相続税の税務調査は何をする?~相続税計算のキホン【5】

更新日:2024.10.25

相続税の税務調査は何をする?~相続税計算のキホン【5】

税務調査は税務署が過少申告や申告漏れなどを調べる調査です。今回は、相続税の税務調査について説明します。

▶前の相続のキホンは「子どもより配偶者が多く相続すると節税になる?~相続税計算のキホン【4】

税務調査が入ると8割超が指摘を受ける

相続税の税務調査は、相続税の申告内容が過少と想定される場合や申告義務があるのに無申告の場合に調査官が訪問して調べるものです。

コロナ禍前は税務調査は年間1万件超ありました。コロナ禍で減少しましたが、再び増加傾向にあります。2022年(令和4)事務年度に実施された調査は、8,196件で、そのうち申告漏れなどを指摘されたのは85.8%にあたる7,036件でした。

この年の税務調査1件あたりの申告漏れ課税価格は3,209万円で、追徴額は816万円でした。

この結果から、税務署が税務調査を実施する背景には、申告漏れなどの可能性がある申告に対して厳しく対応しようとする姿が伺えます。

また、実際に調査官の訪問を受ける実地調査以外にも、電話や税務署での面接によって指摘を受ける場合もあり、同年には接触件数1万5,004件のうち3,685件で申告漏れなどの指摘がありました。

無申告でも情報収集調査に入り追徴課税

申告をしなかった場合でも、税務調査を受ける可能性があります。

同年度で無申告事案への税務調査は705件あり、そのうち86.1%にあたる607件で申告漏れの指摘を受けました。

無申告で税務調査を実施したケースで、申告漏れがわかった1件あたりの課税価格は1億508万円、追徴税額は1,570万円でした。

1億円以上の遺産を相続しながら申告しなかった富裕層に対しては、税務調査を通じて厳しく課税する姿勢がうかがえます。

相続税の税務調査の件数と非違件数

税務調査の通知が来たら税理士に相談を

申告が必要な遺産額を受け取りながら無申告だった場合でも、税務署はあらゆる情報を得て税務調査に入ります。

データが示す通り、税務調査が入った場合には高い割合で申告漏れなどの指摘を受けます。

税務調査の通知が来たら、まずは税理士に相談して対応を検討するようにしましょう。

海外資産の相続や贈与についても調査されます

海外資産を相続した際にも適切に申告しなければ、税務調査を受ける可能性があります。

2022事務年度には海外資産に関する調査は845件実施され、うち174件で申告漏れ等の指摘を受けています。

また、贈与税についても税務調査があります。同年には2,907件の調査があり、2,732件(93.9%)が申告漏れなどの指摘を受けています。このうち8割超の2,263件が無申告でした。

申告漏れの課税価格は206億円で、追徴税額は79億円に上りました。1件当たりの申告漏れ等による課税価格は708万円で、追徴税額は270万円でした。

適切に申告していれば、支払う必要がない重加算税などのペナルティを避けるためにも、贈与を受けた場合には、早めに税理士に相談して正しく申告するようにしましょう。

▶次の相続のキホンは「贈与はいくらまでなら税金がかからない?~生前対策のキホン【1】


この記事の監修者:土肥 隆宏(どひ・たかひろ)

ミカタ税理士法人
執行役員CTO/資産コンサルティング事業部統括部長

ミカタ税理士法人土肥さん

2010年税理士登録(登録番号117471 簿・財・法・相・消)
地主等の不動産オーナー、会社経営者、ドクター、投資家等まで含めて幅広い方のご相続の申告に対応可能です。ご相続発生後は実施可能な節税対策が少ないといわれていますが、できうる最善のご提案をさせて頂きます。
また、ご相続後の2次相続を考慮したアドバイス、生前贈与、遺言、生命保険等の金融商品知識も豊富ですので安心してお任せください。

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この記事の執筆者:つぐなび編集部

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