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相談前:【親の自宅を子が自己資金でリフォームする際に生前贈与するケース】
親から生前贈与を受けようとお考えの方からのご相談。
相談者のお父様名義の自宅兼アパートを、築年数が古くなったため、大幅なリフォームを検討中。
収益の増加と、家族にとって、快適な生活が続くための工事としておこないたいことが理由。
相談者が安定した収入があることから、ご自身の名義でローンを組む予定。
しかし、建物の名義が親のままでは、贈与として課税対象になる可能性を指摘されたことから、相談に来られました。
▼問題点
・建物所有者以外がリフォーム代金を負担した場合、リフォーム部分が贈与税の課税対象になる恐れがある。
・子どもに建物を贈与する際、高額の贈与税がかかることを考慮し、相続時精算課税制度の活用も検討し選択肢とすべきである。
・相続時精算課税制度の利用は、デメリットも把握してから利用を検討したほうが望ましい。
・将来の相続を考えた場合、小規模宅地等の特例の適用が可能であるか、また、贈与による影響など、税務上の不利益がないかの確認が必要である。
・賃貸アパートとして敷金(預り金)が、負担付贈与に該当するかを注意点とすべきである。
・贈与があった翌年に必ず確定申告にて贈与税の申告をおこなうことを確認する。
相談後:贈与税を節税する方法
▼当事務所からおこなった提案の内容
同居している親子が自宅をリフォームする場合、建物の所有者である親は高齢のためローンが組めません。
そのため、安定した収入のある子どもがローンを利用してリフォーム代金を支払うこともあります。
このようなケースでは、直接、親子の間において金銭のやり取りはおこなわないため、贈与税は無関係のように思えます。
しかし、建物所有者以外がリフォーム工事費用を支払った場合、リフォーム部分に関しては、「建物所有者へ資金を負担した人がおこなった贈与」として、贈与税の対象です。
また、今回の事案では、賃貸併用住宅であるため、大規模改修による収益の増加も見込んでいます。
高額の費用をかけても回収可能と判断して、銀行から借り入れる計画でした。
とはいえ、今現在の賃料収入が思わしくなく、建物所有者(アパート経営者)のお父様では高額の借り入れが困難な状況です。
そこで依頼者のほうが安定した収入があり返済能力が高いため、依頼者(子ども)名義で借り入れをおこなう計画にしていました。
しかし、このままでは、親に対して子がおこなった贈与になり、お父様が贈与税を1,000万円以上負担しなければなりません。
贈与税がかからないようにするためには、リフォームする建物を親が子に贈与して、資金負担者と建物所有者を一致させることです。
ただし、この方法では、建物の贈与が贈与税の対象になります。
贈与する建物が築年数が経過した木造住宅であれば、贈与税はそこまでの金額にはなりません。
しかし、賃貸併用の建物のため、評価額が数百万円以上となり、贈与税も高額です。
対策として、今回は、「相続時精算課税制度を活用した建物の贈与」を、税理士と連携のうえで依頼者に提案しました。
ひと言で説明すると、相続時精算課税制度とは、「子や孫に親が生前贈与をおこなう際、2,500万円までは非課税になる制度」です。
これはメリットだけを取り上げた表現であり、デメリットのなかでも相続税に関するものを紹介します。
①1回でも制度を使うと、暦年贈与はできなくなる
②小規模宅地等の特例の適用外になる。
当事務所と税理士が、このデメリットについて今回のケースに当てはめた結果は以下のとおりです。
・①は、父の主な財産は不動産のため、今後、暦年贈与を利用する可能性が低い。
・②は、土地を贈与の対象外としているため、特例の適用は可能である。
デメリットがないことを確認した一方、以下のメリットが判明しました。
・賃貸物件の贈与により、今後、アパート経営にともなう賃料収入は子のものとなり、相続税の節税に効果を発揮する。
デメリットがなく、メリットしかないことがわかり、当事務所では贈与契約書の作成並びにお父様とお子さんの双方から署名と捺印をいただくよう準備することにしました。
契約が完了した後、続いて贈与にともなう不動産の所有権移転登記(名義変更)手続きもおこなう方針を決定しました。
注意点としていた、賃貸物件の敷金(預り金)は、贈与の方法によっては、負担付贈与となることもあり、不動産の評価額を高額にしてしまう恐れを否定できません。
理由は、負担付贈与では、贈与税や相続税評価ではなく、時価評価になるからです。
そこで、今回のケースも敷金を預かっていたことから、建物とセットにして敷金相当の金銭の贈与をおこない、負担付贈与とはならないような形にすることとしました。
▼提案に対する結果
・不動産と敷金に相当する金銭の贈与を内容とした贈与契約書の作成をおこない、お父様とお子さん双方の署名と捺印を頂戴しました。
・贈与にともなう所有権移転登記の申請を法務局におこなうにあたり、書類の作成および準備も対応しました。
・税理士に対し、相続時精算課税制度の利用および贈与の申告の必要資料を、登記完了後に揃え、引き渡しました。
事務所コメント:自宅リフォームと贈与税
子どもの自宅のリフォーム費用を親が負担することや、子どもが親の家をリフォームして二世帯住宅することもよくあります。
多くの方は気にしませんが、税務署はリフォーム工事を把握しているため、申告手続きをおこなわないと、後から高額の贈与税が課税されかねません。
もうひとつは、相続時精算課税制度についてです。
今回は、デメリットがなく、メリットだけでしたが、場合によっては節税効果がなく、逆効果になる可能性もあります。
事前に相談していただくことで、税務に関してもベストの方法を選ぶことができました。
しかし、本やネットで調べた知識を基におこなった節税対策により、泣くに泣けない結果になることも起こります。
大切な家族を苦しめることなく、財産を守るためにも、生前贈与を含めた相続税対策は、贈与や相続の専門家に相談してから実行しましょう。
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この事例を解決した事務所
司法書士法人東京横浜事務所(東京都 渋谷区)
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