▶前の相続のキホンは「相続人が誰かを調べるためにするべきことは?~相続のキホン【4】」
プラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産も相続の対象です
相続することになったら、亡くなった人がどんな財産がいくらあるのかを調べる必要があります。故人の財産を調べることを財産調査といいます。
相続手続きの早い段階で財産調査をすることで、公平な遺産分割ができます。また、相続税がかかるかどうかの判断や、相続税申告を正しくすることができます。
借り入れなどマイナスの財産も相続財産に含まれる
相続財産は、亡くなった被相続人が亡くなった際に持っていた財産のことをいいます。
具体的には、現金や預貯金、土地、建物などの不動産、株式や債権などの有価証券や自動車や貴金属、美術品や骨董品、著作権といった知的財産権なども含まれます。
財産というと、プラスになる財産と考えがちですが、借入金や未払い金、保証債務といったマイナスの財産も相続財産になります。
相続税を考える時は、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いて計算します。
国家資格や祭祀財産は相続財産にならない?
相続財産の対象にならないものもあります。被相続人が持っていた国家資格などは一身に専属する権利のため相続できません。
また、墓石や仏壇、神棚など祭祀財産は相続財産ではなく、祖先の祭祀を主宰する人が承継するものとされています。
相続財産ではないが相続税がかかるもの
少し難しいのが、相続財産ではないものの相続税がかかる財産です。
「みなし相続財産」と呼ばれる財産で、被相続人が亡くなったことで受け取る財産のことをいいます。例えば、生命保険金や死亡退職金などで、被相続人の財産ではないものの、相続税がかかる対象になります。
ただ、両者とも「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、超過分がみなし財産として相続税の課税対象になります。
生命保険は契約者(保険料負担者)と保険の受取人が誰かによってかかる税金の種類が変わります。
相続財産になるもの、ならないものについては、専門的な知識が必要です。ぜひ、財産調査も含めて税理士に相談してください。
(ミニコラム)デジタル遺産も遺産です
最近では、預貯金や株式などの取引は、スマホ一つで完結するようになりました。デジタル遺産とは、被相続人が所有していたデジタル形式の財産や情報のことをいいます。
デジタル遺産には、電子メールアカウント、クラウドストレージに保存したデータ、ソーシャルメディアのアカウント、オンラインバンキングや株式、仮想通貨など様々な種類があります。
これらデジタル遺産も相続対象となる財産です。ほとんどがオンライン上のみでやりとりするため、取引履歴などがわかりづらく、取引があったかどうかが分かりにくいものです。
故人のメールなどを確認して、取引があったかどうか確認することが必要です。
▶次の相続のキホンは「借金も相続しないといけないの?~相続のキホン【6】」
この記事の監修者:土肥 隆宏(どひ・たかひろ)
ミカタ税理士法人
執行役員CTO/資産コンサルティング事業部統括部長
2010年税理士登録(登録番号117471 簿・財・法・相・消)
地主等の不動産オーナー、会社経営者、ドクター、投資家等まで含めて幅広い方のご相続の申告に対応可能です。ご相続発生後は実施可能な節税対策が少ないといわれていますが、できうる最善のご提案をさせて頂きます。
また、ご相続後の2次相続を考慮したアドバイス、生前贈与、遺言、生命保険等の金融商品知識も豊富ですので安心してお任せください。
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この記事の執筆者:つぐなび編集部
この記事は、株式会社船井総合研究所が運営する「つぐなび」編集部が執筆をしています。
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