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意外と多い!?遺言によるトラブルとは?

更新日:2020.04.01

意外と多い!?遺言によるトラブルとは?

遺言があるにもかかわらずトラブルになることが実務上多いのはご存知でしょうか?

どんなときにトラブルになるのでしょうか?トラブルの事例をご紹介していきます。

1.遺言が無理やりかかされたものかも!?

封筒 開ける

(1)認知症の親に無理やり遺言を!?

親が1人、子どもが2人(太郎、次郎と設定)いたとします。次郎がお金に困っており、親の財産に目をつけていたとします。
この時、次郎は認知症の親に無理やり自筆証書遺言を記載させました。
遺言の内容は、すべての財産を次郎に渡すという内容でした。

このケースでは、遺言の有効性を巡って、太郎と次郎で裁判が行われました。

【ポイント】

無理やり遺言を書かせたことが認められれば、太郎は裁判で勝つことができます。
また、仮に遺言の内容が妥当と認められたとしても、太郎には、遺留分が認められておりますので、遺留分減殺請求を行うことができます。

遺留分(いりゅうぶん)の詳細は、

遺留分を知らないと相続財産を1円ももらえない可能性も?

遺留分減殺請求の詳細は、

遺留分減殺請求で貰えるはずの財産は全て取得しよう!!!をご参照ください。

(2)宗教団体が無理やり遺言を!?

宗教団体が一人暮らしの方や、ご家族がいないご老人の寂しさにつけ込み遺言を書かせるという事例がありました。
このご老人に対して、財産をすべて宗教団体に寄付すると遺言書に書かされました。

裁判で争うことで、宗教団体が無理やり書かせたことが認められれば裁判で勝つ可能性はもちろんあります。

2.家族以外に財産を渡すと遺言に書いたことで、ご家族が争いに!?

争う

お世話になったヘルパーさんや、近所の方に少しでも財産を渡したいということで、相続財産の10分の1を渡すと記載してあったとします。
この遺言のせいで、遺族がモメることがあります。

まず、相続財産の10分の1とざっくり記載した場合、相続財産のすべてが現金だった場合にはモメることはないかもしれませんが、不動産があれば、不動産を10分の1に分けることはできませんので、モメる原因となります。

ご家族に不満がでないようにするために、「現金◯◯円」を渡すや、「◯◯の車1台」を渡すなどの具体的な名称で記載するようにしましょう。
また、なぜその財産を家族以外の方に渡すのかを遺言に記しておくことで、ご家族に不満がでることを防ぐことができるでしょう。

又は、生前に家族以外の方に財産を渡すことをご家族にお話しておくことが争いを避けることができるでしょう。

【参考】

相続人の資格を失うことを欠格といいます。

無理やり遺言を書かせている場合には、欠格となります。

また、遺言を隠していた場合にも、欠格となります。

3.遺産分割が終了した後に遺言書が出てきてトラブルに!?

遺言がない場合には、遺産分割協議を行うことによって、誰に何を相続させるかを協議し、協議が終了した後に、遺産を相続人に分割していきますが、遺産分割が終了した後に、遺言書が発見された場合には非常に手間がかかります。

遺産分割協議の内容のうち、遺言書に反する部分があれば、その部分の協議は無効となります。
もし、不動産を相続し、その不動産を売却した後に遺言が出てきてしまった場合には、本来その不動産を貰うはずだった相続人が財産の返還を求める裁判を起こしてしまうと最悪の事態になるでしょう。
数年にわたって裁判で争う可能性もあるでしょう。

(1)事例1

遺言により、子供を認知していたが、その人を無視して遺産分割協議を行っていた場合

このケースでは、認知した子供を含めてもう一度遺産分割協議を行う必要があります。

(2)事例2

遺言による廃除があり、その人を加えて遺産分割協議をおこなっていなかった場合

このケースでは、廃除になった方を除いてもう一度遺産分割協議を行う必要があります。

4.自筆証書遺言の日付が間違っていた!?

卓上カレンダー

遺言を作成する際は、正確な日付を記載しなければ、その遺言が無効になる可能性があります。

例えば、1月吉日と記載したり、2月30日(2月は30日までない)などと記載した場合には、日付が完全ではないので、無効となる可能性があります。
これに原因で争いが発生する可能性もあるのでしょう。日付は正確に記載しましょう。

5.遺言の字が読めないことでトラブルに!?

読めない場合には、まず鑑定に出さなければなりません。鑑定でも字が解読できない場合にはその遺言は無効となります。

6.遺言をビデオで残した場合にはトラブルに!?

遺言をビデオのみで残している場合には、法律上認められません。そのため、ビデオのみの遺言は無効となります。遺言を残す予定であれば必ず紙で作成しましょう。

7.相続人が子ども2人だけだから、遺言を作成しなかったためトラブルに!?

けんか

二人で半分にわけるだけなので、遺言なんて書かなくてもトラブルにならないとお考えの方も多く、相続人が少ないから遺言を作成しないという方は多いのですが、相続人が少ない場合にも、財産が少ない場合でも、相続人同士がトラブルになることはよくあります。

トラブルの事例①

被相続人(相続財産を残して死亡した方)A

相続人はBとCの二人。

BはAが、体調を崩してから約2年間一生懸命介護してきた。

にもかかわらず、Aが死亡後、遺言が無いことで、BとCで遺産分割協議を行いどの財産を貰うかを主張することとなるが、
Bの立場では、2年も介護したんだから、少しは多く相続財産を貰いたい!Cは、半分ずつわけよう!と主張したとします。
お互いが譲り合えば争いは発生しませんが、お互いが主張を変えなければ、裁判沙汰となってしまうでしょう。

トラブルの事例②

被相続人(相続財産を残して死亡した方)A

相続人はBとCの二人。

相続財産は

  • 現金1,000万円
  • 不動産が3,000万円(Bが居住中)

このケースの場合、相続財産は総額で4,000万円。

仮に半分ずつわけるのであれば、居住している財産を売却しなければなりません。
Bが絶対に売却したくないと考えていれば、Bはお金を変わりに支払わなければなりません。
Bがお金を払うことが出来なければ、不動産を共有名義にしなければなりませんが、Bは、その不動産に妻と子供一緒に住んでいました。
もし、Bが次に亡くなった場合には、名義が複数あると権利関係が複雑になるため共有名義にしたくない!

つまり、相続財産のほとんどが不動産の場合で、平等にわけにくい場合はおおくのケースで遺産分割でモメます!

相続財産がほぼお金だ!という方以外は、どのご家庭でもモメる可能性があります。

8.遺言が無いことがトラブルに!

突然今まで一度も合ったことがない方が、相続分を主張してくる可能性があります。

【事例】

被相続人(相続財産を残して亡くなった方)は、以前離婚しており、その離婚相手には子供がいたとします。
その子供は、離婚したとしても基本的には、相続人となりますので、離婚してから期間が経過していれば、この離婚相手の子が相続分を主張してきた場合、知らない方がいきなり権利を主張してきたと感じることでしょう。
もちろん離婚相手の子供でも相続する権利はあるのでモメる可能性が非常に高いです。

9.自筆証書遺言のせいでトラブルに!

公正証書遺言ではなく、自筆証書遺言を残しておいたためにトラブルが生じることがあります。

トラブル事例1

遺言の様式に不備があったため、書いてある内容がすべて無効になる。

トラブル事例2

遺言には、全相続財産のうち、一部しか記載されていない。例えば、土地が100坪あるにも関わらず60坪をAに渡す旨を記載していた。
このケースでは、40坪分のみは誰に渡すのかが記載されていないため、40坪分については、遺産分割協議を行わなければならなくなります。そのため、トラブルになる可能性があります。

10.遺留分を無視した遺言を残していた場合はトラブルになる可能性も!?

 

遺留分を無視して、遺言を残しても、遺言としては有効なのですが、相続人が遺留分減殺請求をしてくる可能性があります。
そのため、最終的には、遺留分を主張され裁判に発展することもあります。

遺言を作成するのであれば、遺留分を考慮して作成すべきでしょう。

11.遺言執行者とトラブル!?

(1)遺言の内容に問題がある場合

遺言執行者は、遺言の意思を実現するために、相続人全員の代理人の立場となります。

しかし、遺言執行者の意思を遺言にいれたのではないかと相続人に疑われることや、遺言に不備があるのではないかと疑われトラブルになることがあります。

(2)遺言執行者の職務執行に問題ある場合

職務執行に問題がある場合には、解任される可能性があります。

《解任される可能性があるケース》

  • 遺言執行者が任務を怠った場合
  • 解任を正当化する理由がある場合

【おまけ1】

遺言を作成する際に、印鑑を押しますが、その印鑑は拇印で無いほうがよいです。
拇印でもその遺言書は有効だ!という説もありますが、絶対に有効かと言われると難しいところとなります。
そのため、絶対に有効な遺言と認めてもらうためにも拇印はやめましょう。

【おまけ2】

遺言の無効を訴える方法は、調停や訴訟で遺言書の無効を主張することです。
この無効の主張は、弁護士さんと相談して行うこととなるでしょう。

【おまけ3】

遺言があれば、その財産を遺贈(遺言による贈与)するのが原則ですが、その財産がいらなければ、放棄することが可能です。

まとめ

遺言がない場合にもトラブルが発生するケースがありますが、遺言がある場合にもトラブルになる可能性があります。
すこしでも争いをさせるために、遺言は、自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言を残しておくとよいのではないでしょうか。

公正証書遺言の詳細は、『公正証書遺言を作らなければ絶対に後悔します!

こちらをご参照ください。

 

 

 

この記事の監修者

 

藤村 晃 司法書士

 

所属事務所:司法書士法人ブリッジ 代表社員

平成17年3月成蹊大学文学部卒業。平成27年11月に司法書士試験に合格し、

平成27年12月に司法書士登録(東京司法書士会)。

平成29年8月に司法書士法人ブリッジを設立し、代表社員に就任。

最近では企業に向けて家族信託のセミナーや勉強会にも注力している。

 

 

司法書士法人ブリッジの詳細ページはこちら>>>

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現在、全国的に高齢人口の急速な増加を続けており、総人口は減少していく一方で、高齢者人口は2040年まで増え続けると予測されています。それに伴い、相続財産をめぐるトラブルも増加、複雑化していることが喫緊の課題となっており、さらに、問題を未然に防ぐための遺言や民事信託などの生前対策のニーズも年々高まっています。 「つぐなび」では、相続でお困りの皆様が、相続の”プロ”である専門家と一緒に相続の課題解決をしていけるようサポートいたします。

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