【QA回答】行政書士と司法書士はどっちに相続手続きを頼むべき?

更新日:2025.06.10

【QA回答】行政書士と司法書士はどっちに相続手続きを頼むべき?

相続の手続きを進めるとき、「行政書士と司法書士、どっちに頼めばいいの?」と迷う方は少なくありません。どちらも相続に関わる専門家ですが、実は対応できる業務内容には違いがあります。

例えば、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成は行政書士、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士が担当するなど、それぞれ得意分野が異なるのです。記事では、Q&A方式で相続事例を用いながら解説していきます。

【早見表】行政書士と司法書士のどっちに相続相談すべきか

業務内容 行政書士 司法書士
不動産の名義変更(相続登記)
預貯金の相続手続き
(解約・名義変更)
自動車の名義変更
遺産分割協議書の作成
(不動産なし)
遺産分割協議書の作成
(不動産あり)
相続人調査・戸籍収集
相続関係説明図・財産目録の作成
家庭裁判所提出書類の作成
(相続放棄など)
調停・審判の代理出席
遺言書作成支援
(文案作成など)
公正証書遺言の作成サポート
遺言執行者の就任
事業の許認可の相続承継
遺産整理業務
(相続全体の代行)

行政書士と司法書士のどっちに相続相談?事例を元に解説

つぐなびに掲載している相続の解決事例のもとに、行政書士と司法書士のどっちに依頼すべきなのかを紹介します。

不動産の名義変更(相続登記)の事例

ケース①:不動産が祖父母名義のまま。どうすれば今の名義にできるの?

実家の登記簿を見たら、名義が何代も前の祖父母のままでした。売却や活用をしたいのに、どう手続きしたらいいのかもわからず…。

相続人も多そうで、誰に連絡すればいいかも混乱しています。

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士が適任

複数世代の戸籍を調査し、法定相続人を確定させる必要があります。

名義変更(相続登記)も含めて一括して代行してくれる司法書士が適任です。

ーーー

ケース②:相続する不動産に抵当権が…借金も相続されるの?

父の持っていた家を相続する予定なんですが、調べたら住宅ローンの抵当権が残っているらしく…。

借金も相続されるんでしょうか?売って返した方がいいのか、手続きもどうすればいいのかわかりません。

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士にまず相談

 抵当権の確認や抹消登記などは司法書士の領域。加えて、借金の負担有無や売却の要否など、必要に応じて税理士・弁護士との連携が重要になることも。

このように、「不動産の名義変更」関連は原則、司法書士の専門分野です。ただし、複雑な法的判断や交渉が絡む場合には弁護士、土地の価値や評価が関わるなら税理士との連携も検討しましょう。

 

預貯金の相続手続き(解約・名義変更)の事例

ケース①:複数の銀行に口座が…分けるのも書類も大変すぎる!

父が遺した預貯金、5つ以上の銀行に口座があって、どれも手続きが違うんです。

相続人も兄弟姉妹でバラバラに住んでいて、印鑑証明や署名のやり取りも面倒で…ちゃんと分けられるか不安です。

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士、行政書士(+遺産整理業務の活用)どちらでもOK

このような「複数金融機関+複数相続人」が関わるケースでは、「相続手続き一式のサポート」として一括代行してくれる司法書士や行政書士への依頼が効果的です。

各銀行に応じた書類作成・取り寄せ、相続人の書類取りまとめや手続きを代行してくれます。

ーーー

ケース②:通帳もカードも見当たらない。どこに口座があるかも不明…

同居していた兄が、すべての口座管理をしていたようなんですが、急に亡くなってしまって…。

どこの銀行に口座があるかもわからず、残高や資産全体が全く把握できません。

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士が適任

通帳やキャッシュカードが見当たらず、どこの銀行に口座があるかもわからない状態で、さらに口座管理をしていた同居の兄が急に亡くなったというケースでは、まず司法書士に依頼するのが適切です。

司法書士は、戸籍を収集して相続人を確定したうえで、金融機関に対して故人名義の口座が存在するかどうかを照会する手続きが可能です。

また、もし不動産が含まれていれば、相続登記といった法的な手続きも含めて一括して依頼できるため、相続全体をスムーズに進めることができます。

一方で行政書士は、相続関係説明図や遺産分割協議書の作成といった書類作成は行えますが、不動産の名義変更(相続登記)は行えません。

そのため、今回のように「資産がどこにあるのか不明」「手続き全体を見通したい」といった状況では、不動産が財産に含まれた時のことを考慮して司法書士が適しています。

自動車の名義変更の事例

ケース①:ローンが残った車を相続する?売る?どうするべき?

叔父が亡くなった後、自動車を相続することになったのですが…実はまだローンが残っていて。

自分は遠方に住んでいて手続きも複雑そう。相続して乗るべき?売るべき?放棄できる?そもそも何から始めたらいいかわかりません。

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

行政書士(+ローン対応に司法書士やディーラーとの連携も)

このケースでは、まず自動車の所有権とローン会社の情報を確認する必要があります。自動車ローンが「所有権留保」付きである場合、名義変更の前にローン完済が必要なため、

● ローン会社との調整

● 完済後の所有権解除手続き

● 名義変更

● 売却手続き(希望すれば)

まで、すべて段取りが必要です。

名義変更の実務は行政書士が対応可能ですが、手続き全体をスムーズに進めるには、司法書士やディーラーと連携できる行政書士を選ぶと安心です。

ローンの金額に応じて「相続放棄」を行う場合は司法書士にサポートを依頼する必要が出てくるためです。

ケース②:相続する車は決まったけれど、手続きがわからない…

兄弟の間で「車は弟が引き継ぐ」と決まってるんだけど、手続きの方法も必要書類もさっぱり分からなくて…。

軽自動車と普通自動車って違うの?役所に行けばいいの?

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

行政書士が最もスムーズ

相続による名義変更には、車の種類によって申請先や必要書類が異なります

  • 普通車:運輸支局

  • 軽自動車:軽自動車検査協会

共通して必要な書類の例:

  • 戸籍謄本

  • 遺産分割協議書(または相続関係説明図)

  • 車検証

  • 印鑑証明

  • 車庫証明(普通車のみ)

行政書士は、相続車両の名義変更に特化したサポートを提供していることが多く、委任状があれば代理申請も可能です。

特に、書類取得に慣れていない方や「協議書をどう書けばいいかわからない」といった場合、行政書士に書類作成+申請手続きをまとめて依頼すると負担が減ります。

名義変更を忘れるとどうなるの?

車検や保険手続きができない、税金や違反の通知が故人の名義に届き続ける、将来的な売却・譲渡が困難になる

といった不都合が発生します。特に、車両が資産としての価値を持っている場合や、ローンが関係する場合は早めの名義変更が必須です。

まとめ:車の相続は「行政書士が頼れる存在」。「自分で役所回りは無理」「何が必要か分からない」という方は、書類の準備から申請代行まで対応できる行政書士にまず相談してみましょう。

遺産分割協議書の作成(不動産なし)の事例

ケース①:口頭では合意できたけど、それって法的に大丈夫?

兄弟3人で話し合って、父の預貯金を3等分することで合意しました。

でも「書類にしないとマズいよね?」と言われて焦ってます。銀行でも何か出せって言われそうで…。

口頭合意のままじゃだめなんでしょうか?どういう書類が必要ですか?

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

行政書士、司法書士(どちらも作成可能)

相続人全員が合意していても、金融機関や証券会社では“正式な遺産分割協議書”が必須です。

この書類には、

  • 相続人全員の署名+実印

  • 印鑑証明書の添付

    が必要となり、書式の不備や曖昧な表現があると受理されない場合もあります。

行政書士・司法書士どちらもこの協議書を作成できますが、

不動産がない場合 → 行政書士がスピーディで安価な傾向

複数の手続きと絡む場合 → 司法書士に相続した不動産の名義変更の一括依頼も可能

です。

また、内容を誤解なく記載するために、誰が何を相続するのかを具体的に書く「●●銀行の預金残高●万円」と明記することがポイントです。

ケース②:「全部○○にあげたい」って、協議書にそう書いてもいいの?

妹が「私は相続いらないから、全部お兄ちゃんに相続して」と言ってくれてます。

でもこれって“放棄”ってこと?それって家庭裁判所に行かなきゃいけないやつ?

協議書にどう書けばいいのか、トラブルにならないか不安です。

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

行政書士、司法書士どちらでもOK

相続財産に不動産が含まれていない場合であれば、どちらに相談しても問題ありません。このようなケースでは、法律上の「相続放棄(家庭裁判所への申述)」ではなく、協議書上で“相続分を主張しない”という形をとるのが一般的です。

そのためには、

  • 相続人全員が合意していること

  • 「○○が一切の財産を相続する」旨を正確に記載すること

    が必要です。

  • ※このとき「放棄」という語を誤って使うと、金融機関で却下されることもあるため要注意です。

こうした文言の調整やリスク回避の観点から、専門家の作成サポートを受けるのが確実です。協議書と合わせて、相続関係説明図や印鑑証明のセットで提出を求められるケースもあります。

ケース③:相続人が高齢 or 書類が揃うか不安なときは?

母と叔母が高齢で、「印鑑証明がどこにあるか分からない」「自署が難しい」と言われてしまいました。

こういうときも遺産分割協議書って作れるんですか?代筆でもいいの?

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

行政書士、司法書士のどちらでもOK

相続人が高齢であっても、自署・実印+印鑑証明が揃えば問題なく協議書を作成できます。

ただし、

  • 自署が困難な場合 → 代理人による記名が必要

  • 判断能力に不安がある場合 → 成年後見制度の検討が必要

    など、状況に応じた法的対応が必要になることがあります。

また、意思能力に疑念があると後に協議が無効とされるリスクもあるため、事前に専門家に相談し、必要であれば公証役場での対応も検討すると安心です。

まとめ:口頭合意だけでは通用しない、“遺産分割協議書”の重要性。特に預貯金や動産が中心の場合、「書類さえ作ればOK」と思われがちですが、実際には文言の表現や証明書の添付、署名方法など細かいルールが存在します。

✅ 行政書士は書類作成が得意で比較的安価に手続きを依頼できる

✅ 司法書士は手続き全体や他の名義変更とセットにするならおすすめ

遺産分割協議書の作成(不動産あり)の事例

ケース①:相続人が多すぎて、誰にどう連絡すればいいの?

祖父が亡くなったのですが、相続人が10人以上いるらしく…。しかも何人かとは疎遠で連絡先も不明です。

自分たちで連絡をとって合意を取るなんて現実的じゃないと思うのですが、どう進めればいいんでしょうか?

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士がベスト(相続人調査〜協議書作成まで一括対応可能)

相続人が多数の場合は、まず戸籍の調査による“相続人の確定”から着手する必要があります。この調査から協議書作成、署名・押印の取りまとめ、連絡代行まで対応してくれるのが司法書士です。

特に、

  • 遠方の親族への連絡

  • 相続人調査に必要な戸籍や附票の取得

  • 不動産の評価と分割案の整理(共有 or 代償分割)

    といった実務的にも心理的にも負担が大きい部分をすべて任せられるため、時間と手間を大幅に減らせます。

ケース②:「実家は継ぎたい」「売りたい」で真っ二つ。どうすればいい?

兄は「実家を継ぎたい」、私は「売って現金で分けたい」、母は「できれば誰にも揉めてほしくない」…。

気まずくて話し合いも進まないし、協議書どころではないのが現実です。

どうやってこの状況をまとめればいいのでしょうか?

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士(必要に応じて弁護士との連携)

相続人間で意見が分かれるケースでは、冷静な第三者の介入が有効です。司法書士は法律に基づいて、

  • 法定相続分や寄与分

  • 不動産の評価

  • 代償分割(1人が不動産を相続し、他の相続人に現金を支払う方法)

    などの現実的な解決策を提示してくれます

それでも合意が難しい場合は、司法書士がサポートしつつ、弁護士のサポートによって家庭裁判所での調停・審判へと進む選択肢も用意されます。

「話し合いがうまくいかないとき、無理に進めなくていい」と言ってくれる専門家の存在が心の支えになるケースも多いです。

ケース③:相続人の中に未成年者がいて、話し合いに参加できない…

妹の子どもが未成年で相続人に入っているのですが、母親も相続人です。

「代理でサインしていいのかな?」と思ったけど、利益相反になるって聞いて不安に…。

こういう場合、どうやって協議書を作ればいいんですか?

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士(家庭裁判所手続きも含めて対応可)

親権者と未成年者がともに相続人の場合、遺産分割協議に同時参加することはできません(利益相反)。このとき必要なのが、家庭裁判所で「特別代理人」の選任を受ける手続きです。

司法書士は、

  • 特別代理人選任申立書の作成

  • 申立てに必要な添付書類(戸籍、協議書案など)の準備

  • 家庭裁判所とのやり取り

    を一括して対応できます。

さらに、協議書案自体も未成年者の法定相続分を考慮した内容でなければ認められないため、法的な配慮と文案設計の両方が重要です。

「不動産あり」の協議書は、感情×法律×実務の三重苦となります。登記に直結するためミスも許されず、相続人が多い・意思がバラバラ・未成年がいるといった状況では、自分だけで解決しようとせず、専門家の力を借りることがおすすめです。

相続人調査・戸籍収集の事例

ケース①:兄弟姉妹?甥?誰が相続人になるのか見当もつかない…

父が亡くなったのですが、母もすでに他界しており、子どもである自分以外に誰が相続人になるのか分かりません。

父には前妻がいたと聞いたこともあり、もし隠し子がいたら…と考えると、不安で動けません。

そもそも、どうやって相続人を調べればいいんでしょうか?

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士がおすすめ、行政書士でも可能

相続人を確定させるには、被相続人の出生から死亡までの「すべての戸籍(除籍・改製原戸籍含む)」を取得して調査する必要があります。

これにより、

  • 認知した子

  • 離婚歴のある配偶者との間の子

  • すでに亡くなった兄弟姉妹の子(甥・姪による代襲相続)

など、表面上は見えない法定相続人が浮かび上がるケースも珍しくありません

司法書士や行政書士は、

  • 複雑な戸籍の読み解き

  • 必要な役所への申請

  • 相続関係説明図の作成

このような戸籍の取得や読み解きには専門的な知識が必要なため、相続に詳しい司法書士に依頼するのが安心です。司法書士であれば、相続人の調査だけでなく、相続関係説明図の作成や不動産の相続登記まで一括して対応してくれるため、手続き全体をスムーズに進められます。

ケース②:「私たちだけが相続人だと思っていた」が通用しなかった…

母と私たち兄弟だけが相続人だと信じていたのに、金融機関で「それを証明できる戸籍一式を揃えてください」と言われました。

手元の戸籍はあるのに、それじゃダメなんでしょうか?

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士、行政書士どちらでもOK

「戸籍謄本があっても、必要な範囲を網羅していなければ証明にならない」──これが相続の実務の落とし穴です。

たとえば、

  • 改製原戸籍を含めた「出生から死亡までの連続性」

  • 兄弟姉妹相続の場合は両親・兄弟の戸籍まで遡る必要がある

こうした判断を専門家がチェックすることで、無駄な手間や不備による再提出を防ぐことができます。

また、最近では相続人が確定している場合でも、「法定相続情報一覧図」の作成まで対応してくれる事務所も増えています。

ケース③:戸籍で相続人は分かったけど、住所が分からない…

戸籍上は“いとこの〇〇”が相続人に入ることが分かりましたが、何十年も会っておらず、連絡先も知りません。

こういう場合、相続手続きをどうやって進めたらいいのでしょう?探偵とか使うんですか?

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士がおすすめ 、 行政書士でも住所調査は可能

戸籍謄本だけでは現住所は分かりません。そのため、「戸籍の附票」という住所履歴の記載された公的書類を取り寄せる必要があります。

司法書士や行政書士は、

  • 判明した相続人の戸籍の附票を取得

  • 住所をたどって現居住地を特定

  • 遺産分割協議の連絡文書を送付するためのサポート

    まで対応してくれます。

相手との関係性や意向が分からない場合も、感情面に配慮した中立的な連絡方法をアドバイスしてもらえるため、トラブルの回避にもつながります。

「誰が相続人か分からない」からは、何も始まらない。相続手続きのスタート地点は、「相続人を確定すること」です。

行政書士は戸籍調査の迅速化と図式化が得意

司法書士は調査後の登記や協議書作成も視野に入れて対応可能

相続関係説明図・財産目録の作成の事例

ケース①:とにかく情報がバラバラ。何をどこまで共有すればいいの?

戸籍も財産もある程度集まってきましたが、兄弟それぞれが「これは見た」「あれは分からない」と言っていて話が混乱しています。

そもそも、相続人と財産の全体像を“見える化”するにはどうしたらいいんですか?

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士、行政書士どちらでもOK

相続手続きをスムーズに進めるためには、

「誰が相続人なのか」を図で整理する相続関係説明図

「どんな財産があるのか」をリスト化した財産目録

この2つがセットで重要です。

  • 相続関係説明図:戸籍情報に基づき、家系図のような図解で相続関係を可視化

  • 財産目録:不動産、預貯金、有価証券、負債までを網羅し、評価額も明示

司法書士や行政書士に依頼することで、正確かつ公的機関で通用する書式での作成が可能になります。

ケース②:誰かが財産を隠してるかも…調査や記録をきちんと残したい

同居していた兄が「父の預金はこれだけ」と言ってきたけど、どう見ても少なすぎて納得できません。

生前に使い込んでいたのでは?と思ってしまうのですが、調べる方法はありますか?

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士に相談

このようなケースでは、単なる財産目録ではなく、過去の取引履歴を含む“調査付き財産目録”の作成が重要になります。

司法書士に依頼すると、

  • 銀行に対する全店照会

  • 残高証明書・入出金履歴の取得

  • 取得資料をもとにした詳細な財産目録の作成

    といった事実に基づく情報収集と文書化をサポートしてくれます。

必要に応じて、

  • 「不当な出金」などの使い込みが疑われる部分については、弁護士への相談を案内

  • 税務的な処理を含む場合は税理士と連携

など、ケースに応じた多角的な対応も可能です。

ケース③:裁判所に提出を求められたけど、自分で作っていいの?

家庭裁判所で特別代理人を立てるよう言われたのですが、「相続関係説明図」や「財産目録を出してください」と言われました。

これ、自分で作っていいものなんでしょうか?ちゃんと通るのか不安です。

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士(裁判所提出書類の形式に詳しい)

家庭裁判所に提出する書類は、

  • 決まったレイアウト

  • 法的に正確な記載内容

が求められるため、“なんとなくの自作”は通らないリスクが高いです。

司法書士に依頼すれば、

  • 裁判所用のフォーマットに則った書類を作成

  • 不備による差し戻しや遅延を防止

  • 申立書や協議書案との整合性チェックも対応

といった形で、手続きの確実性とスピードの両立が可能になります。また、金融機関や法務局提出用としての併用も可能なフォーマットで作成してくれるため、一度の依頼で複数の目的に使えるメリットもあります。

相続を“見える化”する2つの書類が、トラブルを未然に防ぐ。情報が曖昧なまま協議に入ると、話し合いが迷走したり、後で不信感が生まれることも。

だからこそ、

誰が相続人かを図で整理する → 相続関係説明図

どんな財産があるかを記録に残す → 財産目録

この2つが、相続手続きの土台になります。

司法書士なら収集から書類作成、登記まで一括対応可能

行政書士なら文書作成や共有支援を中心にスピーディに対応

家庭裁判所提出書類の作成(相続放棄など)の事例

ケース①:期限を過ぎてしまったけど、放棄はもうできない?

父の死後、特に何も手続きしないまま4ヶ月以上が経過。

最近になって、借金があることを知りました。まだ放棄できるのでしょうか?

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士(+弁護士と連携が必要な場合も)

相続放棄の期限(熟慮期間)を過ぎてしまった場合でも、

  • 「相続が開始した事実を知った時点が実は最近だった」

  • 「放棄の意思を妨げる事情があった」

    などの正当な理由があれば、裁判所が相続放棄を受理する可能性はあります。

この場合には、

  • 事情を詳細に記載した陳述書の作成

  • 放棄を認めるべき背景を論理的に説明する必要あり

司法書士は、こうした複雑な背景整理や文書作成に長けており、裁判所対応も含めて丁寧にサポートしてくれます。必要に応じて弁護士と連携し、リスクを減らすことも可能です。

ケース②:子どもが相続人?親が代筆しても大丈夫?

兄が亡くなった際、未成年の甥が相続人になりました。でも母親(義姉)も相続人で、代わりにサインしていいのか不安です。

家庭裁判所に何か申し立てが必要と聞いたのですが、よく分からず手が止まっています。

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士(特別代理人選任に対応可能)

未成年者と親権者の間で相続が関係する場合、利益相反が生じるため、親がそのまま手続きすることはできません。このとき必要なのが、「特別代理人選任申立て」という家庭裁判所への手続きです。

司法書士は、

  • 特別代理人選任申立書の作成

  • 未成年者や親権者の戸籍の収集

  • 協議書案や必要書類の準備

  • 裁判所とのやりとりの代行

などを丁寧に代行・サポートできます。専門家が介入することで、家庭裁判所からの差し戻しリスクや書類不備による遅延を避けることができるのも大きな利点です。

まとめ:家庭裁判所提出書類は「早さ」と「正確さ」がすべて。

  • 相続放棄の申述書

  • 特別代理人選任申立書

  • 遺言書の検認申立書

など、裁判所提出書類は一つひとつが相続のターニングポイントです。

司法書士は家庭裁判所書類作成+提出サポートに強い

弁護士は複雑な争い・トラブル前提の対応時に必要

「この書類、間違ってたらどうしよう」と不安な方は、出す前に相談することが最善の保険になります。

調停・審判の代理出席の事例

ケース①:家族の話し合いが決裂。もう自分たちでは無理…

実家の相続をめぐって兄と口論になり、話し合いの場すら持てなくなってしまいました。

感情的になって連絡も取れず、「もう裁判所で決めてもらうしかない」と思っています。

でも、どうやって家庭裁判所に申し立てればいいの?弁護士って絶対必要?

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

行政書士、司法書士どちらもNG弁護士に相談(裁判所への申し立て・代理出席が可能)

相続人間で話し合い(遺産分割協議)が成立しない場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。

この調停では、

  • 中立な調停委員が間に入り

  • 双方の主張や希望を聞きながら合意形成を目指す

という手続きが進みます。しかし、法的主張や証拠提出が必要になるため、専門知識がなければ不利になる可能性も…。

ここで活躍するのが弁護士です。

弁護士は、

  • 調停の申し立て手続きの代行

  • 調停期日の出席(代理人)

  • 法的根拠をもとにした主張・交渉

  • 合意がまとまらない場合の「審判」への移行サポート

まで一貫して対応できます。

ケース②:遺言の有効性や寄与分で対立…これは裁判になる?

「お兄ちゃんは親の面倒を見ていたから多めに相続したい」って言われたけど、納得いかなくて…。

しかも、書いてあった遺言書がどうも怪しい感じで、これが本当に有効なのかも疑っています。

こういう“グレー”な争点はどうやって解決されるのでしょうか?

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

行政書士、司法書士どちらもNG、弁護士(法的争点の解決と立証活動ができる専門家)

相続における法的争点(例:寄与分・遺留分・遺言書の有効性)は、家庭裁判所で調停→審判という正式な手続きで判断されるケースです。

これには以下のような要素が求められます。

  • 寄与分を主張するなら、介護や支援の具体的な証拠

  • 遺留分侵害の主張なら、財産額の正確な算定

  • 遺言無効を訴えるなら、筆跡鑑定や意思能力の証明

弁護士であれば、

  • 主張内容に法的根拠を持たせる

  • 必要な証拠の収集と提出

  • 相手方との交渉を代理で行う

  • 調停で解決しなければ審判への準備を進める

といった、専門性と戦略を持って進めるサポートが受けられます。

遺言執行者の就任の事例

ケース①:遺言は作ったけど、実行するのが大変そうで不安…

父が私を遺言執行者に指定してくれていたのですが、いざ遺言書を開封したらやることが多すぎて途方に暮れています。

不動産の名義変更、預金の解約、相続人への分配…。しかも兄とはあまり仲が良くなくて、連絡を取るのも気が重いです。

このまま自分で全部やらないといけないのでしょうか?

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士に依頼

遺言執行者に指定されていても、自分で全ての手続きを行う必要はありません。執行者が信頼できる司法書士や弁護士に業務を委任(代理)することも可能です。また、必要に応じて家庭裁判所で別の執行者を選任してもらうこともできます。

司法書士に依頼すれば:

  • 相続人への通知

  • 財産目録の作成・交付

  • 各種名義変更・解約手続きの実行

  • 必要書類の収集や役所・金融機関との対応

をすべて代行可能。弁護士であれば、相続人間の調整や紛争対応を含めて動けるため、心理的・実務的な負担を大きく軽減できます。

ケース②:まだ元気だけど、遺言を作るなら執行者も決めておきたい

将来の相続が円満に進むようにと、遺言書を作ろうと考えています。

でも、その内容を確実に実行してもらえるかが不安です。

息子や妻には手続きをさせたくないのですが、あらかじめ専門家を執行者に指定できるのでしょうか?

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

司法書士に依頼

もちろん、遺言書の中で専門家を「遺言執行者」として指定することが可能です。

特に、

  • 相続人間に感情的な摩擦がある場合

  • 財産の種類が多く、処理に手間がかかる場合

  • 相続人以外への遺贈が含まれる場合(内縁の妻、NPOなど)

などでは、中立で法的な知識を持つ第三者が執行者になることで、相続の“実行”がスムーズかつ確実になります。

司法書士や弁護士に依頼すれば、

  • 自分自身または法人として執行者になる

  • 遺言書の文案に執行者指定条項を適切に盛り込む

  • 相続人や受遺者への通知・実行も一括対応

と、作成から執行までを一貫して引き受けてくれます。

事業の許認可の相続承継の事例

ケース①:父が営んでいた建設業を引き継ぎたい。でも許可の名義ってどうなるの?

父が建設業を営んでいたのですが、突然の病で他界。従業員もおり、すぐにでも動かないといけません。

会社じゃなくて個人事業だったため、建設業許可の名義は父のままです。

このまま工事を続けていいのかも分からず不安です…。

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

行政書士(許認可手続きの専門家)

建設業や飲食業、運送業などの多くの業種では、事業を行うために「許可」や「届出」が必要です。

これらの許可は「事業主個人」に紐づいており、相続人が自動的に引き継げるわけではありません。

行政書士に相談すれば:

  • 相続による「承継届出」や「新規許可申請」の判断

  • 必要書類(相続関係書類や財産の一覧、事業計画など)の整理

  • 期限内の提出や役所とのやり取りの代行

をワンストップでサポートしてもらえます。

また、事業に必要な複数の許認可が絡むケースも多く、申請の順番や内容調整が非常に重要。許認可に強い行政書士であれば、継続に向けた最短ルートを導き出してくれます。

ケース②:飲食店をたたむべきか迷っている。手続きの負担も気になる…

両親が個人で営んでいた飲食店。母が他界し、父も高齢。事実上、閉めるしかなさそうだけど、廃業手続きって何をすればいいの?

食品衛生許可や税務署への届け出など、思ったより複雑そうで手が止まっています。

 

▼行政書士と司法書士のどっちに相談?

行政書士+税理士(廃業と税務の手続きに対応)

事業をたたむ場合も、

  • 営業許可の「返納」

  • 保健所や役所への「廃業届」

  • 税務署への「廃業届出書」「消費税関係届出」

  • 建物や設備の名義変更・解約手続き

    など、意外と多くの届出や手続きが発生します。

行政書士や税理士に相談することで、

  • 手続きの全体像を整理

  • 優先順位や期限の確認

  • 申請書の作成・提出代行

    が可能です。

特に個人事業の場合は、放置すると行政上の義務違反になることもあるため、早めの相談が重要です。

まとめ:状況に応じた適切な専門家の選び方

相続手続きを進める中で、「行政書士と司法書士、どちらに相談すればいいのか分からない」と感じる方は多いでしょう。それぞれ得意分野が異なるため、依頼内容によって最適な専門家は変わります。

まず、不動産の名義変更(相続登記)がある場合は、司法書士に依頼するのが基本です。これは法律上、司法書士にしかできない手続きだからです。また、相続放棄や家庭裁判所に提出する書類が必要なときも、司法書士が対応します。

さらに、相続人が多く、戸籍の収集や財産の整理などが複雑な場合、全体をまとめて進めてくれる司法書士に任せるのが安心です。

一方、書類の作成だけを依頼したい、費用を抑えて必要な部分だけサポートしてもらいたいという場合は、行政書士が適しています。自動車の名義変更や、建設業・飲食店など個人事業の許認可の承継といった手続きも行政書士の専門分野です。

預貯金や株式の名義変更、相続人調査、遺産分割協議書の作成などは、行政書士・司法書士どちらでも対応可能ですが、他の手続きと一緒に進めるなら一括して司法書士に依頼する方がスムーズです。

また、相続人同士で争いが起きているような場合や、調停・審判といった裁判所の場に進む可能性があるときは、弁護士に相談するのが適切です。

迷ったときは、まず司法書士に相談し、必要に応じて行政書士や税理士などと連携してもらうのが現実的な選択肢です。

 

この記事の執筆者:つぐなび編集部

本記事は、株式会社船井総合研究所が運営する「つぐなび」編集部が執筆しています。2020年4月のサービス開始以来、相続の不安や疑問に寄り添うため、専門家による監修のもとで信頼性の高いコラムを多数発信しています。

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この記事の監修者:福田 超

司法書士法人つなぐ 松原事務所

代表 福田 超 司法書士

平成15年より司法書士事務所に在籍し、平成19年に司法書士登録。平成22年、ご自身の事務所を開業。現在は「司法書士法人つなぐ」として、多角的なサポートを提供されています。地域の皆様の相続をサポートしてきた実績を持つ、ベテランの司法書士です。

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