×

友引に葬式はOK? 六曜の意味と友引が絡む葬式のスケジュール

更新日:2020.07.21

友引に葬式はOK? 六曜の意味と友引が絡む葬式のスケジュール

「友引の葬式は避ける」といったイメージがありますが、実際のところどうなのでしょうか。専門家が友引と葬式の関係、さらには葬式に友引が絡む場合のスケジュール立てについても解説します。

六曜とは

友引とは、日本で最も有名な暦注(れきちゅう: 暦に記載される日時や方角の吉凶や運勢)である六曜のうちの1つです。六曜は、友引の他にも、先勝、先負、仏滅、大安、赤口があります。多くの人がカレンダーの中で目にしているのではないでしょうか。

六曜は、中国宋の時代の書物「事林広記」の中で紹介されている「六壬時課(ろくじんしんか)」から始まっていると言われています。もともとは日ではなく時刻を占うもので、いまでも香港や台湾などで刊行されている民間暦書に掲載されています。

中国式の六壬は14世紀ころに中国から日本に伝えられて六曜となりました。官暦(朝廷や幕府などが出す暦)には六曜の記載はなかったものの、幕末頃には庶民の間でかなり普及しました。明治時代に庶民たちの間で人気だった非合法の暦「おばけ暦」から、現在の六曜が暦に掲載されだしたものとされています。まずは、六曜で割り当てられた日が、どのような意味を持つのかを確認しましょう。

友引とは

友引(ともびき・ゆういん)とは、もともとは「共に引く」という意味だったと言われています。勝負の決着がつかないために、良くも悪くもない日のことです。現在では「友を引っぱる」とされ、友引のお葬式を避けます。朝晩が吉で、正午が凶です。

先勝とは

先勝(さきがち・せんしょう・せんかち)は、なにごとも早く決断し、実行すると良い日のことです。午前中が吉、午後が凶です。

先負とは

先負(さきまけ・せんぷ・せんまけ)は先勝の逆で、早く決断、実行するのではなく、何事も静かに待つのが良い日とされています。午前中が凶、午後が吉です。

仏滅とは

仏滅(ぶつめつ)は何事も成就しない日で、六曜の中でもっとも凶の日とされています。婚礼などのさまざまな祝いごとを控えます。

大安とは

大安(たいあん・だいあん)は、何事においても良い日です。婚礼、旅行、移転、開店、自動車の登録や納車、建物の基礎工事の着工や引渡しなども、この大安に合わせて行われます。

赤口とは

赤口(しゃっこう・しゃっく・せきこう・しゃくくち・じゃっこう・せきぐち)は、祝い事を凶とする日です。また、「赤」という字がつくため、火の元や刃物に気をつけます。正午の前後のみ吉で、それ以外の時間は凶です。

友引に葬儀・告別式が行われない理由

友引のお葬式を避ける慣習がありますが、これは、「友を引く」ということばが転じて、「亡くなった人の友人もいっしょにあちらの世界に引っ張られてしまう」と信じられるようになったからです。

ただし、多くの専門家は六曜は迷信だとしています。

暦注はそもそも、陰陽、五行、十干などの陰陽五行説の諸要素が成す数理的な法則性をもとに作られるものですが(馬場真理子「暦の『正理』」)、日本の六曜は、いつ誰が考えついたものかも知られておらず、権威ある典拠もないのです(岡田芳郎「暦ものがたり」)。東方文化学院京都研究所(現在の京都大学人文学研究所)の熊田忠亮さんは「曆學史論」の中で、「(六曜は)なんら科学的根拠のあるものではありません」と言い切っています。

それでも、友引にお葬式が行われないのは、人々が六曜の迷信を信じているからでしょう。

またそれを受けて、葬儀社や火葬場では、友引を休業日に充てているところが多くあります。人はいつ亡くなるのか分かりませんから、24時間365日稼働する葬儀社や火葬場職員にとっては、唯一の息を抜く日でもあるのです。火葬場が休日となると、「友引=葬儀を避ける」という風潮はより社会の中で強まります。

本当に友引に通夜も葬儀(告別式)もNG?

友引の日に絶対に葬儀をしてはいけないのかというと、そんなことはありません。要は「気にするかしないか」で、最後は喪主の判断しだいです。

また、友引に避けるべきは葬儀・告別式や火葬であり、友引の通夜は問題ないとされています。

友引に葬式はNG?

友引のお葬式は避ける傾向にありますが、決してNGというわけではありません。実際に、友引の日でも稼働している火葬場はたくさんあるので、喪主や遺族が気にしなければ、お葬式を行えます。

友引に通夜は?

友引の通夜はよしとされています。通夜当日が友引ということは、翌日の葬儀告別式は友引以外の六曜があてはまるため、なんら問題なくおこわれています。

通夜とはもともとは、夜を通して故人に寄り添うことであり、現代になって儀式化され、「通夜式」を指すようになりました。通夜はあくまでも、故人との最後のお別れの場で、故人をあちらの世界に送り出す宗教儀礼としての葬儀とは意味合いが異なるのです。

法要も友引は避けるべき?

法要の日取りでは、六曜を気にすることはありません。法要の日程は、親族が集まりやすい日と僧侶の都合を調整して決めていきます。

友引に葬儀・告別式を行う場合の注意点

友引にお葬式を行う際には次の2点に気をつけましょう。

火葬場について

友引の葬儀や火葬を避ける人が多いため、多くの火葬場では友引を定休日にしています。通常、ご逝去の翌日~3日の間に葬儀や火葬をするのが一般的ですが、その日が友引と重なるために日程をずらすのはよくあることです。また、友引明けの火葬場は混雑しがちで、希望の日時で予約が取れないこともあります

参列者への配慮

世間一般的に「友引に葬儀はしない」という風習が広がっているため、参列者の中には友引の葬儀を嫌がる人もいるでしょう。葬儀の日程は、喪主の希望、僧侶の都合、火葬場の空き状況などを調整して決めていきますが、もしもこうした声が上がったならば、参列者への配慮のために、友引を避けて日程を調整するよう葬儀社に相談しましょう。

通夜・葬儀の日程

友引が絡んでくる場合のお葬式の日程についてご説明します、

まず前提として、ご逝去当日の火葬は、ほとんどの場合行われません。なぜなら、日本の法律では死後24時間以内は火葬をしてはならないと決められているからです。そして、ご逝去のあとは、ご遺体の安置、葬儀の打ち合わせ、もろもろの準備や納棺などをしなければなりません。その準備に1日ないし2日を要すため、一連のお葬式を終えるにはご逝去から3~4日程度かかります(直葬などの場合はご逝去翌日の火葬もあり得ます)。これらのことを前提に、ケース別に見ていきましょう。

友引当日に亡くなった場合

亡くなった日が友引であることと、葬儀日程は関係ありません。あくまでも「葬儀や火葬の日が友引に重ならない」よう、葬儀日程を決めていきましょう。

通夜・葬儀を行う場合 直葬の場合
ご逝去 友引 お葬式の打ち合わせ、準備など 直葬の打ち合わせ、準備など
翌日 通夜
翌々日 葬儀・告別式→火葬

友引前日に亡くなった場合

友引の前日に亡くなった場合は、翌日に通夜をし、翌々日に葬儀を行うのが一般的です。

セレモニーを執り行わない直葬の場合も、ご逝去から24時間以内の火葬が禁じられているため、翌日の友引を避け、翌々日に火葬をします。

通夜・葬儀を行う場合 直葬の場合
ご逝去 お葬式の打ち合わせ、準備など 直葬の打ち合わせ、準備など
翌日 友引 通夜 火葬はNG
翌々日 葬儀・告別式→火葬 火葬

友引前々日に亡くなった場合

友引の前々日に亡くなった場合は、葬儀告別式の日程と友引が重なりやすくなります。こうした場合は、葬儀の日を1日うしろにずらすことが多いようです。そうすることで、ゆっくりと葬儀の打ち合わせができ、故人との最後の時間を過ごせます。

また逆に1日早めて、ご逝去当日の通夜、翌日の葬儀告別式という日程も、条件さえ整えばできなくはありません。ただし相当慌しくなってしまうため、あまりおすすめはできません。

通夜・葬儀を行う場合 直葬の場合
ご逝去 お葬式の打ち合わせ、準備など 直葬の打ち合わせ、準備など
翌日 1日空ける  火葬
翌々日 友引 通夜 火葬NG 火葬はNG 
3日後 葬儀・告別式→火葬

友引人形とは

友引人形とは、どうしても友引に葬儀をしなければならない時に棺の中に納める人形のことです。友引が「亡くなった人が友を引っ張る」と考えられているため、それを避けるために身代わりとして人形を棺の中に納めるのです。

友引人形の形状などに決まりはなく、人の形をかたどったもの、火葬できる材質のものであれば構いません。葬儀社が用意してくれますし、希望のものがあれば家族が用意したものを納めることもできます。

ちなみに、棺の中に納めるもののこと全般を「副葬品」と言いますが、古くは古墳の中から出土した埴輪も、副葬品としての人形でした。昔から人々は、亡き人の安寧を祈るために、魔除けとして人形をかたどったものを死者の傍に添えていたのです。

まとめ

友引はあくまで迷信で、気にするしないは本人次第。しかし、もしも心の中で少しでも「気になる」ようであるのなら、避けておくのが無難でしょう。

友引を迷信と切り捨てるのは簡単ですが、「故人があちらの世界でも幸せになれますように」「故人亡きあとの私たちに災いが降りかかりませんように」という人々の想いが、このような社会的風習を作り出したものだと思います。最後に、暦学者の熊田忠亮さんの言葉を引用します。

「たとえその方法が非科学的であっても、その希望するところはこれを諒として(真実として)やらなくてはなりますまい。ことに科学の力でさえもどうすることもできぬような人心不安の状態に陥った場合、溺れるものは藁をもつかむといった心理状態には同情すべきものがないではない」

非科学的で根拠がないとされている友引という慣習をそれでも受け入れてしまうのは、それだけ私たちが、亡き人の冥福を、そして私たち自身の幸福を願っていることに他ならないのです。みなさまのお葬式が、どうかしこりの残らない、満足いくものになりますように。

【参考文献】

●岡田芳朗編『日本の暦』新人物往来社(2009)
●岡田芳朗『暦ものがたり』角川ソフィア文庫(2013)
●熊田忠亮『曆學史論』生活社(1948)
●新谷尚紀・関沢まゆみ『民族小辞典 死と葬送』吉川弘文館(2005)
馬場真理子『暦の「正理」―『暦林問答集』における暦注の解説を中心に―』東京大学宗教学年報(2016)

執筆者プロフィール
玉川将人
1981年山口県生まれ。家族のたて続けの死をきっかけに、生涯を「弔い」に捧げる。葬儀社、仏壇店、墓石店に勤務して15年。会社員勤務の傍らでライターとして、死生、寺院、供養、終末医療などについて多数執筆。1級葬祭ディレクター、2級お墓ディレクター、2級グリーフケアカウンセラー。

「つぐなび」の運営は、1970年創業の株式会社船井総研ホールディングス(東証1部上場、証券コード:9757)の経営コンサルティング事業を担う株式会社船井総合研究所が行っています。…もっと見る

船井総合研究所は、相続分野において700事務所にものぼる全国の弁護士・税理士・司法書士といった士業事務所のコンサルティングを行っており、その長年のノウハウをもとに「つぐなび」を2020年に開設いたしました。
現在、全国的に高齢人口の急速な増加を続けており、総人口は減少していく一方で、高齢者人口は2040年まで増え続けると予測されています。それに伴い、相続財産をめぐるトラブルも増加、複雑化していることが喫緊の課題となっており、さらに、問題を未然に防ぐための遺言や民事信託などの生前対策のニーズも年々高まっています。 「つぐなび」では、相続でお困りの皆様が、相続の”プロ”である専門家と一緒に相続の課題解決をしていけるようサポートいたします。

・本記事は一般的な情報のみを掲載するものであり、法務助言・税務助言を目的とするものではなく、個別具体的な案件については弁護士、税理士、司法書士等の専門家にご相談し、助言を求めていただく必要がございます。
・本記事は、本記事執筆時点における法令(別段の言及がある場合を除き日本国におけるものをいいます)を前提として記載するものあり、本記事執筆後の改正等を反映するものではありません。
・本記事を含むコンテンツ(情報、資料、画像、レイアウト、デザイン等)の著作権は、本サイトの運営者、監修者又は執筆者に帰属します。法令で認められた場合を除き、本サイトの運営者に無断で複製、転用、販売、放送、公衆送信、翻訳、貸与等の二次利用はできません。
・本記事の正確性・妥当性等については注意を払っておりますが、その保証をするものではなく、本記事の情報の利用によって利用者等に何等かの損害が発生したとしても、かかる損害について一切の責任を負うことはできません。
・本サイトの運営者は、本記事の執筆者、監修者のご紹介、斡旋等は行いません。
…閉じる