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贈与税の税率と計算法・特例–相続税とどっちがお得?

更新日:2020.09.18

贈与税の税率と計算法・特例–相続税とどっちがお得?

相続に関してたびたび比較される贈与税と相続税。ここでは、贈与税の税率や計算方法、4つの特例を税理士がやさしく解説しつつ、相続税との比較も行います。短期的な対策ではなく長期的にじっくり取り組む必要があるので、計画的に実施しましょう。

贈与税とはどんなものか

贈与税とは、他の者から財産をもらったときに、そのもらった人に対してかかる税金です。一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の額の合計額が110万円を超える場合には、その超える部分の金額に対して贈与税がかかります。この110万円のことを基礎控除といい、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下である場合には、贈与税はかかりません。複数の人から財産をもらった場合でも、そのもらった全ての財産の合計額が110万円を超えるかどうかで判定しますので、注意が必要です。

ただし贈与税がかからない場合もあります。親や祖父母が子供や孫の生活費や学費を負担した場合は、その行為自体は贈与ですが贈与税はかかりません。また、会社など法人から財産をもらった場合には、贈与税ではなく所得税がかかります。

特例贈与財産と一般贈与財産の違い

平成27年1月1日以降の贈与については、贈与税の計算方法が2通りに分けられました。直系尊属(父母や祖父母など)から贈与された財産については特例贈与財産として、特例贈与財産に該当しない贈与財産については一般贈与財産として、それぞれ異なる贈与税率により贈与税を計算することとなります。

特例贈与財産

その年の1月1日において20歳以上の者(子や孫)が直系尊属(父母や祖父母など)ら贈与によりもらった財産を特例贈与財産といいます。子や孫世代への贈与をより促進するために、それまでより有利な税率により財産を贈与することが可能となりました。特例贈与財産については、以下の税率により贈与税が計算されます。

基礎控除後の課税価格 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 4,500万円以下 4,500万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

一般贈与財産 

特例贈与財産以外の贈与財産のことを、一般贈与財産といいます。兄弟間の贈与や他人間での贈与があった場合には、一般贈与財産として贈与税を計算します。一般贈与財産については以下の贈与税率によって贈与税が計算されます。

基礎控除後の課税価格 200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 3,000万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

課税対象とならないのはどんな場合?

先述しましたが、贈与税には金額的に免税となる範囲が存在し、これを基礎控除といいます。基礎控除の範囲は110万円とされています。1年間にもらった財産の合計額が110万円以下であれば贈与税はかかりません。また財産の性質や贈与の目的などから、次のような場合には贈与税がかからないこととされています。

  • 法人から贈与を受けた財産(所得税がかかります)
  • 扶養義務者間(親子や夫婦など)において生活費や教育費に当てるための金銭の負担

その他詳細については国税庁のオフィシャルサイト内ページを確認しましょう。

贈与税の計算方法を知ろう

それでは具体的に贈与税の計算方法を見ていきましょう。先述の通り、特例贈与財産か一般贈与財産かで使う税率が異なりますので、それぞれに分けて見ていきます。

特例贈与財産の計算方法

(例)父が20歳以上である子に600万円の贈与を行なった場合

  • 基礎控除後の課税価格 600万円-110万円=490万円
  • 贈与税額       490万円×20%-30万円=68万円

贈与税の計算にあたっては、まず財産の合計額から110万円を控除し、その控除後の金額に応じた税率を乗じて計算します。

基礎控除後の課税価格 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 4,500万円以下 4,500万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

一般贈与財産の計算方法

(例)夫が妻に600万円の贈与を行なった場合

  • 基礎控除後の課税価格 600万円-110万円=490万円
  • 贈与税額       490万円×30%-65万円=82万円

一般贈与財産と特例贈与財産の両方がある場合の計算方法

例)20歳以上の者が配偶者から100万円、父から500万円の贈与を受けた場合

  1. いったん全ての財産を一般贈与財産として計算し、一般贈与財産の占める割合を乗じます。
  2. いったん全ての財産を特例贈与財産として計算し、特例贈与財産の占める割合を乗じます。
  3. 1と2の合計額が納付税額となります。

(1)

基礎控除後の課税価格 600万円-110万円=490万円

贈与税額       490万円×30%-65万円=82万円

           82万円×100万円÷(100万円+500万円)=13.66万円

(2)

基礎控除後の課税価格 600万円-110万円=490万円

贈与税額       490万円×20%-30万円=68万円

           68万円×500万円÷(100万円+500万円)=56.66万円

(3)

納税額 (1)+(2)=70.32万円

4つの特例にあてはまるかチェック

原則的には1年間にもらった財産の合計額が110万円を超える場合には贈与税がかかりますが、一定の要件を満たした場合には贈与税が非課税となる特例がいくつかあります。その中で代表的なものをいくつか見ていきましょう。

住宅取得資金の特例

その年の1月1日において20歳以上である人が、令和3年12月31日までの間に父母や祖父母から、住宅の新築等のためにあてる資金として現金の贈与を受け、翌年の3月15日までに実際に住宅を新築して居住をした場合に適用される制度です。住宅取得の時期や住宅の性能などに応じて300万円から1,500万円まで、基礎控除とは別枠で贈与税の非課税枠が用意されています。ただし、その贈与を受ける人の合計所得金額が2,000万円以下であることや住宅床面積などの要件、また贈与の時期によって、非課税枠の金額も異なりますので、要件等の詳細は国税庁オフィシャルサイト内ページをご参照ください。

相続時精算課税の特例

今まで見てきた贈与を暦年贈与といいますが、これに対して60歳以上の父母又は祖父母から財産をもらった20歳以上の子又は孫であれば、「相続時精算課税」という贈与を選択することができます。

この制度を選択すると、その年の1月1日から12月31日までの間にもらった財産のうち2,500万円まで贈与税はかかりません。2,500万円を超えた場合には、その超えた金額に一律20%の税金がかかります。贈与した父母や祖父母が亡くなったときに、その贈与財産を相続財産に加算した上で相続税額を計算し、すでに支払った贈与税額をその相続税額から控除することで精算します。なお、この制度を一度選択すると、選択した年以降のその贈与者からの贈与については相続時精算課税制度が適用され、暦年贈与に戻ることはできません。

教育資金の特例

令和3年3月31日までの間に、30歳未満の方が教育資金として使うために受贈者の祖父母や父母から現金等を取得した場合には、1,500万円の金額までは贈与税が非課税となります。学費等をその都度父母や祖父母が負担する場合にはその負担額は非課税となりますが、一括して事前に教育資金を贈与したい場合に使える制度です。

  1. 贈与を受けた現金等を管理する金融機関等と、教育資金管理契約を結ぶ必要があります。
  2. 非課税となる教育資金は授業料等に限るなど、一定の制限があります(教育に関係のない使途については贈与税の対象)。
  3. 贈与を受けた人が30歳に達し、使い残しの金額があり110万円をこえた場合には、贈与税の対象となります。

結婚・子育て資金の特例

令和3年3月31日までの間に、20歳以上50歳未満の方が結婚・子育て資金として使うために、受贈者の祖父母や父母から現金等を取得した場合には、1,000万円の金額までは贈与税が非課税となります。子育て資金等をその都度父母や祖父母が負担する場合にはその負担額は非課税となりますが、一括して事前に教育資金を贈与したい場合に使える制度です。

  1. 贈与を受けた現金等を管理する金融機関等と、結婚・子育て資金管理契約を結ぶ必要があります。
  2. 非課税となる結婚・子育て資金は、婚礼・出産費用等に限るなど一定の制限があります(結婚・子育てに関係のない使途については贈与税の対象)。
  3. 贈与を受けた人が50歳に達し、使い残しの金額があり110万円をこえた場合には、贈与税の対象となります。

贈与税、相続税はどっちがお得?

 生前に財産を贈与した場合には贈与税がかかります。一方亡くなった人の財産を受け取った場合には相続税が課され、その税率は以下のように、財産額が増えるにつれて上がっていきます。

仮に、亡くなった方の財産から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引いた金額が1億円以下であっても、最高30%の税率が課されます。相続財産のおおよその金額が把握できている場合、その税率より低い範囲内で生前に贈与をしていけば、贈与税・相続税のトータルでの節税が可能となります。そして生前贈与の活用による節税のポイントは、小分けに長年かけて行なうことです。小分けにすることで税率も低く抑えられますので、長期的な視点で贈与を活用しましょう。

執筆者プロフィール
安井貴生
税理士。税理士法人に所属して活動しており、法人税決算から税務申告・税務調査立会、経営相談まで幅広く業務を行っている。最近は、相続や事業承継案件、M&Aなどの取扱いが増加中。土地や非上場株式などの財産評価を得意とするが、節税ありきではなく相続人全員が納得する相続業務を何よりも重視している。

「つぐなび」の運営は、1970年創業の株式会社船井総研ホールディングス(東証1部上場、証券コード:9757)の経営コンサルティング事業を担う株式会社船井総合研究所が行っています。…もっと見る

船井総合研究所は、相続分野において700事務所にものぼる全国の弁護士・税理士・司法書士といった士業事務所のコンサルティングを行っており、その長年のノウハウをもとに「つぐなび」を2020年に開設いたしました。
現在、全国的に高齢人口の急速な増加を続けており、総人口は減少していく一方で、高齢者人口は2040年まで増え続けると予測されています。それに伴い、相続財産をめぐるトラブルも増加、複雑化していることが喫緊の課題となっており、さらに、問題を未然に防ぐための遺言や民事信託などの生前対策のニーズも年々高まっています。 「つぐなび」では、相続でお困りの皆様が、相続の”プロ”である専門家と一緒に相続の課題解決をしていけるようサポートいたします。

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