相続税の計算は、両親の遺産を相続する場合に、一方の親が亡くなった場合だけでなく、両方の親が亡くなった時のことを見越して計算することが節税につながります。今回は、最初の相続の段階で次の相続までを見据えた相続税計算の必要性について説明します。
▶前の相続のキホンは「家や土地の価格はどうやって求めるの?~相続税計算のキホン【3】」
次の2次相続まで踏まえた相続税計算を
親から相続する際、一方の親が亡くなる1次相続では配偶者控除が手厚いので、税負担が少なくなります。
ただ、相続税対策を考える場合には両方の親が亡くなる2次相続まで踏まえて検討した方が、トータルでの税負担を軽くすることができます。
基礎控除が減り、税負担が増える2次相続
具体例で見てみましょう。下の図のように、父が配偶者である母と、子ども2人をのこして亡くなった場合、相続人は配偶者と子2人の計3人になり、基礎控除額は4,800万円になります。これを1次相続といいます。
1次相続では、1億6,000万円が法定相続分まで相続税が課税されない「配偶者控除」が使えるほか、自宅を相続する場合には、自宅の土地の評価額が最大80%減額される「小規模宅地等の特例」が適用できるケースが多いので、控除額が大きくなります。
一方、両親が共に亡くなる2次相続になると、相続人が少なくなるので基礎控除額が4,200万円に減り、1次相続のときに使える控除や特例が使えないことが多く、相続税の負担が増えます。
1次相続の段階で、控除額が大きいからといって配偶者が多く相続してしまうと、2次相続で子どもの税負担が大きくなってしまいます。
上の図の例では、1次相続で母が配偶者控除を使えるからといって1億4,000万円を100%相続した方が、1次・2次相続トータルでみた場合の相続税額が多くなってしまうことがわかります。
1次相続の段階で遺産をどのように分けるかによって、そのあとの税負担が変わってくるため、1次相続の段階から2次相続まで踏まえて相続税対策を考える必要があります。
このように、1次・2次相続を見越してそれぞれの家の財産規模に応じた対策をすることこそ、相続税申告の経験が豊富な税理士が得意とする分野です。
相続税を計算する流れについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひ、お読みください。
▶相続税はいくらまで無税? 基礎控除と相続税を計算する流れを解説
▶次の相続のキホンは「相続税の税務調査は何をする?~相続税計算のキホン【5】」
この記事の監修者:土肥 隆宏(どひ・たかひろ)
ミカタ税理士法人
執行役員CTO/資産コンサルティング事業部統括部長
2010年税理士登録(登録番号117471 簿・財・法・相・消)
地主等の不動産オーナー、会社経営者、ドクター、投資家等まで含めて幅広い方のご相続の申告に対応可能です。ご相続発生後は実施可能な節税対策が少ないといわれていますが、できうる最善のご提案をさせて頂きます。
また、ご相続後の2次相続を考慮したアドバイス、生前贈与、遺言、生命保険等の金融商品知識も豊富ですので安心してお任せください。
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この記事の執筆者:つぐなび編集部
この記事は、株式会社船井総合研究所が運営する「つぐなび」編集部が執筆をしています。
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