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祖父・祖母から孫に遺産相続にすることは可能?

更新日:2020.06.12

祖父・祖母から孫に遺産相続にすることは可能?

遺産相続の際に、「孫に自分の遺産を相続させたい」と考えたことはありませんか?

孫に財産をあげたい場合、ご自身の死亡後に財産をあげる場合と、生前(生きている間)に財産をあげることが考えられますが、今回は死亡後に孫に遺産をあげたい場合、どのようにすればできるのか?どの位あげることができるのか?などご紹介します。

1.遺産を孫に相続させることはできるのか?

孫が遺産を相続できるかどうかは、孫の置かれている状況によります。まず、相続財産は、相続人が取得する権利を有しており、相続人の決定方法は、次の順位によって決まります。

(1)被相続人の配偶者は常に相続人となります。

 例えば、夫が亡くなった場合には妻が必ず相続人となります。妻が亡くなった場合には夫が必ず相続人となります。
つまり、被相続人(遺産を遺して亡くなった方)に配偶者がいる場合は、配偶者と、次に説明する「順位の高い相続人」で財産を分けることになります。
※注意点としては、戸籍上、入籍していることが要件です。よって、内縁の妻や離婚した前の妻は相続人にはなりません。

(2)配偶者以外の相続人は以下の順位によって決まります。

相続人関係図

第1順位:死亡した人の子供

その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。
子供も孫もいるときは、子供が相続します。
子供がすでに死亡しており、孫がいる場合には、孫が相続します。
(これを代襲相続と呼びます。代襲相続については後ほど簡単にご説明しますが、詳しくは「代襲相続って何?代襲相続の基礎知識」をご覧ください。)

第2順位:死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)

第1順位の人がいないときは第2順位の方が相続人となります。
第1順位の方がいる場合には、第2順位の方は相続できません。
父母も祖父母もいる場合は、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。

第3順位: 死亡した人の兄弟姉妹

第1順位の人も第2順位の人もいないとき第3順位の方が相続人となります。
第1順位、第2順位の方がいる場合には、第3順位の方は相続できません。
 その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供(甥っ子、姪っ子)が相続人となります。(これも代襲相続にあたります。)
※第3順位の代襲(下の世代に引き継ぐこと)は1度のみとなるため、甥っ子、姪っ子に子供がいた場合でも代襲はされません。
つまり、後ほど説明する養子縁組をしている場合や遺言書がある場合等を除いて、被相続人の子供が生きているうちに孫が相続することは、基本的にはできません。

 ※ 相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。

次の3つの方法をとれば、孫に相続させることができます。

孫に相続させる方法

上記のいずれかの方法が使えれば、孫に相続させることは可能です。

ただし孫に相続をさせてしまうと、相続税が2割加算になるケースがありますので注意してください。
相続税は20%増であったとしても、孫に相続すれば、親→子供→孫と2回にわたって相続税が発生するところ、親→孫となり1回になるため、相続税の支払い回数が減り結果的に節税になる可能性もあります
もちろん100%節税になるわけではありませんので、専門家とご相談の上、節税になる場合には実施してみると良いでしょう。
相続人の決め方は、5分でわかる!相続する人(相続人)って誰?をご参照ください。

(1)方法1 :「代襲相続」とは?

代襲相続とは、子供が死亡しており、孫がいた場合には孫が相続します。これを『代襲相続』と呼びます。代襲相続は孫が遺産相続させることはできるのですが、自ら代襲相続の状況を作ることが出来ないため、うまく条件が揃わなければ代襲相続では孫に相続させることはできません。代襲相続の場合には、子の相続権を変わりに孫が引き継ぐことになるため、相続税の2割加算の対象にはなりません。
代襲相続

(2)方法2 :遺言書に「孫に相続させる」と記載する

孫へ遺産を、残すための方法の2つ目は遺言書で『孫に相続させる』ことを記すことでしょう。
遺言書はご自身の希望通りに遺産を相続させる事ができる可能性があります。代襲相続の場合は法律で決められた相続人と相続割合での相続となりますが、遺言書の場合、特定の孫に遺産相続をする事ができ、さらに希望する財産を希望する割合で遺産相続させる事ができる可能性があるため、孫に遺産相続を希望する場合には一番お勧めではないでしょうか。
ただし、後ほど「5.遺産相続で孫が相続した場合の取得割合は?」で説明します「遺留分減殺請求」によって、必ずしも希望の割合で相続できるとは限りません。
また、遺言には、『自筆証書遺言』『公正証書遺言』と2種類あります。詳しくは『自分で作った遺言書が使われないことも?!』『公正証書遺言を作らなければ絶対に後悔します!』それぞれの記事をご覧ください。

(3)方法3 :孫と養子縁組をして、孫を子供にする

お孫さんを養子縁組にて養子にする事により、遺産相続でも「孫」ではなく、上記1でご説明させて頂きました第一順位の「子供」とみなされるため、直接に遺産相続をさせる事ができます。
この方法を利用すれば、確実に遺産を相続させることができ、かつ、特定の孫だけを養子縁組しておけば、特定の孫のみに遺産相続させることが可能です。
もちろん、親族が養子縁組することを同意しない可能性がありますので、実行するためには、親族間でよくご相談する必要があるでしょう。
ただし、孫養子のケースでも相続税の2割加算の対象となる可能性がありますので注意してください。

コラム:相続税の2割加算になるかどうかは、地位と身分に関係する!

孫が相続した場合、2割加算の対象となるかどうかという判断ですが、孫の地位や身分が1回の相続で財産を取得できるかどうかによって異なります。
代襲相続の場合には、本来の相続人である子の相続人という地位を孫が引き継ぐことになります。孫の地位は代襲者となるため、1回の相続で財産を取得する人になります。そのため、2割加算の対象にはなりません。
しかし、遺言や養子によって孫が財産を取得することになると、本来は2回の相続で財産を取得する人が1回の相続で財産を受取ることになることから、相続税の2割加算の対象になってしまうということです。

3.遺産相続で孫が相続した場合の取得割合は?

 状況によって取得割合が異なります。

(1)遺言通りに遺産を相続した場合

 仮に、遺言に「孫に全て相続させる」と記載されていたとします。本来的には、他の相続人も相続財産を取得する権利があるので『遺留分減殺請求』によって、他の相続人に相続財産の一部を渡さなければなりません。しかし、誰からも訴えられることなく、遺言通りに相続した場合には全てを取得することが理論上可能です。

もちろん理論上は全て取得することは可能ですが、実務上はほとんどないケースでしょう。

 ※遺留分減殺請求については、「遺留分を知らないと相続財産を1円ももらえない可能性も?」をご覧ください。

(2)代襲相続により財産を相続した場合

第一順位の子供が死亡している場合には、代襲相続により、孫が相続財産を取得することができます。配偶者と孫が相続人になる場合は、孫は本来、被相続人の子供である父または母が取得したであろう割合、つまり1/2が取得割合となります。

配偶者が死亡している場合で、相続人が孫のみの場合には、孫が全てを取得することができます。

取得する割合のことを『相続分』と呼びますが、相続分については以下を参照ください。

コラム:相続人の構成と相続分

相続人の構成と法定相続分

① 配偶者のみで第1~3順位まで誰もいない場合

配偶者がすべて取得します。

② 配偶者と第1順位(子または孫)

配偶者が2分の1、第1順位の方が2分の1
配偶者がいない場合、第1順位(子または孫)の方がすべて取得します。
相続分の詳細につきましては、相続分を知らないと本来の取り分が貰えない可能性も!?をご参照ください。

4.祖母や祖父の遺産を全て孫が相続できるのか?

 遺言(公正証書遺言)で相続させることは理論上は可能ですが、遺留分減殺請求された場合に、一部の財産は他の相続人に渡さなければならないため、全部を相続させることは難しいでしょう。
 いくら相続させることができるかは、養子縁組を利用したり、代襲相続による場合などケースバイケースで状況によって変動してきますのでここでは割愛させて頂きます。どうしても孫に相続させたい場合には専門家にご相談の上対策を取るべきでしょう。

まとめ

孫に遺産を相続させたい場合には、一般的に実務で利用されるのは「養子縁組を利用する」または、「遺言を利用する」のどちらかでしょう。全てをご自身で行うのは難しいと思いますので、専門家にご相談の上で手続きを行い、対策を取っていくと良いでしょう。
今回は「死亡後に財産をあげたい場合」をご説明しましたが、生前に行うことによって、節税につながるケースもあります。併せて生前に贈与すること検討してみても良いでしょう。
生前贈与については「生前に行っておくべき相続対策の3つのポイント」「相続時精算課税制度を簡単にご説明致します!」などでご説明しておりますのでご覧ください。

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