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通夜告別式無し「直葬」の費用やメリット・デメリット、近年増加の理由

更新日:2020.06.17

通夜告別式無し「直葬」の費用やメリット・デメリット、近年増加の理由

葬儀にかかる費用を抑える方法として、通夜・告別式を行わない「直葬」というものがあります。葬式費用の平均は約189万円と言われており、また、葬式を行なう場合、親族の方の手間などの負担も大きいため、「経済的負担を最小限にしたい」「故人の意思で葬式をやらずに納骨したい」といった様々な理由で「直葬」を選ばれることが増えています。今回は「直葬(火葬式)」について、費用や注意点などをご紹介します。

直葬とは

通夜・告別式などを行わずに、近親者のみで「火葬のみ」を行う儀式のことです。ご遺体が安置されている病院などから、直接、火葬場に搬送するため「直葬」と言われていますが、実際にはいったん安置施設を経由することもあります。また、火葬場で僧侶の方にお経を読んでもらえるケースもあり、「火葬式」とも呼ばれています。

直葬のメリット・デメリット

直葬のメリット (1)費用が抑えられる

直葬では、通夜や葬儀のようなセレモニーを執り行わないため、その分の費用を軽減できます。葬儀を行うと、小規模に抑えたとしても100万円近くの費用がかかりますが、直葬の場合、首都圏であれば20万円から30万円、地方や郊外の安いところでは10万円から20万円の範囲内で済ますことも可能です。

直葬のメリット(2)そもそもお参りの人がいない場合は直葬でも大差がない

超高齢社会の現代では、葬儀に参列してもらいたくても、故人とつながりのあった人たちも高齢で参列できないというケースが多く見られます。そもそもお参りの人がいないのであれば、対外的に体裁を整える必要ないと考える人も多く、こうした人たちが直葬を選ぶ傾向にあります。

直葬のメリット(3)所要時間が短い

直葬にかける時間は、火葬から拾骨まで、通常1~2時間程度です。時間的に余裕のない人たちにとっては、わずかな時間で葬儀を終えることができるのはメリットでしょう。

直葬のメリット(4)僧侶の供養はきちんとしてもらえる

通夜と葬儀を省略するものの、僧侶による供養はきちんとしてもらえます。火葬炉の前で読経してもらい、親族は焼香することもできます。ただし、火葬場は公共空間ですので、読経の時間は5分から10分程度しか認められていませんし、その他いくつかの制約の中で執り行うことになります。

直葬のデメリット(1)安置スペースの確保が必要

日本の法律では、死後24時間経過しなければ火葬を行うことができません。したがって、火葬するまでの間、どこかにご遺体を安置する必要があります。
病院では、安置しておけないケースが多く、亡くなってすぐに火葬できるわけではないため、安置する為の費用は必ずかかると思っておいた方が良いでしょう。

直葬のデメリット(2)事前確認をしないと入るお墓がなくなる!?

先祖代々のお墓があり、お付き合いがあるお寺があるという場合は、直葬を行う前に事前にお寺の僧侶に確認をした方が良いでしょう。お寺の考えによっては、葬式(通夜・告別式)をやらずに納骨をすることができないなどのトラブルになるケースもあるようです。事情を説明し、理解してもらった上で、行うようにしましょう。

直葬のデメリット(3)親族らから反発も

葬式をせず火葬まで済ませた場合、お別れをしたかった人たちから「なぜ勝手に火葬をしたのか」と言われることもあるようです。そうならないためにも直葬をする前に、早めに連絡しておいた方が良いでしょう。

また、「お線香だけでもあげさせてほしい」と自宅にお見えになる方が増え、来客対応に追われる可能性もありますので、直葬はその点も考慮した上で行いましょう。

直葬のデメリット(4)香典収入が見込めない

直葬の場合、近親者のみで行う為、一般的な葬儀をやった場合に比べ、香典収入がほとんど見込めません。直葬にかかった費用のほとんどを負担しなくてはならない点も頭に入れておきましょう。
ただし、故人の方が健康保険に加入されていた場合は、葬式費用の補助として、申請すれば給付金が貰えますので、忘れずに申請しましょう。

直葬の割合

公正取引委員会が平成29年3月22日に発表した「葬儀の取引に関する実態調査報告書 」によると、一般葬や家族葬など、さまざまな葬儀スタイルの中で直葬が占める割合は5.5%でした。

また、これとは別に興味深いデータもあります。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の一都三県を中心に葬儀の施行を請け負う葬儀社アーバンヒューネスが運営するサイト「エンディングデータバンク」によると、2017年の火葬式の割合は全体の20.6%に及んでいます。2010年から2017年までの8年間の統計では17.38%のため、少なくとも都市部では直葬が増加傾向であるといえるのではないでしょうか。

直葬が選ばれる理由

直葬が選ばれているのには、次のような理由が考えられます。

核家族化や高齢化による参列の減少

核家族化や高齢化の社会になることで、葬儀への参列という文化が衰退してきています。これを顕著に表しているのが家族葬です。家族や親族だけで執り行うスタイルが増えてきている中で、さらにその中身を簡素にしたの直葬です。

葬儀にかけるお金がない

通夜や告別式などのセレモニーをしないことで葬儀費用を大きく軽減できるため、葬儀を節約したいと考える人たちに選ばれています。直葬が直葬として社会に認知され始めたのはバブル崩壊後。景気が悪化し、葬儀の縮小化が進んでいく中で、葬儀を出すことが経済的に難しい人たちの受け皿として直葬が行われ出しました。

葬儀に価値を感じられない

一方、葬儀に価値を感じられず、お金をかけたくないと考える人もいます。核家族化によりお寺や先祖とのつながりを感じにくくなった人、テクノロジーが発達して宗教観や来世観が希薄になった人たちは、葬儀に意味や価値が見いだせず、安くて楽に済ませられる直葬を選ぶ傾向にあります。

直葬の流れ

直葬の場合は、「通夜」「告別式」がない為、下図のような流れになります。

臨終~搬送~安置

「直葬」と聞くと、そのまま火葬場に直行して火葬するイメージを持つ人が多いものです。しかし、原則として死後24時間以内は火葬ができないため、いったんどこかに安置するのが通例です。安置場所としては、自宅、あるいは葬儀社や火葬場が保有する安置施設が選ばれます。

納棺~出棺

納棺とは、遺体を棺に納めることですが、直葬の場合は葬儀社が執り行うことがほとんどです。もしも儀式として納棺式を希望するのであれば、葬儀社に相談しましょう。

また、火葬場とは別の場所に遺体を安置した場合は、火葬時間に合わせて出棺します。

火葬~拾骨

火葬炉に納まる前に、棺の蓋を開けて最後のお別れをします。直葬は宗教者がいなくても執り行えますが、5~10分程度であれば僧侶の読経も可能です。希望する場合には、僧侶にも火葬場に来てもらいましょう。火葬時間は火葬場によって異なりますが1~2時間。火葬後は2人1組になって遺骨を箸で拾い、骨壺に納めていきます。

直葬の注意点

本当に満足感を得られるか

直葬をすることで、故人のお見送りに満足を得られないかもしれません。従来の葬儀が複数の日程をまたいで行われてきたのは、グリーフケア(死別の悲しみへのケア)のためにはそうした時間的経過が不可欠だったからだと言われています。

直葬は、早く安く済ませられますが、あっという間に、あっさりと終わってしまいます。そのようなお見送りで、本当に故人の死を受け止め、乗り越えていけるかどうか、きちんと考えておく必要があります。

大切な人には事前に伝えておく

家族だけで直葬にすることで、あとから聞かされた人たちの中から反発が起こることも予想されます。葬儀の方向性はもちろん喪主が決めるべきことですが、誰しもが故人を弔う権利を持っています。だからこそ、大切な親戚や関係者には事前にこちらの想いや考えを伝えておくことが大切です。

お墓に埋葬できないこともある

もしもあなたのお墓がお寺の境内にあるのなら、そのお寺から戒名をもらわなければなりません。戒名とは死後仏弟子になることの証で、供養をしてもらう寺院から授かります。お世話になるお寺があるのなら、事前に連絡して、直葬を希望する旨を伝えておきましょう。

事前連絡をしておけば、直葬でも、きちんと戒名を授けてくれるケースがほとんどです。もしも費用の面で悩んでいるのなら、勇気を出してお寺に相談してみることも大切です。戒名料を節約しようとすることで、あとからトラブルに発展することもあります。

直葬のマナー

直葬の服装

直葬だからといって、特に服装に大きな違いがあるわけではありません。葬儀に参列する時の一般的な喪服を着用します。喪服にもシーンによって様々な種類があり、主に「正喪服」「準喪服」「略喪服」に分けられます。

  • 正喪服: 男性は和装やモーニング、女性は和装やブラックフォーマル
  • 準喪服: 男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマル
  • 略喪服: 男性はダークスーツ(黒、紺、グレーなど)、女性はスーツやアンサンブル(黒、紺、グレーなどの地味目な色)

直葬の場合は、正喪服でも構いませんが、準喪服を着用する人がほとんどです。また、故人を送り出す大切な場面ですから、略喪服は可能な限り避けましょう。

直葬のお布施

直葬で、火葬場まで僧侶に来ていただく場合はお布施を包みます。お布施の相場は3~10万円です。その他、お車代やお膳料を包むとより丁寧です。お車代は通常5,000~1万円ですが、寺院と火葬場との距離を考えて決めましょう。お膳料は5,000円が相場です。

直葬を選ぶ人の中には、経済的に余裕がないという人もたくさんいます。そもそもお布施は相場がなく、包む側の気持ちを金銭にするものです。どうしてもお布施の捻出がむずかしいという人は、お寺や葬儀社に相談してみましょう。

直葬の香典

直葬に参列する時の香典の相場は1~3万円でしょう。

これは、直葬だからということではなく、喪主や故人との関係性によって決まります。直葬の場合は、参列者のほとんどが近親者であることが予想されます。近い血縁であれば3万円、親戚関係であれば1万円が相場です。

もしもあなたが親戚関係でないにも関わらず参列を求められたのであれば、5,000円~1万円が相場でしょう。

ただし、香典も気持ちのものです。あくまでも相場を参考にして自身で金額を決めて構いません。

直葬を選ぶには?

葬儀社に依頼する場合

直葬を希望するのであれば、その旨を葬儀社に伝えましょう。直葬のプランを提示してくれます。遺体の搬送、納棺、役所への手続き、火葬場の手配、火葬場への搬送など、すべてのことを葬儀社がしてくれるので、家族は指示に従えばよいでしょう。あらゆる面で葬儀社がフォローしてくれるので相応の費用はかかります。しかし、不慣れどころかほとんどの人が経験したことない火葬の執行ですから、葬儀社に任せておくのが安心です。

自分で執り行う場合

あまり現実的ではありませんが、少ないながらも葬儀社の手を借りずに自分自身の手で直葬を執り行う人もいます。自分自身で直葬をするには、次のことをしなければなりません。

  • 棺や骨壺の手配
  • 病院へのお迎えと安置
  • ご遺体の処置
  • 納棺
  • 役所への手続き
  • 火葬場への搬送
  • 火葬の執行

身内の不幸という普段経験することのない状況下で、誰も経験したことのない直葬の手配を自分たちの手でやりきるというのはとても大変なことです。しかし葬儀社の手を借りない分、費用はさらに安く抑えられるでしょう。

直葬の費用相場

平均20万円前後

直葬の場合、通夜・告別式を省略する分、費用が抑えられます。葬儀社にお願いした場合、20万円前後が相場となります。

直葬プランの中身は葬儀社によって異なりますが、一般的には次に挙げる品目が含まれています。

  • 搬送費: 病院へのお迎えと安置施設までのご遺体の搬送費です。
  • 安置費用: 葬儀社や火葬場が保有する安置施設の利用料です。
  • ドライアイス: ご遺体保全のためにドライアイスを当てます。
  • 手続き代行料: 死亡届の提出や火葬許可証の発行などの手続きを代行してもらえます。
  • 納棺: 納棺式の有無は葬儀社によって異なります。
  • 棺: シンプルな「桐八分棺」がよく選ばれています。
  • 寝台車: 安置施設から火葬場までの霊柩搬送費です。
  • 火葬料金: 自治体によって火葬料金が異なるため、プランに含まれないこともあります。
  • 骨壺: 白無地の骨壺が用いられます。

これら以外にも希望によっては、「枕飾り祭壇」「後飾り祭壇」「遺影写真」「お別れ花」などのオプション品目を選ぶこともできます。

葬儀社の中には10万円前後で提示してあるセットプランもありますが、安さだけで選ぶのは気を付けましょう。プランの中にどのような品目が含まれているか、きちんと確認しておくことが大切です。安いプランの場合、

  • 火葬料が含まれていない
  • 遺影写真代や自宅用の祭壇が含まれていない

などのケースがあります。
もちろん、自身で手配できるものはそうしたほうが安く済ませることができます。セットプランでお願いする場合は、プランの中に何が含まれているのか確認し、自分たちにとって、何が必要で何が不要かを、きちんと判断して選ぶようにしましょう。

火葬場によって、火葬料は異なる

火葬場には、市や区などが運営している「公営」の火葬場と、「民間」の火葬場があります。

公営の火葬場の場合、住民であれば安く利用することができ、自治体によっては「無料」で行っているところもあります。

民間の火葬場の場合、東京のある火葬場では、ランクによって約6万円~17万円とかなりの差があります。また、葬儀社が提供している「直葬」のセットプランに火葬料が含まれている場合でも、「民営」の火葬場で火葬する場合、一定の金額を超える場合には、追加で費用が発生する場合があります。

安置期間によって追加料金がかかることも

火葬場が混み合っておりすぐに火葬できない場合、安置するための費用が追加でかかります。火葬場の霊安室(柩保管施設)で安置する場合、施設によって異なりますが、1日あたり5,000円~1万円前後かかります。

まとめ

直葬では、経済的・時間的な負担が抑えられるというメリットがある反面、葬式をやらない分、物足りなさを感じる方もいらっしゃるようです。そういった点も考慮したうえで、どのように葬儀を行うのか検討されると良いでしょう

 

執筆者プロフィール
玉川将人
1981年山口県生まれ。家族のたて続けの死をきっかけに、生涯を「弔い」に捧げる。葬儀社、仏壇店、墓石店に勤務して15年。会社員勤務の傍らでライターとして、死生、寺院、供養、終末医療などについて多数執筆。1級葬祭ディレクター、2級お墓ディレクター、2級グリーフケアカウンセラー。

「つぐなび」の運営は、1970年創業の株式会社船井総研ホールディングス(東証1部上場、証券コード:9757)の経営コンサルティング事業を担う株式会社船井総合研究所が行っています。…もっと見る

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