一時所得に該当するため、確定申告をしなければならないケースもあります。

未支給年金を受け取る年分の、支給金を含めた一時所得の合計金額が50万円以下なら確定申告の必要はありません。

亡くなった家族の口座を解約し、振込先とする金融機関の通帳を持って未支給年金の請求を行ってください。

未支給年金にかかる税金の種類によって異なる

未支給年金にかかる税金にはそれぞれ種類があります。

種類によって税金の扱い方が異なるため、どのような違いがあるのか知っておくことも大切です。

個人年金と企業年金の税金の特徴と相続税について解説します。

企業年金

企業年金とは、会社が「企業年金制度」を採用することを指します。

企業年金は、いつ亡くなったかにより税金の扱われ方が変わるので、注意が必要です。

・在職中に亡くなった場合

亡くなった人の代わりに遺族に支払う退職金を死亡退職金と言い、退職手当金などと扱われます。

相続税の課税対象ですが、死亡退職金には非課税枠があります。

「500万円×法定相続人数」までの相続税であれば、非課税です。

・受給中に亡くなった場合

退職金を年金で20年間受け取ることにしていた人が年金受給中の5年目に亡くなった場合、残りの期間が未支給年金に当たり、相続税の課税対象となります。

残りの企業年金を遺族が代わりに受け取ることになるためです。

遺族が会社と直接契約をしている訳ではないため、「契約に基づかない定期金」と呼ばれています。

相続した時点で未支給年金がある場合には「契約に基づかない定期金に関する権利」で相続税の課税対象となることを覚えておきましょう。

企業の未支給年金には、死亡退職金のような非課税はありません。

年金の税金に関する注意点も知っておこう

年金にかかる税金の特徴をご紹介しましたが、2つの注意点も解説していきます。

遺族年金は所得税も相続税も非課税になる

1つ目の注意点は、遺族年金は所得税も相続税もどちらも非課税となることです。

遺族年金とは、国民年金や厚生年金の受給者が亡くなった場合に遺族に支給される年金のことを指します。

遺族年金がなぜ非課税になるかというと、厚生年金法41条において国から給付されている年金などを含む「給付金」は原則課税されないことが示されているためです。

個人年金や企業年金の未支給年金分は課税対象ですが、遺族年金は非課税となるため誤って相続税の計算をしないように注意してください。

遺族年金は所得税も相続税も非課税と覚えておきましょう。

個人年金でも保険料負担者が生きている場合は贈与税の対象に

2つ目の注意点は、個人年金でも保険料負担者が生きている場合は贈与税の対象となることです。

保険料を負担している人が生きていて、保険料負担者以外が個人年金を受け取る場合は贈与税の対象となるので注意をしなければなりません。

分かりやすい例を挙げると、夫が保険料を負担していて受取人が妻と設定されている契約内容だったとします。

夫が生きているうちは妻が年金を受け取ることになるため、妻に対して贈与税が発生します。

なお、贈与した保険料は夫の生命保険料控除の対象にはなりません

贈与税は年間110万円以上の贈与で発生してしまうため、年間110万円以下に抑えるように注意してください。

未支給年金の区別が難しいケースは税理士に相談する

今回ご紹介してきたように、年金の種類によって未支給年金にかかる税金の扱い方法は異なります。

公的年金は必ず未支給年金が発生する仕組みの年金ですが、所得税の対象となっています。

しかし、個人年金や企業年金の未支給年金は原則、相続税の対象です。

個人年金や企業年金は相続税の計算が必要となることを覚えておいてください。

また、そのほかにも相続税・所得税・贈与税がかかるケースがあり、自分で調べたり判断をしたりすることが難しい場合が多いです。

もし分からない場合や自分で区別できそうにない場合には、年金に詳しい税理士に相談をしてみてください。

まとめ

年金を受け取っている家族が亡くなった場合、すぐに受給権者死亡届を提出しなければなりません。

提出が遅れて年金を多く受け取ってしまうと、後から返金しなければいけなくなったり不正受給とみなされたりしてしまいます。

そのため、こうしたトラブルや返金を防ぐために早めに受給権者死亡届を年金事務所もしくは年金相談センターに提出してください。

また、年金受給者が亡くなった後に支払われる年金を未支給年金と言い、遺族は未支給年金を請求することが可能です。

未支給年金がある場合には、受給権者死亡届と一緒に合わせて提出ができます。

年金受給には期限が定められているため、年金支払い日の翌月の初日から5年に申告をしなければなりません。

個人年金や企業年金は原則課税対象ですが、遺族年金は所得税も相続税も非課税です。

その時の状況やどういった年金を受け取っていたのかにより、税金の扱われ方が変わるので、個人で税金が課税対象なのかどうかを判断するのが難しい場合があります。

もし、税金が課税となるのか非課税となるのかが分からない場合には年金に詳しい税理士に相談をして解決してみてください。

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この記事の監修者

工藤 崇(くどう たかし)

 

独立型ファイナンシャルプランナー。

WEBを中心にFP関連の執筆・監修多数。セミナー講師・個別相談のほか、「相続の第一歩に取り組む」ためのサービスを自社で開発・提供。

東京・北海道を拠点として事業展開。

株式会社FP-MYS代表。

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