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5分でわかる贈与税の基礎知識【相続対策をする上でも必須の知識です】

更新日:2020.04.01

5分でわかる贈与税の基礎知識【相続対策をする上でも必須の知識です】
贈与税・相続税は平成27年1月に改正がありました。
相続税と贈与税の違いをみなさんは正確に理解していますか?
両者の違いを明確に理解しなければ大きな損失を被ることもあるのです。
今回は、贈与税で最低限押さえておいて頂きたい情報をご紹介します。
読んで頂ければ、「配偶者控除で2,000万円も控除ができる!!」や「こんなものに贈与税がかかるのか!!」といった発見が必ずあるはずです。

1.贈与税とは?

贈与税とは、個人が個人から贈与により現金、有価証券、不動産等の財産をもらった場合、財産をもらった人に課される税金です。(贈与とはある人が自分の持っているものを他人にあげることです。)
贈与税の税金を支払う人は、財産を取得した個人となります。

2.相続税と贈与税は何が違うのか?

相続税とは、人が亡くなった際に、相続や遺贈(贈与者が遺言により財産を渡すこと)等により、配偶者や子に財産が移転した場合に課税される税金です。

相続税:死亡後に財産をもらった方が課税されるもの

贈与税:生前に財産をもらった方が課税されるものです。

※会社から財産を取得した場合には、所得税が課されます。 贈与税は、個人が個人から財産をもらった場合に財産をもらった人が課税されます。

3.贈与税を支払う人の区分

相続税法1条の4によれば、贈与税の納税義務者(贈与税を支払う人)は以下のとおりです。

(1)居住無制限納税義務者

贈与により財産を取得した個人で、当該財産を取得した時において日本に住所がある人。

居住無制限納税義務者は、その取得財産の所在がどこにあるかに関わらず、取得財産全額について納税義務があります。

(2)非居住無制限納税義務者

贈与により財産を取得した日本国籍を有する個人で当該財産を取得した時において日本に住所を有していなかった者。
※平成25年4月の税制改正により、日本国内にいる贈与者から贈与を受けた場合には、取得財産全額について納税義務が発生することとなりました。

4.意外と知らない贈与税がかかる財産(みなし贈与財産)

贈与税は、個人から金銭や物をもらった場合のみ課税されると考えている方が多いですが、以下のものも対象となりますので注意が必要です。
一般的によく出てくるものをご紹介します。

(1)保険料を負担しないで受け取った保険金

保険料の掛金を負担せず、生命保険の満期保険金を受け取った場合や、損害保険金を受け取った場合も、贈与があったとみなされます。

満期返戻金を受け取ったときの保険金の課税関係は?

保険料の支払者
満期返戻金の受取人
課税関係
・所得税
・満期保険金を一度に受領した場合には一時所得
・年金形式で受け取った場合は雑所得
・贈与税

 

(2)掛金を負担しないで受け取った定期金

生命保険会社や証券会社等の個人年金のように、定期金給付契約(生命保険契約を除く)に基づいて定期的に現金が給付されるものを定期金といいます。保険料を負担しない保険金と同様、掛け金を負担しないで定期金を受け取った場合にも贈与があったとみなされます。

(3)著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合の利益

(例)時価10億円の土地を1億円で父が息子に譲渡した場合、子は9億円の利益を得たことになります。この9億円については贈与があったとみなされます。

(4)債務免除や債務引受等による利益

(例)父が息子の借金を負担したり、息子がマンションを購入するためにした借金を親が肩代わりした場合、贈与があったとみなされます。

(5)上記以外で、無償又は著しく低い価額で得た利益

上に挙げた以外でも、対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合にも贈与があったとみなされます。


これらをみなし贈与財産と呼びます。(相続税法5、6、7、8、9条)
一般的によくあることですが見落としがちなので注意が必要です。

5.贈与税がかからない財産とは?

贈与税は、基本的に贈与を受けた全ての財産について課されます。

しかし、課税されない財産(非課税財産)があります(相続税法21条の3、21条の2の4項)。

【非課税財産の代表例】

(1)法人からの贈与により取得した財産

贈与税は個人から個人へ財産が贈与された場合にかかります。

しかし、個人が法人から財産を贈与された場合、贈与税はかかりません。

ただし、財産をもらい受けた人の一時所得として所得税が課税されます。

(2)扶養義務者相互間の生活費や教育費

親族間で生活や教育にあてるための財産を贈与しても課税されません。

(3)公益事業用の財産

宗教、慈善、学術などの公共事業を行う者が取得し、公共事業のために用いることが確実である財産には課税されません。

(4)社会通念上必要と認められる香典、贈答、祝物、見舞などのための金品

通常必要と認められる香典、花輪代、お中元やお歳暮、お祝金やお見舞いなどで、社会通念上相当(常識的な範囲内のもの)と認められるものの贈与には課税されません。

(5)相続開始の年に被相続人から贈与された財産

相続開始の年に贈与された財産は贈与税が課されませんが、相続税の課税対象となります。 なお、相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産は贈与税の課税対象になるとともに相続税の課税対象にもなるため、注意が必要です。(もちろんこの場合、相続税計算に際して贈与税額控除ができるため、二重課税は排除されています)。

※非課税財産は、贈与税の課税対象外でも、所得税など他の税金が課される場合もあるので、注意しましょう。

6.贈与税の課税方法は?

贈与税の課税方法には、「暦年課税」(原則)と「相続時精算課税」(特例)の2つがあります。
今回は「暦年課税」についてご説明させて頂きます。

「相続時精算課税制度」については、

相続時精算課税制度を簡単にご説明致します!

相続時精算課税制度の6つのメリット8つのデメリット

相続時精算課税制度と住宅取得等資金の非課税は併用可能?

でご説明させて頂いております。ご参照ください。

暦年課税とは?

贈与税は一人が1月1日から12月31日までの間に取得した財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの金額に対してかかります。

取得財産合計 - 110万円

この金額に対して課税されます。

よって、1年間に取得した財産の合計額が110万円以下であれば贈与税はかからず、申告も不要となります。
原則は申告不要となるので何もする必要はないのですが、まれに、生前にあげたお金は、毎年、同じ時期に同じ金額を継続的に行っていると、最初からまとまった金額を贈与するつもりだったとみなされてしまうことがあるのです。
詳細については、下記サイトをご参照ください。
非課税枠110万円以内の生前贈与でも課税されることがある?
もし、最初からまとまったお金を贈与するつもりだった!と判定されてしまうと、多額の税金が取られるリスクがあります。
このリスクを回避するための方法は、『保険を使った生前贈与の相続対策とは?
の記事に記載されておりますので、こちらをご覧ください。

7.暦年課税の場合の税金計算方法は?

第1段階(課税価格の算定)

本来の贈与財産+みなし贈与財産-非課税財産 = 課税価格

第2段階(贈与税額の計算)

〔 課税価格-配偶者控除-基礎控除(100万円) 〕 × 税率 = 納付税額

8.配偶者控除とは?

(1)配偶者控除の概要

配偶者への贈与は、結婚して20年以上の配偶者に対して住宅または住宅取得のための資金贈与があった場合、贈与税の計算に際して2000万円を控除する制度です。

110万円の基礎控除もあるので、

基礎控除110万円+贈与税の配偶者控除2,000万円で合計2,110万円まで贈与税はかかりません。

この特例を利用する際の注意点
同一の配偶者間では一生に一度しか適用を受けることができません。

何も考えることなく贈与すると不利益が及ぶ可能性がありますので、専門家と相談し、贈与にあたってはタイミングや金額について検討することが重要となります。

(2)配偶者控除の要件

この特例の適用を受けるためには、下記の3つの条件すべてを満たすことが必要となります。

  1. 夫婦の婚姻期間が20年以上であること
  2. 贈与を受ける者が住む住宅または住宅を取得するための資金の贈与であること
  3. 贈与を受けた者が、その翌年3月15日までに贈与により取得した不動産に居住し、その後も引き続き居住する見込みであること

(3)配偶者控除の手続き

次の書類を添付して、贈与税の申告をすることが必要となります。

  1. 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
  2. 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
  3. 居住用不動産の登記事項証明書
  4. その居住用不動産に住んだ日以後に作成された住民票の写し
ただし、戸籍の附票の写しに記載されている住所が居住用不動産の所在場所である場合には、住民票の写しの添付は不要です。

上記書類のほかに、金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書など)が必要となります。

国税庁HP:https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4452.htm

贈与税の配偶者控除の詳細は、下記の記事にて説明しています。

贈与税の配偶者控除で2,000万円贈与しても非課税に?

配偶者が相続時に気にしなければならない6つのポイント

9.贈与税の税率は?

(1) 平成27年以降分(20歳以上の者が直系尊属(親など)から贈与を受けた財産)

課税価格 税率 控除額 課税価格 税率 控除額
2,000千円以下 10% 15,000千円以下 40% 1,900千円
4,000千円以下 15% 100千円 30,000千円以下 45% 2,650千円
6,000千円以下 20% 300千円 45,000千円以下 50% 4,150千円
10,000千円以下 30% 900千円 45,000千円超 55% 6,400千円

※(1)20歳以上の方が、父母・祖父母から贈与された場合の税率

(2) 平成27年以降分((1)以外の贈与財産)

課税価格 税率 控除額 課税価格 税率 控除額
2,000千円以下 10% 10,000千円以下 40% 1,250千円
3,000千円以下 15% 100千円 15,000千円以下 45% 1,750千円
4,000千円以下 20% 250千円 30,000千円以下 50% 2,500千円
6,000千円以下 30% 650千円 30,000千円超 55% 4,000千円

※(1)に該当しない場合の税率

まとめ

贈与税の一般的な基礎知識をまとめました。相続税と絡んでくると大変むずかしい部分となりますが、まずは、贈与税の基礎知識を正確に身につけることが相続税の理解にもつながってきます。
贈与税の関連記事を下記に記載しておきますので、参照ください。

 

 

この記事の監修者

 

代表社員 内田 勇介

所属事務所:税理士法人TAP

▼保有資格

・公認会計士

・税理士

・CFP

・日本政策金融公庫農業経営上級アドバイザー

 

税理士法人TAPの詳細ページはこちら>>>

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