子や孫がマイホームを建てるために使ってもらおうと資金を援助したら、贈与税はかかるのでしょうか。今回は、住宅取得等資金贈与の制度を紹介します。
▶前の相続のキホンは「孫に教育資金を援助したら、贈与税はかかる?~生前対策のキホン【3】」
住宅取得の贈与なら最大1000万円まで非課税
住贈与を受ける人の条件に年齢や所得の制限があります。また、購入す る住宅の種類に応じて非課税になる 金額の限度額が異なり、省エネ等住 宅は最大1,000万円、その他の住 宅は最大500万円まで非課税です。宅取得等資金贈与の非課税制度は、子や孫がマイホームを新築したり、中古住宅を購入したりする際に、 最大で1,000万円までの贈与が非課税になる制度です。
省エネ住宅は1000万円、一般住宅は500万円まで
贈与を受ける人の条件に年齢や所得の制限があります。
また、購入する住宅の種類に応じて非課税になる金額の限度額が異なり、省エネ等住宅は最大1,000万円、その他の住宅は最大500万円まで非課税です。
贈与を受けた翌年に贈与税申告が必要
制度を使って贈与を受けるには、贈与を受けた金額が非課税の限度内であっても翌年の2月1日から3月15日までに贈与税申告をする必要があります。
申告には、贈与税の申告書に加え、計算明細書、受贈者の戸籍謄本、登記事項証明書、購入した住宅の売買契約書または工事請負契約書の写し、受贈者の住民票の写しなどを添えて申告する必要があります。また、省エネ住宅として最大1,000万円の非課税を受けるためには、住宅省エネルギー性能証明書などが必要です。
この制度は暦年贈与と併用できるので、暦年贈与の基礎控除額110万円も加えると、最大で1,110万円の贈与を非課税で受けることができます。また、相続時精算課税制度を利用している場合にも併用できます。
中古住宅の購入条件は新耐震基準の適合
この制度は、新築だけでなく、中古住宅を購入する際にも活用できます。
新耐震基準に適合している住宅であることが条件です。新耐震基準は1981年(昭和56年)に施行されたため、登記簿上1982年以降に建築された住宅は、この基準に適合しているものとみなされます。
贈与者は老後資金の不足に、受贈者は贈与残金への課税にご用心
生前贈与の非課税制度は、子どもだけでなく、孫にも使える制度です。限度額の範囲内であれば、若い世代に非課税で財産を譲ることができ、相続財産を減らせ相続税対策にもなります。
ただし、高齢になると、けがや病気になるリスクが高まり、思わぬ出費が必要になる可能性があります。贈与する人は積極的に生前贈与をした結果、老後の資金が不足する事態は避けたいものです。
無理をして一括贈与するよりも、まずは暦年贈与の基礎控除の範囲内で贈与を検討することをお勧めします。
一方、贈与を受けた人は、教育資金の場合は30歳、結婚・子育て資金の場合は35歳で契約が終了します。契約終了時に贈与口座に残金がある場合には、贈与税が課税されるので注意が必要です(一部例外を除く)。
▶次の相続のキホンは「配偶者へ贈与した場合に使える制度はある?~生前対策のキホン【5】」
この記事の監修者:土肥 隆宏(どひ・たかひろ)
ミカタ税理士法人
執行役員CTO/資産コンサルティング事業部統括部長
2010年税理士登録(登録番号117471 簿・財・法・相・消)
地主等の不動産オーナー、会社経営者、ドクター、投資家等まで含めて幅広い方のご相続の申告に対応可能です。ご相続発生後は実施可能な節税対策が少ないといわれていますが、できうる最善のご提案をさせて頂きます。
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この記事の執筆者:つぐなび編集部
この記事は、株式会社船井総合研究所が運営する「つぐなび」編集部が執筆をしています。
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