自宅不動産の相続税を安くする制度はある?~相続税のキホン【3】

更新日:2024.10.09

自宅不動産の相続税を安くする制度はある?~相続税のキホン【3】

相続財産のうち、不動産は特に高額な資産です。今回は、相続した土地の価値を計算する際、評価額を最大で8割減額できる「小規模宅地等の特例」を紹介します。

▶前の相続のキホンは「基礎控除以外に相続税を減らせる制度は?~相続税のキホン【2】

 

土地の評価を下げる小規模宅地等の特例

なかでも、亡くなった被相続人が住んでいた宅地は、相続人が引き続き住み続ける可能性が高いので、相続税の負担を軽くすることで生活の安定を図り、不動産を所有し続けられるようにする制度として「小規模宅地等の特例」があります。

居住用・事業用の土地は最大8割減で計算できる

小規模宅地等の特例は、被相続人が所有していた宅地などの土地について、一定の要件を満たせば、その評価額を最大で8割減額できる制度です。

これにより、相続税の負担を軽減できます。特例の対象になる土地は、用途に応じて以下の3つに分けられます。

特定居住用宅地等(家庭用土地)
亡くなった方、または生計を共にしていた家族が居住していた土地は、面積330㎡までの部分に対し、土地評価額の80%が減額対象となります。

特定事業用宅地等(事業用土地)
亡くなった方が経営していた会社や店舗の土地など、事業のために使用していた土地は、面積400㎡までの部分に対し、評価額の80%が減額対象となります。

貸付事業用宅地等(賃貸土地)
亡くなった方が所有していた賃貸アパートや駐車場など、貸付用の土地は200㎡までの部分の評価額が50%まで減額できます。

また、被相続人が持つ土地が同族会社の事業のために賃貸していた場合は、400㎡までの部分に対して80%の減額となる場合があります。

小規模宅地等の特例

配偶者以外が相続する場合、適用条件に注意

配偶者が相続する場合には、特に条件なく特例が適用できます。

配偶者以外の親族が相続する場合、亡くなる前から被相続人と同じ家に住んでいたことと、相続税の申告期限までその家に住んで保有し続けることが条件になります。

また、被相続人に配偶者や同居の親族がいない場合でも、次の条件を満たす相続人であれば、特例の適用が認められます。

  • 相続が始まる前3年間に、自分や配偶者、3親等以内の親族が所有する家に住んだことがないこと
  • 相続した時から相続税申告期限までの間、その家を所有していること
  • 相続開始時に居住している家を、相続開始前に所有していたことがないこと

特例を適用するには相続税申告が必要

小規模宅地等の特例は、適用できれば不動産の評価額を下げることができるので、相続税の負担が大幅に軽減できます。

特例を使うことで相続税の納付が必要なくなるケースもあるでしょう。そんな場合でも、特例を適用するための相続税の申告は必要です。

相続税の控除制度については、以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひ、お読みください。
▶相続税を軽減できる特例と税額控除 条件や計算式を具体例で解説

▶次の相続のキホンは「生命保険の死亡保険金も相続財産になる?~相続税のキホン【4】


この記事の監修者:土肥 隆宏(どひ・たかひろ)

ミカタ税理士法人
執行役員CTO/資産コンサルティング事業部統括部長

ミカタ税理士法人土肥さん

2010年税理士登録(登録番号117471 簿・財・法・相・消)
地主等の不動産オーナー、会社経営者、ドクター、投資家等まで含めて幅広い方のご相続の申告に対応可能です。ご相続発生後は実施可能な節税対策が少ないといわれていますが、できうる最善のご提案をさせて頂きます。
また、ご相続後の2次相続を考慮したアドバイス、生前贈与、遺言、生命保険等の金融商品知識も豊富ですので安心してお任せください。

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この記事の執筆者:つぐなび編集部

この記事は、株式会社船井総合研究所が運営する「つぐなび」編集部が執筆をしています。
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